手洗い洗車のやり方徹底解説。抑えるべき基本から上級編まで

今回は、洗車やコーティングを手掛けるプロフェッショナルに徹底取材。セルフ手洗い洗車の手順や必要な道具といった基本から、頻度や場所、時間帯、やってはいけないことまで素朴な疑問を解決します。明日からできる洗車のコツ&知恵が満載です。
2022.04.28

教えてくれたプロフェッショナル:カービューティープロさん

スクール事業部の瀧澤修さん

カービューティープロは、細部に至るまでクルマを徹底的に洗浄するカーディテイリング技術者を育成しているプロスクール。1984年の開校以来、約2400名ものプロを輩出し、全国400ヵ所のショップネットワークを持つ。内装や外装、エンジンルームまでのトータルクリーニング技術で、東京モーターショーといった大型展示会の裏方でも活躍中。

カービューティープロ公式サイト

洗車の基本的な手順とそれぞれのポイント

まずは洗車の大まかな流れをチェックしていきましょう。一般ユーザーが実践できる洗車の工程は大きく分けて3つ。足回り→細部→全体の順で工程が進んでいきます。手順を確認したあとに、道具をみていきましょう。

1. 足回り(下廻り)の洗浄

最初に行うのはタイヤ回りの洗浄です。足回りはクルマの中でも最も汚れやすい場所。後回しにしてしまうと、再度ボディーを汚してしまう可能性もあるため、最初に洗浄をしてしまいます。

下のタイヤハウス、ホイール、タイヤの順に泡立てた中性洗剤を使って洗浄していきます。このとき意識すべきは、視線を変えてさまざまな方向から洗い残しがないか確認すること。

「特にホイールの内側は見えづらいため洗浄をしない人も多いと思います。手が届かないところには柄の長いブラシを使うと楽です。」

前後左右、合計4ヵ所を清掃することになりますが、洗浄作業・すすぎ作業・拭きあげ作業はそれぞれワンセットで行います。泡が付いたり、濡れたままにして放置するとシミの原因に繋がる可能性も。1ヵ所ずつ洗浄を完了させ、次の足回りに移行するようにしましょう。

2. ディテールウォッシュ

その名の通り、エンブレム周りや給油口周り、ドア縁、フロントグリルなど、細かい部分を重点的に洗浄していきます。この工程で意識すべきは下から上へ洗っていくこと。

エンブレム周りの清掃

「クルマは濡れると汚れや傷を発見しづらくなるため、綺麗に見えてしまうんですよ。なので上から洗うと水滴が垂れて、下の方にある汚れに気づきにくくなるんです。」

給油口周りの清掃

洗剤はここでも中性タイプでOK。しっかりと泡立て、毛が細かく柔らかいブラシを使い、ドアハンドルや蝶つがいなどの可動部、ボディの細かい溝やガラスとのつなぎ目を洗っていきます。足回りと同じように視点を時々変えつつ、汚れが残らないように注意深く観察しましょう。

カービューティープロさん曰く、「神は細部に宿る」。

時間の許す限り、徹底的に洗っていくことが美しく仕上げるコツです。

3. ボディウォッシュ

3つ目の工程でやっとボディ全体の洗浄に入ります。ディテールウォッシュとは異なり、ボディウォッシュでは上から下の順で洗っていきます。ここでも重要になるのが中性洗剤の泡。

「バケツにたっぷりの泡を作り、その泡だけで洗ってあげるイメージが大切です。ボディはとても傷つきやすく繊細なので、ちょっとした擦れが塗装面に微細な傷を入れてしまう原因になることも。水や泡をできるだけ活用して、摩擦をできるだけ軽減してあげてください。」

基本イメージは『汚れは擦らずに、泡で浮かせて落とす』。お肌に優しい洗顔方法とされている、たっぷりの泡で洗い上げる方法と同じイメージです。

クルマの表面に付いている埃や砂も傷を付ける原因になります。スポンジが汚れた時には水洗いするか中性洗剤の入ったバケツで洗い、常に綺麗に保つことが大切です。

そしてすぐに実践できるプロからのワンポイントアドバイスが。

ボディを洗うとき、どのようにスポンジを動かしていますか?

気付けば「のの字」にクルクルとスポンジを滑らせているという人も多いはず。プロ曰く、それは非効率的な洗い方なのです。

「クルマは四角の面で構成された乗り物です。そこにスポンジで円を描いてしまうと、必ず隅に洗い残し部分が発生します。直線を描くように縦・縦・横・横とスポンジを動かすのが洗車の鉄則です。直線的にスポンジを動かすことで隅々まで効率的に洗えますよ。」

ここでも手早く洗剤を水で洗い流し、拭いていきます。拭き上げには吸水性に優れたセームを使用するのがベター。ひと拭きで可能な限りの水分を吸収し、摩擦によるボディへのダメージを避けましょう。

基本からプラスひと手間まで。洗車に必要な道具

洗車に必要な道具は至ってシンプルです。まずは基本的な道具をご紹介します。

バケツ

洗車用中性洗剤

洗車用であれば概ねOK。コーティング処理をしている場合には、専用の中性洗剤を使用すると良いでしょう。ちなみに洗車のプロは汚れの種類によって、アルカリ性洗剤や酸性洗剤などを使い分け、一般ユーザーでは落としきれない汚れを徹底洗浄します。

スポンジ(2つ以上)

スポンジは足回り用とボディ用で分けるようにします。ボディ用のスポンジは目が大きめのものを選びましょう。洗浄中に浮いた汚れが目に入り込み、直接ボディと擦れるリスクを軽減してくれます。

拭き上げ用のクロス

吸水性に優れたセームや埃が立ちにくいクロスを使用します。端が分厚く処理されているタオルはボディにダメージを与える可能性があるため、できるだけ避けるようにしましょう。

筆類

主にディテールウォッシュで使用します。おすすめは水彩用や塗料用の筆です。しなやかでコシのある毛質が良いでしょう。そして絶対にNGなのが、使用済みの歯ブラシの使用です。歯ブラシはナイロン製で筆と比べて毛質がかなり硬く、細かい傷を付けてしまう可能性があります。

脚立(きゃたつ)

ルーフなど手の届かない場所を洗うときに使います。バンなどの背が高いクルマはもちろん、隅々まで洗いたいときには必ず準備しましょう。

脚部分が金属など硬い素材の場合は、周りは養生をすることでボディと接触したとしても傷がつくリスクを抑えられます。

「もうひと手間かけたい!」こだわりたい方はこちらもおすすめ

鉄粉除去剤

クルマに付着した鉄粉を除去するための洗剤です。鉄粉や鉄素材のみに反応するため、ガラス・ゴム・プラスチック・メッキ部への影響もありません。ホイールなどに使用することによって、一般ユーザーでもワンランク上の輝きを手に入れることができます。また鉄粉除去をすることで、拭き上げの際にボディへの傷をつけにくくします。

アルカリイオン水系 マルチクリーナー

水で洗い流せないような場所や内装に使えるマルチクリーナーがあると便利です。二度拭きも不要で、場所を問わずに使用できます。

ボディ用撥水コート剤

拭き上げのときに吹きかけることで、撥水力を高めてくれます。安価で手軽に効果を実感できるのもポイントです。

洗車の適切な頻度

どのくらいの頻度で洗車をするのが良いのでしょうか。クルマの使用状況や状態、保管環境によって左右されますが、「どんな状況であっても月に1回は洗車をしてほしい」というのがプロの意見です。

一番洗車が必要になるのが「屋外・屋根なしの駐車場」

屋外駐車場でカーポート等もない場合は、最も過酷な環境といえます。砂や埃、さらには直射日光がボディを痛める原因にも。2週間に1度は洗車をするのがベストです。

洗車のし過ぎもNG「屋内保管や屋根ありの駐車場」

屋外でカーポートがある場合は、ある程度の直射日光を避けることができるため屋根なしよりもクルマに優しい環境といえます。

クルマにとって一番良いのが、やはりシャッター付きのガレージでの保管です。外へ走りに行かない限り汚れが付着することはないので、頻繁に洗車をせずともOKです。

必要以上に洗車をすると、ボディに直接触れる機会が増加し、傷つけてしまうリスクが上昇するので要注意です。

安物だと逆効果!? 自動車カバー

屋外・屋根なしの駐車場でクルマを保管する場合、自動車カバー(カーカバー・ボディカバー)を利用する人も多いです。砂や埃、雨や日光を防ぐことができるためかなり有効なアイテムにも見えますが、「ちょっと待って」とプロからのアドバイスが。

「安価な自動車カバーだと生地が薄くばたつきがちです。するとカバーの内側に入り込んだ汚れがカバーとボディの間で飛び回り、逆に塗装を傷つけてしまうこともあります。もし自動車カバーを利用するのであれば、裏が起毛になっているものなど、しっかりとしたものを選ぶようにしましょう。」

洗車するタイミングっていつがいいの?

洗車にとって重要な要素なのがタイミングです。夏の晴れた日に思いっきり洗車をしたくなるのが人間の性(さが)ですが……。

「洗車の工程を見てわかる通り、泡で洗浄した後はすぐに水で洗い流し、拭き上げます。これらは水垢やシミを防ぐために必要な作業で、水分が自然乾燥する前に行う必要があるんです。
さて、夏の晴れた日を考えてみてください。車体がかなり熱くなるため、ボディに付いた水分は一瞬で蒸発してしまいますよね。これだと『洗車をしたのに、もっと汚れてしまった』という結果になりかねません。」

そう、暑く晴れた日の洗車はクルマにとっては悪条件。気持ちいいのは人間だけなのですね……。気温の高い日のみならず、天気が良く水はけがよさそうな日は水分が早く乾いてしまうため、水道水に含まれていたミネラル分が汚れとして残りやすくなるので注意です。

洗車をするのに最高なタイミングは「○○後の曇りの日」

洗車をするのにおすすめなのが、日差しが弱く涼しいタイミングです。夕方や夜もOKですが、視認性が落ちるため照明を使って傷や汚れを確認しながら作業をすすめましょう。

雨上がり後の曇りの日は絶好の洗車日和。日光を避けることができる上に雨で汚れが落ちやすくなっているため、最も効率良く洗車できるといいます。これからは洗車をする前に、天気予報を予め確認してみてくださいね。

意外と身近! こんな時は緊急洗車を

定期的な洗車に加えて、早急に洗車をすべきケースも多々あります。この場合は急いで汚れを落とすことが大切なので、水洗いだけでもOKとのこと。愛車を大切にするならば、要チェックですよ。

鳥のフンが付いた場合

屋外・屋根なしで駐車をしていると時折発生する出来事ですが、プロ曰く「鳥のフンは、クルマにとって最悪です」といいます。すぐに水拭きすれば落ちますが、長期間放置をしていると最悪の場合、塗装まで剥がれてしまうこともあるそうです。発見し次第、水で洗い流すようにしましょう。

ひどい泥汚れが付いた場合

泥汚れも付いた直後ならば水で簡単に落とせますが、放置し続けると落ちなくなる可能性も。

海辺で遊んだあと

金属の塊であるクルマにとって潮風は大敵です。サビや腐食の原因になるため、帰宅後に全体を簡単に水洗いしてあげましょう。

雪道を走ったあと

雪道には凍結防止剤として塩化カルシウムや塩化ナトリウムなどの塩化物系が撒かれています。サビの原因にもなるため、雪上を走ったあとはすぐに足回りを入念に、クルマ全体をさっと水洗いしましょう。

温泉地から帰ったあと

温泉には金属腐食の原因となるような成分が含まれていることもあります。泉質や場所にもよりますが、温泉地から帰ってきたあとはボディ全体を軽く水洗いすると安心です。

洗車をする場所はどこがいい?

駐車スペースも十人十色。駐車場で洗車が難しいケースも結構多いです。

「おすすめは洗車場の利用です。洗車にはたっぷりと水を使用できる環境と洗剤を流せる排水溝、拭き上げのスペースが必要になります。ご自身の駐車スペースで洗車が難しい場合は、セルフの洗車場を使うのが良いでしょう。郊外にはもちろん、最近は日比谷や日本橋といった都内の一等地の地下にも洗車場があります。ぜひ近所を調べてみてくださいね。」

時短できるテクニック

「時間はないけれど洗車をしたい!」ときの時短テクニックをご紹介します。

しっかり洗えずとも、簡易的な洗車をまめにしてあげるだけで、クルマのコンディションはぐっと良好に保たれます。鳥のフンが付着した際や海、雪道、温泉地からの帰宅後にもおすすめです。

1. 水をかける
最初に水を掛けることで、埃や砂など大きな汚れを落とします。

2. クルマ全体をシャンプー
中性洗剤を使ってクルマを洗います。ここでもポイントになるのが「たっぷりの泡」と「上から下へ」。汚れは直接擦らずに泡を使って浮かせて落とし、ルーフから足回りへと上から下に汚れを落としていきましょう。

3. 水洗い&拭き上げ
洗剤を落とし、拭き上げへ。ここでも吸水力に優れたクロスを使うことで、拭き上げの精度とスピードが上がります。

プロからのストップ! 洗車でやってはいけないこと

「良かれと思ってやったことが裏目に出てしまった」。洗車の世界でも落とし穴はたくさんあります。意外とやってしまいがちなNG行為について聞いてみました。

非常に汚れた状態のクルマを洗車用ウェットシートで拭く

外装用のウェットシートは簡単に汚れを拭き取れるため、活用している人も多いアイテムです。

しかし、ボディにたくさんの汚れが付着している状態で使用してしまうと、細かい粒子で塗装を傷つけてしまい逆効果に。

ウェットシートを使う前に、予めクルマの汚れ具合を確認しましょう。

しつこい汚れをメラミンスポンジで擦る

「これはなにがあってもNG!」と、プロから強いストップが。

しつこい汚れの代表格として挙げられるのが水垢・ウォータースポット・イオンデポジットです。

これらを除去するための正攻法は、それぞれの汚れの特性を理解した上で専用の洗剤を使用し溶かしていく方法。残念ながら一般ユーザーには踏み込めない領域だと言えます。

メラミンスポンジは表面を研磨することで汚れを削り取る道具です。台所などでは活躍しますが、クルマのボディに使用すると塗装ごと剥がしてしまうため、「積極的に傷を作っている」とも言い換えられます。

中性洗剤でも落ちない汚れはきっぱりと諦めましょう。どうしても落としたい場合は、専門ショップやディーラーにご相談ください。

自己流でエンジンルームを掃除する

自分の愛車なら、隅々まで自分の手で磨き上げたくなるのがドライバーの本音です。しかし素人がエンジンルームを掃除するのはNGです。

「エンジンルーム内には専門知識を有した技術者のみが扱える機構がたくさんあります。むやみに素人が触ってしまうと最悪、故障の原因にも繋がります。」

もしエンジンルームにカバーが付属している車種であれば、カバーまでは洗浄OK。どうしてもエンジンルーム内の汚れが気になる場合は、専門ショップやディーラーに相談しましょう。

ボディカラーと洗車の話

自動車の色によって汚れの見え方や目立ち方が変わってきます。カラーによって洗車頻度が増減するのでしょうか?

「カラーが違えど汚れ方が同じなら洗車の頻度は変わりません。ただ、色によって見えやすい汚れや傷は変わってきます。例えば白なら埃や砂の汚れが目立ち、黒なら傷が目立つ傾向にありますね。」

頻度は変わらないものの、カラーによってダメージの入り方は異なるそうです。

「白系よりも黒系の方が熱の吸収率が良いため、直射日光による塗装へのダメージの入りが早いですね。」

ボディカラーと状態の関係性はかなり奥深いもの。購入や乗り換えの際には、保管環境も考慮して検討してみても良いかもしれませんね。

こだわりの洗車で愛車をもっとピカピカに!

カービューティープロさんに手洗い洗車の基本から応用、素朴な疑問までお伺いしました。

お話の中で登場したコツや知恵は、次回のセルフ洗車から取り入れられるものばかり。気になるものはぜひ実践して、愛車とドライバーの素敵な関係性を築いていってくださいね。

この記事を書いたライター

大城実結


フリーランスライター・編集者。自転車や地域文化、一次産業、芸術を専門に執筆している。紙雑誌やWeb媒体問わず活動中。イラストや漫画も発表。月の半分は日本のどこかにおり、その土地の温泉や酒、食材に唸る日々が続く。

Webサイト:miyuo10qk.wixsite.com/miyuoshiro



カテゴリ

横浜ゴム株式会社
あなたにおすすめの記事