「車のエアコンが臭い!」を防ぐには?原因と対策をプロに教えてもらいましたよ

久しぶりに起動するカーエアコン。本来ならば車内を心地良い気温にしてくれるはずのカーエアコンですが……あれ、送風口からの”におい”で不快になっていませんか?
今回はカーオーナーなら一度は悩んだことがあるであろう「カーエアコン(カークーラー)の悪臭」について注目します。

取材・文・写真=大城実結

におい発生の仕組みからカーオーナーができる対策、プロに任せるべき作業など、車メンテのプロ「タイヤガーデン」の店長さんに聞いてみました。良好な状態のカーエアコンで、ストレスフリーなドライブを楽しみましょう!

タイヤガーデン前橋片貝店
今回お話をきいた金子克則さん

クルマのエアコンのにおいのもととは?

カーエアコンのにおい発生の原因は、空気を冷却するための部品「エバポレーター」で発生します。エバポレーターはダッシュボードの内部にあり、一般人にとってはあまり馴染みのない部品です。

エバポレーターの本体

エアコン使用時には、冷却されたエバポレーターを空気が通過することで冷風が発生し、車内の温度を下げています。そしてにおいの発生となる現象は、エアコンを消したあとからはじまります。

1. 結露した水が滞留する

冷えたエバポレーターで空気を冷やす際に結露によって水が大量に発生します。エンジンを付けているときは外に排出されますが、エバポレーター内の水分も乾かずに付着したままとなります。

2. 湿潤な環境がカビや菌の繁殖を促進

エバポレーターの水はそのまま外に排出されることなく残留するため、湿潤でカビや雑菌が繁殖しやすい環境が整います。

3. 車内のゴミやほこり、食べ残しが悪臭を助長する

車内の汚れがフィルターを通り抜けてエバポレーターまで辿り着いてしまった場合は、さらに良くない状況になります。熟成された残留水にこれらの汚れが合体し、よりしつこい悪臭が発生することも考えられます。

金子さん曰く「車内に汚水が溜まった状態はドブと同じようなもの」。ドブからにおいが発生すると考えれば想像もたやすいですね。

どんな時期に発生しやすい?

におい発生の原因となる時期は、エアコン使用を終えてから来シーズンの使い始めまでの休止期間といいます。具体的には秋から来年の梅雨までの時期です。
「車の中に残ってしまった水は、エアコンを使わない限り外へ排出されないので、エアコン不使用期間はずっと車内に滞留します。その間にカビや雑菌が繁殖してしまうんです。」(金子)

車外に排出される水

エバポレーターを洗浄・交換するのは現実的ではない

となれば、「エバポレーターを直接洗浄すればいいじゃないか!」と思うかもしれません。しかし、金子さんはあまりおすすめしないと言います。

「エバポレーターを取り出して洗浄するのは簡単ではありません。家庭用のエアコンとはことなり、接続部が多くガス漏れの恐れもあるので素人ではまず不可能。業者に頼むとしても、ハンドルから何からすべて取り外さないとエバポレーターを取り出すことはできません。そのため費用もべらぼうな値段が掛かるんです。」

ダッシュボードの内部にあるエバポレーター

つまり、エバポレーターを取り外して洗浄することはほぼ不可能というのです。
「エバポレーターの洗浄や交換はほぼ最終手段と考えてください。こうなってしまう前にできることはたくさんあるんです。」

実は簡単!自分でできること、プロに任せるべきこと

カーエアコンのにおいを防ぐためにできることを見ていきましょう。まずは大きく分けて2つ。自分でできること、プロに任せるべきことを教えてもらいました。

自分でできること

まめに車内を掃除しよう

誰でもできる対策として、車内を清潔に保つことが挙げられます。外から入り込んでしまった枯葉や泥、車内飲食による食べ残しなどもにおいの元になります。エバポレーターへ汚れが入り込むのを防ぐためにエアコンフィルターがありますが、フィルターが汚れで詰まってしまうと冷却効果の低下や風量低下の原因にも。

定期的に車内を掃除し、お出かけ帰りには汚れが残っていないか確認するなど、日頃の習慣が大切です。

内装のクリーニング方法はこちらの記事で解説しています

隅々まで愛車をキレイに! パーツ別のお掃除方法をプロが徹底解説

エアコンのオフシーズンでも定期的に使用する

もうひとつできるのが、オフシーズンでも定期的にエアコンを試運転するという方法です。においの原因はエバポレーター内に残った水分でした。これらを循環させることで、細菌やカビが繁殖する前に外へ排出させ、においを防ぎます。
冬場は寒いかもしれませんが、1ヶ月に1度程度、エアコンを数分試運転してあげましょう。

プロに任せるべきこと

年に一度のフィルター交換

エアコンフィルターにゴミが詰まっている様子

エアコンフィルターも定期的に交換するのが大切です。エアコンフィルターの目がゴミで詰まりきってしまうと、エバポレーターの汚れの原因や、燃費悪化にも繋がります。交換推奨は1年に1度とされています。

エアコンフィルター交換自体は簡単な作業ですが、ダッシュボードを開けるのにコツが必要ですので、プロにお願いするのが安心です。作業時間も1時間もかからず、工賃もお手頃です。

洗浄スプレーを散布しよう

各社からさまざまなエアコンスプレーが発売しています

エアコンフィルター交換と併せてお願いしたいのが、エバポレーターへの洗浄スプレー散布です。カーエアコン専用スプレーには消臭効果が期待できます。メンテナンスをお願いしているカーショップやディーラーに相談してみると良いでしょう。

ガス圧をチェックしてもらおう

ガス圧チェックも忘れずに

カーエアコンのガス圧が低下するとコンプレッサーの回転率が低くなるため、結果的に燃費が悪化してしまいます。エアコンフィルター交換時に、ガス圧のチェックもお願いして適正値を保ちましょう。

現在、すでにカーエアコンから悪臭がする場合は、早めにかかりつけのオートショップやディーラーに相談することをおすすめします。

自分でできる年間メンテナンス

日々の手入れと定期的なメンテナンスこそ、カーエアコンのにおいを防ぐ有効な手立てでした。カーエアコンを快適な状態で長期間使うことを想定し、理想の年間スケジュールを作ってみました。無臭の心地良いドライブを目指し、参考にしてみてください。

6月〜9月【エアコンを使う時期】

室内を綺麗に保つように心がける。泥汚れや食べ残し汚れを車内に残留させない。

10月〜11月【エアコンを使い終わったあと】

ディーラーやオートショップへ定期的なメンテナンスへ。フィルター交換と洗浄スプレーの散布、ガス圧のチェックをお願いする。

12月〜5月【エアコンを使わない時期】

月1など定期的にエアコンを試運転し、溜まっている水を排出する。

こんな車は要注意!カーエアコンの注意点あれこれ

今回教えてもらったのは多くの車種が当てはまる対策方法と解決方法でした。しかし中にはこのケースに当てはまらない車もあります。

ハイブリッド車はディーラーへ相談

ハイブリッド車の場合、カーエアコンで使用するガスが一般的なガソリン車とは異なります。そのためオートショップでは取り扱いが難しく、ディーラーのみ対応可というケースがほとんどです。

オートエアコンと一般的なエアコン

近年ではオートエアコンを搭載している車種も増えてきました。オートエアコンとは冬場でもエバポレーターで冷やした冷風と暖風をミックスして、自動的に車内温度を調整する空調を指します。年間を通して、常にエバポレーターが起動しているため、排水が滞ることなくにおい対策にもなります。
このオートエアコンにおける排水の仕組みを手動で行うのが、オフシーズンでも試運転するという方法です。

【結論】車内を清潔に&定期的なプロのメンテナンスが重要

  • 車内を綺麗に保つべし
  • オフシーズンでもエアコンを試運転すべし
  • 1年に1度はオートショップでフィルター交換をすべし

以上が車を持つすべての人ができるカーエアコンへの心遣いでした。
「においが発生してからでは遅いです。エアコンを使う時期も使わない時期もちょっとずつ気を遣ってあげてくださいね」と金子さん。正しくカーエアコンを使って、快適なドライブを楽しんでくださいね。

この記事を書いたライター

大城実結


フリーランスライター・編集者。自転車や地域文化、一次産業、芸術を専門に執筆している。紙雑誌やWeb媒体問わず活動中。イラストや漫画も発表。月の半分は日本のどこかにおり、その土地の温泉や酒、食材に唸る日々が続く。

Webサイト:miyuo10qk.wixsite.com/miyuoshiro



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