環境

原材料

KPI

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項目 2020年度実績 2021年度実績
使用原材料の総量 (連結)899千トン (連結)1,068千トン
再生可能/リサイクル材料の使用比率 (連結)25.8% (連結)25.5%

責任部門

技術・設計部門
  • とりまとめは4R推進委員会にて実施

考え方・目標

なぜ「原材料」が重要取り組み項目なのか
理由と背景の解説

横浜ゴムグループは天然ゴム、水などの自然資本や化学品を使った商品を販売しています。これらの原材料は地球から得られた資源からつくられたものであり、無限に存在する訳ではありません。そこで、最小限の原材料を使い、リサイクル製品(リトレッドタイヤなど)の販売を推進し、リサイクル原材料(粉末再生ゴムなど)を使用して、お客さまや社会に喜ばれる商品を届けることが重要な課題であると認識しています。

原材料に関する方針および考え方

横浜ゴムグループは、環境に関する考え方を「環境基本方針」、「横浜ゴム全社環境方針」に示し、「横浜ゴムグループ行動指針」にのっとり、地球環境への負荷軽減につながる原材料の開発・調達と使用量の最小化を推進します。

目指す姿(達成像)/目標

長期目標:2050年にサステナブル原料100%を目指します。
中期目標:2030年に再生可能原料/リサイクル材料の使用比率30%を目指します。

目指す姿に向けた施策

事業継続のため、下記の取り組みなど環境・社会への負荷を低減した原材料の開発・利用を進めています。
また、ライフサイクル全体で環境・社会への影響が最も小さく、持続的に利用可能な原材料の調達システムを構築します。
  1. 構造設計・部材剛性などの見直しにより、要求性能を満たしつつ、軽量化を図る。
  2. リトレッドタイヤの販売促進を図る。
  3. さらに高い粉末再生ゴム混合比率のタイヤ、ベルトの開発など、リサイクル原料の使用拡大を図り、

2021年度の活動レビュー

循環型社会へ向けた再生可能原料の使用拡大

当社グループではかねてより循環型社会(サーキュラーエコノミー)の実現に向けた取り組みとして、再生可能原料の適用を進めて参りました。従来取組んでいた再生ゴムに加え、植物由来かつ非可食である籾殻から生成したシリカ、天然素材由来の樹脂や鉄廃材を溶融して再利用したワイヤーなど、多種多様なリサイクル原料の拡大を推進しております。
従来の再生ゴムおよび非石油由来ポリマーの使用重量を昨年比110%以上に、また籾殻より生成したシリカの使用重量は昨年比200%とし、2021年の再生可能原料の使用量は全世界で26.4万トンとなり、全原料使用量の25.5%となっております。
2030年の再生可能原料使用比率30%以上に向けて、これまで使用してきた再生可能原料の使用比率をさらに高めていくと共に、新たな再生可能原料の探索・活用を通して地球が直面している環境課題の解決に努めていきます。
当社は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)、先端素材高速開発技術研究組合(ADMAT)との共同研究により、バイオエタノールからブタジエンを大量合成し、従来と同等の性能を持つ自動車用タイヤの試作および一連のプロセスの実証に成功しました。ブタジエンは現在、タイヤの主原料である合成ゴムなどの重要な化学原料として石油から生産されていますが、バイオマス(生物資源)から生成したブタジエンからタイヤを生産する技術を確立することにより、石油への依存度低減によるCO2削減と持続可能な原料調達が促進されます。
試作タイヤはグランドツーリングタイヤ「BluEarth-GT AE51」の185/60R15サイズです。このタイヤのキャップトレッドとサイドウォールは従来、石油由来のゴムで製作されていましたが、今回の試作タイヤでは石油由来のゴムを全てバイオエタノール由来のブタジエンゴムと天然ゴムに変更したため、両部分のゴムは持続可能なゴム材料のみで構成されています。また、試作タイヤは従来の石油由来のゴムを使用した時と同等の材料性能を有しています。

バイオマス由来のブタジエンゴムを用いて試作したタイヤ

日本ゼオン株式会社、当社が実施する「炭素資源循環型の合成ゴム基幹化学品製造技術の開発」が、NEDOの「グリーンイノベーション基金事業/CO2等を用いたプラスチック原料製造技術開発」として採択されました。グリーンイノベーション基金事業は、「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」という国が掲げた目標の達成に向けて、エネルギー・産業部門の構造転換や、大胆な投資によるイノベーションの加速を目指して、経済産業省により設置された制度です。この目標に経営課題として取り組む企業等に対して、10年間、研究開発・実証から社会実装までを継続して支援するものです。本実証事業では、使用済タイヤやバイオマスなどの再生可能炭素資源から、炭素資源循環型の合成ゴム基幹化学品であるブタジエン、イソプレンを高い収率で製造する、2つの高度な技術を確立し、2030年代に社会実装することを目指します。これにより、タイヤ・ゴム産業における資源循環性の向上、カーボンニュートラル化に貢献していきます。

炭素資源循環型の合成ゴム基幹化学品製造技術の開発 実証事業概要

MB事業でのリサイクル活動

再生ゴムは昨年と同様主にバラスト用ベルトに使用しており、2021年度の使用比率は2.7重量%でした。また、廃タイヤ等のゴム廃棄物から再生される再生カーボンやゴム原材料の採用推進に取り組んでいます。
また、ホースの製造工程で使用する樹脂モールド材(熱可塑性樹脂)は、使用後に粉砕・再溶融して再利用していますが、粉砕時に発生する粉末は廃棄していました。そこで、粉砕工程を2段階とし、最初は粉砕を大型化し、粉末化を抑制しました。
次の粉砕工程で発生する粉末は回収し、粉砕物と同じ履歴で再利用することができるようになりました。
その結果、回収率は90%を超えるようになり、樹脂モールド材は2020年に年間使用量を4.8トン削減、2021年には6.6トン削減できました。

横浜ゴム長野工場 「金属切削屑のブリケット化」 の 「一般社団法人産業環境管理協会会長賞」 受賞

2018年の「資源循環技術・システム表彰」において「金属切削屑(ダライ粉)のブリケット化」で「一般社団法人産業環境管理協会会長賞」を受賞しました。
長野工場はホース用の継ぎ手金具の生産およびホースと金具のアセンブリを行っています。今回、従来は外部の金属屑業者に売却していた金具生産の際に発生する金属切削粉を、鉄鋼原料用のブリケット(粉体物等を高い圧力で固めて特定形状に固形化したもの)に成型し、製鉄会社に直接販売する効率的なシステムを確立し資源循環に貢献しています。

課題と今後の改善策

事業活動には原材料の使用が欠かせませんが、地球の資源を最小限に利用する状態にあることが最終目標です。
再生可能商品やリサイクル原材料の使用が、本当に地球資源の利用や環境負荷の低減につながっているか、正しく評価を行い、グローバルに展開することが課題です。