2016 SUPER GT Round 5 Report

【SUPER GT 第5戦/富士】

GT500はWedsSport ADVAN RC Fが3年越しの入賞記録を14にまで伸ばし、
GT300ではマネパ ランボルギーニGT3が力走を見せて4位フィニッシュ!!

SUPER GT Round 5

開催日 2016年8月6日-7日
開催場所 富士スピードウェイ
(静岡県)
天候 晴れ
路面 ドライ
決勝周回数 66周
(1周=4,563km)
参加台数 43台
(ヨコハマタイヤ装着車 24台)
SUPER GT 第5戦

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2016年のSUPER GTシリーズ第5戦「FUJI GT 300km RACE」は、第2戦以来となる今シーズン二度目の富士スピードウェイが舞台。新緑薫る初夏から、緑深い盛夏へと移った舞台は一緒であっても、気温、路面温度などコンディションは著しく異なっている。富士山からもすべての雪が溶け、今や荒々しさを感じさせるほどだ。

そんな中、「フォーラムエンジニアリングADVAN GT-R」には、並々ならぬ期待が抱かれていた。ちょうど1年前のレースで、ミハエル・クルム選手と佐々木大樹選手が5年ぶりの優勝を飾ったコースであり、しかも前回のSUGOでも、佐々木選手と柳田真孝選手のドライブで優勝。ウエイトハンデは、この勝利で44kgとなったが、富士は比較的ウエイトの影響が少ないコースとされ、現在では難しいとされる連勝も絶対に不可能とは言い難い。一方、関口雄飛選手と国本雄資選手の駆る「WedsSport ADVAN RC F」にも、かかる期待は高まる一方。ともに上位進出を見据えて、予選に挑むこととなった。

また、GT300は今まさに群雄割拠状態にあり、ポイントの分散が目立つ中、コンスタントに入賞を重ねる、土屋武士選手と松井孝允選手の駆る「VivaC 86 MC」が目下ランキングのトップ。そして第2戦のウィナーでもある、星野一樹選手とヤン・マーデンボロー選手の駆る「B-MAX NDDP GT-R」が続いて、ランキングの上位をヨコハマタイヤユーザーが独占している。この状態を果たしてキープできるか、さらに新たな躍進を遂げるヨコハマタイヤユーザーが現れるのか、注目された。

予選が行われた土曜日は快晴に恵まれたが、それが意味するのは高温との戦い。気温は33度、路面温度にいたっては50度と、まさに極限状態からのスタートとなった。まずGT300は前回に引き続き、ヨコハマタイヤユーザーは9台がQ1を突破。またも「シンティアム・アップル・ロータス」の加藤寛規選手が最上位となる3番手につけ、これに続いたのは、シャシーの精度を短い時間のうちに飛躍的に高めてきた「TOYOTA PRIUS apr GT」の佐々木孝太選手だった。一方、66kgのウエイトハンデを背負う「VivaC 86 MC」の土屋選手は12番手ながらQ1突破を果たしたのに対し、「B-MAX NDDP GT-R」のマーデンボロー選手は17番手に留まり、またもQ2進出ならず。

一方、今シーズン初めてQ1に挑んだ「JMS LMcorsa 488GT3」の都筑晶裕選手が期待に応え、無事突破なったことで、Q2でより奮起したのがベテラン新田守男選手。ヨコハマタイヤユーザー最上位となる、3番手につけることに。そして5番手を片岡龍也選手からバトンを託された、「グッドスマイル 初音ミクAMG」の谷口信輝選手が獲得する。「TOYOTA PRIUS apr GT」の永井宏明選手は13番手、「シンティアム・アップル・ロータス」の高橋一穂選手は14番手ながら、プロドライバーに対しても決して見劣りのないタイムで走行し、ともにただ者ではないジェントルマンドライバーぶりをアピールした。

GT500では温度の上昇を誰より望んでいた、「WedsSport ADVAN RC F」の国本選手がQ1では7番手に食い込んで、関口選手にバトンを託すことに成功。そして「フォーラムエンジニアリングADVAN GT-R」の佐々木選手は、そのタイムをわずかに上回って6番手につける。

続くQ2では「WedsSport ADVAN RC F」の関口選手、「フォーラムエンジニアリングADVAN GT-R」の柳田選手が連なるように、早い段階からアタックをかける。入念にタイヤを温めてアタックを敢行し、それぞれ好タイムをマークするも、終了間際にライバルたちの逆転を次々と許し、「フォーラムエンジニアリングADVAN GT-R」は7番手に、「WedsSport ADVAN RC F」は8番手に。

しかし、6番手につけていた車両が走路外走行のペナルティで降格となったため、「フォーラムエンジニアリングADVAN GT-R」は繰り上がって6番手から決勝をスタートすることとなった。「暑くても安定してタイムを出せるタイヤをチョイスしたので、決勝には自信があります。前回も予選9番手からの優勝でしたからね!」と柳田選手。

決勝を控えた富士スピードウェイは朝から青空が広がり、同時に気温、路面温度ともにぐんぐん上昇していく。耐久性の高いタイヤを選択した「フォーラムエンジニアリングADVAN GT-R」、「WedsSport ADVAN RC F」ともに願っていた状況だ。柳田選手、国本選手がそれぞれスタートを担当。グリーンシグナルの点灯とともに、右足を強く踏みしめた。

だが、待ち構えていたのは予想外の展開だった。柳田選手はひとつポジションを落としはしたものの、スティント後半での追い上げを視野に入れていた。ところが、9周終了時点で突然のピットイン。エンジントラブルに見舞われ、チームはパーツを交換して柳田選手を再びコースに送り出したものの、状況は変わらず。柳田選手は再びマシンをピットに向けるしかなかった。連勝も期待された「フォーラムエンジニアリングADVAN GT-R」の戦いは、わずか11周で終わる。

一方、「WedsSport ADVAN RC F」の国本選手は力強い走りを披露し、9周目には6番手に浮上。19周目からセーフティカーがコースに入ると、チームは早めのピットインを決断する。実は柔らかめのタイヤを装着していたため、厳しい状況が続いていたのだ。SCラン終了後、24周目のピットレーンオープンと同時に滑り込み、関口選手への交代と併せて硬めのタイヤに交換して、コースへと送り戻す。だが、関口選手は40周以上を走らねばならない計算、タイヤが辛くなり始めた終盤に9番手に、41周目には10番手にまで後退。結局そのままフィニッシュし、予選でのパフォーマンスを見せることなく終わってしまう。だが、一昨年の第7戦から続く入賞を、14戦連続にまで伸ばすこととなった。

GT300では3番手スタートの「JMS LMcorsa 488GT3」を駆る都筑選手が、まずはポジションキープでレースを開始。猛者たるプロドライバーから「洗礼」を次々と受け、やがて6番手まで後退することとなるが、17周目からのSCランは呼吸を整える機会ともなった。23周目からピットロードオープンになるも、ステイした後もポジションを守り続け、30周目にようやくピットイン。しかし、ピット作業で不運が重なり、代わった新田選手は大きく順位を落とすことに。

その後、ギリギリまでドライバー交代を遅らせたことでトップを走行したのは、「マネパ ランボルギーニGT3」の平峰一貴選手だった。33周目にようやくピットインし、代わった織戸学選手は前回とは異なり、タイヤを4本とも交換。その結果、レースを4番手で折り返すこととなる。終盤には「グッドスマイル 初音ミクAMG」の谷口選手が近づくも、辛くも0.006秒差で振り切ってヨコハマタイヤユーザー最上位となる4位を獲得。5位となった「グッドスマイル 初音ミクAMG」とバトルを繰り広げていた「LEON CVSTOS AMG-GT」はサスペンションのトラブルで、56周目にリタイア。6位でフィニッシュしたのは、なんと「B-MAX NDDP GT-R」だった。今度は11台抜きを果たし、チャンピオン獲得への飽くなき執念をアピールした。また、「VivaC 86 MC」はタイヤ無交換策を採リ、「レース内容は悪くなかった」と土屋選手は語るも入賞ならず。

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DRIVER VOICE

関口雄飛 選手 [WedsSport ADVAN RC F]

【今回の成績 : GT500クラス 10位】
僕のスティントは最初からペースが良くなかった。自分たちのできることはやりましたが、今年いちばん厳しいレースになってしまいました。でも、厳しい状況の中で連続してポイントが獲れたのは良かったですし、次の鈴鹿1000kmはタイヤも絞り込めています。イメージもつかめていますので、頑張ります。

国本雄資 選手 [WedsSport ADVAN RC F]

【今回の成績 : GT500クラス 10位】
柔らかめのタイヤをチョイスしていたのですが、序盤から実はすごく苦しかったんです。前には着いていけませんでしたし、後ろからは迫られる状況で……。予選でタイヤのパフォーマンスはありましたが、決勝では持続してグリップしてくれませんでした。でも、次の鈴鹿はハンデがまだ軽いので、楽しみにしています。

柳田真孝 選手 [フォーラムエンジニアリングADVAN GT-R]

【今回の成績 : GT500クラス リタイア】
突然パワーがなくなって、コクピットで何をやってもダメで、エンジンをチェックして1周走りましたが、やはりダメでした。ペース的にはコンスタントに行けたし、これからという時だったので、非常に残念です。昨年、このレースで勝っていますし、走り続けていればと思うと、もったいないレースにはなってしまいましたが、いい方向に向かってはいますから、次の鈴鹿は手応えがあります。

平峰一貴 選手 [マネパ ランボルギーニGT3]

【今回の成績 : GT300クラス 4位】
今回はタイヤ4本交換でした。走り始めから路面温度がかなり上がっているのは分かっていたので、できるだけ僕は保たすように考えて走っていました。それはかなりうまくできたと思っています。ただ、僕らのクルマは重たいせいもあって、タイヤにはかなり厳しい条件を強いてしまいましたが、それでも最初から最後までグリップ感が落ちてくることはありませんでした。

片岡龍也 選手 [グッドスマイル 初音ミクAMG]

【今回の成績 : GT300クラス 5位】
今回できることは、すべてやった結果の5位で、温度のせいなのか、レースやってみたら、前後のバランスはフロントの方がつらくて、ぎりぎり抜けなかった88号車(マネパ ランボルギーニGT3)はミッドシップなので、フロントタイヤ厳しくなったのかな、という気がしました。悔しい。何とか次までに作戦を考えて、今後はヨコハマ勢で表彰台を独占できるようにしたいです。

星野一樹 選手 [B-MAX NDDP GT-R]

【今回の成績 : GT300クラス 6位】
タイヤはちょっとグリップレベルが足りなくて、速さではもう少し、といった感じでした。それでも1レース、ずっとコンスタントに行けたってことでは、レースには強かったですね。順位はまた上げてこられましたが、予選が課題というか、予選でもっと前にいないとチャンピオンが見えてこない。いつまでもウエイト、ウエイトと言っていられないので、表彰台を争えるぐらいのスピードを持たないといけないですね。

ENGINEER VOICE

藤代秀一 [ヨコハマ・モータースポーツ・インターナショナル SUPER GT開発統括]

今回のレースはGT500、GT300ともにいいところは、まったくありませんでした。「フォーラムエンジニアリングADVAN GT-R」はエンジンのトラブルで早々にリタイアして、「WedsSport ADVAN RC F」も日曜朝のフリー走行までは、そこそこ行けるのかな、と思っていたんです。いざ蓋を開けてみれば、タイヤ的にもこのコンディションは厳し過ぎたようです。関口選手の後半スティントは、ミディアムからハードに変えたんですが、それまでのセッションとフィーリングが違っていて、なかなかペースを上げられず、苦しいレースになってしまいました。かろうじてポイントが獲れたという、非常に残念なレースになってしまいました。次回までに原因をしっかり解析するつもりです。

GT300も表彰台に上がれず、つらいレースになってしまいました。正直、他社と比べた時にFIA-GT3のラップタイム差が大きく、何が足りないのかしっかり精査していかないといけませんね。今シーズンはもうテストがないので、どう展開していくか非常に難しいのですが、上位に食い込めるタイヤを準備しなければいけないと思っています。 両クラスとも次の鈴鹿は今回同様、厳しいレースにはなると思いますが、少しでも上位でゴールできるよう、タイヤを準備して頑張りたいと思います。