2016 SUPER GT Round 2 Report

【SUPER GT 第2戦/富士】

GT300でB-MAX NDDP GT-Rが優勝飾ってマーデンボロー選手は初勝利、
GT500はヨコハマタイヤ勢が2台揃って入賞!!

SUPER GT Round 2

開催日 2016年5月3日-4日
開催場所 富士スピードウェイ
(静岡県)
天候 晴れ
路面 ドライ
決勝周回数 110周
(1周=4,563km)
参加台数 44台
(ヨコハマタイヤ装着車 25台)
SUPER GT 第2戦

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2016年のSUPER GTシリーズ第2戦「FUJI GT 500km RACE」は、霊峰・富士山が雄大な姿を見せる富士スピードウェイが舞台。「WedsSport ADVAN RC F」は、大きな期待とともに乗り込んできた。というのも、4月24日に決勝が行われたSF(全日本スーパーフォーミュラ選手権)の開幕戦で、2人のドライバーが素晴らしい走りを見せたのだ。SFは今年からヨコハマタイヤのワンメイクとなり、予選で国本雄資選手が自己最高の2番手、今季SF初参戦となった関口雄飛選手がなんと3番手。強豪ドライバーが結集するSFで、この走りはまさに賞賛に値しよう。誰よりヨコハマタイヤを理解しているからこその結果と言っていいはずだ。国本選手はトップには離されてしまったが、堂々の2位表彰台。関口選手は不運が重なり結果を残せなかったものの、レース後半にファステストラップを記録する速さを見せつけた。

また、佐々木大樹選手と柳田真孝選手の駆る、「フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-R」もドライバー、スタッフの期待感は同じだった。なにしろ昨年の富士ラウンドでは第2戦こそ接触されて11位に終わったが、第4戦の富士では6位スタートから追い上げて見事優勝を飾っているのだ。

一方、前戦のGT300では優勝を飾った黒澤治樹選手と蒲生尚弥選手のドライブする、「LEON CVSTOS AMG-GT」を筆頭に、ヨコハマタイヤユーザーは表彰台を独占。ニューマシンが多く不確定要素の多い今年だけに、この結果はヨコハマタイヤのスタッフだけでなく、ユーザーの士気を大いに高めたことだろう。大いに自信を抱いて挑んでいたのは、言うまでもない。

予選は穏やかな天候の中で行われ、まずGT300でヨコハマタイヤユーザーは9台がQ1を突破。「マネパ ランボルギーニGT3」の平峰一貴選手がレコードタイムを更新して、2番手につけていた。その一方で、「LEON CVSTOS AMG-GT」の黒澤選手は40kgのウエイトハンデに苦しみ、また完全にアタックのタイミングを逸したことで18番手に留まり、Q1突破は果たせなかった。続いて行われたQ2では星野一樹選手からバトンを託された、ヤン・マーデンボロー選手の「B-MAX NDDP GT-R」が序盤のトップだったものの、その後の伸びが少なく、5番手に留まることに。終盤にタイムを一気に上げてきたのが土屋武士選手の「VivaC 86 MC」で、惜しくもポールポジションは獲得できなかったものの、2番手を獲得することになった。「タイヤのパフォーマンスはすべて使い切ったので、この結果には満足です」と土屋選手。そして、荒聖治選手の「Studie BMW M6」が4番手に。

GT500では「WedsSport ADVAN RC F」は、国本選手がQ1に挑んだものの、ウォームアップに苦しみ、またクリアラップをしっかり取ることができず、11番手でQ2進出は叶わず。対照的に「フォーラムエンジニアリングADVAN GT-R」は「テストでもタイムが良かったし、長い500㎞レースで勝ったデータがある。今回は決勝の路面温度は40度を超えるくらいと予想してタイヤもチョイスした」と語る佐々木選手がQ1に出走して3番手に。バトンを受けた柳田選手はミスのない走りだったが、ライバルのタイムアップが大きく7番手。それでも近藤真彦チーム監督は「大樹はここで強い。今回も、夏の富士ラウンドにも期待してもらっていい」と、強さを再び見せつける構えだ。

迎えた決勝レース。前夜から降り出した雨も朝には上がり、ウォームアップ走行が始まる前には初夏のまぶしい太陽が照りつけ、路面はドライコンディションとなっていた。そのウォームアップ走行で好調な走りを見せた「フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-R」は佐々木選手が、「WedsSport ADVAN RC F」は国本選手がステアリングを握ってスタートを切る。だが、序盤しばらくは予選と同じポジションで走行を重ねたものの、8周目あたりから2台とも遅れを取るようになり、「WedsSport ADVAN RC F」が予定を早めて、28周目にピットイン。バトンを受けた関口選手は、スタート時とは違うタイヤを選択して走行するが、状況が大きく変わることはなかった。

「フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-R」は35周目にピットインし、柳田選手に交代するも大きくタイムロスしてしまう。レース序盤に佐々木選手がGT300マシンを抜こうとした時に接触があり、ピット作業を終えた後に、オフィシャルから破損個所修復の指示が出たため、最後尾に後退せざるを得ず。その後、2回目のピットインで「WedsSport ADVAN RC F」は69周目から再び国本選手が、「フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-R」は佐々木選手が78周目からステアリングを握る。佐々木選手は接触で空力の効かないマシンにも関わらずファステストラップを記録。ライバルにトラブルやアクシデントが多発する中、粘り強い走りで、国本選手が8位、佐々木選手が9位でフィニッシュしともにポイントを獲得。特に「WedsSport ADVAN RC F」は一昨年のシリーズ第7戦から続く入賞が、これで12戦連続となる。厳しい状況下での完走、ポイント獲得は必ず次戦につながるはずだ。

GT300では2番手スタートだった「VivaC 86 MC」の松井孝允選手が、序盤の混戦状態の中、タイヤカスを酷く拾ってしまうミスもあり、いったん順位を大きく落とすも、単独での走行になるとペースは安定するように。代わって2番手に躍り出たのは「Studie BMW M6」の荒選手ながら、「B-MAX NDDP GT-R」のマーデンボロー選手に抜かれた後、パワステにトラブルが生じ、長いピットでの修復を強いられてしまう。一方、マーデンボロー選手はライバルが早めのドライバー交代を行うのを尻目に、30周目からトップに浮上。33周目にようやく星野選手と交代する。45周目から「B-MAX NDDP GT-R」は再びトップに立ち、そのまま快走を続けていく。

そんな中、GT500車両のアクシデントにより、66周目からSC(セーフティカー)が。しかし、先の交代を遅らせたことが功を奏す。ライバルはSCが戻ってピットレーンのオープンと同時に駆け込んで来たのに対し、「B-MAX NDDP GT-R」は3周後の73周目に、余裕を持ってピットイン。そして、この後トップに立ったのは「VivaC 86 MC」の土屋選手! コンスタントにラップを刻んで、挽回していたのだ。77周目に再び松井選手が乗り込むが、タイヤを換えずにロスを最小限に。さすがに「B-MAX NDDP GT-R」のマーデンボロー選手は抜けなかったものの、2番手で復帰。88周目には一台の先行を許すも、これはやむを得まい。

優勝を「B-MAX NDDP GT-R」が飾り、マーデンボロー選手はスーパーGT参戦2戦目にして、早くも表彰台の頂点に星野選手とともに上がることに。3位は「VivaC 86 MC」の土屋選手と松井選手が獲得し、表彰台独占とまではいかなかったものの、またもヨコハマタイヤユーザーが強さをアピールすることとなった。

なお、本来ならば次回のレースはオートポリスで開催されるはずだったが、熊本地震の影響で施設に損傷があったため、延期ではなく中止が正式に発表された。そのため、約2か月のインターバルを挟み、スポーツランドSUGOが次回のレースの舞台となる。

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DRIVER VOICE

関口雄飛 選手 [WedsSport ADVAN RC F]

【今回の成績 : GT500クラス 8位】
国本選手とは違うタイヤで行ったのですが、思うようなペースで走れませんでした。とはいえ、レース展開にも恵まれ、連続してポイント獲得できました。ペースが悪くても予選以上のポジションで帰ってくることが、このチームの強み。次のSUGOは相性がいいし、この後にテストもあります。クルマはいいので、いいタイヤを見つけて結果を残せるよう頑張ります。

国本雄資 選手 [WedsSport ADVAN RC F]

【今回の成績 : GT500クラス 8位】
予想以上にタイヤが厳しかったですね。スタート7周目にNSXを抜いて、その前のクルマも抜けそうでしたが、後ろから迫ってきたクルマを抑えるためにプッシュしたので、タイヤがつらくなってしまいました。気温が上がり過ぎたのも、厳しいレースになってしまった原因ですね。

佐々木大樹 選手 [フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-R]

【今回の成績 : GT500クラス 9位】
300Rで競っていた2台のGT300クラスマシンが行き場を失い、僕の左横に当たってしまった。路面温度40度を想定してタイヤを持ち込んだのですが、それ以上に路温が上がって、タイヤにとっては暑すぎる状況になってしまったようです。それでも最後はいい走りができたので、次にはつながると思います。

星野一樹 選手 [B-MAX NDDP GT-R]

【今回の成績 : GT300クラス 優勝】
前回の岡山で悔しい思いをしたし、去年のこの富士のレースでは2位になったけれど、勝てずに悔しい思いをしていたので、絶対に勝ちたいと思っていました。この勝利はチームとヤン、そしてヨコハマさんのおかげで獲れました。タイヤはすごく良くて、コンスタントに走れてパフォーマンスもすごく高かったので、本当に感謝しています。

ヤン・マーデンボロー 選手 [B-MAX NDDP GT-R]

【今回の成績 : GT300クラス 優勝】
今はもう、最高の気分です。デビュー2戦目で優勝できましたから。ミスなく走れて、トップをキープできて本当に良かったです。今回はハードコンパウンドのタイヤを選んだのですが、今日の高い温度にちょうど良く、ずっと安定していました。後半になっても一定のグリップを保ってくれましたから、とっても満足していますし、勝因のひとつと言ってもいいでしょう。

土屋武士 選手 [VivaC 86 MC]

【今回の成績 : GT300クラス 3位】
タイヤ無交換も含め、全部予定どおりに進みました。後半はハード目のタイヤを選んでしたので、後ろを押さえるのはきついと思っていましたが、タカミツが頑張ってくれました。SCが入った時も含め、こういう時にはこうしよう、という想定どおり臨機応変にやれたのが良かったんでしょうね。富士で表彰台に上れるのは非常に嬉しいですよ、お客さんもたくさんいますからね。

松井孝允 選手 [VivaC 86 MC]

【今回の成績 : GT300クラス 3位】
スタートからしばらく混乱に飲まれていろんなところを走って、タイヤの部分で自分のダメなところをちょっと出してしまったので、今日の結果は武士さんのエンジニア、判断能力でもぎ取った3位だと思います。僕自身としてはかなり課題も残るレースだったので、次回までには克服したいと思っています。

山田真之亮 選手 [UPGARAGE BANDOH 86]

【今回の成績 : GT300クラス 4位】
正直、表彰台も見えていたので4位という結果には悔しさもあります。でも、チームとしては86での最上位ですし、僕の力だけでなく、エンジニアやチームメイトの中山さんの力があって、この順位を得られたことには満足しています。タイヤも良かったのですが、武士さんの選択は素晴らし過ぎましたね! ミスなくコンスタントに走れて、僕はSUPER GTでも戦えるという自信も持てました。

ENGINEER VOICE

藤代秀一 [ヨコハマ・モータースポーツ・インターナショナル SUPER GT開発統括]

GT500は前回の岡山が今ひとつだったこともあり、富士に関しては大量のポイント獲得を目標としてきました。一発の速さが足りないのは分かっていたのですが、コンスタントラップでは……と思っていたんです。ただ、スタート時の高い気温が裏目に出てしまい、そこを外してしまったのが、タイヤ的にはきつかったですね。2台ともに入賞はできましたが、これには全然満足できていません。ラッキーではありましたが、反省するところばかりです。

GT300に関しては、車種によってパフォーマンスにばらつきがあったのですが、「B-MAX NDDP GT-R」は本当に終始、非常に速い、安定したペースで走れていて、何の問題もなくレースラップを重ねることができ、本当に良かったです。「VivaC 86 MC」が最後、無交換で行くとは思っていなかったのですが、3位に入れたというのは戦略がすごかった。作戦に助けられましたね。ユーザーの中でポイントがばらけてしまうのが心配ですが、これからも他社さんとは確実に差をつけられるよう、頑張っていきたいと思います。