2016 SUPER GT Round 1 Report

【SUPER GT 第1戦/岡山国際】

GT300はLEON CVSTOS AMG-GTを筆頭にヨコハマタイヤ勢が表彰台独占、
GT500ではWedsSport ADVAN RC Fは11戦連続入賞を果たした!!

SUPER GT Round 1

開催日 2016年4月9日-10日
開催場所 岡山国際サーキット
(岡山県)
天候 曇り
路面 ドライ
決勝周回数 82周
(1周=3,703km)
参加台数 45台
(ヨコハマタイヤ装着車 26台)
SUPER GT 第1戦

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今年もSUPER GTシリーズの幕開け「OKAYAMA GT300kmRACE」は、岡山県北部に位置する岡山国際サーキットが舞台だ。GT500クラスでヨコハマタイヤを装着してシリーズに挑むのは、今年も「フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-R」と「WedsSport ADVAN RC F」の2台。だがドライバーに変更があった。24号車は佐々木大樹選手をそのままに、新たに柳田真孝選手が加わり、19号車も関口雄飛選手をそのままに、SUPER GTからの引退を表明した脇阪寿一選手に替わり、国本雄資選手がステアリングを握ることになった。

柳田選手は長年SUPER GTに参戦を続け、2003年と’10年にはGT300で、’12年にはGT500でチャンピオンを獲得するなど、レースそのものの戦い方を熟知しており、しかもKONDO RACINGは’06年から2年在籍した、いわば古巣。スタッフとは旧知の仲で、チームにとってもこれ以上ない頼もしい存在だ。柳田選手自身も「チームは10年ぶりの復帰だけど違和感はなかったし、レベルアップしていることがすぐわかった。自分が加わったことがプラスになればチャンピオン争いもできると思う」と力強く語っていたほど。国本選手も同様に’12年からGT500クラスに参戦を続け、優勝も経験している、チームにとっては心強い存在だ。

一方、今年のGT300はFIA-GT3で挑む多くのチームがニューマシンにスイッチしており、すでにテストは何度も重ねているとはいえ、実戦はこれが初めて。未知の要素が例年以上に多く、混戦模様となることが予想された。

穏やかな天候の中で行われた予選は、全車がドライタイヤを装着してのアタックとなった。GT300では「VivaC 86 MC」がポールポジションを獲得。松井孝允選手がQ1を13番手でギリギリ突破したが、Q2までに改めたセッティングがピタリとはまり、土屋武士選手がレコードタイムをも更新した。2番手はQ1を黒澤治樹選手が8番手でクリアし、蒲生尚弥選手が6ポジションアップに成功した「LEON CVSTOS AMG-GT」が、そしてQ1を9番手でクリアし、荒聖治選手がやはり6ポジションアップに成功した「Studie BMW M6」が獲得。ヨコハマタイヤ勢が上位を独占することとなった。なお、ヨコハマタイヤ勢でQ2進出を果たしたのは、14台中9台だった。

大きな期待とともに迎えたGT500だったが「フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-R」はQ2を担当した柳田選手の出番はなく、佐々木選手がQ1で10番手に終わった。実は佐々木選手がチームに加入してからの2年間とも、岡山ラウンドは雨がらみの状況で、完全にドライコンディションとなったのは今回が初とあって、その表情は厳しいままだった。対照的に笑顔を見せたのが関口選手、予選で気迫の走りを見せ7番手でQ1 突破。バトンを受けた国本雄資も快走し、結果はワンポジションダウンとはなったものの8番手につけた。

朝からの曇り空。暖かいとはいえ予想していたよりも気温、路面温度ともに低い状況で決勝を迎えることとなった。「フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-R」のスタートは柳田選手。ところが思うように走れない……どころか、前車に着いていけない状況を強いられる。逆に「WedsSport ADVAN RC F」の関口選手は快走を見せ、7周目に一台を抜くと、9周目にももう一台を抜いて6位に浮上。そのまま5番手争いを演じるなど、序盤のハイライトシーンを独り占めした。だが、その後は少しずつペースが落ち、早目の36周でピットイン。後半を託した国本選手も思うような走りができず、9位フィニッシュに終わった。とはいえ、2ポイントをまずは獲得し、14年の第7戦・チャーンからの連続入賞を、実に11戦にまで伸ばすこととなった

一方、柳田選手は予定どおり41周でピットインし、佐々木選手に後半を託す。異なるコンパウンドのタイヤをチョイスしてコースインしたものの、温度の著しい変化で裏目に出てしまい、トップから2周遅れの13位。まさかの結果に終わった。

GT300では「VivaC 86 MC」の土屋選手が、序盤のレースをリード。一時は後続との差も広げたものの、スティント後半には「LEON CVSTOS AMG-GT」の黒澤選手がピタリと背後につけるようになる。しかし、抜き去るまでには至らなかったこともあって、作戦を変更して早めのピットストップを敢行し、これが大成功。31周目に交代した蒲生選手は、次の周に松井選手と代わった「VivaC 86 MC」の背後につけて、34周目に前に出る。一足早くタイヤに熱を入れていたのが、功を奏した格好だ。

一方、その後方でバトルを繰り広げていた「Studie BMW M6」と「グッドスマイル初音ミクAMG」は35周目、同時にピットイン。先にコースに戻ったのは「グッドスマイル初音ミクAMG」の谷口選手で、荒選手の駆る「Studie BMW M6」とピットで順位を入れ替えた。また、25周目に都筑晶裕選手から新田守男選手に代わり、じわりじわりと順位を上げてきたのが「JMS LMcorsa 488 GT3」。最終的には5位で「VivaC 86 MC」を従える形でフィニッシュした。

DRIVER VOICE

関口雄飛 選手 [WedsSport ADVAN RC F]

【今回の成績 : GT500クラス 9位】
正直、抜ける状況ではなかったのですが、GT300が周回遅れになって前方が混戦になってきたので、ここは行くしかないと思って2台抜くことができました。でも、ここでプッシュし過ぎてタイヤが苦しくなって早目にピットイン。国本選手は同じタイヤで行ったので、周回数が多くなって、後半が苦しくなってしまったようです。でも昨年に比べればしっかりとバトルができました。今年は優勝を狙えると思えたことが最大の収穫です。

柳田真孝 選手 [フォーラムエンジニアリングADVAN GT-R]

【今回の成績 : GT500クラス 13位】
朝の走行でパフォーマンスが良くて、自信を持ってスタートしたんですが、タイヤカスを拾ったこともあってグリップが低くて、ペースが上がりませんでした。次戦で頑張るしかないですね。

黒澤治樹 選手 [LEON CVSTOS AMG-GT]

【今回の成績 : GT300クラス 優勝】
LEON RACINGで、自社チームを作って3年。やっとここまで来ました。今週はずっと調子が良く、Q1の僕の時には小さなトラブルもあったんですが、絶好調の蒲生選手がいいアタックをしてくれたのが、この決勝の結果につながったんだと思います。自分のスティントでは、できるだけ頑張ろうと思っていて、離されずに着いていけたんです。でも、抜くまでには至らなかったので、早めにアクションを起こそうと。先に入って蒲生選手がすぐにオーバーテイクしてくれました。メルセデスAMG GT3のデビューウィンでもありますし、今は心から嬉しいです。このまま邁進して、チャンピオンを獲れるよう、頑張ります!

蒲生尚弥 選手 [LEON CVSTOS AMG-GT]

【今回の成績 : GT300クラス 優勝】
まずは参戦する機会を与えてくれた治樹さん、オーナーに感謝しています。結果で恩を返せてホッとしました。予選ではポールポジションこそ獲れませんでしたが、納得の走りができたので全然悔しくなく、2番手なら行けると。左側のタイヤだけ交換したので、右側のタイヤが保つか心配でしたが、しっかりいたわって走ることができました。ヨコハマタイヤさんにも感謝しています。今日のようにミスなく、一戦、一戦こなしていけば、きっと結果が残ると信じています。

谷口信輝 選手 [グッドスマイル初音ミクAMG]

【今回の成績 : GT300クラス 2位】
僕らのペースも良かったんですが、いかんせん前にもう一台いるので。正直、今週こんな状態は見えていなくて、まわりが速そうでしたから。嬉しいんですが、2位の嬉しさより負けた悔しさの方が大きかったですね。今年の開幕戦のダッシュとしては申し分のない結果ですけど、やはりメルセデスで最初に勝ちたかった……、それが本当の気持ちです。

片岡龍也選手 [グッドスマイル初音ミクAMG]

【今回の成績 : GT300クラス 2位】
悪くはないですけど、前にいるのが同じパッケージのチームなので、正直悔しいですし、この差を真摯に受け止めて、次は負けないようにしたいと思います。タイヤは非常に安定していて、僕のスティントでも最初から最後まで、ほぼ同じペースで走り続けられたので、非常にマネージメントしやすいタイヤでした。

荒 聖治 選手 [Studie BMW M6]

【今回の成績 : GT300クラス 3位】
岡山のテストが全然走れなかった中で、今回こうやって表彰台に上がれて、シーズンのスタートとしてはすごくいい結果だったと思います。タイヤは最後まで安定していて、もうちょっと速いペースで走れたかな……というような感じもありました。

ENGINEER VOICE

藤代秀一 [ヨコハマ・モータースポーツ・インターナショナル SUPER GT開発統括]

GT300は今年、新車がたくさん出てきて開発も大変な中、シーズンオフ中のテストが十分にできたと言える状況ではありませんでした。ただ、その条件は他社さんも一緒だったのかな、と。今回の岡山については、我々の方が他社さんよりも少しコンディションにマッチしていたと言う事だと思います。

ただ「まぐれか?」と言われればそうではなく、ベースの高い基準タイヤの開発が順調に進んでいるといった裏付けがあっての結果であると考えています。

GT300に関しては王座奪還が目標ですし、ユーザー数が圧倒的に多いので、やっぱり圧倒的に勝ちたかったものですから、久しぶりに表彰台を独占できて、非常に良かったと思います。