■2015年度 第2四半期決算説明会
■中期経営計画 「GD100」Phase Ⅳ 主な成果と今後の取り組み
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社長の野地でございます。

それでは私からは、本年2月に公表しました中期経営計画「GD100」フェーズⅣの計画に沿って、現在と今後の取り組みについてお話致します。

ここで改めて中期経営計画「GD100」について簡単にご説明致します。

「GD100」は、2006年度からスタートした、創業100周年にあたる2017年に達成を目指した中期経営計画で、企業価値・市場地位において、独自の存在感を持つグローバルカンパニーを目指すことを基本ビジョンとしています。

2017年に「売上高1兆円、営業利益1,000億円、営業利益率10%」達成を財務目標に掲げ、「良いモノを、安く、タイムリーに」、「トップレベルの環境貢献企業になる」、「高い倫理観を持ち、お客様最優先の企業風土を作り上げる」の3つを基本方針としています。

3か年を1フェーズとし、フェーズごとにテーマ、目標、戦略を見直しており、本年から2017年を最終年度とするフェーズⅣに入っております。

なお計画スタート時の2006年度に掲げた、売上高1兆円、営業利益1,000億円の財務目標は、経済環境の変化などにより2019年度以降になると見込んでおります。

フェーズⅣはGD100の集大成のフェーズであり、次の100年における飛躍に向けた布石を打つフェーズとなります。そのため、これまでに積み残された課題を払拭するフェーズと位置付けております。

そこで、フェーズⅣでは、「成長力の結集 ~YOKOHAMAの可能性を結集して、次の100年を切り拓く~」をテーマとして掲げ、これまでの各フェーズで取り組んできた「成長」、グループ全体の成長、個々の成長など、あらゆる成長力を結集させる考えです。

2017年度の定量目標として、売上高7,700億円、営業利益800億円、営業利益率10.4%を掲げています。

フェーズⅣでの基本的な考え方は「次の100年も、お客様に必要とされるタイヤ・ゴム製品メーカーで在り続けるために、顧客価値を高め、グローバルに規模を拡大する」ことです。

そのために、
・全社一丸で、あらゆる行動をお客様満足度向上に繋げる
・横浜ゴムらしい存在感のある商品
・健全な財務体質を生かした積極投資
の3つに力点を置くことにしました。

こうした考え方の下、タイヤ、MB事業などについて、これからご紹介する様々な事業戦略に取り組んでおります。

タイヤ事業戦略の1つ目の柱はグローバルOE市場への注力です。

当社が持つ最高レベルの低燃費技術で、お客様の様々なニーズに応え、世界の自動車メーカーからの技術承認取得に努めていきます。
新車装着用タイヤの納入増強に加え、特に海外納入比率を高めて参ります。2014年度の新車装着用タイヤにおける海外納入比率は、35%でしたが、2020年には70%前後まで高めることを目標としております。

すでに日系カーメーカーをはじめ、ポルシェ、ベンツなどの欧州カーメーカー、長安自動車などの中国カーメーカーへのOE納入を行っており、これをさらに拡大するため様々な海外カーメーカーへのアプローチを続けています。

本年上半期にも相次いで新規契約を獲得しており、ホンダのミッドシップスポーツカー「S660」やマツダの4代目の新型「ロードスター」など、話題の車両への納入が決まりました。

2つ目の柱が、大需要・得意市場でのプレゼンス向上です。

2017年の世界タイヤ需要は約20億本と予測されています。このうち大きな需要を占めるのが「北米・欧州・中国」です。これらの大需要地域に加え、当社の得意市場である「日本・ロシア」において販売を強化してまいります。

その強力な武器となるのがイングランド・プレミアリーグの強豪チーム「チェルシーFC」とのスポンサー契約です。本年7月から5年間の契約です。先月7月には「ヨコハマ・タイヤ」のロゴ入り新ユニフォームが発表され、一昨日8月8日からいよいよプレミアリーグの新シーズンが始まりました。世界中に5億人以上のファンを持つチェルシーFCのユニフォームに「ヨコハマ・タイヤ」の名前が入ったことで、今後、世界的に認知度が高まると期待しています。

Phase IVでは、ポストGD100を見据え、タイヤ生産能力の増強も進めます。

フェーズⅣの期間に総額1,200億円を投じ、全世界のタイヤ生産能力を、2014年度末の6,800万本から2017年度末までに7,400万本、2020年度末には8,900万本まで引き上げる計画です。

現在、フィリピン、中国のタイヤ工場で生産能力拡張工事を進めているのに加え、本年10月からは米国ミシシッピにおいてもTB用タイヤの生産開始を計画しております。
更に、北米、ロシア、欧州、中国でも今後の工場新設や拡張を検討しております。

この表が2017年までの国別生産拠点別の年間生産能力の詳細です。全生産能力に占める海外生産能力比率は、2012年40%だったものが、2017年には50%まで高まる見込みです。

タイヤ事業戦略の3つ目の柱は生産財タイヤの事業拡大です。

先ほどお話しした米国ミシシッピでのTB用タイヤ工場の稼動により、さらなる地産地消を促進するほか、今後も需要が見込まれる49インチ以上の超大型ORラジアルタイヤの開発・拡販に取り組みます。

こうした生産財タイヤ事業強化に向け、本年3月、 新たにTB事業とOR事業を統合して運営する「タイヤ生産財事業本部」を設立し、経営意思決定の迅速化、事業効率の向上を図りました。

続いてMB事業戦略についてご説明します。MB事業戦略の1つ目の柱は自動車部品ビジネスのグローバル展開です。すでに当社グループは、自動車用配管ホースは5カ国、自動車窓枠用接着材は4カ国に生産拠点を置いて活動していますが、これをさらに強化してまいります。自動車用配管ホースの5ヵ国目の生産拠点として本年初めから操業を開始していたメキシコで、5月には大手ユーザーを招いて開所式を開催しました。また、国内生産体制を強化するため、現在2ヶ所にある長野工場を2016年末をメドに統合することにいたしました。新製品投入にも力を入れ、欧州で普及が進むカーエアコン用新冷媒に対応したホースを開発しました。すでに日系カーメーカーの欧州向け自動車への採用が進んでいます。

2つ目の柱は、海洋商品でNo.1カテゴリーを拡大することです。マリンホースや防舷材などの海洋商品は、世界シェア1、2位を競う得意商品であり、さらに事業拡大を図ってまいります。本年秋にはインドネシア・バタム島で、新たにマリンホース、空気式防舷材の生産工場が順次、生産を開始します。この結果、マリンホース世界3ヵ国、防舷材世界2カ国の生産体制が確立されることになります。

3つ目の柱はグローバルでの建機・鉱山ビジネス強化です。長期的に拡大が見込まれる世界の資源開発に対応し、建設機械用高圧ホースをグローバルに拡販していきます。また先端技術を活用した高耐久性能や環境性能に優れたコンベヤベルトを拡販していきます。本年上期には極寒冷地向けコンベヤベルトを発売しました。より過酷な自然環境下で行われる資源開発に特化した製品開発によって、新たな市場開発を進めます。

4つ目の柱は独自技術を応用した新規事業の拡大です。当社独自の技術を用い、今後普及が見込まれる燃料電池自動車向け水素ステーション用ホース、世界的に急増するスマートフォン向けハードコート材など、新規分野に積極的に進出します。 今年から本格的な販売を開始した高圧水素ガス用ホースは、全国の燃料電池車向けの水素供給ステーションに採用されており、今後の水素社会のインフラ整備の一翼を担っていきます。

スポーツ事業は、本年1月、横浜ゴムのスポーツ事業部門を子会社のプロギアに統合したことにより、事業の効率化・強化を図りました。

現在、主力ギアとして「iD nabla RS」シリーズを展開しており、ドライバーの「RS01」は、7月に発行された月刊ゴルフダイジェストのD1グランプリにおいて見事優勝を果たしました。昨年はegg1が準優勝となり、2年連続での快挙は、ヒット商品となった2001、2002年のスピードチタンシリーズ以来です。

さらに、「飛び」に特化した「egg」ブランドから、今年9月上旬に「赤egg」、10月上旬に「金egg」を発売いたします。「赤egg」は「もっと飛ばしたい」「やさしく打ちたい」「競技ゴルフも楽しみたい」エグゼクティブなシニアゴルファー向けに開発した商品です。

一方「金egg」は、「ヘッドスピードが落ちても昔のような飛距離を取り戻したい」と考えるシニアゴルファー向けの商品で、ゴルフライフをさらに豊かにする高反発ヘッドを採用したのが特徴です。

次に技術戦略についてご説明します。技術戦略は3つの柱からなっています。

一つ目の「YOKOHAMA技術は新たなステージへ」では、マテリアルリサイクル技術を生かした資源の有効利用、分子レベル構造に迫った新素材・新技術の開発、低燃費技術とお客様に応える技術力―などに力を入れてまいります。

本年上期の成果としては、乗用車用スタッドレスタイヤ「iceGUARD 5 plus」、ライトトラック用スタッドレスタイヤ「iceGUARD iG91」の開発が上げられます。2商品とも、新コンパウンド技術の採用によって、氷上制動性能はもちろん、燃費に直結する「ころがり抵抗」なども従来品に比べ向上させました。

二つ目の「お客様に満足を頂くYOKOHAMA品質」では、グローバルサプライチェーンマネージメントの充実、タイヤ開発拠点のグローバル展開に取り組んでおります。タイヤ開発拠点の展開では、下の図で示したように、現在、米国でも開発拠点の設立を計画しています。

次に全社共通戦略についてご説明します。

全社共通戦略は―
・「M&A・提携の積極的な検討と推進」
・「3年間で300億円規模の総コスト削減」
・「グローバルに活躍できる人材の育成」
・「国際財務報告基準(IFRS)の導入検討」
・「ISOに基づいた業務基盤の整備」
これらの5つにテーマを絞り、その達成に向け取り組んでおります。

さて、最後に「CSRへの取り組み」について簡単にお話しさせていただきます。

現在、当社グループは、グローバルコンパクトの10原則、ISO26000の中核主題を元に、自社にとってもステークホルダーにとっても影響が大きく、関心の高いテーマを特定し優先順位をつけて活動を推進しております。そして「地球環境」、「地域社会」、「お客様」、「株主・投資家」、「取引先」、「従業員」とステークホルダー毎に当社が果たしてゆくべきテーマを 「横浜ゴムの重要課題」としてまとめ取り組んでいます。

その中で、「地球環境」では、本年5月から中国杭州のタイヤ工場が、近隣にある湿地帯で生物多様性保護活動を開始しました。また3月にはタイのタイヤ工場が、動物の保護を目的に、近隣の国立公園で「塩土(えんど)」づくりを行いました。

また「地域社会」では、5月に岩手県大槌町で「命を守る森の防潮堤」づくりに向けた第4回目の植樹会を開催しました。宮城県岩沼市、静岡県掛川市、福島県相馬市でも同様の活動に対し支援を行なっております。さらに米国ミシシッピで建設中のタイヤ工場では、地元コミュニティと交流を深めるため、近隣の2大学に対して寄付を実施しました。

以上、簡単に2015年度上半期と今後の取り組みについてご紹介してまいりました。

最後に一言申し上げますが、弊社ではガバナンス、コンプライアンスを最重要な経営課題と考えております。昨今、こうした課題への対応が十分でなく、社会的に厳しく糾弾されるいくつかの不祥事が起きております。弊社では、こうした不祥事を「他山の石」として、これまでにも増してガバナンス、コンプライアンス強化に取り組む所存です。

以上で私からの説明を終わりにさせて頂きます。