■2014年度第2四半期決算説明会
■2014年度第2四半期累計連結決算の状況
■中期経営計画「GD100]
   
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2014年度第2四半期連結決算の概要と中期経営計画「GD100」PhaseⅢの成果及び今期の取り組みについてご説明します。

今年上半期の経済情勢は、米国は緩やかな回復が続き、欧州も全体としては持ち直しています。一方、中国経済の拡大のテンポは緩やかになっており、それに伴い、一部の新興国では景気減速の動きもみられます。日本国内は、4月の消費税増税の影響により一時的に減速したものの、再び緩やかな回復基調に戻ると見込まれています。

こうした中、当社グループは、国内外で低燃費タイヤ「BluEarth」シリーズの新商品を発売したり、MB事業の推進、コスト削減に取り組みました。

その結果、当第2四半期の連結売上高は前年同期比142億円増の2,839億円、営業利益は同45億円増の236億円、経常利益は同20億円増の226億円、当期純利益は同50億円増の180億円となり、中間期として売上高、利益とも過去最高を達成しました。

次に2014年度通期の業績予想についてご説明します。

通期の連結売上高は6,350億円、営業利益は630億円、経常利益は600億円、当期純利益は420億円を計画しています。年初に目標として掲げた売上高6,470億円からは120億円減となりますが、営業利益は年初目標通り、経常利益と当期純利益は年初の目標を上回る予想で、売上高、利益ともに引き続き過去最高を見込んでいます。

前提となる為替レートはUSドルが102円、ユーロが139円とみています。

2014年度の配当金については、中間が一株当たり12円、期末が同14円、年間では同26円を計画しています。前回公表から中間、期末ともに2円ずつ、合計で4円の増配を予定しています。

次に中期経営計画「GD100」PhaseⅢの計画に沿って、上半期の成果と今後の取り組みについてご説明します。

ここで改めて中期経営計画「GD100」について簡単にご説明します。
「GD100」は、創業100周年にあたる2017年の達成を目標とした中期経営計画で、企業価値・市場地位において、独自の存在感を持つグローバルカンパニーを目指すことを基本ビジョンとしています。
売上高1兆円、営業利益1,000億円、営業利益率10%を長期的な財務目標として掲げており、これらのビジョンを実現するために「良いモノを、安く、タイムリーに」「トップレベルの環境貢献企業になる」「高い倫理観を持ち、お客様最優先の企業風土を作り上げる」の3つを基本方針としています。

3カ年を1フェーズとし、フェーズごとにテーマ、目標、戦略を見直しています。今年がPhaseⅢ(2012年~2014年)の最終年度で、2015年度からPhaseⅣに取り組む計画です。PhaseⅣの詳細は2015年2月の決算発表時に公表します。

PhaseⅢのテーマは「強くしなやかな成長」です。事業環境の変化やリスクに耐えうるしなやかな成長を遂げることによって、PhaseⅢ以降の飛躍に向けた足場を築き上げる計画です。

定量目標として、3年間合計で売上高1兆8,000億円、営業利益1,500億円、営業利益率8.3%を掲げています。すでに残すところ4カ月となりますが、先ほどご説明した今年度の業績予想を加味すると、売上高は若干計画を下回るものの、営業利益、営業利益率は目標を達成する見込みとなります。

「GD100」PhaseⅢにおいて、当社グループはここにご紹介する基本的な考え方に基づき、戦略を立案・実行することで、目標達成に向けた努力を続けています。

まず、強固な事業基盤で投資の原資を創り出し、タイヤを中心に大型増産投資を積極化します。これにより、成長国の需要伸長を遅れなく捕捉します。同時にコスト競争力とブランド力を強化し、営業利益率10%を目指します。こうした基本的な考え方に基づき、タイヤ・MB両事業の成長戦略を立案しています。

以下、計画の柱に沿って、2014年度上半期の主な成果と今後の取り組みをご紹介します。

タイヤ事業の成長戦略の柱は「大規模投資による供給能力の増強」です。ここでご紹介するのは、現在、当社グループが生産能力増強を進めている世界のタイヤ生産拠点です。

中国・蘇州のタイヤ工場は4月から乗用車用タイヤの生産を開始しています。現在も生産能力を増強中で、2017年には年間生産能力を600万本まで引き上げる計画です。インドの乗用車用タイヤ工場は7月から生産開始しました。今年中に年間生産能力を40万本にする計画です。フィリピンは本年初めに年間生産能力1,000万本体制に引き上げられ、現在、2016年を目処に同1,250万本まで増強する計画です。また、ロシアでも本年中に年間生産能力を現在の140万本から160万本まで引き上げる予定です。

このほか、現在、米国でトラック・バス用タイヤ工場の建設を進めており、2015年に稼動、2018年には年間生産能力100万本まで引き上げる計画です。

こうした生産能力増強計画を整理すると、このようなグラフになります。PhaseⅢが終了する2014年末時点の当社グループのタイヤ年間生産能力は6,759万本となり、PhaseⅡ(2009年度~2011年度)が終了した2011年末に比べ14%増、本数では820万本増加します。さらに、来年以降も能力増強を進め、2016年末までにグループ全体で7,229万本まで引き上げる計画です。

こうした能力増強は全て海外で行っています。タイヤ生産能力の海外比率は2011年末に38%だったのが、2014年末には46%、2016年末には49%まで拡大する見込みです。

この表は国別で見たタイヤ年間生産能力です。2015年以降、フィリピン、中国、インドを中心に生産能力を高めていきます。

次に「高付加価値商品のグローバル展開」についてご説明します。
日本では、2月に乗用車用スタンダード低燃費タイヤ「BluEarth AE-01F」と耐摩耗性を重視した小型トラック用リブタイヤ「LT151R」を発売。6月には引き続き、「BluEarth」シリーズとしては初の小型トラック用タイヤとなる「BluEarth LT152R」を発売しました。さらに冬用タイヤとして、9月から小型トラック用スタッドレスタイヤ「iceGUARD iG91」を発売します。

一方、海外では春からアジア、欧州で低燃費タイヤ 「BluEarth-A」の販売を開始しました。また、同じく春に欧州大陸向けにウインタータイヤ「W.drive V905」を、北欧、ロシア向けにスタッドタイヤ「iceGUARD Stud iG55」を発売しました。

新車装着では世界のプレミアムカーに当社のタイヤが採用されています。ポルシェのプレミアムサルーン「パナメーラ」に装着されたフラッグシップタイヤ「ADVAN Sport V105N-0」を始め、メルセデスベンツ「GLA」、ジープ・チェロキー「トレイルホーク」、トヨタ・レクサス「NX」などに新たに装着されました。

グローバルでの認知度やイメージの向上を図るため、当社はモータースポーツを重要な施策と考えており、世界中で行なわれるモータースポーツ活動に力を注いでいます。

国際自動車連盟(FIA)が世界各地で展開している「世界ツーリングカー選手権(WTCC)」にはワンメイクタイヤを供給してます。本年はアフリカ、欧州、南米、アジアで全12戦が組まれており、熱戦の模様はスポーツ専門テレビチャンネル「ユーロスポーツ」などを通じて世界中で放送されています。

また、本年から米国を中心に行われている「レッドブル・グローバル・ラリークロス」へのタイヤ供給を開始しました。舗装路と非舗装路が混在するサーキットで行われるエキサイティングで人気の高いレースで、この模様は米国3大TVネットワークのひとつであるNBCでライブ中継されます。今年はカリブ海の島国であるバルバドスから第1戦がスタートし、全10戦が予定されています。

次にMB事業の成長戦略についてご説明します。
MB事業は海外売上高比率50%を目指し、海外事業を意欲的に推進しています。
現在、インドネシアで防舷材、マリンホースなど海洋商品の生産工場の建設を進めています。6月に起工式を行い、来年下期から稼動する予定です。また、中国・杭州に建設中の油圧用高圧ホース工場が下期から稼動します。ゴムの混合から加硫までを行う一貫生産工場で、油圧ショベル、建設用クレーン向け需要を狙います。さらに4月、北米で事業を展開するYHアメリカが、北米の工業品子会社であるSASラバーを傘下に入れ、名称を「ヨコハマ・インダストリーズ・アメリカズ」に変更しました。新会社は米国3州とメキシコに生産拠点を置き、高圧ホース、自動車用ホース、自動車窓枠用接着剤などの生産販売を行います。将来的にアメリカ大陸全体でのビジネスを計画しており、社名に「アメリカズ」を用いました。

新規分野開拓では、6月にパソコンやスマートフォン向けの新型ブルーライトカットハードコート材を発表しました。後付けの保護フィルムタイプでなく、部材として内部に組み込めるのが特徴です。また、4月に発表しましたが、海洋研究開発機構(JAMSTEC)と共同で、新型海底無人探査機「しんかいMk-Ⅳ」向け浮力材の開発に成功しました。同浮力材は、航空部品開発技術を応用して開発したものです。

スポーツ事業では「egg」シリーズが好調です。「egg」は“卵の殻を打ち破る”といった既成概念にとらわれないクラブ作りを目指したブランドです。

「飛び主義」をキャッチコピーとして、7月には7番の距離を9番で狙える「SUPER egg IRON」を、さらに、ユーザーの幅をより広げるため左用の「NEW egg IRON」を発売しました。また3月に発売したアスリート向け「egg 1 ドライバー」もPRGR契約男子プロが使用して話題を集めています。PRGRパターは日本メーカーの中ではトップレベルの売り上げを誇っています。新商品として、3月にスムースなストロークが可能な「SILVER-BLADE FF パター」を発売、7月には同商品の左用も投入しました。

ゴルフ関連事業にも引き続き力を入れています。9月に科学的スイング測定機「Science Fit」を設置した「PRGR AKASAKA」をオープンします。PRGR直営店としては国内で4店目となります。

昨年11月、当社は韓国のクムホタイヤとの間でタイヤに関する技術提携及び資本提携の実施に向けて協議することを基本合意しました。提携の目的は、両社の将来の成長に向けた戦略的な一手であり、20年、30年先のタイヤビジネスを見据えた長期的技術戦略の一環として行うものです。将来のタイヤに関する両社の研究開発投資を集中させることにより、効率的に開発を進めてまいります。

すでに2月には技術提携基本契約を結び、5月には共同研究開発契約とライセンス及び技術交換契約を締結しました。今後、両社は超軽量タイヤなどの環境対応技術や新たなコンセプトのタイヤなどに関して共同研究開発を進めてまいります。

タイヤテスト機能の強化面でも大きな進展がありました。昨年10月には、タイにあるタイヤテストコースの大幅拡充を図りましたが、今年2月、スウェーデンでタイヤテストコースの長期貸与契約を結びました。スウェーデン北部の北極圏に近い場所にあり、ほぼ半年に渡って冬用タイヤのテストが可能です。現地使用条件でのテストをより強化することで、欧州大陸向けウィンタータイヤやロシアや北欧向けスタッドタイヤなどの開発を強化します。

タイヤシミュレーション技術でも大きな成果を上げました。3月、当社は宇宙開発研究所と、走行するタイヤ周りの流体音響シミュレーションに成功したと発表しました。タイヤの通過騒音の低減や空力性能の向上に貢献する技術です。同技術は5月にドイツで行われたタイヤトレードショー「ライフェン2014」において「イノベーションアワード」を受賞しました。

「CSRの取り組み」についてご紹介します。
当社グループは、東日本大震災で被害を受けた岩手県大槌町で2012年から津波被害低減に役立つ森を作るための植樹活動を行っています。この森は「平成の杜」と名付けられ、第3回目の植樹会を4月に開催しました。

国内工場では地元住民の皆様との交流活動を進めています。5月、新城工場(愛知県新城市)と三重工場(三重県伊勢市)が地域交流イベントを開催しました。両工場への来場者数は1万名に達しました。8月には三島工場(静岡県三島市)でもイベントを開催しました。

生物多様性保全活動は、国内7生産拠点に加え、海外グループ会社も取り組みを開始しています。3月から4月にかけて、タイのタイヤ生産拠点と天然ゴム加工工場の従業員が、それぞれ工場敷地内の生物生息に関する調査を行いました。

また、当社グループのPR活動として、SNSを利用した情報発信についてご紹介します。
当社は近年、SNSなどのインターネットメディアを積極的に活用し始めています。若者の間で、もはや日常的に使われるこれらのメディアを活用することで、次世代のユーザー獲得に努めます。その効果は大きく、4月26~27日に千葉県の幕張メッセで開催された「ニコニコ超会議」では、ネットで生放送された横浜ゴムブースに、2日間合計で約13万人の視聴者が訪れました。ここにご紹介しているのは、コーポレートとして運営しているものですが、このほか、タイヤ及びゴルフ事業、海外でも積極的に活用を進めています。

最後になりますが、当社グループは「GD100」PhaseⅢの目標達成に向け、引き続きそれぞれの課題に取り組んでまいります。また、事業拡大やコーポレートガバナンス・CSRの強化に加え、個性と文化をしっかりと醸成し、世界で認められるグローバル企業として成長することを目指します。