迫力ある走りが目の前で繰り広げられるダートトライアル

モータースポーツファンを自称する方は少なくないが、ダートトライアルを観戦したことが無いという方が少なくないもの事実だろう。北海道から九州までを転戦する最高峰の全日本選手権、実は身近に観戦出来るモータースポーツカテゴリーである。

「ダートトライアルは、一見ラリーと似ているように思われるかもしれません。しかし、専用の会場(クローズドコース)で開催されており、戦いのフィールドがある程度見渡せるので、楽しみ方もいろいろあると思います。一日に2回のタイムアタックを行ってベストタイムの速さを競い合いますが、そのコースは時間にして90～120秒くらい。短期決戦的な内容なので、選手は際どい走りもしながらアタックしています。そんな走りが目の前で次々に繰り広げられるので、ダートトライアルならではの迫力を楽しんでいただけるでしょう。また、マシンもナンバー付きから競技専用の改造車まで多彩なので、それぞれの走りやサウンドを見比べるのも面白いですよ」

全日本ダートトライアル選手権では、選手会によるファンサービスも行われている。日曜の競技終了後、ついさきほど観客の眼前でフルアタックを見せたマシンに同乗走行するチャンスが設けられる。抽選にはなってしまうものの、観るだけではなくその迫力ある走りを助手席という特等席で体感出来るわけで、ダートトライアル会場にぜひ足を運んでみることをお薦めしたい。

改造範囲などにより、2018年の全日本選手権は9つのクラスが設定されているダートトライアル。その中で谷田川選手は改造範囲が事実上無制限という最高峰に位置づけられるDクラスを戦っている。

「Dクラスは“ハコ車”をベースにして今はみなさん作っていますが、軽量化やエンジンパワーアップなどは物凄いレベルになっています。100台～150台という参加がある全日本戦において、Dクラスは最後に出走します。だからこそ参加しているみんなが、『全ての参加者の中で一番速く走ってやるんだ』という意気込みでスタートにつくんですよ」

10連覇への通過点にしたい2018年

最後になってしまったが、谷田川選手がダートトライアルをはじめたキッカケをお聞きしてみよう。

「そもそも、ダートトライアルという競技は知らなかったんです。サーキットレースなどをやってみたいと思っていましたし、身近にラリー車を持っている人がいたからラリーは知っていました。そこで大学で自動車部に入ったのですが、レースはやっていないと言われて。活動としてはジムカーナとダートトライアルがメインで、たまにラリーという感じでした。『一度、見においで』と言われて、見に行くくらいなら自分で走りたいと言って始めたのがキッカケですね」

大学時代にダートトライアルの世界に入った谷田川選手。知れば知るほど、その魅力にハマっていったという。

「ダートトライアルは大好きです。コンマ差を競い合うのが性に合っているんでしょうね。短期集中というか、スプリント的な競技の魅力が楽しいんです。もちろん短い走行で全力を尽くすわけですから、集中力が求められます。コンセントレーションの高め方とかは長年の経験があって、それこそ朝から緊張やカリカリしていた時代もありました。そのころは周りから『話しかけられないオーラが出ていた』なんて言われたりもしましたが、今ではそんなに力を入れすぎず出走まではリラックスするように心がけています」

ベテランの強さが光る谷田川選手の走り。答えは分かりきっているとも言えるが、今年の目標をお聞きしてインタビューを締めくくろう。

「もちろん、目標はチャンピオン獲得です。5年連続で獲ってきているのですが、目指しているのは10連覇。2018年も、その通過点の一年にしたいですね!!」