2017 SUPER FORMULA PLAYBACK (4)

ヨコハマタイヤにとって、ワンメイクタイヤ供給2年目となった2017年のSUPER FORMULA。2大会でのソフトコンパウンドタイヤ投入も話題を集めたシーズンを、統括団体であるJRP(株式会社日本レースプロモーション)の倉下明社長に振り返っていただくとともに、横浜ゴム株式会社 MST開発部・部長の秋山一郎が総括します。


倉下 明 さん – 株式会社日本レースプロモーション 代表取締役社長

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2017年のもてぎ大会のリアルレーシング・塚越選手の走りには感動しました。「抜けない車」といわれているSF14を操り、数々の鮮やかなオーバーテイクを見せてくれた彼の走行は、私にとって今年のハイライトシーンのひとつとなりました。

そして、それを可能にしてくれたのが、ツースペック・タイヤでした。

ソフトタイヤの導入に関して、今年のもてぎ大会が開催されるまでは、否定的なご意見をたくさん承っていましたし、ツインリンクもてぎはツースペックに適さないと言う声も伺っていました。しかしもてぎからオートポリスへと展開された今年のレースは、これまでの常識を覆し、私たちを楽しませてくれました。何より「SFでオーバーテイクは不可能」という呪縛を、ツースペック・タイヤは解き放ってくれたように思います。

SUPER FORMULA参入1年目からツースペックにチャレンジしていただいた、横浜ゴムのみなさんの勇気と労力に心から敬意を表したいと思います。



秋山一郎 – 横浜ゴム株式会社 MST開発部 部長

2017年、YOKOHAMAによるSUPER FORMULAへのタイヤ供給2年目にして、我々は基準タイヤ(ミディアム)の構造変更を行いました。初年度ご指摘のあったピーキーな特性の緩和が目的で、概ね狙い通りの特性になったと考えています。チーム、ドライバーのみなさんにも昨年以上にADVANの使い方を理解して頂いたおかげで、すばらしいレースシーンを数多くみることが出来たと感じています。

ソフトタイヤにつきましては、昨年のもてぎの結果も踏まえて再検討し、今年のもてぎ直前まで開発を継続していました。この結果、より一発タイムが出るアグレッシブな仕様が完成し、ツインリンクもてぎとオートポリスの2戦に供給することが出来ました。

もてぎの2ストップ作戦やオートポリスのソフトタイヤでのロングランなど、我々以上にタイヤを理解し、性能を使い切って下さるチームとドライバーの皆さんの強い思いとやり遂げてしまう能力はとても素晴らしいし、タイヤサプライヤーとして非常にうれしいことでもありました。おかげさまで2スペックのレースは2戦とも、我々の予想を上回る盛り上がりとなりました。

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SUPER FORMULAは日本のトップドライバーに加え、海外の若い才能がチャレンジしてくるカテゴリーになっています。バンドーン選手やガスリー選手、ローゼンクヴィスト選手といった外人ドライバーが参戦を果たし、その経験を発信してくれることで、今後もますます世界の注目を集める国際色のあるレースになっていくと思います。

2018年はSF14最終シーズンです。タイヤに関してはまだまだ改良の余地はありますが、一方で毎年の仕様変更でレースを混乱させるのはワンメイクタイヤとしては好ましくありませんので、基準タイヤ(ミディアム)はこのままの仕様で供給させていただくこととします。

しかしソフトタイヤに関しては、今年のレースの状況も踏まえ「まだ行ける」という感触を得ましたので、シーズンオフの今も開発を継続しています。まだ採用が決まったわけではありませんが、2017年以上にレースが盛り上がるように、更なるハイグリップタイヤの投入を目指して開発を継続していますのでどうぞご期待下さい。



2018年シーズンも、ますますの激戦が予想されるアジア最高峰のフォーミュラ・レース「SUPER FORMULA」。ヨコハマタイヤもこのシリーズを引き続き足元からしっかり支えてまいりますので、面白いレースにご期待ください!!