2017 JRX – Japan Rallycross Exhibition Match (3)

日本で初めての、本格的なラリークロス競技会として開催された「ジャパン・ラリークロス – JRX」。このページでは本大会に参戦した選手に、ご感想や将来への期待などをお聞きしました。


谷田川敏幸 選手 (ダートトライアル)

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2017年は全日本ダートトライアル選手権に久しぶりの復活となったADVANカラーのマシンを駆り、最高峰のDクラスで5年連続となるシリーズチャンピオンを獲得した谷田川敏幸選手。誰もが認める最強のダートトライアル・ドライバーは練習車であるGDB型のインプレッサを駆り、ラリークロスでもその実力を遺憾なく発揮してRX-D2クラスを制した。

「初めてのラリークロスでしたが、やっぱり競争って興奮しますよね!!(笑)」

優勝を決めた直後、これが谷田川選手の第一声だった。ダートトライアルとは勝手が違い、複数台が同時にスタートするうえ、舗装路面も競技に含まれるラリークロス。谷田川選手は、その戦いを次のように振り返る。

「1台ずつタイムアタックを行うダートトライアルとは異なり、同時に何台もスタートするラリークロスでは駆け引きがあるじゃないですか。今日は、そんな駆け引きを楽しませてもらったし、上手く行ったなと思いました。ジョーカーラップについても色々考えて、先頭にいたら絶対に最終ラップで通過しようと決めていました。全員が必ず走るのだから、なるべく後続を離せるだけ離して常に主導権を握っていようと。ここは狙い通りに行きました」

ファイナルの戦いについて、谷田川選手はさらに詳しく教えてくれた。

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「スタートでライバルにイン側のグリッドを押えられたので、これはストレートエンドのブレーキ勝負になるな、と。なので自分はアウト側から若干遅れ気味で1コーナーに入りつつ、立ち上がりを速くして抜こうという作戦でした。あとはバンクのあるコーナーでライバルはアウト側のラインを使っていたので、自分はイン側から行こうかなとも考えていました」

貫祿の優勝を飾った谷田川選手、初のラリークロスで新しい経験もあったと言う。

「普段は舗装路面を競技で走ることが無いですからね。でも、舗装の走り方というのも分かりました。最初はドリフトさせて姿勢を作らなければフロントが逃げて行ってダメかと思っていたのですが、実際にはあまりドリフトをさせず、ADVAN A036のグリップを使って前に出す走りをしてやった方が良かったですね」

最後に谷田川選手は、“ラリークロスのススメ”を笑顔で語ってくれた。

「今回のようにみんなでワイワイと楽しみながらしのぎを削りあう、そこがとても面白かったのでダートトライアルはもちろん、ほかのカテゴリーも含めて多くの選手に参加して欲しいですね!! 自分はJAFカップで勝てなかったウップンを晴らしたかったのですが、柳澤宏至選手がAP4のヴィッツを持ち込んだり、ギリギリで新井敏弘選手が参戦表明したりで、『うわ~、参ったな~』と思ったりもしました。厳しい戦いの中で気持ちよく勝つことが出来て、今夜のお酒は美味しいですね!!」



末永直登 選手 (ドリフト/ダートトライアル)

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D1グランプリなどで活躍を続け、近年では全日本ダートトライアル選手権にもチャレンジしている末永直登選手。エビスサーキットのスタッフということもあり主催者の立場でもある末永選手だが、選手として参戦して今後のラリークロス発展に向けて経験を積んだ。

「選手として非常に楽しい一日になりました、最高です!!」

戦い終えた直後、惜しくも優勝には届かなかったが満足そうな笑顔で語ってくれた末永選手。まず、ドリフト競技と比べてラリークロスはどんな感じで戦ったのかを聞いてみよう。

「例えばドリフトの追走、これは同じチームの選手とやるのであれば気心も知れた同士ですが、そうでなければ相手がどんな動きをするのか分からないですかね。今日のラリークロスもいろいろなカテゴリーの選手に参加していただきましたが、果たしてどんな走りをされるのか見えない部分もあったのでマージンを取って戦いました」

ファイナルでは熊久保信重選手との“同門対決”となった末永選手だが、スタートから先行していた末永選手は、ジョーカーラップを巧みに使った熊久保選手の逆転を許してしまう結果となった。

「戦略の差もありましたが、それよりも誤算だったのはコースインしたらウォッシャー液が出なくなってしまったんです。ファイナルはウェットコンディションになったこともあり視界が悪く、ワイパーを使っても視界が厳しい状況でした。その影響で、ラインを狙った通りに取ることが出来なかったんです……」

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思わぬトラブルで苦戦を強いられた末永選手。ところでドリフト出身の末永選手にとって、ラリークロスはドリフトで培った技術をどの程度使える競技という印象なのだろうか。

「舗装とダートが混在していることもあり、ひとつのコースに滑りやすい箇所とそうでない箇所があります。その状況にあわせたドライビングが求められるのですが、その中でドリフトの技術は充分使うことが出来るということを、今日の戦いを通じて確認することが出来ました」

ドリフト選手も充分楽しめる手応えを掴んだという末永選手は、今後多くの“ドリフター”にもラリークロスへのチャレンジをして欲しいと思いを語って締めくくってくれた。

「ダートも走るということで、ドリフトをやっている人にとっては車両の面でも敷居を感じているケースがあるかもしれません。でも僕が今日乗っていた180SXは地元のカーショプさんからお借りしたのですが、完全なドリフト仕様なんです。ちょっとだけ車高を上げて、グラベル用タイヤを装着しただけ。ドリフト車でも戦えることは実証出来たと思いますので、一緒にやってくれる人が増えるといいですね!!」



いよいよ日本でも本格的に始動したラリークロス。これからの発展が大いに期待されるカテゴリー、ぜひ注目してくださいね!!