2017 Super Taikyu Series (2)

新たなクラスの発足やウェイトハンデ制の全クラスへの導入、積極的な情報発信など、新機軸を打ち出している2017年のスーパー耐久シリーズ。全6戦のカレンダーは先のスポーツランドSUGOで2戦を消化、次は6月10日から11日にかけて鈴鹿サーキットで第3戦が競われる。2017年のスーパー耐久シリーズをご紹介する特集、第2回はシリーズを統括するSTO(スーパー耐久機構)に現状と展望をお聞きした。


受け継がれるコンセプト

前回ご紹介したように、スーパー耐久シリーズは前身のN1耐久ラウンドシリーズから25年を超える歴史を刻み続けている。近年は50台を優に超える年間エントリーを集め、生粋のレーシングマシンであるFIA GT3車両から街中でもお馴染みのコンパクトカーまで、多彩な車種が競い合っている。

まずはスーパー耐久シリーズというレースの位置づけについて、シリーズを統括するSTO(スーパー耐久機構)の桑山晴美事務局長にお聞きしてみよう。

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桑山晴美さん「2017年からは、TCR、GT4といった新しいクラスも設けましたが、『どんな人でも走りたいと思ったクルマで参加できる』が、スーパー耐久シリーズの基本です。ST‒1クラスを例にすると、現状では年間エントリーが2台でもクラスを存続しているのはそういうコンセプトに基づいています。参加型レースとして、ご自分の運転したい車で参戦できる受け皿を常に用意しながら、時代にマッチしたレースを創っていきたいと思っています」

前身のN1耐久ラウンドシリーズから受け継がれている伝統のひとつが、“参加型レース”であるということ。世界でも名を知られるようなトップドライバーも参戦しているが、あくまでも“誰もが出られる”という点がスーパー耐久シリーズの変わらないコンセプトであると言える。そうした中で多くのエントリーを集めているわけだが、その要因はどこにあると見ているのだろうか。

桑山さん「スーパー耐久シリーズは、プロやジェントルマンといった垣根を越えたレース。皆さん、真剣に戦っていますが、そこに“楽しい”という部分を忘れてはいけないと思います。真剣に楽しめるレースを皆さんに提供していく、というのが大事にしたい部分であり、参加している皆様と共に作っていくレースがスーパー耐久です」



受け継がれるもの、変えていくもの

1991年に発足したN1耐久ラウンドシリーズは1996年にスーパーN1耐久シリーズ、そして1998年から現在のスーパー耐久シリーズへと名称が変遷してきたのは前回ご紹介した通り。この背景にはN1規定車両でスタートしたシリーズに対して、エアロパーツの装着認可を行ったことがあり、純粋なN1では無くなったことから“スーパー”が冠され、そしてN1の文字を外したという経緯がある。しかし一方で、シリーズのロゴマークには「N1」の文字を図案化したものが今も受け継がれている。これは意図的に残しているものなのだろうか?

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桑山さん「ロゴマークには確かにN1の文字が今もあしらわれていますが、深く考えたことは無いです。ただ発足から25年を超える歴史を刻んでいる中で、今のスーパー耐久シリーズは、過去の積み重ねの元に成り立っているという思いがあります。

残していかねばならない大事な部分と、時代の変化に合わせて改革していかねばならない部分とを上手くマッチングさせる判断力や柔軟さは、スーパー耐久シリーズを次の世代に引き継いでいく根幹に持ち続けていきたいと思います」



次のページでは、2017年シリーズでの新たな取り組みについて、引き続きお話しをお聞きしています。