2016 Season Review =SF Team Director Voice=

戦いの全権を司り、勝利へと導くチーム監督。ドライバー、マシン、スタッフの状況を常に把握し、コンディションや天候なども鑑みて戦略を決断する重責を担う立場だが、監督の個性がそのままチームカラーに反映されることも多く、ファンにとっても存在感は大きい。そんなチーム監督が、2016年の戦いを振り返りつつ、ヨコハマタイヤについても語る。


チーム監督が振り返る、2016年のSUPER FORMULA

TEAM DIRECTOR VOICE

星野一義 監督 [ITOCHU ENEX TEAM IMPUL]

新しいドライバーの関口(雄飛選手)が入り、J.P(・デ・オリベイラ選手)と二人で競争しています。決して二人が「仲良し会」じゃない感じが、とても良いですね。もちろんケンカしている訳ではないですが、レースは“闘い”なのですから、その雰囲気が良いですね。

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J.P(オリベイラ選手)は、今まで俺のところで色々なドライバーがチャンピオンになってきたけれど、一番“楽”なドライバー。材料を揃えておいたら全部それを調理してくれるから、「こうしろ、ああしろ」なんて言わないで放っておけばいい感じです。

関口は、なんといってもSUGOの優勝。普段のSUPER FORMULAは50周ぐらいのレースですが、SUGOは68周と長かった。肉体的にも精神的にも、キレないでよく走り抜いたね。俺なら45周が限界ですよ(笑)。

ヨコハマタイヤについては耐久性がいいというか、やっぱりSUGOではびっくりしました。最後の2~3ラップでタイムが出ちゃうんだから、耐久性が良すぎるね(笑)。それはWETでも同じですが、もっとチャレンジして面白いタイヤでもいいのに、とも思います。

SUPER FORMULAに参入したことで、ヨコハマタイヤにとっても人間教育の面でも素晴らしい事だし、技術の向上にもなるし、企業のイメージアップにもなるし、いいことずくめですよね。レースに勝ってタイヤが何本売れるかって気にしている重役がいたら、俺が文句を言ってやりますよ(笑)。モータースポーツは、好きな人が一所懸命やるのがいいんですよ。


TEAM DIRECTOR VOICE

村岡  潔 監督 [DOCOMO TEAM DANDELION RACING]

今シーズンからヨコハマタイヤになり、ドライバーもチームもみんな同じ条件だから「我々にとってもチャンスかな」と思っていました。毎戦優勝者が変わる今年のシーズンで、うちは安定していたと思います。

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特にストフェル・バンドーンという素晴らしい選手とレースができるなんて、「本物は凄いな」という印象を持ちました。初めてのクルマ、コース、タイヤで2~3周も走ればトップクラスに入ってくるんですから。チームとしても得るものはありましたし、彼もF1に向けて良い経験になったと言ってくれました。

前評判として賛否いろいろあったにせよ、結果的に何のトラブルもなくて、さすがはヨコハマタイヤという感じです。毎戦順位も変わって面白くなり、結果的には良かったと思います。タイヤについて、マイナス要因は何もありませんね。


TEAM DIRECTOR VOICE

近藤真彦 監督 [KONDO RACING]

全体的なリザルトを残してもおかしくない体制でしたが、なにか歯車が合わなかったりしました。うちの課題だった、予選一発の速さがありませんでした。結果として課題の残ったシーズンでしたが、そこは来年に向けて前向きに捉えています。

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ヨコハマタイヤは手探りからタイヤ開発をスタートされたのだろうけれど、これだけのスピードの車の足元を支えるというのは普通じゃないことです。それを1年足らずで作ってくれたことには、敬意を表します。本当に凄いことだと思います。

欲を言えば、今のタイヤはGT500でもそうだけれど、とにかく強い。持ちも良くて、もう1レースできちゃうんじゃないかってぐらいです(笑)。でも、例えばレースの半分しか持たないタイヤでタイヤ交換を戦略的に組まなければいけないとか、F1のように何種類かのタイヤをチョイス出来るようにするとか、タイヤでレースを面白くするアイデアを将来的にはやって欲しいと思います。