2016 Season Review =SUPER GT 500class=

全8戦のカレンダーで競われた、2016年のSUPER GT。GT500クラスにはヨコハマタイヤを装着する2チームが昨年に引き続き参戦したが、合わせて3勝を飾りタイヤメーカーとしてトップタイの勝ち星を挙げた。熱いバトルと高度な戦略のぶつかり合い、そこから生まれた優勝のストーリーを振り返ってみよう。


チーム初のGT500で年間2勝を飾った!! – KONDO RACING

近藤真彦オーナー兼監督が率いるKONDO RACINGは、SUPER GTのGT500クラスに2006年から参戦し、11年目のシーズンを戦った。これまで一貫してヨコハマタイヤを装着、タイヤのパフォーマンスを巧みに活かした戦術も背景に、2015年までに5勝をマークしていた。そして迎えた2016年、ドライバーは佐々木大樹選手をそのままに、新たに柳田真孝選手が加入。経験豊富な柳田選手が加わったことは、チームの戦闘力に一層の厚みがついたと言える。

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開幕戦の岡山は天候や気温に翻弄された部分もあり、続く第2戦の富士はGT300車両との接触により後退を余儀なくされ、厳しいレースが続いてしまう。そして迎えた第4戦のSUGOは、予選でミッションの不調に襲われた上、アタックのタイミングで赤旗が提示されて走行中断となる不運が重なり、9番手グリッドから決勝を迎えるという流れになった。

霧雨の中で決勝はスタートしたが、3周目で他車との接触があり13番手までドロップ。この状況を打破するため、「最終手段として考えていた」と自ら語ったタイヤ無交換作戦を近藤監督が決断。ピットインの時間を最小限に留めた結果2番手に浮上、柳田選手からバトンを受けた佐々木選手が47周目にトップを奪うとチェッカーまで運び、ドラマティックな大逆転劇を演じた。

その後、第5戦の富士、第6戦の鈴鹿とアンラッキーもあったが、海外ラウンドとなるタイをはさんで行われたもてぎで、再び戦いの主役に。第3戦(代替戦)は一日で予選と決勝を行う慌ただしいスケジュールとなるが、まずは予選で佐々木選手が見事なアタックを見せて僅差の2番手を獲得。

予選の4時間後に迎えた決勝はシーズン最上位グリッドからのスタート、オープニングラップで1台に先行を許したものの、佐々木選手は前を行く2台がピットインするとチャージしてマージンを稼いでいく。そして34周目のピットインではタイヤ無交換作戦を展開、ステアリングを受け継いだ柳田選手は終盤のテール・トゥ・ノーズも難なく制してチームとして初のシーズン2回目のウィニングチェッカーを受けることに成功した。



タイの地で悲願の初優勝!! – RACING PROJECT BANDOH

2011年にGT500に戦いの場を移して、6年目のシーズンを迎えたRACING PROJECT BANDOH。GT500では最年少のオーナー兼監督となる坂東正敬監督が率いるチームは、2016年もレクサスRC Fとヨコハマタイヤの組み合わせで戦った。ドライバーは関口雄飛選手がチーム3年目のシーズン、その相棒は国本雄資選手というラインアップになった。

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BANDOHと言えば、連続入賞記録も気になるところ。’15年を終えて「10」と2桁に乗せているが、’16年も開幕戦からしっかりチェッカーまでマシンを運んで記録を伸ばしていった。しかし、第2戦の富士は両選手はもちろん、坂東監督も悔しさを露にしていた。上位を狙っていた43周目、後続車の接触を受けて大きくポジションダウン。総力を挙げたリカバリーで8位フィニッシュを果たしたものの、次のSUGOに向けて“借りを返す”という強い思いを抱いていたのだ。

そして第4戦のSUGO、14番手スタートから関口選手が鮮やかなオーバーテイクを立て続けに見せてポジションをアップ、一時は2番手にまで浮上した。その後、ピットでのタイヤ交換でタイムロスを喫して5位でフィニッシュ、連続入賞記録を伸ばしシーズンでも最上位となったが、やはり悔しさの残る一戦となった。

そんな悔しさもバネにして、見事な戦いを魅せてくれたのが第7戦のタイ。ここまでも着実な入賞を重ねてきたBANDOHだが、公式練習から速さを見せてKONDO RACINGとのワン・ツーをマークする。そして予選では、Q1を走った国本選手からのフィードバックも受けてマシンやタイヤを最適化、関口選手が圧巻の走りでチームとしてはGT500で2回目のポールポジションを獲得する。

決勝はスタートを担当した関口選手がオープニングラップからプッシュ、じわじわとマージンを拡大していく。予定より早いピットインを強いられるハプニングはあったものの、後を受け継いだ国本選手も安定したラップを刻んでトップを譲ることなくチェッカー。嬉しいGT500初優勝を飾り、さらにシーズンを締めくくるもてぎでも入賞記録を伸ばすことに成功した’16年シーズンであった。



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