2016 MOTORSPORTS SCHOLARSHIP AWARD (2)

2016年のYOKOHAMA MOTORSPORTS SCHOLARSHIPで好成績をおさめた選手の中から、ラリー、ジムカーナ、ダートトライアルの各カテゴリーにおいて多くのスカラシップポイントを獲得された選手の声をご紹介していきましょう。


矢本裕之 選手 – 全日本ダートトライアル選手権/近畿ダートトライアル選手権

昨年は子供が出来るのと仕事の関係で一年間休んだのですが、2016年は復帰して自分ではリハビリを兼ねて、なんて思っていたんです。それが、全日本選手権ではそれまでの最高位がシリーズ6位だったのが、3位にまで上がることが出来ました。地区戦でもチャンピオンを獲得することが出来て、自分としてはとても良い一年でした。

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昨年休んで“コソ練”していたという訳でも無くて、自分としては2016年も何か大きな変化があったという感じは無いんです。

ただ、2015年は1回か2回は他地区の地区戦に出たり、星盛政選手に呼ばれて東北フェスティバルに出場したりはしましたが、練習なんかは全くしていなくて。マシンもバッテリーがあがるくらいに放置していましたから(笑)。

ひとつあるな、と思うのは、一昨年ぐらいに練習車を手に入れて、それで思い切って練習を出来るようになったんです。この練習車にお金をかけるわけにも行かないので、手持ちの有り合わせパーツで仕立てたのですが、動きが難しいマシンになったんですよ。その中で一所懸命に走るので、本番車に乗り換えると乗りやすいから攻めて行けるんです。

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練習車のスプリング、これは凄く硬くてピーキーな動きの元なのですが、これをコントロールするようになって全日本の本番車では余裕を持って攻められるようになり、タイムにつながったのではないかと思います。

2017年については、出られるだけ全日本選手権に出て、2016年が自分として出来すぎだったにしても成績を下げたくはないので、現状維持以上を目標に一所懸命やるだけだと思っています。やはり最終的な目標はシリーズを獲る、ということに尽きますね。



若林拳人 選手 – 全日本ジムカーナ選手権/関東ジムカーナ選手権

一年を振り返ってみると、一番嬉しかったのは兄(隼人選手)が全日本選手権でチャンピオンになり、自分も関東ジムカーナ選手権でチャンピオンになれて、兄弟揃ってトップに立てたことですね。

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兄は来シーズン、全日本ではクラスを移行するので、今度は別々のクラスで兄弟揃って全日本チャンピオンになることが目標ですね。

自分の関東選手権での2016年は、優勝も多くて兄にもほとんど負けませんでした。有効ポイント制なので有効分全てを参戦しました。マシンは全日本で戦ったのと同じホンダ・CR-Xです。

関東選手権での勝因を分析すると、昨年は全日本に関越スポーツランド戦があって、そこに照準を合わせて練習をしていました。その結果が今年は出てきたのではないかと思っています。

自分は2戦をスキップしていて、ライバルが最終戦で勝って自分が3位以下だとチャンピオンは難しいという状況で。そんな中で兄が優勝して、負けたのは悔しいですがサポートしてくれる形にもなり、自分のそれまでの“貯金”も効いてチャンピオンを獲得できました。

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練習は兄弟ですることも多く、同じクラスなのでタイムの比較もやりやすいんです。一人で練習するよりも目標が出来ますしね。でも、ドライビングスタイルもマシンのセットアップも兄弟で全然違うんです。それでもタイムは似通っているのが不思議ですね。だから兄弟でマシンを交換して走ると、お互いに1秒ちょっとずつタイムダウンするんです(笑)。

2017年は序盤の全日本選手権が近場での開催が多いので、その辺の成績を見ながらシリーズを追って行ければと思います。目標は全日本チャンピオン、頑張ります!!




山本悠太 選手 – 全日本ラリー選手権/TOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジ

元々はラリーとダートトライアルの両方をやりたかったのですが、まずは両親がやっていたこともあって始めやすかったこともありダートトライアルに参戦しました。ダートトライアルは全日本チャンピオンにもなりましたが、その後にTOYOTA GAZOO Racingのオーディションでフィンランドへ行ったことが大きくて、ここで「自分はダートトライアルを辞めてラリーに絞るんだ」と決めました。どうしようという迷いも正直ありましたが、フィンランドで明確に決断しましたね。

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いろいろな出会いもあって2016年からラリーを本格的に始めるチャンスを与えていただけたのですが、最初は林道のステージを走るのが怖くて。見えないコーナーに飛び込んで行くのが思ったように出来ず、最初はなかなかアクセルを踏んで行けませんでした。

2016年はTOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジでチャンピオンになりましたが、このシリーズはとても良いフィールドだと思います。初めて出たときは4位だったのですが、そこからはとにかく数をこなして狭い林道、知らない道をペースノートで走ることに重点を置いて戦ってきました。

全日本選手権では、初参戦で優勝出来ました。緊張はそれほどしていなくて、挑戦者というかそれより下の経験を積むことが第一義だったので気負いはありませんでした。ハイスピードで路面コンディションも雨で悪かったのですが、僕は昔から悪い癖があって優勝を狙っていくと成績が落ちてしまうんです。だからDay1もDay2も目標は変えずに、しっかり完走することだけ、自分の出来る走るを実践するだけ、という思いで走りました。

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全日本は最終戦の新城にも参戦しましたが、自分の“引き出し”の無さを実感しました。ノートもきちんと作れなくて、自分のリズムで走ることが出来ませんでした。精神的にも疲れてしまって、体力と精神力の低さを感じました。雁峰林道のような道は走ったことが無かったので、大きな勉強を出来たと思っています。

2016年はクラッシュが年間を通じて無かったのですが、これは大きなことだと思っています。チームで走っている以上、皆さんの期待を背負って走っていますから必ずフィニッシュまで帰ってくることの大切さを痛感しています。



前のページでは、2016年のスカラシップ表彰式と懇親会の模様をレポートしています。