2016 Japanese Championship Champion Interview (5)

2016 Japanese Championship Champion Interview (5)

2016年の全日本ラリー選手権、JN2クラスはヨコハマタイヤ勢が強さを見せてチャンピオン争いの主役を演じた。その結果、ドライバーとナビゲーター(コ・ドライバー)それぞれの部門でチャンピオンを獲得。また、JN1クラスも熾烈なタイトル争いが展開され、ナビゲーター部門のチャンピオンをヨコハマタイヤ装着車で戦った選手が掌中におさめた。このページでは、JN2とJN1で栄冠を掴んだ選手をご紹介しよう。


明治慎太郎 選手 – 全日本ラリー選手権 ドライバー部門 JN2クラス

かつてはFF(前輪駆動)のトヨタ・スターレットを駆り、独特なドライビングスタイルで速さを見せてきた明治慎太郎選手。2016年はCUSCO JUNIOR RALLY TEAMからFR(後輪駆動)のトヨタ・86を駆って参戦、シリーズを盛り上げたイメージガール“高崎くす子”の声援も背に受けてチャンピオン争いを演じた。

[Photo]

全9戦のうち、ターマック(舗装路)の愛媛、グラベル(非舗装路)の福島と洞爺がクラス不成立となり、6戦の全戦合計得点で競われる結果となったJN2クラス。開幕戦では3位表彰台を獲得した明治選手だったが、愛媛をはさんで迎えた第3戦の若狭はまさかのリタイア。初日のデイポイント2点を加算しただけに留まってしまう。

ここから2戦続けて不成立となり、迎えた第6戦のモントレーは開幕を制した小濱勇希選手をおさえて準優勝。そしてポイントも大きい第7戦・RALLY HOKKAIDOはクラス成立となり、タフなステージを確実に走りきって優勝を飾り形成を逆転した。有利な立場で迎えた終盤2戦をともに準優勝、自身初のチャンピオンを獲得して多くの祝福を集めた。

CHAMPION DRIVER

明治慎太郎 選手 [JN2クラス ドライバー部門 シリーズチャンピオン]

若狭で負けてどこかで取り返さなければ、ということで洞爺にエントリーしたものの、クラスが不成立になってしまって。しかし、RALLY HOKKAIDOは成立して優勝出来たので、ひとつのターニングポイントになったのは事実です。

シリーズトップに立って最終戦に臨みましたが、勝たなくても良いという有利な条件だったことは過度なプレッシャーが無くて平常心を保てました。何年か前に最終戦の新城を完走すればチャンピオンという立場で臨んだのですが、そのときはチャンピオンを逃してしまいました。そんな経験もあるので、今年は“オトナの戦い”に徹しました。

[Photo]

条件的には有利な立場で迎えた最終戦の新城ですが、得意な部類の道でもあることから、もちろん勝とうという思いでオープニングステージからプッシュしていきました。一時は大きく離されて挫けそうになったりもしましたが、その後に取り返して頑張ろうと気を取り直して。最後は状況を見ながら、リスクを排してしっかりチャンピオンを獲りにいくという組み立ててフィニッシュまで戦いました。

今年はトヨタ・86を駆りましたが、フロントのグリップが大切ですがそれだけではタイムが出なくて、きちんと車速を乗せてコーナーリングしていくことが必要ですね。そういった部分は探っている段階で、自分の走りも変えていかなければ勝てないと思うので研究を続けています。

今年の自分を自己採点すると、70点ぐらいです。まだまだ甘くて、多くのラッキーに助けられた部分もあったな、と。走り勝ってチャンピオンを獲らなければ。ですが、長年ラリーをやって来て狙い続けていたチャンピオン、ようやく自分の手にすることが出来てとても嬉しいです!!

[Photo]

[Photo]

[Photo]

[Photo]



馬場雄一 選手 – 全日本ラリー選手権 ナビゲーター部門 JN2クラス

JN2クラスはヨコハマタイヤ勢同士による一騎討ちの展開で、シリーズチャンピオン争いが演じられた。全日本ラリー選手権では中堅クラスとなる30代の明治選手に対して、2年目の全日本を戦う20代という若手の小濱勇希選手は開幕戦から優勝を飾って主導権を握る流れを掴んだ。

[Photo]

そんな小濱選手の走りを支えたのが、地方選手権などで経験を積んだベテランのナビゲーターである馬場雄一選手。サービスパークでも寡黙な印象が強いが、落ち着いた中でしっかりドライバーが走りに集中出来る環境を作り上げていくタイプの“職人肌”である。その仕事ぶりが如何に的確なものかは、終盤2戦において追う立場となった小濱選手が、デイポイントも含めて求められる結果を残してきたことでも明らかであると言えるだろう。

残念ながらドライバーと揃ってのチャンピオン獲得は成らなかったが、小濱選手の成長を誰もが感じたシーズン、その成長を支えたキーマンとしての戦いぶりは自身初の全日本チャンピオンという称号により、結果として現れたのである。

CHAMPION NAVIGATOR

馬場雄一 選手 [JN2クラス ナビゲーター部門 シリーズチャンピオン]

ナビゲーター(コ・ドライバー)歴は10年くらいですが、全日本選手権に本格参戦したのは小濱選手とのこの2シーズンです。小濱選手とは15歳差ですが、とても頭脳派なドライバーです。ひとつひとつのSS(スペシャルステージ)における自分の走りを振り返っての分析力が長けていて、さらにそれを次のステージで走りにしっかり活かしているんです。

[Photo]

小濱選手と組むにあたっては、彼は情報解析能力が高いので情報をたくさん集めることを心がけています。タイヤの空気圧がどう変化したとか、いろいろなリコメンドを随時書き留めて一覧にして渡したり。そういうことを去年のモントレーあたりから始めたのですが、役に立ってハイランドでの優勝につながりました。

小濱選手と今シーズンを迎えるにあたっては「得意な唐津、若狭、モントレーあたりに参戦しようか」という軽い感じだったのですが、唐津を勝ったことで「出るしかないね」となって(笑)。ですから自分としては気負うところも無くて、自分自身のチャンピオンというのはあまり意識していませんでした。

最終戦を残して自分のチャンピオンが決まったことで、多くの方からお祝いの言葉をかけていただいて素直に嬉しかったですね。自分の一年を自己採点すると70点。もうちょっとドライバーを精神的にサポートすることが出来ただろうということと、全日本参戦経験が浅いので足りない面があったこと、これが来シーズンの課題ですね。

[Photo]

[Photo]

[Photo]

[Photo]





新井正和 選手 – 全日本ラリー選手権 ナビゲーター部門 JN1クラス

2016年は最終戦まで多くのクラスでタイトル争いが持ち越される激戦となったが、RPN規定で小排気量エンジンを搭載する車両で競われるJN1クラスも、ベテランと若手のチームメイト同士によるチャンピオン争いが大いに注目を集める展開となった。

[Photo]

ベテランの須藤浩志選手とコンビを組んだのが、同じく経験豊富なナビゲーターである新井正和選手。序盤のターマック(舗装路)3戦をスキップしたが、シーズン初参戦となった第4戦の福島でJN4クラス上位陣に割ってはいる総合順位の圧勝を飾る。さらに続く第5戦・北海道洞爺もデイポイントを含めた満点優勝で、一気にシリーズランキング争いの主役へと躍り出た。

第6戦はターマック(舗装路)となるが、ここでライバルがリタイアを喫したのに対して、逆転で三連勝。ライバルとともに第7戦の北海道十勝はスキップ、第8戦の岐阜を準優勝で終えてチャンピオン争いは最終戦の新城決戦となる。リードを許す展開となった中、Day2は連続ベストで差を詰めて最終ステージでもベストを奪っていったが、惜しくも1.0秒差の2位でフィニッシュ。ドライバー部門では惜しくもチャンピオンにあと一歩届かなかったが、須藤選手の走りを一年を通じて支え続けた新井選手はナビゲーター部門のチャンピオンを獲得することに成功した。

CHAMPION NAVIGATOR

新井正和 選手 [JN1クラス ナビゲーター部門 シリーズチャンピオン]

須藤浩志選手とは2年目のコンビですが、シーズンインにあたっては須藤さんから「数戦に出るよ」という話をもらったんです。それが洞爺の優勝を受けて、「こうなったら、チャンピオンを獲りにいくか」となって(笑)。はじめのうちはチャンピオンなんて全く考えてもいなかったので、思いがけない展開のシーズンになりましたね。

[Photo]

チームメイトの鈴木尚選手組とのチャンピオン争いになったのですが、自分は十数年前に一度チャンピオンを獲ったことがあるので、今年はなんとしても須藤選手に獲ってほしいという思いがありました。だから、自分のチャンピオン獲得よりも須藤選手に獲ってもらえなかったことの悔しさのほうが強いですね。

須藤選手と2年目、ですがコ・ドライバーとして特に変えたことはありません。終盤2戦では表面上は冷静に見える須藤選手も、車の中で二人になると気合いが入っていることが目に見えてわかりました。そんな場面でも、コ・ドライバーとしての仕事はいつも通り。須藤選手はベテランですし、なによりも手のかからないドライバーなんです(笑)。去年のシーズンイン前、初めて組むのだからとペースノート合わせをしたのですが、それも1本か2本走っただけで「これでいいね」となって。

自分自身のチャンピオンについては、JAFの表彰式あたりで喜びが沸き上がってきた感じですね。チャンピオンも決められたので、もうこれで引退しようかな(笑)。でも、須藤選手にお誘いいただいたら、今度はチャンピオンを一緒に獲りたいですし、自分には能力はないのですが軽さはバッチリですので、太らないように気をつけていこうと思います。

[Photo]

[Photo]

[Photo]

[Photo]

UPDATE : 26.Dec.2016