2016 FIA WTCC Race of JAPAN =Report=

世界最高峰のツーリングカーによるスプリントレース「FIA WTCC(FIA世界ツーリングカー選手権)」が、今年も日本に上陸して多くのファンを魅了した。

2006年、発足翌年から今日までヨコハマタイヤがワンメイクサプライヤーとして足元から支え続けているWTCC、今年の日本ラウンドも激しい接戦が繰り広げられ、そして暫定ではあるがチャンピオンが確定する一戦となった。


予選で最後に速さを見せたのはシトロエン勢!!

今年も栃木県のツインリンクもてぎを舞台に開催された、WTCCの日本ラウンド「FIA WTCC Race of JAPAN」。9月3日(土)には午前中に2回のフリープラクティスが行われた後、午後からは公式予選が行われた。

フリープラクティスで速さを見せたのは、鮮やかな空色のボディカラーをまとうボルボ・S60 WTCC。2回ともにネストール・シロラミ選手がトップタイムを叩き出し、1回目にはテッド・ビョーク選手も3番手タイムを刻んだ。ボルボはキャンバー角を大きくとったセッティングが目を惹いたが、いち早くもてぎのコースにマシンを合わせてきたと言えるだろう。

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青空が広がったツインリンクもてぎ、午後の予選では気温が30℃に達する残暑となった。そんな中、まずは全車が出走するQ1、ここではディフェンディングチャンピオンのホセ・マリア・ロペス選手(シトロエン)がチェッカー4分30秒前に1分56秒759をマーク、唯一の56秒台で堂々のトップタイム。そして2番手にノルベルト・ミケリス選手、3番手にはロブ・ハフ選手とホンダ勢が続いた。

上位12台が進出したQ2、ここでも貫祿のトップタイムをマークしたのはロペス選手。終盤で1分55秒934と55秒台に叩き込んでトップ通過、これにイヴァン・ミューラー選手が続いてシトロエンがワン・ツー。Q3へは上位5台が勝ち残るが、ティアゴ・モンテイロ選手(ホンダ)、メルディ・ベナニ選手(シトロエン)、トム・チルトン選手(シトロエン)と、シトロエンが4台Q3への進出を果たして強さを見せる。

Q3は、1台ずつクリアラップでワンアタックを行う。Q2で5番手のチルトン選手か順に臨んでいくが、次々と前走者のタイムが更新される展開に。Q2で2番手だったミューラー選手が1分56秒409、4選手が走行を終えてトップに立つも自己のQ2タイムを更新はならず。そして“トリ”をつとめるロペス選手がコースイン、全く破綻の無い走りでチェッカーまで運びタイムは1分55秒602。Q2に続いて55秒台をマークしたのみならず、自己のタイムも更新する圧倒的な速さでメインレースのポールポジションを獲得した。

個人の予選が終了した後は、今シーズンから行われているMAC3の時間となる。マニュファクチャラー勢による団体戦であり、3台が同時に走行して2周の合計タイムを競うというものだ。ここでもやはりシトロエン勢が速さを見せてトップに立ち、満点となる10ポイントを獲得した。

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ホームコースで表彰台独占のホンダ、ロペス選手は暫定王者に!!

決勝レースが行われる9月4日(日)は、空模様が心配されていた。ピットウォーク前には雨がコースを濡らしてしまったが、幸いに雨は短時間で止んでピットウォーク後のサポートレース決勝はドライコンディションに。そのまま雨が再び降ることはなく、日本ラウンドはオープニングレースもメインレースもドライコンディションでの戦いとなった。

13周のオープニングレースは、Q2の結果を基にしたリバースグリッドにより、ミケリス選手がポールポジション、ハフ選手がセカンドグリッドで、ホンダ勢がフロントローを独占している。ちなみに今回、ホンダ勢はシトロエン勢と同じ80kgというウェイトを搭載しており、ストップ・アンド・ゴーが続くもてぎではブレーキにもタイヤにも過酷なコンディションとなっている。

しかし、そんなハンディをはね除けてホンダ勢が好走。ミケリス選手とハフ選手が終始レースをリードしてポジションを譲らずチェッカーまで運んだのに加え、7番手スタートのモンテイロ選手が怒濤の追い上げを見せた。4番手にポジションを上げると7周目の90度コーナーで先行車のインに鋭く飛び込んでかわし、3番手に浮上する。10周目には10番手スタートのロペス選手がビョーク選手をかわして4番手になるも、モンテイロ選手は寄せつけずにそのまま逃げきってホンダ勢がホームコースのもてぎで表彰台を独占した。

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短いインターバルをはさんで迎えた、メインレースの決勝。こちらはロペス選手がポールポジション、ミューラー選手がセカンドグリッド、さらに2列目の3番手にはベナニ選手が並び、シトロエン勢が主役といった様相だ。しかし、スタートで魅せたのは4番手スタートのモンテイロ選手。オープニングレースで3位表彰台を獲得したが、メインレースでも好スタートで1コーナーまでに3位へポジションアップ、早々に表彰台圏内へと陣取った。

序盤、中段グループでは激しい接戦が繰り広げられる。ミケリス選手とハフ選手はシビック同士でサイド・バイ・サイドを演じ、ジェームス・トンプソン選手(シボレーRML)はガブリエレ・タルクィーニ選手(ラーダ)と抜きつ抜かれつの応酬を繰り広げた。そんな後続を尻目にトップ4台は徐々に先行、シトロエンのワン・ツー体制は盤石なままにファイナルラップを迎えた。

そしてファイナルラップ、ロペス選手が突然のスローダウン。トラブルか、と思われたがミューラー選手を先行させると再びペースを回復してチェッカー。日本ラウンドで未だ勝ち星の無かったミューラー選手に対して、偉大なる先輩に敬意を表してロペス選手がポジションを譲るという意外な結末ではあったが、シトロエンがワン・ツー・フィニッシュでミューラー選手は日本ラウンド初優勝。そして、暫定ではあるがロペス選手がドライバータイトルを手中におさめる結果となった。

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UPDATE : 9.Sep.2016