2016 SUPER FORMULA (3) =Tire Engineer Interview=

2016年からヨコハマタイヤがワンメイクサプライヤーをつとめる、アジア最高峰のフォーミュラレースである全日本スーパーフォーミュラ選手権。およそ20年ぶりのトップフォーミュラ復帰に向けて、コントロールタイヤの開発を担っているタイヤエンジニアに聞く舞台裏、今回は後編をお届けします。


ワンメイクタイヤに求められるものを追い続けて

スーパーフォーミュラの前身となるフォーミュラ・ニッポン、その発足初年度となった1996年はタイヤコンペティション最後のシーズンであった。この翌年からフォーミュラ・ニッポンはワンメイクタイヤ制を導入、他メーカーがサプライヤーとなり2015年まで歴史を刻んできた。ゆえにヨコハマタイヤにとってはおよそ20年ぶりのトップフォーミュラ復帰となるわけだが、ヨコハマタイヤが新しい歴史を刻み始めるにあたって開発エンジニアにはプレッシャーなどは無いのだろうか。

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渡辺晋(ヨコハマ・モータースポーツ・インターナショナル)「やはり、どんなカテゴリーであってもドライバーもチームのエンジニアも、それまで使っていたタイヤと比較するという視点で全ての人が見てきます。ヨコハマタイヤの良いところもありますが、修正すべきポイントについてもどんどんリコメンドされてきました。それらの声について、対応するのかしないのか、そういう判断を随時しなければならないのです」

金子武士(ヨコハマ・モータースポーツ・インターナショナル)「ヨコハマタイヤとしてワンメイクタイヤへの考え方をしっかりさせておけば、それをドライバーやチームに納得していただくという場面もあります。ただ、全体的にはメーカーが違っていても、同じ方向性に収斂されていくように感じています」

モータースポーツタイヤは、速さを生むためのパフォーマンスが求められる。しかし一方では工業製品でもあるわけで、商品としての高く安定した品質も求められるところ。この点についても開発エンジニアはしっかり考慮して作業を進めてきた。

金子「タイヤを完成させた上で、きちんと納入していかなければなりません。そこまでを含めての開発ですから、生産性などについても考慮して開発を進めてきました」

渡辺「特にフォーミュラは振動にシビアですから、タイヤの均質性がとても大切です。我々は設計者ですから、『あったらいいな』というものを設計するのではなく、『あったらいいな、を実現する』ことが仕事です。作れるものをしっかり作るのが仕事なんですね。生産部門ともコミュニケーションを取りながら進めていますが、日本のタイヤメーカーとして日本、そしてアジアのトップフォーミュラにタイヤを供給することに対して生産部門も前向きで、モチベーションがとても高いのです。WTCCなどの経験から生産部門のレベルも大幅に向上しており、スーパーフォーミュラをやることもウェルカムという姿勢ですね」



いよいよ迎える開幕戦、そして2016年シーズンへの期待

テストスケジュールも終了し、開幕戦の日を待つばかりとなったスーパーフォーミュラ。これまでを振り返って二人のエンジニアは、次のように語る。

金子「ヨコハマタイヤではFIA F2や、全日本選手権をはじめとしたF3にもタイヤを供給してきました。それらの経験からすると、エントラントが求めているのは予選で一発のタイムを出せる上で、一度ピークが出た後も一定のレベルで最後までプッシュ出来るパフォーマンスを持つタイヤだと思います。まさに、そこを狙ったものが仕上がったと自負しています」

渡辺「F3などで培った、ワンメイクタイヤに本来求められる性能を追って開発してきました。まずはしっかり形に出来たので、この先は個人的にはもうちょっとアグレッシブなところを狙っていくのも、面白いかもしれないと思っています」

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開幕戦へのカウントダウンも始まっている中、最後に二人には現在の心境を語ってもらい、このインタビューを締めくくろう。

金子「とりあえず一安心、というところです。しかし次の改良に向けてこれからが勉強、新たなスタートという気持ちですね。これからADVANレーシングタイヤに合わせたセットをしていったときに、どこが良くてどこが改善点なのかが見えてくると思います。そこから将来に向けた開発が始まるわけで、まさに開幕戦は新たなスタートラインだと言えるでしょう」

渡辺「そんなことがあってはいけないのですが、もしタイヤが壊れるとしたらそれはレースの実戦で起こるのです。テストでいくらロングランをかけても本当のことがすべて分かるわけではなくて、やはり厳しい実戦においてタイヤの本当のパフォーマンスが見えてくるものなのです。ですから、まずは開幕戦でどんな結果が出るのか、そこでヨコハマタイヤの実力がひとつ見えてくるだろうと思います」

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