All Japan Student Automobile Asociation Dirt-Trial (2)

全国の大学にある自動車部では、モータースポーツとクルマを愛する若きパワーが日夜研鑽を積んでいる。その目標となっているのが、全日本学生自動車連盟が制定している「全日本総合杯」だ。このコーナーでは、ダートトライアル部門の全日本総合杯を目指して、ヨコハマタイヤを装着して戦った自動車部の活躍について、ご紹介していこう。


ヨコハマタイヤを装着した自動車部が栄冠を掴んだ!!

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2015年8月9日(日)。関東を代表するダートトライアルコースとして全日本選手権の開催などでもお馴染み、栃木県の丸和オートランド那須は朝から若い熱気に包まれていた。この日、全日本学生自動車連盟によるダートトライアルの全日本総合杯を競う「全日本学生ダートトライアル選手権大会」が催され、全国各地から強者たちが集まってきたのである。

連盟の年間カレンダーでは、全日本戦の皮切りとなる本大会。覇を競う23校のうち、ホンダ・シビックの東海大学と三菱・ミラージュの東京理科大学、この2校がヨコハマタイヤを装着して戦いに挑む。

日本列島が夏休みに入った最初の週末、最高気温は30℃を優に超える猛暑となったが、それ以上に学生たちの熱気がコースを包む。パドックではベストなタイヤの空気圧などセットアップについて部員同士が語り合ったり、出走を控えたドライバーをウチワや段ボールで扇いだり。一方ではもちろん笑い声も聞こえ、和気あいあいとした中に大人のモータースポーツに負けない真剣さを感じられる。そして出走が近づくと部員みんなでスタートライン手前までマシンとともに移動し、力強いエールでドライバーを送り出していく。

今回のレイアウトはハイスピードな設定、中には勢い余って転倒を喫したチームもあったが、そんな中でヨコハマタイヤを装着した2チームは好走を披露。東海大学は一走目で市川哲平選手が1分48秒393と唯一の48秒台に入れると、二走目では1分45秒267にタイムアップしてオーバーオールベストを刻む。澤口拓人選手も一走目はマシントラブルからリタイアしたものの二走目で1分47秒620をマーク、飯田輝選手も1分50秒791と好タイムを刻み、見事に男子団体の部で優勝。市川選手は男子個人の部も制した。

一方の東京理科大学は、前日に見舞われた思わぬハプニングから苦戦も予想されたが、全員一丸となってマシンをしっかりと仕立てた。そしてステアリングを託された平方優磨選手、三橋健選手、福島賢太郎選手がこれに応え、中でも福島選手は二走目に1分48秒450と50秒を切る好走を披露。男子団体の部でシングルポジションとなる8位を獲得し、知らせを聞いた瞬間のピットは大きな歓声に包まれた。



メリハリのある活動をしています – 東海大学自動車部

見事に男子団体の部と男子個人の部で優勝を飾った、東海大学自動車部。横浜ゴムのモータースポーツ開発拠点である平塚市に湘南キャンパスを構えるだけに、ヨコハマタイヤとの縁も深い環境にあると言える。そんな東海大学自動車部の主将をつとめる井上禮佑さんは、部の特徴を次のように語ってくれた。

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「現在の部員は二十数名という規模で、比較的和気あいあいとした雰囲気で活動しています。大会でもうちのピットだけ、なんだかふざけてやっているように見えるかもしれませんね(笑) みんな仲良くアットホームな部ですが、もちろん勝負には真剣に臨んでいます。メリハリのある部活だと自負しています」

団体・個人の両部門を制した今回の優勝劇。ドライバーの人選については、どのように行ったのだろうか?

「ドライバーは大会前に選手選考をしたのですが、今日の大会で二走目と三走目をつとめた市川君と澤口君は、個人でもダートの練習をしていて圧倒的にスキルが高かったのですぐに決まりました。残る一人は、ダート以外の競技でも優れたセンスを見せている飯田君を抜擢して臨みました」

主将の重責をつとめる井上さん、優勝という最高の結果を受けた心境と後輩に託す思いを最後にお聞きした。

「優勝というかたちになって、主将としては感無量というのが正直なところです。ダートトライアルについては諸先輩から受け継いでいる伝統もあるので、今度もこうした結果を残していると思っています。一方、ジムカーナのほうはここ数年入賞も出来ていない状態が続いています。去年からニューマシンを投入、今年はエンジンも新しくしたのですが、全関東戦ではミッショントラブルに見舞われてしまいました。後輩たちには、ジムカーナのほうでも頑張ってほしいですね」

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大会前日に何かが起こるんです – 東京理科大学自動車部

強豪が揃った中で、シングルポジションとなる8位を獲得した東京理科大学自動車部。ミラージュを駆っての参戦だったが、会場で配布されたプログラムにはカローラ・レビンでのエントリーと記されていた。車両が変更された事情から、主将の貞 弘さんにお聞きしよう。

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「うちの自動車部は毎年、大会前日の練習で何かがあるんです。今回は横転しました(笑) 試合に使うはずだったのはカローラ・レビンなのですが、横転によってルーフとピラーにダメージを受けて、ガラスも割れてしまって。そこで急遽、先輩からこのミラージュを買ってきました。部のガレージが千葉の野田にあるのですが、そこまで静岡の浜松から持ってきていただいて。元々ダートトライアル車だったので、それに必要な装備をいくつか追加して持ち込みました」

ブッツケ本番となった車で、シングルポジションを獲得する健闘を見せた東京理科大学自動車部の面々。しかし、実はこれまでにもこういったハプニングが続いてきたという。

「今年の全関東戦ではボンネットが走行中に開いて、ガラスが割れてしまいました。そのときは野田に帰ってスペアカーからガラスを外して取り付けて。去年の全関東戦でも前日の練習で横転させてしまい、その時は本番に出場出来ませんでした。一昨年もミラージュのリアメンバーが折れて、野田に帰って溶接したりと、毎年何かが起きるんです(笑)」

あまりのハプニング続きに、“神頼み”もしたという。そして無事に戦い終えた主将の率直な心境と後輩へのメッセージを最後にお聞きした。

「あまりに色々なことが続いたので、ずっと同じところを使っていたホテルを今回は変えました。それでもやはり、前日には何かが起きたんですけれどね(笑) 部員は22人で活動していますが、自分が主将として最後の公式試合となった今回、8位というシングルポジションを得られてホッとしました。後輩には、みんなで協力してまだ良い車を仕上げて、好成績をおさめていってほしいですね」

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次回は、トップドライバーから学生へのエールをご紹介いたします。