モータースポーツ競技会場の一角に設けられる「タイヤサービス」。その名の通り、競技会に参戦している選手やチームが装着しているタイヤにまつわる業務を担っており、組み替えなどの作業はもちろん、タイヤの使い方に関するアドバイスを行うなど、そこで働くスタッフたちは“タイヤのプロフェッショナル”が揃っている。
卓越した技術、そして豊富な経験と知識。これらを兼ね備えたプロフェッショナルたちがヨコハマタイヤユーザーの走りを支えている。さらに、さまざまなカテゴリーにおいてユーザーの要望に確実に応え、強固な信頼関係を築き上げているのだ。
モータースポーツを観戦したことがある方ならば、サーキットやスピード行事コースのパドック、ラリーならばサービスパーク。参加するチームや選手の拠点となるエリアの一角に、YOKOHAMAやADVANのフラッグや看板、そしてタイヤトランスポーターなどを見かけたことがあるだろう。
ここが「タイヤサービス」と呼ばれる一角で、そこにはヨコハマタイヤとともに戦うチームや選手を支えるプロフェッショナルたちがいる。
タイヤサービスのスタッフは、ふたつの職務にわけられる。
ひとつは開発部隊で、日進月歩でタイヤを進化させるための開発を担うエンジニアだ。彼らは現場で詳細なデータを集め、ドライバーやチームエンジニアからの生の声を聞く。現場で得られた貴重なデータやコメントは詳細に分析され、タイヤの更なる進化へとつなげられていく。
そして、もうひとつの職務がサービススタッフだ。彼らはタイヤの管理や組み替え作業などの実務を担いつつ、カテゴリーによっては時に選手やチームのタイヤアドバイザー的な役割をも担う。
今回のYOKOHAMA FANでは、このサービススタッフにスポットをあて、カテゴリー毎のタイヤサービスの特徴をご紹介しながら、その横顔に迫っていこう。
タイヤサービススタッフによると、競技会の会場では足を運んだファンからカメラを向けられることも少なくないという。Red in BlackのADVANカラーにペイントされたトランスポーターは遠目にも存在感が高く、揃いのユニフォームで作業にあたるスタッフたちが、プロフェッショナルとして広く認知されていることの現れかもしれない。
では、そんなタイヤサービススタッフたちは、実際にどのような作業に従事しているのだろうか。このコーナーでは基本的な作業の流れを、ひとつずつ順を追ってご紹介していこう。
新しいタイヤを組み付けるリムをタイヤチェンジャーにセットして行う組付け作業。使用済タイヤが組つけられていたリムでの“嵌め替え”の場合は、[2]のリム外しからそのまま一連の流れとして組み付け作業へと進む。
用いる機材はタイヤチェンジャー。手順はリム外しの逆となり、水平に固定されたリム単体をゆっくり回転させながら、新品のタイヤを上から嵌め込んでいく。
主にタイヤレバーを用いてしっかり確実に新品タイヤのビードを嵌めていくが、タイヤやホイールの種類によっては一般市販タイヤよりも組付けが難しいことも多い。そこは高い技術と豊富な経験を有する熟練スタッフが担当しており、巧みにタイヤレバーを操ってしっかり嵌合させていく。
最後の仕上げとして、サイドウォール部分に“YOKOHAMA”や“ADVAN”の文字を標記する。この作業は主に白い缶スプレーを用いて行われ、文字がくり抜かれた板をサイドウォールにあてながらスプレーを吹きつけて標記するが、WTCC(FIA世界ツーリングカー選手権)やフォーミュラ3のタイヤなどには最初からロゴがタイヤに印刷された状態で出荷されているので、SUPER GTの300クラスやスーパー耐久などのタイヤに対して、現場で最後の仕上げとして、サイドウォール部分に“YOKOHAMA”や“ADVAN”の文字を標記する。
グラベル(非舗装路)ラリーなどでは行われない作業だが、大勢の観客から注目を集めるセレモニアルスタートに臨む際の装着タイヤには施される場合もある。
UPDATE : 11.Jul.2014