2018 JRC Round 3 Report

【全日本ラリー選手権 第3戦/京都府京丹後市】

4年ぶりに丹後半島へ帰って来た全日本ラリー選手権、
JN4とJN1でヨコハマタイヤ勢がワン・ツー・フィニッシュ!!

JRC Round 3

開催日 2018年4月27日-29日
開催場所 京都府京丹後市 近郊
天候 Leg1) 晴れ
Leg2) 晴れ
路面 Leg1) ドライ
Leg2) ドライ
ターマック(舗装路面)
総走行距離 279.05km
SS合計距離 80.68km (12SS)
得点係数 1.0 (舗装路50km~100km)
参加台数 50台(オープンクラス含)
(ヨコハマタイヤ装着車 19台)
2018 全日本ラリー選手権 第3戦

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ゴールデンウィークに入って帰省による渋滞や行楽地の賑わいを伝えるニュースが飛び交う中、京都府京丹後市をホストタウンとして全日本ラリー選手権の第3戦「Rally丹後 2018」が開催された。2012年から当地で開催されてきた全日本戦は、2014年を最後に林道工事などの影響によって福井県へと舞台を移した。「若狭ラリー」として3年開催され、4年ぶりに再び丹後半島へと舞台を戻して今回の大会を迎えた。

大会名称に「丹後縦貫林道リフレッシュ事業竣工記念」とあるように、SS(スペシャルステージ)は半島を貫く丹後縦貫林道に設けられた。角突線、成相線、大内線と連続する3本を使い、土曜日のLeg1で北から南へと各線を2回ずつ走行。日曜日のLeg2では成相線と角突線を逆方向に南から北へと進み、さらに観戦無料のギャラリーステージとして道の駅丹後王国に設けられた超ショートステージをそれぞれ2回ずつ走行する。

主戦場となる丹後縦貫林道は、日本三景のひとつに数えられている天橋立を望む絶景スポットも多く、観光ドライブルートとしても人気が高い。平成3年から行われてきたリフレッシュ工事により安全性と快適性も高められているが、競技ステージとして見たときには道幅の変化が多く最大11%というアップダウンもあり、さらにリフレッシュ工事の施された時期の差による舗装状態の違いも見られ、メリハリをつけてリズミカルに走ることが求められる。

大会は4月27日(金)の夕方に、京丹後市役所前で催されたセレモニアルスタートで華々しく幕を開けた。近隣住民やファンの声援に見送られて各車がスタート、一夜明けた28日(土)からいよいよ戦いがスタートする。青空に恵まれ気温も上昇する中で迎えたLeg1だが、JN6クラスのヨコハマタイヤ勢はなかなかタイムが伸びずに我慢の展開となってしまった。

そんな中で奴田原文雄選手/佐藤忠宜選手組(ランサー)は力走を重ね、SS3「大内 1」でライバルと同秒のステージベスト、リピートのSS6「大内 2」でも0.5秒差のセカンドベストをマークして、初日を4番手で終えた。

29日(日)のLeg2は京丹後市で夏日を記録する暑さとなったが、多くのギャラリーが見守る道の駅丹後王国のステージで速さを見せたのがヨコハマタイヤ勢の2台。1回目のSS9で奴田原選手組がベストを叩き出すと、僅か0.1秒差のセカンドベストを新井敏弘選手/田中直哉選手組(WRX STI)がマーク。このギャラリーステージは2回の合計タイムが速いクルーに特別賞が設定されていたが、なんと2回目のSS12は奴田原選手組と新井選手組が全くの同秒でステージベストを分け合う結果に。奴田原選手組は最終結果で惜しくも表彰台に一歩届かず4位となったが、特別賞も獲得してギャラリーを大いに沸かせて速さを見せた。

JN4クラスは、ヨコハマタイヤで戦うトヨタ・86が、シーソーゲームを展開した。初日をトップで終えたのは開幕戦を圧倒した山口清司選手/山本磨美選手のコンビ、SS3で今大会初のステージベストを奪うと中間のサービスでセッティングを修正。初日後半のSS4と5で連続ベストをマークして、Leg1を5.0秒差のトップで終えた。

Leg2のSS合計距離は35.18km、事実上戦う身としては「無いに等しい」5.0秒という差でスタートを迎えた山口選手組と山本選手組。前日フィニッシュ後の30分、そして当日スタート前の15分サービスでマシンのセットアップを最適化してスタートした両者だが、この日のオープニングとなるSS7から連続ベストで快走したのは山本選手組。

SS8を終えてトップに立った山本選手組に対して、SS10では山口選手組がベストを奪い返すシーソーゲームを繰り広げたが、SS11と12も山本選手組がベストを連取して優勝を飾り、唐津の雪辱を果たす結果となった。また、山口選手組は2位となり、ヨコハマタイヤ勢がワン・ツー・フィニッシュを飾った。

JN1クラスも、ヨコハマタイヤ勢がワン・ツー・フィニッシュという結果に。

SS1から伊藤隆晃選手/大高徹也選手組(ノート)がステージベスト、小川剛選手/佐々木裕一選手組(フィット)がセカンドベストで速さを見せると、Leg1のセクション1はライバルも交えた三つ巴の展開に。そこから抜け出したのは小川選手組、セクション2最初のSS4で初ベストを刻んでトップに立つと、続くSS5もベストであがってLeg1をトップで折り返した。

こちらはライバルに5.7秒差のトップでスタートしたLeg2、そのオープニングとなるSS7ではライバルの逆転を許したものの、SS8でライバルが大きく後退して小川選手組が再びトップに返り咲いた。SS8を終えて小川選手組と伊藤選手組の差は14.4秒、SS8から12まで5連続ステージベストで差を広げていった小川選手が嬉しい全日本選手権2勝目、佐々木選手とのコンビでは初優勝を飾ることに成功。伊藤選手組も、しっかり2位でフィニッシュして表彰台の一角を占めた。

このほか、JN2クラスでは明治慎太郎選手/北田稔選手組(86)が準優勝でフィニッシュした。

DRIVER VOICE

山本悠太 選手 [Sammy☆K-one☆ルブロス YH 86]

【今回の成績 : JN4クラス 優勝】
初日は走行中にヘルメットのバイザーが勝手に下がってくることが何度もあって、運転に集中出来なかったんです(苦笑)。車もちょっとアンダーステアが強くて、リアの車高を日曜朝のサービスで修正するなどしてLeg2に臨みました。かなり自分の思った通りに車が動いてくれるようになったので、日曜日の1ループ目は気持ちよく走って行けました。でも、路面に砂が浮いていたりグレーチングがひっくり返っていたりと罠も多くて。2ループ目の最初でハーフスピンもしてしまったのですが、そこはなんとか立て直して大事には至りませんでした。2ループ目を走っているときに、直前のサービスで言われた「1ループ目と同じように走ればいいんだ」という言葉を思い出して、しっかりフィニッシュまで運ぶことが出来ました。

山口清司 選手 [jms エナペタル ADVAN 久與 86]

【今回の成績 : JN4クラス 2位】
Leg1は5.0秒差でトップでしたが、逆転されて2位となり悔しい結果になってしまいました。初日で車のセットアップをかなり詰めていったのですが、手元の“持ちネタ”を初日で出し尽くしてしまって。もうちょっと“ネタ”を持っていなければ、という思いもありますが、唐津から比べればここまで出来たことは大きな進歩だと思います。シリーズを戦う上では、大きな2位ですからね。次からグラベルでの戦いになり、久万高原は地元・愛媛での大会。新しいダンパーを装着する予定、さらにブレーキにも改良を加えて戦闘力を高めていきますので、次はトップで終われるように頑張ります!!

明治慎太郎 選手 [Sammy☆K-one☆ルブロス YH 86]

【今回の成績 : JN2クラス 2位】
今回は、鈴木尚選手の速さに届きませんでした。Leg1の最初はちょっとグリップが物足りなくて、アンダーステアが強めだったんです。それを、セッティングをサービスなどで見直すことによって、修正しながら戦ったという流れです。最終のループではかなり良くなったのですが、タイム的にはもうひとつ伸ばしたいところでしたね。シリーズを考えたら、2位で確実にフィニッシュしたことは大きな成果。レグポイントも獲得したので、これを次につなげてグラベルでも取りこぼしのないようにしていきたいと思います。

小川 剛 選手 [itzz ADVAN AN Fit]

【今回の成績 : JN1クラス 優勝】
自分は2年前の唐津で全日本初優勝をしていますが、佐々木裕一選手と組んでは今回が初めての全日本優勝なので嬉しいです。佐々木選手は30kgもダイエットして軽量化してもらいましたので、自分としてもアクセルの踏み甲斐がありました(笑)。ライバルの古川寛選手に、今度は最後まで走り勝って優勝したいですね。

伊藤隆晃 選手 [プレイドライブ YH ノートNISMO S]

【今回の成績 : JN1クラス 2位】
今回は、なんとしても完走しなければという思いで臨みましたが、セットアップに苦労した部分が大きかったです。トライアンドエラーを繰り返して、エラーのほうが多かったというところで詰めきれずに終わってしまった印象です。次からはグラベルの戦いが続きますが、未知数の部分が多いのも事実。久万高原の前にはダートトライアル場を走ってみる予定ですが、自分が走っていたダートトライアルとラリーで走る林道では全く違うところがあるので、ワダチの使い方などを勉強して臨んでいきます。

TECHNICAL INFORMATION

4年ぶりに丹後半島を舞台とした全日本ラリー選手権だが、好天に恵まれて気温/路面温度ともに上昇。二日目の日中には25℃を超える夏日となり、シーズン序盤のターマック連戦は初夏を思わせる青空の下で戦われた。

JN6クラスは惜しくも表彰台に届かない結果となったが、JN4クラスとJN1クラスではともにワン・ツー・フィニッシュとなったヨコハマタイヤ勢。FR(後輪駆動)とFF(前輪駆動)、それぞれでADVAN A052がしっかり選手たちの走りを支えて表彰台を獲得した。