2018 JRC Round 2 Report

【全日本ラリー選手権 第2戦/佐賀県唐津市】

季節外れの雪も降ったコンディション変化の大きい一戦、
JN6の奴田原文雄選手組を筆頭に4クラスで優勝を飾った!!

JRC Round 2

開催日 2018年4月6日-8日
開催場所 佐賀県唐津市 近郊
天候 Leg1) 雪 時々 曇り
Leg2) 晴れ
路面 Leg1) ハーフウェット~ウェット
Leg2) ドライ
ターマック(舗装路面)
総走行距離 370.66km
SS合計距離 76.08km (14SS)
得点係数 1.0 (舗装路50km~100km)
参加台数 42台(オープンクラス含)
(ヨコハマタイヤ装着車 14台)
2017 全日本ラリー選手権 第2戦

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2月にウィンターラリーで開幕している2018年の全日本ラリー選手権は、第2戦が佐賀県唐津市を舞台に開催された。ヨコハマタイヤ勢にとっては実質的な開幕戦となる「ツール・ド・九州2018 in 唐津」、ライバル勢は新たにリリースしたタイヤでの参戦となり、迎え撃つかたちとなるADVAN A052のポテンシャルが試される一戦となる。

カレンダーは4月に入り、唐津地方は桜の見頃も終わって春到来と誰もが思っていた。4月6日(金)のレッキは雨模様、時折雨足が強まり“春の嵐”となった。散った桜の花びらが舞う中での戦いになると思われていたが、そこに待ち受けていたのは地元の皆さんでさえも驚きの声を上げた季節外れの雪が舞うSS(スペシャルステージ)だったのである。

4月7日(土)、8時から唐津神社で恒例の安全祈願が行われた後、8時40分に1号車がスタート。沿道には多くの市民やファンが集まり、SSへと向かっていく各クルーに声援をおくるいつもの光景が見られた。この日の朝は冷え込みが厳しく沿道のファンも厚着姿、そしてこのころには戦いの舞台となるSSでは雪が舞っていたのである。

市内中心部から東へ30kmほどのエリアが序盤戦の舞台。「林の上 (3.84km)」はSS1/5/7と3回走行、「羽金山 (9.42km)」はSS2/6/8とこちらも3回走行する。これにギャラリーステージとなる「見帰の滝 (1.47km)」をSS3/4で走行する全8本、合計42.72kmがレグ1のアイテナリーだ。

朝から雪が舞い、時には横殴りで吹雪のようにもなった「林の上」と「羽金山」のステージ。路面に積もることは無かったが、SS1と2の序盤はハーフウェット、そこからウェット路面へとコンディションは厳しくなり、一日を通じて気温/路面温度ともに3~5℃という中での戦いとなった。

そんな中、JN6クラスはSS1と2こそステージベストをライバルに譲ったものの、僅差で続いていたヨコハマタイヤ勢がSS3から優勝争いの主役となっていく。SS3で奴田原文雄選手/佐藤忠宜選手組(ランサー)がベスト、新井敏弘選手/田中直哉選手組(WRX STI)がセカンドベストを刻み、このステージを終えて新井選手組はライバルに6秒差をつけるトップに躍り出た。

SS3を終えたサービスではタイヤ交換を行うライバルも見受けられる中、ヨコハマタイヤ勢はスタートで装着していた4本をそのまま使用。新井選手組は前後をローテーションしたが、奴田原選手組はスタートそのままの状態でセクション2へと向かって行った。

お昼を過ぎても雪が舞い寒さも変わらない中で迎えたセクション2は、ADVAN A052のポテンシャルが遺憾無く発揮される展開に。SS5は新井選手組がベスト、奴田原選手組がセカンドベストで続き、これで奴田原選手組が2番手へと浮上。さらにサードベストを刻んだのは地元の地区戦チャンピオンである城戸新一郎選手/橋口由衣選手組(インプレッサWRX STI)、4番手は柳澤宏至選手/加勢直毅選手組(WRX STI)と、ヨコハマタイヤ勢が上位を独占。

このままSS5からレグ1最終のSS8まで新井選手組と奴田原選手組のワン・ツーが続き、4連続ステージベストを刻んだ新井選手組がトップ、20.8秒差の2位が奴田原選手組、その12.7秒後ろで柳澤選手組が3位というヨコハマタイヤ勢の1-2-3-フォーメーションでレグ1が終了。4位のライバルと柳澤選手組は49.5秒という大差で、優勝争いは完全にヨコハマタイヤ勢に絞られた。

一夜明けてレグ2が行われる8日(日)は、朝から青空が広がった。昨日の雪が嘘のような好天となり、唐津市の最高気温も14℃にまで上昇した。そんな中、この日は「白木々場 (3.70km)」、「三方 (9.18km)」、「古窯の森 (3.80km)」を各2本ずつ走る6つのSS、合計距離33.36kmで勝負を決する。

レグ2に入ってチャージしたのが奴田原選手組。ステージ毎に新井選手組との差を詰めていき、SS11と12のギャラリーステージ「古窯の森」では連続ベストを叩き出す快走を見せる。最終ひとつ前のSS13を終えて両者の差は2.6秒、世界のラリーシーンを戦ってきた日本を代表するラリースト同士の一騎討ちは、唐津の名物ステージ「三方」を残すのみとなった。

注目のSS14「三方 2」、奴田原選手組は8分01秒0のセカンドベストを刻んでフィニッシュ。新井選手組を逆転して優勝を飾り、ライバルの唐津連勝記録に終止符を打つことに成功した。2位は新井選手組、そして3位に柳澤選手組という最終結果となり、2018年の唐津は最高峰のJN6クラスでヨコハマタイヤ勢がトップ3を独占、難しいコンディションの中でADVAN A052の速さと強さを実証するリザルトとなった。

このほか、JN5クラスは川名賢選手/保井隆宏選手組(208)が初日で孤軍奮闘状態となったが、しっかりとマシンをフィニッシュまで運んでウィナーに。

JN4クラスは山口清司選手/山本磨美選手組(86)が、初日を終えて2位の山本悠太選手/高橋浩子選手組(86)に対して50秒以上の大差をつけ、二日目はこの“貯金”も活かして安定した戦いぶりでフィニッシュ。山口選手は一昨年の久万高原以来となる優勝で幸先よいシーズンイン、山本選手組が2位で続いてヨコハマタイヤ勢のワン・ツーとなった。

JN2クラスは明治慎太郎選手/北田稔選手組(86)が、こちらも初日に築いたマージンを背景に二日目も快走。貫祿の優勝で、チャンピオン奪還に向けて好スタートを切った。

DRIVER VOICE

奴田原文雄 選手 [ADVAN-PIAA ランサー]

【今回の成績 : JN6クラス 優勝】
初日の雪が降る低温ウェットから、日差しが降り注ぐ二日目のドライまで、幅広い路面コンディションにおいてADVAN A052の高いポテンシャルが勝因のひとつになりました。また、チームの山田チーフメカニックがマシンを素晴らしいコンディションに仕立ててくれたことも、大きな勝因のひとつです。ドライバーが特別なことをしたわけではなく、いつもと同じように走っているだけ。それに対してマシンがしっかり答えてくれてタイムを出せるようにセットアップしてくれたことで、優勝を飾ることが出来ました。まずは良いシーズンインとなって、ホッとしています(笑)

川名 賢 選手 [ADVAN CUSCO プジョー208]

【今回の成績 : JN5クラス 優勝】
初日の時点で自分たちだけという状況になったのですが、二日目は確実にフィニッシュまでマシンを運ぶことが求められました。自分のコンセントレーションを、最後まで維持することが難しかったですね。そんな中、いろいろなことにトライする貴重な機会として活用もしました。次につながるであろう収穫、いいものも悪いものも色々と得ることが出来ましたね。シリーズを考えた上でもフルポイント獲得は大きいので、次の丹後もベストを尽くして内容的に満足出来るラリーを戦っていこうと思います。

山口清司 選手 [jms エナペタル ADVAN 久興 86]

【今回の成績 : JN4クラス 優勝】
初日で大きな“貯金”が出来たので、二日目は淡々と走っていこうと。ただ、二日目の前半はちょっとリズムを掴むのが難しかったので、マージンはあるけれどタイムがあまりに遅いので気を引き締め直して後半を走りました。一昨年の久万高原以来となる優勝、山本磨美選手とのコンビでは2015年のハイランドマスターズ以来の2勝目です。ようやく勝てた、というのが本音のところですが、準備してきたことが報われました。次につながる収穫もあったので、それもフィードバックして次に臨んでいきます。

明治慎太郎 選手 [Sammy☆K-one☆ルブロス YH 86]

【今回の成績 : JN2クラス 優勝】
二日目の白木々場では落ち葉にでも乗ったのかスピンを喫してしまいましたが、クルマを壊さないことを大前提として色々と試しながらフィニッシュまで運びました。クルマのメンテナンスもしっかりやっていただいていますし、自分の要望にも答えてもらえるので、良い環境で戦えていることに感謝しています。自分にとっては得意な唐津でしっかり勝てたことが、シーズンを戦う上でも大きな一勝になりました。

TECHNICAL INFORMATION

使われるステージは昨年と大きく変わらないが、走行方向が逆に設定されるなどした2018年の唐津。土曜日は終日、まさかの雪模様となり極低温ウェット路面が選手たちを待ち受けたが、ここでADVAN A052がライバルを圧倒する展開となった。ADVAN A052は世界市場で販売されているタイヤであり、幅広い路面コンディションにおいて優れたポテンシャルを有している。ラリーという競技はフィールドが広大であり、今回のようにコンディション変化が大きくなることも珍しくない。ADVAN A052が本大会において強さを見せたことも、ある意味では必然だったと言えるだろう。

また、好タイムをマークしながらも摩耗性能が優れていたことも注目のポイント。ヨコハマタイヤ勢は初日を4本で走りきり、ライバルとの差を見せた。さらに二日目は新品でスタート、JN6クラスで優勝を飾った奴田原選手組は、中間サービスで前日に使った4本に交換して後半の逆転劇を演じた。低温ウェットを一日走りきっても摩耗状態が良かったゆえの判断だが、ADVAN-PIAAランサーのセットアップが最適化されていることもあり、ADVAN A052のポテンシャルを余すところなく引き出した結果の優勝となった。