2017 SUPER FORMULA Round 5 Report

【SUPER FORMULA 第5戦/オートポリス】

ヨコハマタイヤがSUPER FORMULAで初めて挑む九州ラウンド、
ピエール・ガスリー選手が2連勝で2スペック大会を制覇!!

SUPER FORMULA Round 5

開催日 2017年9月9日-10日
開催場所 オートポリス
(大分県)
天候 晴れ
路面 ドライ
決勝周回数 54周 (1周=4,674km)
参加台数 19台
SUPER FORMULA 第5戦

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「SUPER FORMULA(全日本スーパーフォーミュラ選手権)」の第5戦がオートポリスで開催。前戦もてぎ大会で待望の国内初優勝を果たしたピエール・ガスリー選手(TEAM MUGEN)が、勢いそのままに2連勝。今季の2スペックタイヤ採用大会を完全制覇した。

ヨコハマタイヤがSUPER FORMULAへのタイヤ供給を開始した昨年は、熊本地震の影響によりキャンセルされた九州大会。国内トップフォーミュラとしては2年ぶりの、そしてヨコハマタイヤとしては初めてのオートポリスでの戦いとなった。もてぎとはコースのキャラクターも路面特性も全く異なる舞台で、2種類のタイヤがどのようなパフォーマンスを見せるのか、どのようなレースが展開されるのか、注目が集まった。

9日(土)の午後に行われた公式予選。Q1はミディアムタイヤの使用が義務付けられ、1分27秒台にタイムを入れた野尻智紀選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)を筆頭に14台がQ2進出を決めた。Q2、Q3ではソフトタイヤの使用が認められていることからコースレコードの更新が期待されたが、その期待通り、まずはQ2で小林可夢偉選手(KCMG)が1分26秒317でレコード更新。

さらにQ3では国本雄資選手(P.MU/CERUMO・INGING)、野尻選手もレコードタイムを上回った。最速タイムを記録したのは野尻選手で、そのタイムは1分26秒196。フロントローには国本選手が並び、小林選手は3番手。ガスリー選手も初めて走るコースながらQ3まで駒を進め、5番グリッドを手に入れていた。

週末を通して秋晴れとなったオートポリス。ただし標高の高さも関係しているのか陽射しは強く、気温25℃、路面温度は33℃というコンディションで10日(日)に決勝レースがスタートした。供給されたタイヤのセット数や走行時間の関係で、各車ともソフトタイヤの走行データが十分に集まっているとは言えないためか、上位勢はほとんどのマシンがミディアムタイヤでスタート。序盤にソフトタイヤのパフォーマンスで順位を上げていきたい中団以降の選手がソフトタイヤを装着してのスタートになった。

5番グリッドのガスリー選手は、グリッド上でミディアムタイヤからソフトタイヤへ変更。見事なスタートダッシュで1コーナーまでに2番手に上がると、野尻選手との激しいトップ争いが始まった。チョイスしたタイヤの違いからすぐに決着がつくかと思われたが、10周以上にわたって膠着状態が続く。

その間、レースファンを沸かせてくれたのは11番グリッドからスタートした関口雄飛選手(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)で、ソフトタイヤのパフォーマンスを存分に発揮するために2ピット作戦を敢行。1度目のタイヤ交換に入るまでに3番手まで浮上。13周を終えて再びソフトタイヤに交換し、次々にコース上でオーバーテイクを見せていった。

膠着状態のトップ争いで、先に動きを見せたのはガスリー選手だった。23周を終えたところでピットへ向かい、ミディアムタイヤへ交換。見た目上8番手でコースに復帰すると、ライバル勢の動向を伺いながらプッシュを重ねていった。野尻選手はそれより10周以上ファーストスティントを伸ばし、38周を終えたところでピットイン。

こちらはソフトタイヤへ交換しコースへ復帰したが、ガスリー選手よりも給油時間が長くかかったこともあり、2台のポジションはついに逆転。野尻選手はその後、40周目に他車と接触しコースオフ。マシンにダメージを受けたこともあり、上位争いから離脱することになった。

全車がピット作業を済ませ、名実ともにトップの位置についたガスリー選手は、最後まで安定してレースをリード。初優勝から1か月もたたないうちに2勝目を獲得した。SUPER FORMULAで2連勝が記録されたのは2015年以来(アンドレ・ロッテラー選手が第6戦/第7戦Race1と連勝している)。

もてぎ大会ではミディアムタイヤからソフトタイヤへのスイッチで、今大会ではソフトタイヤからミディアムタイヤへのスイッチでと、異なる2つの戦略で勝ち星を挙げ、GP2王者のレベルの高さを発揮した。

SUPER FORMULAルーキードライバーの2連勝もさることながら、サーキットに集まったファンを驚かせたのは2位・3位の表彰台を占めたSUNOCO TEAM LEMANSの2台。レーススタート早々、4周を終えてピット作業を行ったフェリックス・ローゼンクヴィスト選手は、周囲の予想を裏切る1ピット作戦。燃費はもちろん、50周にわたってタイヤのマネージメントも完ぺきに行い、2位表彰台を獲得した。

チームメイトの大嶋選手も6周終了と早めのタイミングでピットイン。こちらも勝負の1ピット作戦を見事に成功させ、久々の表彰台獲得となった。

DRIVER VOICE

ピエール・ガスリー 選手 [TEAM MUGEN]

【今回の成績 :優勝】
2勝目を挙げられて、とても嬉しいです。レース前はミディアムタイヤでスタートする作戦を採っていましたが、グリッドにつくと上位4台も同じ戦略のようでしたから、“同じ戦略では勝てない。違う作戦を採るべきだ”と考え、ソフトタイヤへ変えました。結果的に、作戦が非常にうまく行きましたね。僕はSUPER FORMULAルーキードライバーですが、チームが一生懸命いい仕事をしてくれたおかげもあって2連勝できました。まだまだレベルアップしていきたいと思っているので、残りのレースも頑張ります。

ENGINEER VOICE

渡辺 晋 [横浜ゴム モータースポーツ開発部]

ヨコハマタイヤとしては、SUPER FORMULAで初めて挑むオートポリス大会になりました。どのサーキットでも目標の一つとしているコースレコードの更新は達成しましたし、心配していたタイヤのトラブルもなく、安心してレースを終えることができました。

ただし、エンジニアとしてレースでのタイヤ状況の予想を外したことは非常に残念に思っています。まだまだ分析していかないといけませんが、週末を通した路面状況の変化が、想定と違ったミディアムタイヤのたれや、ソフトタイヤのタイムの落ちの早さに影響したのではと考えています。オートポリスは、走行を重ねるごとに路面の状況が大きく変化します。金曜日の練習走行ではグレーニングが見られましたが、土曜日の夕方辺りではタイムを出すのにちょうどよいコンディションになり、決勝のタイミングではまた大きく変わってしまいました。チーム側も、非常に難しいレースになったのではないでしょうか。その状況に適応し、変化にアジャストできたガスリー選手とチームの戦い方は素晴らしかったと思います。

次戦のSUGO大会からは、再びミディアムタイヤの1スペック供給に戻ります。去年は僅差でコースレコードを獲り逃しましたが、今年はクルマの方も良くなったと聞いていますし、ぜひコースレコードを出したいですね。