2017 SUPER FORMULA Round 3 Report

【SUPER FORMULA 第3戦/富士】

圧倒的な速さを誇った国本雄資選手がまさかの戦線離脱、
僚友・石浦宏明選手がトップを引き継ぎ今シーズン初勝利!!

SUPER FORMULA Round 3

開催日 2017年7月8日-9日
開催場所 富士スピードウェイ
(静岡県)
天候 晴れ
路面 ドライ
決勝周回数 55周 (1周=4,563km)
参加台数 19台
SUPER FORMULA 第3戦

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「SUPER FORMULA(全日本スーパーフォーミュラ選手権)」の第3戦が富士スピードウェイで開催。300km/hを超えるハイスピードバトルを制したのは、石浦宏明選手(P.MU/CERUMO・INGING)。昨年の第2戦岡山大会以来、久々の勝利を飾り、シリーズランキングでもトップに浮上した。

季節は夏に突入し、富士山のふもとで比較的涼しいと予想されていた富士スピードウェイも、連日30℃を超える暑さを記録した週末。8日(土)の公式予選を制したのは、ディフェンディングチャンピオンの国本雄資選手(P.MU/CERUMO・INGING)だった。前日の専有走行や予選日午前中の走行では4~5番手にとどまり、ポールポジション争いには及ばないかと予想されていたが、結果的にはQ1/Q2/Q3すべてでトップタイムを記録し完全制覇。「もう少し合わせこみたい部分はありましたが、路面状況が向上してくるだろうと見込んで進めていったことがうまく行きました。なによりエンジニアが、僕が求めていたものをすべて再現してくれたので、クルマを100%信頼して自分の力を出し切れました」と記者会見で話すように、自身の速さとチーム力が完全にマッチしたことで、シリーズ戦では自身初となるポールシッターに輝いた。僅差でフロントローにつけたのは石浦選手で、P.MU/CERUMO・INGINGチームの速さ・強さをさらに印象付けることとなった。

決勝レースの行われた9日(日)も、日向に出た瞬間に汗が噴き出るような暑さとなった。 午後2時10分、決勝レースがスタート。国本選手が抜群の飛び出しを見せてホールショットを奪う一方、石浦選手は珍しくスタートミスで出遅れてしまう。代わって関口雄飛選手(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)が予選3番手から、中嶋一貴選手(VANTELIN TEAM TOM’S)が同じく4番手からそれぞれ1つずつポジションを上げたが、国本選手はオープニングラップからハイペースで周回し、すぐに後続とのギャップを広げ始めた。国本選手のトップ独走、そして関口選手、中嶋選手、石浦選手の3台が激しい2位争いを展開しながら、レース前半は進んでいった。

レースに動きが見えたのは9周を終了したころ。予選では赤旗中断に足をすくわれる形でまさかの12番手スタートとなっていたアンドレ・ロッテラー選手(VANTELIN TEAM TOM’S)が、得意のスタートで7番手まで順位を上げたところで早めのピットインという戦略に出た。これに合わせるかのように、13周終了で中嶋選手が、翌周には関口選手がピットインを選択。この3台が後方から猛追する一方で、P.MU/CERUMO・INGINGの2台が盤石のワン・ツー体制でレースを引っ張っていく。国本選手は後方との差を一時9秒近くまで広げていたが、じわじわと石浦選手もペースを上げ、29周目には4.6秒までその差は縮まっていた。

31周を終了して国本選手がピットへ向かい、タイヤ4本交換と燃料補給を済ませコースに復帰したが、このアウトラップで突如スロー走行。そのままもう一度ピットへと戻ってきた。マシントラブルで、その後もタイヤを換えて再度レース復帰を試みるも、最終的にはガレージイン。予選から圧倒的な速さを見せながら、まさかのリタイアとなった。

これで優勝候補の筆頭に上がったのがチームメイトの石浦選手。38周を終えてピットへ向かうと、メカニックも無駄のない動きでピット作業を済ませ、暫定2番手でコースへと復帰した。その後方には、フェリックス・ローゼンクヴィスト選手(SUNOCO TEAM LEMANS)が予選10番手から大きくポジションアップに成功。レース序盤は9番手あたりを走行していたが、早めにピットインを選択したロッテラー選手、中嶋選手、関口選手の3人が激しいバトルを展開している間に、安定したペースで周回を重ねられたことでポジションアップしていた。ローゼンクヴィスト選手は終盤になって、石浦選手を上回るラップタイムも記録。46周目には1分25秒581のファステストラップを奪い、最後まで追撃の手を緩めなかった。

全車がピット作業を済ませると、石浦選手は堂々のトップ復帰。最後までレースをコントロールし、今シーズン初のトップチェッカーを受けた。2位のローゼンクヴィスト選手も国内レース初の表彰台獲得。3位には、関口選手、中嶋選手とのデッドヒートを制したロッテラー選手が入った。4位の関口選手は、予選8番手からポジションを上げてきたピエール・ガスリー選手(TEAM MUGEN)との熾烈な戦いを披露。タイヤ4本交換を選択したガスリー選手に対し、序盤にタイヤ無交換でピット作業を終えていた関口選手は最終ラップの最終コーナーで挙動を乱し、2台は並んでホームストレートへと戻ってきた。ほぼ同時にチェッカーを受けた2台だが、僅か0.035秒先にコントロールラインを通過したのは関口選手。トップ独走の後ろで、最後まで手に汗握るハイスピードバトルを見せていた。

DRIVER VOICE

石浦宏明 選手 [P.MU/CERUMO・INGING]

【今回の成績 :優勝】
チャンピオンシップのことを考えると今回は勝ちたいとは思っていましたが、実際は予選から国本に流れがありました。厳しいレースになるだろうと思っていたのですが、展開に恵まれましたね。チームとしてはワン・ツーが見えていたのでそこは悔しいですが、自分の力を出し切って優勝できたことは嬉しいです。さらにシリーズでもリードを広げられるよう、次戦以降も頑張っていきたいと思います。

ENGINEER VOICE

渡辺 晋 [横浜ゴム モータースポーツ推進室 開発本部]

今回はお客様にとって、いろいろな出来事が起きて最後まで楽しめるレースになったのではと思います。一方で、レース中盤には2台の車両にタイヤトラブルが発生してしまいました。トラブルが発生した場所を考えると、例えばリアタイヤをたくさん使うようなセットアップや、内圧設定などの要因が重なったことでトラブルが生じたのではと考えています。また、今シーズンは昨年のタイヤから構造を変えていますから、どこかに影響があった可能性もあります。次戦以降に向けて、何が起きてしまったのかをしっかりと分析していきたいと思います。全体的なラップタイムは昨年と同じぐらいですが、今大会では併催カテゴリーのタイヤのゴムかす、溶けゴムの影響が多くあった中ではいいタイムだったのではと思います。

次戦は、現在使用しているミディアムに加え、ソフトコンパウンドのタイヤも投入します。摩耗的に不利なソフトを投入するわけですから、例えば今日の終盤、そこまでタイヤ無交換で頑張ってきた関口選手がだんだん苦しくなってきて、ガスリー選手と超接近戦になりましたが、同様のシチュエーションが生まれる可能性があります。タイヤ交換のタイミングなどをしっかりとマネージメントしたチームがレースを引っ張っていくのではないでしょうか。見た目でのバトルに加えて、そうしたコアな見方も楽しんでいただけるようなレースになればと期待しています。