2017 SUPER FORMULA Round 2 Report

【SUPER FORMULA 第2戦/岡山国際】

2レース制で行われた全日本スーパーフォーミュラ選手権の第2戦、
アンドレ・ロッテラー選手と関口雄飛選手が勝利を分け合った!!

SUPER FORMULA Round 2

開催日 2017年5月27日-28日
開催場所 岡山国際サーキット
(岡山県)
天候 晴れ
路面 ドライ
決勝周回数 Race 1 : 30周
Race 2 : 51周
(1周=3,703km)
参加台数 19台
SUPER FORMULA 第2戦

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「SUPER FORMULA(全日本スーパーフォーミュラ選手権)」の第2戦が岡山国際サーキットで開催。2レース制のフォーマットで争われた今大会は、レース1ではアンドレ・ロッテラー選手(VANTELIN TEAM TOM’S)が、レース2では関口雄飛選手(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)がそれぞれ勝利を飾った。

4月下旬に開幕したSUPER FORMULAは、約1か月のインターバルを挟んでの第2戦開催となった。岡山国際サーキットでは、昨年第2戦と第5戦の2回レースが行われたが、その第5戦とレースフォーマットを揃え、27日(土)にピット作業の義務付けなしの30周スプリントレースが、28日(日)にはタイヤの4本交換作業が義務付けられた51周のレースが設定された。これに先立って行われた26日(金)の専有走行では、伊沢拓也選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)がトップタイムを奪取。しかし関口選手が1000分の1秒差で2番手につけ、週末に向けて0.001秒を争う「超僅差のバトル」を予感させた。

3日間を通して天候に恵まれた岡山。27日(土)は、45分間のフリー走行の後、10時30分から20分間の計時方式による公式予選が行われた。1周が約3.7㎞と短いコース上で、19台のマシンがほぼ同時にタイムアタックに入るとあって、多くのドライバーが他車に引っかかってしまうトラフィックに遭遇する中、周囲に他のマシンが全くいない状況でのアタックに成功した関口選手が2番手以降を0.5秒以上突き放す大差でポールポジションを獲得。ロッテラー選手はフロントローにつけ、ルーキードライバーのニック・キャシディ選手が自己最高グリッドを獲得する形で3番手に入った。

決勝レースは曇り空の中でのスタート。抜群の動き出しを見せたロッテラー選手が、わずかに出遅れた関口選手をかわしてトップで1コーナーを通過する。関口選手は後続のマシンをなんとか抑えて2番手に。3番手以降は数台がサイド・バイ・サイドの状態でコーナーへ入っていく混戦となるが、これをうまく潜り抜けたキャシディ選手(KONDO RACING)が3番手を守ってオープニングラップを終えた。序盤からハイペースのトップ2台は3番手以降を引き離しながら接近戦を展開していったが、10周を超えたあたりから徐々にロッテラー選手が関口選手との差を広げにかかる。

関口選手も引き離されまいとプッシュを重ね、20周を超えた終盤戦では再び差を詰めていったが、オーバーテイクを仕掛けるほどのギャップには届かず、ロッテラー選手が2015年最終戦以来のトップチェッカーを受けた。関口選手に続き、キャシディ選手が予選順位を守り抜き3位で自身初表彰台を獲得。予選トップ3と同じ顔ぶれが決勝レースでも揃うこととなった。

一夜明けて、28日(日)のレース2は、2セッションによるノックアウト方式の予選が採用された。雲一つない快晴のもと、Q1でトップタイムを奪ったのは2015年にこの岡山で自身初のスーパーフォーミュラ優勝を飾った石浦宏明選手(P.MU/CERUMO・INGING)。石浦選手はQ2でも、残り時間が2分を切ったところで起きた赤旗中断も乗り越えてトップタイムを奪取。

予定していたアタックラップでわずかにコースアウトを喫した石浦選手は、2周連続のトライでこのセッション唯一の1分13秒台のタイムを記録し堂々のポールポジション獲得となった。石浦選手に続いたのは、レース1で予選・決勝ともに3位となったキャシディ選手のチームメイト、山下健太選手(KONDO RACING)で、SUPER FORMULA2大会目にして初めてのフロントローポジションをゲット。レース1のポールシッター関口選手が3番手につけた。

一日のうちでもっとも気温が上がるとされる14時を過ぎ、気温27℃、路面温度は41℃と週末で一番高い温度を記録したところで、レース2の決勝レースがスタート。レース1と異なり、全車が必ず1回はピット作業を行わなければならないルールで、誰がどのタイミングでピット作業を行うかがレースの焦点となった。

ポールシッターの石浦選手が僅かにホイールスピンを喫したもののトップを死守してオープニングラップを終えた一方、関口選手は集団に飲み込まれる形でいくつかポジションダウン。前後に他車が近づいて自分のペースを保てない状態を避けるため、1周目を終えるところでルーティーンのピット作業を済ませてしまう戦略を採った。上位陣の中では唯一このタイミングでのピットインとなった関口選手は、クリアスペースでのコース復帰に成功。石浦選手のペースを上回るラップタイムで周回を重ねていった。

石浦選手にとっては直接姿が見えない関口選手とのバトル。こちらも2番手以降を引き離し独走状態を築いていたが、関口選手との差はじわじわと縮まっていった。34周を終えて石浦選手がピットイン。関口選手はすでに逆転可能な位置につけており、石浦選手の作業中にコントロールラインを通過してトップに躍り出た。石浦選手は3番手を走行していたロッテラー選手の目の前でコース復帰。交換直後のタイヤが温まるまでロッテラー選手の追撃を必死にかわしていたが、タイヤに熱が入った以降は一気にタイムを上げて関口選手を追いかけた。

それでも両者の差は8秒以上に開いており、接近戦に持ち込むのは困難かと思われた矢先、38周目に2コーナーでクラッシュ車両が発生したため、コース上にセーフティカーが導入される展開に。関口選手と石浦選手との差は一気に縮まることになった。レースは43周目に再開。ここで後続をうまくコントロールしてリスタートを切った関口選手は石浦選手の猛追をしのぎ切ってトップチェッカー。昨年の第6戦SUGO大会での劇的な初勝利から約8か月ぶりの2勝目を飾った。

DRIVER VOICE

アンドレ・ロッテラー 選手 [VANTELIN TEAM TOM’S]

【今回の成績 : Race1 優勝】
昨年は残念ながら1勝もできなかったので、またこうやって表彰台の一番上に立つことができてうれしいです。ここまで長かったですね。今回のレースでは、いいスタートを切れて最初にトップに立てたことが優勝できた一番の要因だと思います。予選ではタイヤのピークをうまく引き出すタイミングが難しかったのですが、そんな中でもフロントローにつけることができたのも、この結果に結びついたと思います。

関口雄飛 選手 [ITOCHU ENEX TEAM IMPUL]

【今回の成績 : Race2 優勝】
昨年の優勝はマシンのポテンシャルが高かったことはもちろんですが、自分で勝ち取ったという意識のほうが強かったのに比べて、今回はチームにレベルの高いマシンといい戦略を用意してもらい、勝たせてもらったという感覚が大きいですね。チームの皆さんにとても感謝しています。今回はなかなかオーバーテイクがしづらいレースになると思っていたので、ミスさえしなければ大丈夫だという自信を持って最後まで走り切りました。

ENGINEER VOICE

渡辺 晋 [ヨコハマ・モータースポーツ・インターナショナル 開発本部]

どんなレースフォーマットでも毎戦同じではありますが、タイヤサプライヤーとしてはまず、タイヤが安全に機能したかということが最重要項目になり、そこから品質管理、パフォーマンスというふうに見ていきます。コースレコードが出るかどうかも注目どころではありますが、今回は通常のように、路面状況が向上するはずの日曜日のほうが土曜日に比べてタイムが伸び悩みました。どのチームも、今シーズンのスペックのタイヤについて、開幕戦である程度理解が深まったと思いますが、今回でまた悩んでしまったかもしれませんね。

岡山は今年路面改修が行われていますが、新しい路面というのはタイヤに厳しく、コースの使用頻度にもよりますがだいたい1年ほどかけて路面状況が落ち着いてくるものです。現時点では改修から数か月ほど経過したところなので、路面状況が出来上がっていないのでは、というようにも推測しています。

次戦の富士は、今シーズンの狙いどころである“グリップの安定性”が出しやすいので、鈴鹿戦のようにハイスピードの戦いが見られると期待しています。テクニカルなセクター3区間などはドライバーの工夫の仕方も様々に表れてくるのではと予想しています。