2017 SUPER FORMULA Round 1 Report

【SUPER FORMULA 第1戦/鈴鹿】

全日本スーパーフォーミュラ選手権が鈴鹿で開幕、
中嶋一貴選手がポール・トゥ・ウィンで初戦を制す!!

SUPER FORMULA Round 1

開催日 2017年4月22日-23日
開催場所 鈴鹿サーキット
(三重県)
天候 晴れ
路面 ドライ
決勝周回数 35周
(1周=5,807km)
参加台数 19台
SUPER FORMULA 第1戦

[Photo]

[Photo]

[Photo]

[Photo]

[Photo]

[Photo]

アジア最高峰のフォーミュラカテゴリー「SUPER FORMULA(全日本スーパーフォーミュラ選手権)」が、4月22~23日に鈴鹿サーキットで開幕。コースレコードが大きく更新されたハイスピードバトルを、中嶋一貴選手(VANTELIN TEAM TOM’S)がポール・トゥ・ウィンで制した。

開幕前、3月に行われた合同テストでは非公式ながらF1マシンに匹敵するようなタイムが記録された今シーズンのSUPER FORMULA。今大会では正式なコースレコード更新が期待されていた。21日(金)の占有走行では路面状況の違いがあってか、昨年の予選時と同様のタイムが並んだが、一夜明けた22日(土)には、午前中のフリー走行で早くもコースレコードを上回るタイムが記録された。

そして、待ちに待った公式予選が午後2時からスタート。20分間で行われるQ1では、残り時間が1分を切ったころからのアタック合戦で、中嶋一貴選手が1分36秒465とコースレコードを更新してトップタイムをマーク。さらにディフェンディングチャンピオンの国本雄資選手(P.MU/CERUMO・INGING)やピエール・ガスリー選手(TEAM MUGEN)、山本尚貴選手(TEAM MUGEN)など上位8台がこれまでのコースレコードを上回って見せた。Q2ではトップを奪った国本選手から上位13台までが1秒差に入る超接戦の予選となり、ポールポジション争いとなるQ3ではトップの2台が1分35秒台を記録。先にコントロールラインを通過した国本選手のタイムを100分の9秒というわずかな差で上回った中嶋一貴選手が、今シーズン開幕戦のポールシッターとなった。

決勝日となった23日(日)は、朝から目にまぶしいほどの青空に恵まれた。今大会では周回数が35周、レース距離にして203㎞と、通常よりやや短いスプリントレースのレースフォーマットが採用された。さらにタイヤの「1本以上の交換」が義務付けられたことで、それぞれのチームがどのタイミングで、どんな作戦を採ってくるのかにも注目が集まっていた。

13時40分、いよいよ決勝レースがスタート。ホールショットを奪ったのはポールポジションからスタートした中嶋一貴選手。2番手にはスタートで順位を上げた山本選手が続き、国本選手は1つ後退。チームメイトの石浦宏明選手とともに上位の2台を追いかける展開となる。

レースは1周目から動きを見せた。アンドレ・ロッテラー選手(VANTELIN TEAM TOM’S)や関口雄飛選手(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)、中嶋大祐選手(TCS NAKAJIMA RACING)など中団の順位からスタートした選手を中心に6台がピットインを選択。さらに2周目を終えるところで石浦選手やガスリー選手を筆頭に4台がピットインを選択した。翌周には国本選手とルーキーのヤン・マーデンボロー選手(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)の2台がピットインと、序盤の数周で12台のマシンがピット作業をすませてコースに復帰。レース前半はステイアウトした7台から多少のギャップを経て、国本選手、石浦選手のディフェンディングチャンピオンチームが後続を引き連れていく展開となった。

それぞれがタイム差を保った状態で周回数が重ねられていくが、その中でも中嶋一貴選手、山本尚貴選手、ステイアウトを選択し予選5位から3番手まで上がってきた塚越広大選手(REAL RACING)は他よりもペースが良く、徐々に4番手以降との差を広げていく。彼らがピットに入っている間に逆転を狙う国本選手や石浦選手も懸命にプッシュを続けるが、次第にその差は開いていった。

やがて上位陣の中でも小林可夢偉選手(KCMG)、伊沢拓也選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、野尻智紀選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)らがピットに入り順位を後退していく中、22周目のスプーンコーナーで、大嶋和也選手(SUNOCO TEAM LEMANS)がスピンを喫し、コース上にストップしてしまう。大嶋選手の車両改修のためセーフティカーが導入されたが、この状況にトップの中嶋一貴選手と2番手の山本選手は素早い反応を見せてピットイン。セーフティカーによる隊列調整が進められる前にピット作業を済ませることに成功した。

残り9周のところでレースはリスタート。トップの中嶋一貴選手は後続とのギャップをコントロールするかのように絶妙のタイミングと加速でトップを守り抜き、山本選手、国本選手と順位に変動はなかった。

この終盤では膠着状態となった上位争いの後方で、ルーキードライバーたちがハイレベルなバトルを展開。フェリックス・ローゼンクヴィスト選手(SUNOCO TEAM LEMANS)とガスリー選手による10位争いは、30周目に最接近し、ローゼンクヴィスト選手がホームストレートでガスリー選手に並びかけた。サイド・バイ・サイドのバトルはS字コーナーまでもつれ込んだが、競り勝ったのはガスリー選手。ルーキードライバーの中でもトップでチェッカーを受けることに成功した。

リ・スタートから上位陣に大きな動きは見られず、終盤まで1分41秒台の前半タイムを連発していた中嶋一貴選手がトップチェッカー。新しいシーズンの初戦を完璧な形で制した。2位には山本選手、3位には国本選手が入った。

DRIVER VOICE

中嶋一貴 選手 [VANTELIN TEAM TOM’S]

【今回の成績 : 優勝】
去年は自分のミスで勝てるチャンスを逃していたので、久々の優勝になりました。スタートでエンジンストールしかけてひやりとしましたが、それ以外は非常にクルマの調子が良かったです。ピットインでは右リヤタイヤの1本交換を選択しましたが、その後のバランスもとても良く、いいペースで走ることができました。

ENGINEER VOICE

渡辺 晋 [ヨコハマ・モータースポーツ・インターナショナル 開発本部]

今シーズンは、スリックタイヤに関しては構造変更し、ウェットタイヤに関しては構造変更に加えてコンパウンドも一本化しました。新しいスペックのタイヤについて、金曜日のプラクティスや予選でもドライバーからは非常にいいコメントをいただいていましたし、レースも無事に終わってまずは一安心というところです。去年から今年に向けたタイヤの改善しろがどの程度のものだったのかは、今回の鈴鹿戦だけでは判断できませんが、まだ数戦レースを見ていけば、次にしなければならないことも見えてくるだろうと考えています。エンジンの性能向上もあって、マシン全体でパフォーマンスが上がったことでコースレコードも大きく更新しました。目標の一つだったのでうれしい出来事でしたね。

次戦の岡山大会は路面改修が行われてから、テスト等で走行していないサーキットになります。路面改修はタイヤにとってとても大きな影響を及ぼす出来事ですから、非常に気になるところです。我々がタイヤを供給しているF3やSUPER GTではすでにレースをしているのである程度の情報はありますが、SUPER FORMULAではどうなるか。今回上位に食い込めなかったチームが台頭してくる可能性もあるので、開幕戦とは違った展開になるかもしれませんね。