2017 JRC Round 7 Report

【全日本ラリー選手権 第7戦/北海道帯広市】

JN6は新井敏弘選手組が制して4年連続でヨコハマタイヤが優勝、
リタイア続出のサバイバルな一戦を6クラス中4つのクラスで勝利した!!

JRC Round 7

開催日 2017年9月15日-9月17日
開催場所 北海道帯広市 近郊
天候LEG1-A) 曇り
LEG1-B) 晴れ 時々 曇り
LEG2) 曇り
路面 LEG1-A) ウェット
LEG1-B) ウェット~ドライ
LEG2) ドライ
グラベル(非舗装路)
総走行距離 914.99km
SS総距離 192.28km (17SS)
※SS17はキャンセル。
得点係数 2.0 (非舗装路150km~)
参加台数 42台 (オープンクラス含)
(ヨコハマタイヤ装着車 18台)
全日本ラリー選手権 第7戦

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およそ2ヶ月半のインターバルをはさんで、全日本ラリー選手権は終盤戦に突入。全9戦のカレンダー、第7戦は北海道十勝地方を舞台とする「RALLY HOKKAIDO」。今シーズン2戦が設定されているグラベル(非舗装路)ラリーのひとつであり、APRC(FIAアジア・パシフィック・ラリー選手権)と併催されることもあって、シリーズでは群を抜くビッグスケールな戦いだ。

今年も帯広市をホストタウンとして、北愛国交流広場にサービスパークが設けられた。大会は15日(金)のセレモニースタートで幕を開けると、隣接する特設のショートステージから戦いが始まる。翌日からは林道に主な戦いの場を移し、3日間で18本のSS(スペシャルステージ)およそ200kmで競われる。

今年のラリーウィークは、すっきりしない空模様が続いた十勝地方。セレモニースタート前も一時は強い雨が降り、ナイトステージとなるSS1「SATSUNAI 1 (0.96km)」にはJN6クラスの奴田原文雄選手/佐藤忠宜選手組(ランサー)、新井敏弘選手/田中直哉選手組(WRX STI)ともに軟質路面用グラベルタイヤのADVAN A031を装着して臨んだ。このオープニングステージでは、両選手組が同秒のセカンドベスト。トップとは0.4秒の僅差で、まずは好調な滑り出しを見せた。

列島を横断する台風が北海道にも接近する中で気になる天気だが、16日(土)には青空も顔を見せた十勝地方。しかし、この日のオープニングとなるSS2「RIKUBETSU LONG (4.63km)」、スタートから間もない舗装区間で奴田原選手組はコースオフを喫して早々にデイ離脱という波乱の展開となってしまう。

一方の新井選手組、ADVAN A053を装着して臨んだSS2はトップから5.0秒遅れの4番手でトータル5.4秒差の2位というポジションで林道ステージへ。SS3の「KUNNEYWA 1」は28.75kmのロングステージ、ここは昨年に当地を襲った台風災害の影響もあって、やや道が荒れているとレッキで多くの選手が語っていた。そんなタフなステージでプッシュした新井選手組、サイドブレーキにトラブルを抱えながらも2番手に34.3秒というキロ1秒以上の大差をつけるスーパーベストを叩き出す。一方、それまでトップに立っていたライバルはパンクで大きくタイムロス、新井選手組は34.8秒差をつけるラリーリーダーに躍り出た。

続くSS4「SIPIRKAKIM SHORT 1 (14.62km)」も0.1秒ライバルをおさえて連続ベストを刻んだ新井選手組、SS5とSS6はベストを譲ったもののトップの座を守ってサービスイン。サイドブレーキのトラブルは完全に解消されなかったが、リピートステージとなるSS8「KUNNEYWA 2」もベストを刻み、LEG1の締めくくりとなる「SATSUNAI 2」も制すると1分12秒6という大差のトップで折り返した。

17日(日)も雨は降らず、ドライコンディションで迎えたLEG2。オープニングのSS12「OTOFUKE REVERSE 1 (6.12km)」、続くSS13「NEW HONBETSU 1 (13.79km)」と新井選手組は連続ベストで後続との差を拡げ、完全に主導権を掌中におさめた。

この後、SS16「NEW HONBETSU 2」でもベストを刻んだ新井選手組、SS17はキャンセルとなったがそのままトップを守ってフィニッシュまでマシンを運び、今シーズン2勝目を飾ってRALLY HOKKAIDOを2年連続で制した。

JN4クラスは、駆動方式の異なるマシン同士の接戦が演じられた。そんな中、グラベルで有利な4WDやFF(前輪駆動)勢に対して、FR(後輪駆動)のトヨタ・86を駆る山本悠太選手が大健闘を見せる。全日本ダートトライアル選手権のチャンピオンという称号を持ち、今シーズンから全日本ラリー選手権にフル参戦する山本選手はSS1「SATSUNAI 1」をベストであがって、まずはダートトライアル王者の貫祿を見せる。

林道ステージでもライバル勢に食らいついていき、SS9「SIPIRKAKIM SHORT 2」でベストを刻むなどしてLEG1を23.9秒差の2番手であがった山本選手組。LEG2に入って2本目のSS13「NEW HONBETSU 1」で一気にチャージしてトップを奪取、この後はライバルがマシントラブルに見舞われたりする中でポジションを譲ることなく嬉しいグラベルラリー初優勝を飾ることに成功した。

JN2クラスは、ヨコハマタイヤ勢の一騎討ちという展開に。ベテランの石田雅之選手/遠山裕美子選手組(86)と猪股寿洋選手/高篠孝介選手組(86)がその主役、スタート前に「石田選手に食らいついていきたい」と語っていた猪股選手が有言実行で、SS1は同秒ステージベストという幕開けになった。

土曜日の序盤は猪股選手組がベストを連発してリードしたが、プッシュの連続が祟ったかマフラーのトラブルを抱えてしまう。対する石田選手組が中盤以降は主導権を握り、トップでLEG1を終了。LEG2に入って猪股選手もステージベストを叩き出して追走したが石田選手組を逆転するには至らず、石田選手は洞爺に続いて連勝。猪股選手は2位で、ヨコハマタイヤ勢のワン・ツー・フィニッシュとなった。なお、この2位で猪股選手はJN2のポイント争いで首位に立ち、残る2戦にチャンピオンを賭けて挑む。

JN1クラスは今回もチームメイト対決となったが、一進一退の攻防戦を須藤浩志選手/新井正和選手組(スイフト)が制して洞爺に続いて連勝を飾った。この結果、コ・ドライバーの新井選手は2年連続のチャンピオンを確定。また、小川剛選手/佐々木裕一選手組(フィット)も、タフな戦いを走りきって3位表彰台を獲得した。

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DRIVER VOICE

新井敏弘 選手 [富士スバル アライモータースポーツ WRX]

【今回の成績 : JN6クラス 優勝】
サイドブレーキのトラブルがあったりで完璧ではなかったのですが、LEG1で実質的なタイム差が大きくついたので、LEG2は集中力を途切れさせないように走るのが大変でした。ただ、ライバルはパンクで遅れたわけですが、ああいうアクシデントはゆっくり走れば起こらないという話でもないですからね。絶対にパンクさせないようにするには勝負にならないくらいペースを落とさなければならず、そんなことは出来ないのでKUNNEYWAは2回目も無理をする程では無いにしても全開で行きました。1回目は100%に近いところまで攻めましたが、2回目は96~97%くらいのレベルですね。WRX STIの表彰台独占、その真ん中でフィニッシュ出来たのは嬉しいですね。

山本悠太 選手 [Sammy☆K-one☆ルブロス YH 86]

【今回の成績 : JN4クラス 優勝】
国内では群を抜くスケールのハイスピードラリーということで、特に駆動系には負担をかけないように心がけて戦いました。あくまでも完走を目標として、ライバルのタイムはあまり気にしないで自分の走りに集中した三日間でしたね。前戦の洞爺を終えてテストも重ねましたが思うようにいかない部分もありました。ですがトップで最終ステージをフィニッシュした時には、ご協力をいただいているみなさんの顔がパッと浮かんで、思わず涙ぐんでしまいました。

石田雅之 選手 [TRD プロクル 86]

【今回の成績 :JN2クラス 優勝】
前戦の洞爺もそうでしたが、今回もパーツのテストをしていることもあって、無理は出来ない状態でした。かなりおさえている中、ASHORO LONGで一回だけ一所懸命走りましたが(笑)。車としては前回より速さも増して、とても満足しています。私にとって全日本参戦はこれで一区切りとなりますが、残る2戦でJN2クラスはチャンピオン争いが面白くなってきますから注目してほしいですね。

須藤浩志 選手 [スマッシュ BRIG ダイニチ YH スイフト]

【今回の成績 :JN1クラス 優勝】
毎度のチームメイト対決でしたが、楽しいRALLY HOKKAIDOでした。シリーズ争いにとって重要な一戦でしたが、あまり優勝は意識していませんでした。ロングステージが1本キャンセルになったことで展開が変わった部分もありますが、なんとか完走しようという思いの中でフタを開けてみたらライバルとのタイムが似た感じになったので、我慢できなくなりましたね(笑)。クンネイワを一本走ったら高速コーナーのアプローチで発見があって、それを活かしてLEG2を走ったらタイムが伸びて。この歳になって、新たな進化もあった一戦になりました。

TECHNICAL INFORMATION

全日本選手権もスタートしたうちの30%ほどがリタイアという、サバイバルな展開に今年もなったRALLY HOKKAIDO。土曜日に2回走行した28.75kmのKUNNEYWAは、昨年十勝地方を襲った台風の影響もあって道が荒れており、レッキからタイヤを壊す選手も多く見られるタフなステージとなった。

そんな中でヨコハマタイヤ勢は、全6クラスのうち4つのクラスで優勝を飾った。特に最高峰のJN6クラスでは、ADVAN A053を装着した新井敏弘選手がKUNNEYWAの1回目で後続を34.3秒引き離す断トツの速さを披露。ライバル勢を全く寄せつけない強さで2年連続優勝、ヨコハマタイヤが4年連続でRALLY HOKKAIDOを制して強さを見せた。