2017 JRC Round 4 Report

【全日本ラリー選手権 第4戦/福井県おおい町】

好天の下で熱い戦いが繰り広げられた若狭ラリー2017、
JN4クラスは山本悠太選手組が猛追を見せた!!

JRC Round 4

開催日 2017年5月19日-21日
開催場所 福井県おおい町 近郊
天候DAY1) 晴れ
DAY2) 晴れ
路面 DAY1) ドライ
DAY2) ドライ
ターマック(舗装路)
総走行距離 451.54km
SS総距離 81.70km (14SS)
得点係数 1.0 (舗装路50km~100km)
参加台数 51台 (オープンクラス含)
(ヨコハマタイヤ装着車 22台)
全日本ラリー選手権 第4戦

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九州、四国と転戦してきた2017年の全日本ラリー選手権は、開幕戦のスノーラリー以来となる本州に舞台を移して第4戦が開催された。「若狭ラリー 2017」は福井県のおおい町をホストタウンに、一部のステージは県境を超えて京都府南丹市にまでフィールドを伸ばす一戦。シリーズ唯一の日本海側での開催となるが、ラリーウィークを通じて好天に恵まれ最高気温が30℃ほどまで上昇する暑さの中での戦いとなった。

3年目となる若狭路での開催は、昨年までと同様に海辺のリゾートホテル「うみんぴあ大飯」を拠点とする。2日間で14本のSS(スペシャルステージ)が設けられ、その合計距離は81.70km。前戦の久万高原がハイスピードであったのに対して、テクニカルな要素の強いステージが多くなる。また、三次元的な箇所もあり、チャレンジングで特徴的なステージが選手たちを待ち受けている。

今回は「ふるさと林道」を走るステージを、土曜日のDay1で3回走行。さらに日曜日のDay2では逆方向のリバースで、2本走行するアイテナリー。「ふるさと林道」の合計距離が42.46kmに達し、走行方向の違いこそあれ全体のおよそ半分という点は勝負どころのひとつと目された。また、おおい町総合運動公園のギャラリーステージ「PlayPark」は1.03kmというショートステージだが、野球場の周りを2周するオーバル状のコースで、陽気にも誘われたか多くのギャラリーが選手たちの熱い走りを見守った。

前戦の久万高原でワン・ツー・フィニッシュを飾ったJN6クラスのヨコハマタイヤ勢、奴田原文雄選手/佐藤忠宜選手(ランサー)と新井敏弘選手/田中直哉選手組(WRX STI)は今回も好走が期待されたが、序盤から苦しい展開となり2台のライバルに先行を許してしまった。

しかし、ギャラリーステージではファンの期待に応える走りを披露して、Day1の2回はともに新井選手組がステージベストを奪取。Day2では1回目を奴田原選手組がベスト、新井選手組はセカンドベストで続いてワン・ツーの速さを見せる。そして最終ステージとなった2回目はなんと両選手組が全くの同秒でステージベストを刻んで、詰めかけた大勢のファンの期待に応える走りを見せた。奴田原選手組は3位表彰台でフィニッシュ、シリーズポイントはランキングトップを堅守した。

JN4クラスでは、セクション1でややタイムが伸び悩んでいた山本悠太選手/藤田めぐみ選手組(86)が、SS2終了後の30分サービスでセッティングを修正。これが功を奏して大会最長となるSS4「Gonami 2 (10.03km)」で本大会初のステージベストを奪う。さらに続くギャラリーステージでも連続ベスト、最大11.9秒差ひ開いたトップに対するビハインドを、7.6秒へと縮めていく。

また、同じトヨタ・86で参戦する山口清司選手/山本磨美選手も、SS7「Sekiya 1 (4.02km)」でベストを叩き出して存在感を見せた。Day1最終のギャラリーステージでは再び山本選手組がベストで初日をトップから7.5秒差の2番手で折り返すと、これに山口選手組が3番手で続いた。

Day2のオープニングは昨日と逆方向で「ふるさと林道」を走る「Furusato Reverse 1 (8.63km)」。ここでトップのライバルが猛プッシュ、山本選手組はセカンドベストを刻むもその差は5.6秒拡大。続くSS10は昨日のリピートとなる「Sekiya 2」、ここで山本選手組がベストで1.2秒取り返すと続く3回目の走行となるギャラリーステージも制して、トップとの差は10.4秒に。

残るステージは3本、合計距離は13.68km。どこまで山本選手組が食らいついていくか注目を集める中、SS12「Furusato Reverse 2」、SS13「Sekiya 3」をともに僅差で制して差を詰めたが、惜しくも一歩届かず。山本選手組は準優勝、山口選手組が3位で続いて、表彰台を飾る結果となった。

このほか、JN5クラスでは川名賢選手/保井隆宏選手組(DS3 R3 MAX)が3戦連続の完走で準優勝。JN3クラスは波乱含みの展開となったが、内藤学武選手/小藤桂一選手組(デミオ)がしっかりフィニッシュまでマシンを運んで内藤選手は全日本選手権での自己最上位となる準優勝を獲得。中西昌人選手/美野友紀選手(RX-8)が今シーズン初表彰台をとなる3位のリザルトを残した。また、JN1クラスでは前戦でクラッシュを喫した小川剛選手/佐々木裕一選手組(フィット)が、急遽仕立てたマシンで出走。直前に完成したマシンながら快走を見せて、3位表彰台を獲得することに成功した。

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DRIVER VOICE

奴田原文雄 選手 [ADVAN-PIAA ランサー]

【今回の成績 : JN6クラス 3位】
今回は前を走る2台が速くて、ちょっと厳しい展開になってしまいました。そんな中でシリーズポイントをしっかり獲得出来て、ランキングはトップを守れたので良かったです。次のモントレーは、良い結果で終わることが出来るように頑張ります。

川名 賢 選手 [CUSCO ADVAN DS3 R3 MAX]

【今回の成績 :JN5クラス 2位】
車のセッティングは大きく変えてはいないのですが、かなり走らせられるようになって来ました。ちょっと好みのセッティングになったので、コーナーでも安心してアクセルを踏んで行けるようになったのが大きいですね。タイヤの摩耗も良くて、上手く使えてきている感じです。前戦までは車に慣れることをテーマにしていましたが、今回は順位に対するこだわりを感じて悔しいと思っています。Day2ではデイポイントでトップも狙ったのですが、スピンしてしまって……。「Furusato Reverse」の2回目、2コーナーで砂利に乗ってスピンしてしまいました。課題はハッキリしているので、次のモントレーではライバルに自分を意識させるような走りをしていきたいと思います。

山本悠太 選手 [Sammy☆K-one☆ルブロス YH 86]

【今回の成績 :JN4クラス 2位】
多くの人に期待されて、動いてもらって参戦しているので、そういう方々のために勝ちたいという気持ちで臨んだ一戦でした。昨年も走っている若狭なので走りやすかった部分はありますね。車は足を仕様変更して、フィーリングが良くなりました。自分のコントロール下に車を置けるようになって、我慢の走りから攻めの走りに転じることが出来ました。ステージベストも奪えて、結果にもつながりましたね。2位を獲得出来て上は残り1つですが、ライバルに対してしっかり差を詰めていきたいと思います。

山口清司 選手 [jms エナペタル ADVAN 久與 86]

【今回の成績 :JN4クラス 3位】
ライバルが215サイズのタイヤを装着していたのでこちらも同じサイズを選んだのですが、これは失敗だったと思っています。「ADVAN A052」の場合は225サイズを使って幅で稼ぐほうが良かったかな、と。215サイズの方が車の動きは軽やかですが、踏ん張るべきところでより踏ん張ってくれる225の方がコーナーリングスピードを高められるんですね。そこを走ってみて改めてわかりました。次のモントレーは今回の若狭とはキャラクターの違う道になりますが、しっかり表彰台に立てるように頑張ります。

内藤学武 選手 [YH Moty’s BRIG G4 デミオ]

【今回の成績 :JN3クラス 2位】
タイム差を見ながら走っていたらライバルの1台がいなくなって、それでも気を緩めることなく最後まで走ったら準優勝でフィニッシュ出来ました。JN3クラスはいろいろあって波乱含みでしたが、そんな中で精神的に成長出来たのかな、という手応えがあります。ただ、タイム差がヴィッツ勢に対して大きいのも事実なので、そこは少しでも詰めていかなければなりませんね。次は地元で開催されるモントレーなので、上に行けるように頑張りたいですね。地元は精神的に楽ですし、やる気もみなぎってくるので、ベストタイムを連発して秒差の勝負をしたいですね。

中西昌人 選手 [YH・WM・KYB・マクゼス・エイト1]

【今回の成績 :JN3クラス 3位】
去年のRALLY HOKKAIDO以来ですから、久しぶりの表彰台ですね。序盤に空気圧を合わせきれなかったりして苦戦したのですが、サービスでタイヤを16インチに替えて空気圧も最適化しました。足回りのセッティングも修正したら車がガラッと変わって、そこからは気持ちよく走れましたね。「Sekiya」はDay1ではちょっとかみ合わなくて遅かったのですが、Day2では自分のスーパーベスト的なタイムを出せて「来たな!!」という感じになって。「Furusato Reverse」でも終盤の下りは怖いのですが、その怖さに負けないでアクセルを踏む覚悟で行ったので良かったですね。コ・ドライバーの美野選手から、タイトコーナーで「アクセルを抜かないで!!」と言われたのが効きましたね(笑)

小川 剛 選手 [チームO・T・S. AN YH フィット]

【今回の成績 :JN1クラス 3位】
前戦でクラッシュしてしまったので急遽仕立てたこの車ですが、完成したのは4日くらい前ですね。練習もテストも無しで臨んだ今回でしたが、車が思った通りに動いてくれて何も問題はありませんでした。1万kmくらいしか走っていない個体がベースなので、エンジンがあまり上まで回らなかったですね。コンピューターの学習機能などによるのかもしれませんが、走っている内にだんだん回るようになってきたので、「それならば、アクセルをもっと踏んでみようかな」なんていう場面もありました(笑)。車のテストを兼ねてと割り切った参戦でしたが、気楽に走ったのがかえって良かったかもしれませんね。

TECHNICAL INFORMATION

カレンダーは5月の中旬だが、競技が行われた土日は最高気温が30℃ほどにまで高まって夏を思わせる暑さとの戦いにもなった「若狭ラリー 2017」。前戦の久万高原と比べてテクニカルな要素が強く、ひとつひとつのコーナーにおける小さなロスの積み重ねは、ステージタイムに大きく反映される難しい一戦である。

そんな中で上位を獲得した選手の多くが、特にタイヤの空気圧管理に気をつかっていた。SSスタート前などにマメに空気圧を確認することは重要なポイントであり、蓄積したデータをリピートステージで活かしたり、翌年の大会で参考にするなど、こまめなタイヤ管理が求められる一戦でもあった。