2017 JRC Round 3 Report

【全日本ラリー選手権 第3戦/愛媛県久万高原町】

20kmを超えるロングステージも勝負どころの久万高原ラリー、
JN6はヨコハマタイヤ勢がワン・ツー・フィニッシュで圧勝を飾った!!

JRC Round 3

開催日 2017年4月28日-30日
開催場所 愛媛県久万高原町 近郊
天候DAY1) 晴れ
DAY2) 晴れ
路面 DAY1) ドライ
DAY2) ドライ
ターマック(舗装路)、一部グラベル(非舗装路)
総走行距離 261.72km
SS総距離 107.70km (8SS)
得点係数 1.2 (舗装路100km~150km)
参加台数 33台 (オープンクラス含)
(ヨコハマタイヤ装着車 15台)
全日本ラリー選手権 第3戦

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第2戦から第6戦まで、中2週間のカレンダーで次々と日程を消化していく2017年の全日本ラリー選手権。第3戦は愛媛県久万高原町が舞台の「久万高原ラリー」、四国の雄大な自然を駆け抜ける本大会。サービスパークが標高1,000m、SS(スペシャルステージ)の最高地点は標高約1,500mという選手権でもっとも高地での戦いとなる。

アイテナリーは二日間で8本のSSを走行。他大会と比べてステージ数こそ少ないが、ギャラリーステージとしてサービスパークに隣接するDay2の「スキー場 (1.12km)」こそショートだが、これ以外はダイナミックなロングステージで構成される。Day1は「西谷 (14.48km)」と「大川嶺 (14.40km)」、Day2は「美川 (23.85)km」と「スキー場」を各2回ずつ走行するアイテナリーで、中でも初日の「西谷」を一部逆方向で使いつつ距離が伸ばされている「美川」はターマックの全日本戦で最長となる。

競技は29日(土)の9時に、1号車がセレモニアルスタートするところから幕を開けた。今年は大会史上初めて久万高原町の中心部にある役場がスタート会場となり、地元に伝わる「久万山五神太鼓」の勇壮な演奏も披露され、参加クルーをこの音色が送り出してくれた。ヨコハマタイヤ勢ではゼッケン2をつける奴田原文雄選手/佐藤忠宜選手組(ランサー)、 3の新井敏弘選手/田中直哉選手組(WRX STI)、竹内源樹選手/加勢直毅選手組(WRX STI)のJN6勢が河野忠康町長の振るフラッグを合図に、戦いのステージへと向かって行った。

オープニングのSS1「西谷 1」はスタート地点の標高が780m、中間地点の最も高い場所で約970m。ところどころの路面には苔があるものの、以前に比べれば路面グリップは高まっていると言えそうだ。奴田原選手組は前戦の唐津でターマックのセットアップが煮詰められたマシンを快調に走らせていくが、ステージ終盤で先行するライバルがマシンを停めている光景が視界に入ってきた。

これを横目に奴田原選手組はフィニッシュ、2番手に10.7秒差をつけるステージベストを刻む。また、サードベストを刻んだのは竹内選手組、新井選手組は4番手で続くもエンジントラブルを抱えてしまい苦しい出だしとなってしまった。

この後、奴田原選手は波に乗ってステージベストを連発し、終わってみればDay1の4SSを完全制覇。1分08秒6というリードを構築してトップで主導権をキープするポジションに立った。そして、2番手につけたのは竹内選手組。全日本最高峰クラスではこれまでに3位が自己最上位という竹内選手、名前の通り“ゲンキ”な走りでベテラン勢に食らいついていく。新井選手組は中間サービスでエンジンの不調を修復したが、SS4「大川嶺 2」で路面に出ていた石を避けきれずに踏んでタイヤにダメージを受けてしまいタイムダウン、初日をクラス5番手で終えた。

一夜明けたDay2も前日に続いて好天に恵まれ、今年の久万高原は完全なドライ路面での勝負となった。2日目のオープニングは大会最長の「美川 1」、ここで“猛追モード”の新井選手組が本大会初のステージベストを奪取。奴田原選手組も僅か0.4秒差のセカンドベストで続き、「ADVAN A052」を装着する両クルーが速さを見せた。対して竹内選手組も好走を見せたが、16kmほどを走った地点で側溝にタイヤを引っかけてダメージを負ってしまい大きくタイムダウン。ロングステージの洗礼を受けてしまうかたちとなり、5番手にポジションをドロップした。

サバイバルな展開となった久万高原、そんな中で初日の後半ではデフからの異音が発生した奴田原選手組だったが、ここはDay1最終サービスで交換作業を行ってトラブルシューティング、Day2も危なげない走りでギャラリーステージの「スキー場」を2回ともにベストであがってフィニッシュ。今シーズン初優勝は2日間のデイポイントもともに満点という完全勝利で、シリーズタイトル奪取に向けた反撃の狼煙をあげた。一方、初日を不完全燃焼で終えた新井選手組がDay2で猛追、ポジションを2番手に上げて準優勝を獲得。久万高原ラリーのJN6クラスは、「ADVAN A052」を装着するヨコハマタイヤ勢のワン・ツー・フィニッシュで幕を閉じた。

JN6と同様に、JN2クラスも大量リードでヨコハマタイヤ勢が優勝を飾った。明治慎太郎選手/北田稔選手組(86)は、全8SSのうち6つのSSでステージベストを奪取。昨年のJN1クラスチャンピオンからJN2へと移籍したライバルとの直接対決は、JN2のディフェンディングチャンピオンである明治選手が貫祿を見せて二連勝を飾ることに成功した。

このほかのクラスでは、JN5で川名賢選手/保井隆宏選手組(DS3 R3 MAX)、JN4で山口清司選手/山本磨美選手組(86)、JN1で須藤浩志選手/新井正和選手組(スイフト)が準優勝を獲得。また、JN3では内藤学武選手/小藤桂一選手組(デミオ)、JN1の伊藤隆晃選手/大高徹也選手組(ノート NISMO S)が3位となり、今回も多くのヨコハマタイヤ勢が表彰台で笑顔を見せてくれた。

DRIVER VOICE

奴田原文雄 選手 [ADVAN-PIAA ランサー]

【今回の成績 : JN6クラス 優勝】
初日でリードを拡げる理想的な展開となったので、二日目はペースを落とすことはしませんでしたが、リスクを背負うような走りをすることもなく、ペースノートの通りにしっかりフィニッシュまで運ぶことを心がけました。また二日目は気温があがりましたが、次の第4戦・若狭を見据えて似たようなコンディションが予想されるので、タイヤのパフォーマンスを確認したり、デイ離脱から復帰したライバルとのタイム差を確認したりと、収穫もある一戦でした。前回の唐津で煮詰めたセッティングが良好でタイヤにも優しい走りが出来ているので、若狭に向けての手応えもありますね。係数1.2の本大会でフルポイント優勝というのは、なにより大きな意味を持っていますね。

新井敏弘 選手 [富士スバル アライモータースポーツ WRX]

【今回の成績 :JN6クラス 2位】
初日は厳しい展開となりましたが、二日目もマシンの状態はパーフェクトとは言えなかったのですが、なんとか順位を挽回して2位で終えることが出来ました。奴田原選手組はセッティングもきちんと出ているのでしょう、速かったですね。うちももう一度やり直して戦闘力をしっかり高めていかなければなりませんね。次の若狭でしっかり勝てるように頑張ります。

川名 賢 選手 [CUSCO ADVAN DS3 R3 MAX]

【今回の成績 :JN5クラス 2位】
自分が最後に出場した久万高原は2014年のグラベル時代ですから、ターマックは初めての参戦です。とても素晴らしいステージでラリーを楽しめましたが、走りきっての2位ですが台数的にちょっと寂しいのでもうちょっとクラスが盛り上がれば2位でももっと威張れるのかな、と思います(苦笑)。今回しっかりフィニッシュしてマシンのテストも出来ましたし、最終ステージのベストを取って賞もいただけたので良かったと思っています。

山口清司 選手 [jms エナペタル ADVAN 久與 86]

【今回の成績 :JN4クラス 2位】
地元愛媛での二連勝をかけて挑んだのですが、ライバルの速さに脱帽させられる結果になってしまいました。今回は“みきゃん”と“ダークみきゃん”(注 : ともに愛媛県の公式マスコット)が応援に来てくれたので表彰台の真ん中に立ちたかったのですが、それは来年への持ち越しということで、それまで精進してきます。

内藤学武 選手 [YH Moty’s BRIG G4 デミオ]

【今回の成績 :JN3クラス 3位】
生まれて初めての四国、なのでもちろん初めて参戦した四国のラリーでした。気持ちよい天気の下、ロングステージも走ることが出来てとても勉強になりました。そんな中で表彰台に登ることも出来て、満足出来る二日間でした。次の若狭も頑張りますので、よろしくお願いします。

明治慎太郎 選手 [YH Gd 高崎くす子 86]

【今回の成績 :JN2クラス 優勝】
初日のリードを背景に、無理せずそれなりに攻めて良いタイムを出せて連勝を飾ることが出来ました。走らせ方もいろいろ試してみた中では、ロングステージの走り方について得るものもありましたね。いつもの自分のスタイルで走ると負担も小さくないだろうと思い、走らせ方を変えてタイヤとブレーキを労りながら同等のタイムを出せるかたちを見つけられました。ハイスピードコーナーでアクセルを踏み切れていないところもあったので、今後はさらにこのスタイルでタイムを上げられるかたちを作っていきたいと思います。

須藤浩志 選手 [スマッシュ BRIG ダイニチ YH スイフト]

【今回の成績 :JN1クラス 2位】
昨年チャンピオンを争ったチームメイトが他のクラスに移ったのですが、今度は別のチームメイトと同じクラスで戦うことになりました。私は常に、若手の踏み台になる運命なのでしょうね(笑)。でも、踏まれるだけというわけにはいきません。生まれて初めて四国のラリーに参戦したのが今回でしたが、西谷と美川のステージは自分の走りがいまひとつタイムに結びつきませんでした。次の若狭は一昨年走っているので多少は土地勘もあるので、今回の借りを返していきたいと思います。このままでは終われませんからね!!

TECHNICAL INFORMATION

全日本戦でも屈指のロングステージが、戦いの舞台となる久万高原ラリー。週末を通じて天候に恵まれ、Day2は標高1,000mのサービスパークでも気温が20℃近くまで上昇し、路面温度も上がった中での戦いとなった。

ヨコハマタイヤ勢は「ADVAN A052」のパフォーマンスが走りを支え、JN6クラスでのワン・ツー・フィニッシュを筆頭に多くの選手が表彰台を飾った。一方では、インカットを狙ったラインを走って逆にタイヤを傷つけて壊すといったケースも見受けられた。レッキでの路面の見極めや、駆動方式の違いによる「行けるのか、行けないのか」の判断が、高いレベルで求められることも勝負をわけるポイントのひとつになる。