2017 JRC Round 2 Report

【全日本ラリー選手権 第2戦/佐賀県唐津市】

桜は満開なれど不安定な空模様となった第2戦・唐津、
ヨコハマタイヤ勢はJN2とJN1で優勝を飾った!!

JRC Round 2

開催日 2017年4月7日-9日
開催場所 佐賀県唐津市 近郊
天候DAY1) 雨 時々 曇り
DAY2) 曇り 時々 晴れ
路面 DAY1) ウェット
DAY2) ハーフウェット(一部ドライ)
ターマック(舗装路面)
総走行距離 417.40km
SS総距離 73.09km (13SS)
得点係数 1.0 (舗装路50km~100km)
参加台数 47台 (オープンクラス含)
(ヨコハマタイヤ装着車 20台)
全日本ラリー選手権 第2戦

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今年はウィンターーラリーがシリーズに加わったことで、2月に開幕を迎えている全日本ラリー選手権。2ヶ月のインターバルを経て迎えた第2戦は、佐賀県唐津市を舞台とする「ツール・ド・九州2017 in 唐津」だ。昨年より桜の開花が一週間遅くなった佐賀県地方、唐津市も桜がちょうど見頃を迎え、SS(スペシャルステージ)には桜並木のトンネルを駆け抜ける春らしいロケーションも設定されていた。

しかし、競技が行われた週末の空模様は不安定なものに終始した。8日(土)の朝には恒例となっている唐津神社での安全祈願を行った後、市民の声援に見送られて各車がセレモニアルスタート。しかし沿道には桜のみならず傘の花も満開となる雨模様で、ウェットコンディションから戦いはスタートする。

そんな中、オープニングとなるSS1「羽金山 1 (9.24km)」でステージベストを刻んだのは新井敏弘選手/田中直哉選手組(WRX STI)。2番手のライバルを6.7秒引き離して速さを見せたが、フィニッシュ後にリアデフが壊れてしまいSS2以降はトラクションが十分かからない厳しい展開に。昼のサービスで修復されたが、午後のセクションに入って最初のSS6「見返りの滝 2 (1.92km)」でドライブシャフトが破損、新井選手組は週末を通じてマシントラブルに苦しめられ不完全燃焼で戦いを終える残念な結果となってしまった。

横浜ゴムの創立100周年記念ロゴマークがルーフにあしらわれたADVANカラーの三菱・ランサーエボリューションⅩを駆る奴田原文雄選手/佐藤忠宜選手組は、Day1は我慢の展開が続いた。なかなかステージベストに届かず、SS6での新井選手組の離脱により3番手となるが、先行するライバルとの差はじわじわと開いていった。

それでも粘りの走りを続けた奴田原選手組、日曜日のDay2は雨が止み路面はハーフウェットから時間とともにところどころドライへと転じていく。「ADVAN A052」を装着する奴田原選手組は終盤でセットアップの最適化も功を奏してチャージ、ギャラリーが見守るSS11とSS12「古窯の森 (3.87km)」、そして締めくくりとなるSS13「陣の山 2 (9.44km)」と3連続ステージベストを刻んでDay2のトップであがり、ポジションを2番手に上げて準優勝を飾ることに成功した。

ヨコハマタイヤ勢同士の優勝争いとなったのは、JN2クラスのトヨタ・86 vs スバル・BRZ対決。オープニングステージを制したのは明治慎太郎選手/北田稔選手組(86)、しかし6.6秒差を追う形となった加納武彦選手/横手聡志選手組(BRZ)がSS2「林の上 1 (4.33km)」から4連続ベストで徐々に差を詰めていく。対する明治選手組はSS6で本大会2回目のベストを奪うと、続くSS7「羽金山 3」でリードを拡大、Day1最終ステージも制して18.1秒差をつけて初日を終えた。

迎えたDay2、オープニングからベストを奪って好走を見せた明治選手組がリードを拡大。2日目の5つのSS、そのうち4つでベストを奪って主導権を手放すことなくマシンをフィニッシュへと運び、ディフェンディングチャンピオンが貫祿の優勝を飾った。そして加納選手組も準優勝で続き、JN2クラスはヨコハマタイヤ勢のワン・ツー・フィニッシュとなった。

さらにJN1クラスも、ヨコハマタイヤユーザーが激戦の主役となった。ホンダ・フィットを駆る地元の小川剛選手は、今回がデビュー戦となるコ・ドライバーの新原秀直選手とエントリー。SS2を終えて15.7秒差の3番手だったが、リピートステージとなるSS3と4でベストを連発。ロングステージのリピート3回目となるSS7も制してトップに浮上すると、初日最終のSS8は4番手。これによりDay1を終えてライバルと全く同秒のトップタイとなり、一寸の気も抜くことが許されない接戦がDay2でも続く流れとなった。

注目のDay2オープニングとなるSS9「陣の山 1 (9.44km)」は、ライバルに僅か1.6秒届かず2番手。続くステージで若干差が開いたが、SS11でトップへの返り咲きに成功。サービスをはさんで残すは2本のSS、2.9秒差のトップを守りきれるか注目が集まる中、SS12で堂々のステージベスト、マージンをさらに4.4秒拡げた。最終ステージはライバルにベストを譲るも3.9秒差のトップでセレモニアルフィニッシュ、地元での全日本初優勝に笑みがこぼれていた。

このほか、JN5クラスでは2013年に当時のJN2クラスでチャンピオンを獲得している川名賢選手が、保井隆宏選手とのコンビで参戦。シトロエン・DS3 R3 MAXを駆り、同じ車種を走らせるライバルとの一騎討ちとなった。激しいシーソーゲームの結果、惜しくもトップに届かなかったものの準優勝でフィニッシュ。今シーズン、さらなる躍進を期待させる結果を残した。

また、JN4クラスでは今回から後期型のトヨタ・86を投入した山本悠太選手/藤田めぐみ選手組が3位を獲得。注目の若手ドライバーとして存在感を見せている山本選手、こちらも次戦以降での初優勝獲得が楽しみな存在である。

DRIVER VOICE

奴田原文雄 選手 [ADVAN-PIAA ランサー]

【今回の成績 : JN6クラス 2位】
空模様に翻弄された部分もあり、初日は我慢の展開となってしまいました。しかし、2日目になっていわゆるダンプ路面からドライへと転じていく中、車のドライセッティングも良いところに持っていくことが出来ました。優勝に届かなかったのは残念ですが、次の久万高原に向けて収穫もある一戦だったと思います。

川名 賢 選手 [CUSCO ADVAN DS3 R3 MAX]

【今回の成績 :JN5クラス 2位】
まずは完走することが第一条件だったので、それをしっかり果たせたことでホッとしています。Day1はDS3 RS3 MAXで初めてのウェット路面走行だったので探っていった部分もありましたが、探りながらでタイムが良かったり、そうでないところでタイムが悪かったりだったので、ドライビングスタイルを見直す必要がある部分も感じています。SS11ではミスもあったのですが、DS3のスピードをイメージしきれていなかったためのペースノートの精度不足が要因でした。課題も明確になったので、次の久万高原に向けてしっかりアジャストしていきたいと思います。

明治慎太郎 選手 [YH Gd 高崎くす子 86]

【今回の成績 :JN2クラス 優勝】
ルーズな路面でしたが、「ADVAN A052」はマイルドで唐突にグリップが抜けたりしないので、対処がしやすいです。だから、特に怖いとか危ないというところはありませんでした。2ループ目から少し抑え気味で走ったつもりでしたが、逆にリズム良く走ることが出来ましたね。次はそれほど間を置かずに久万高原ですが、ロングステージに向けた対策もしっかり整えて2連勝を目指していきます!!

小川 剛 選手 [チームO・T・S. AN YH フィット]

【今回の成績 :JN1クラス 優勝】
いつも勝つ気で参戦していますが、唐津は地元ということでここで全日本初優勝を飾ることが出来て嬉しいです!! タイヤサイズを変えたことも大いに効果がありましたね。エントリーリストを見て須藤浩志選手が参戦されると分かり、自分が足回りやタイヤを変えたことでタイム差がどのくらいなのか見たかったのです。SS1は僕たちのミスでスペアタイヤを2本積んだまま走ってしまいましたが、須藤選手との差がそれほどでも無かったので「これは、行けるのかな?」と前向きにとらえました。今回の勝因はタイヤサイズのチョイスにつきると思います。あとは上りと下りで、勝負どころを明確に決めていったことですね。久万高原に向けてはセッティングを最適化して、この勢いで表彰台を狙って頑張ります!!

TECHNICAL INFORMATION

初日は終日ウェットコンディションとなった唐津。二日目はダンプ路面が基本でところによりドライという多様なコンディションの難しい一戦となった。「林の上」や「陣の山」といったお馴染みのステージに加えて、新たに設けられた「見返りの滝」と「古窯の森」などキャラクターの豊かなステージが、多くの参加者を楽しませた一方で、その難しさを感じた選手も多かったようだ。

そんな中、JN2とJN1でヨコハマタイヤは優勝を飾ったほか、JN5でもデッドヒートを演じるなど活躍を見せた。明治選手のコメントにもあるように、「ADVAN A052」の持つ幅広い路面コンディションへの対応性能と優れたコントロール性能が改めて実証されたと言えるだろう。