2016 SUPER FORMULA Round 7 Report

【SUPER FORMULA 第7戦/鈴鹿】

国本雄資選手が逆転でドライバーズチャンピオンを獲得、
P.MU/CERUMO・INGINGがチームタイトルに輝いた!!

SUPER FORMULA Round 7

開催日 2016年10月28日-30日
開催場所 鈴鹿サーキット
(三重県)
天候 晴れ
路面 ドライ
決勝周回数 Race 1 : 19周、Race 2 : 35周
(1周=5,807m)
参加台数 19台
SUPER FORMULA 第7戦

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昨年同様、JAF GRAND PRIXとして10月29日~30日に三重県の鈴鹿サーキットで開催された、全日本スーパーフォーミュラ選手権の第7戦。開幕戦以来、今シーズン2回目の開催となる鈴鹿サーキットは、今シーズンの最終戦にふさわしいタイトル決定戦の舞台となった。

変則的な2レース開催となった岡山大会とは異なり、土曜にノックダウン予選、日曜にレース1、レース2が行われる2レース制で行われる今大会。前述したようにチャンピオン決定戦ではあるものの、レースごとに獲得できるポイントは通常の半分のポイントで、優勝者のみに3ポイントの特別加算があるという規則のため、僅差でのランキング争いの状況からはいずれのレースも落とせない緊迫した週末となることが予想された。

レースウィーク最初の走行が行われた金曜日は雨模様だったが、一夜明けた土曜日はコンディションが回復。朝のフリー走行でほぼ路面はドライとなり、そのまま14時40分からノックダウン方式の予選を迎えることとなった。その予選だが、今大会はQ1の結果がレース1の、そしてQ3までの総合結果がレース2のグリッドにそれぞれ反映されるということで、いつも以上に気の抜けないタイムアタックが展開されることになる。

まず、Q1では石浦宏明選手が1分37秒453でトップタイムを獲得し、レース1のPPを奪うと、チームメイトの国本雄資選手も2番手に食い込み、3番手には野尻智紀選手という結果になった一方、ランキング首位で今大会に臨んだ関口雄飛選手がまさかの13番手に終わるという波乱も。

続くQ2では逆に国本選手、石浦選手というオーダーでP.MU/CERUMO・INGINGの2台が1-2。なおQ1で苦しんだ関口選手は、ここでもタイムが伸び悩みQ3への進出を果たせず、日曜の決勝では2レースともに後方グリッドからのスタートを強いられることに。そして最終のQ3では1分37秒026を叩き出した石浦選手がトップタイムをマーク。見事レース1に続いてレース2でもPPを奪った石浦選手は、この週末ダブルポールポジションで2ポイントを獲得する結果となった。

いよいよ迎えた日曜日。2レースが行われることもあり、9時からの8分間のウォームアップを行った後、9時45分には、レース1のフォーメーションラップがスタートとなった。19周というスプリントレースとなったこのレース1。フロントローには石浦選手、国本選手のチームメイト同士が並んだが、好スタートを決めた国本選手が、石浦選手をかわしてホールショットを奪取。さらにアンドレ・ロッテラー選手が2コーナー手前で石浦選手をパスし、2番手に浮上を果たす。

トップの国本選手は、2番手のロッテラー選手に1秒ほどの差をつけると、付け入る隙を与えず快走。3番手の石浦選手を引き離し、ロッテラー選手も国本選手に食らいついたものの、結局国本選手を捉えることはできず、国本選手が逆転で今季2勝目を飾ることとなった。その一方でなんとかポイント圏内を目指した関口選手が、バンドーン選手とのシケインの攻防で追突してスピンさせてしまい、30秒加算のペナルティーを受け18位とノーポイントに終わってしまう。このため、ここで国本選手がシリーズランキングトップに浮上し、チャンピオン争いはこの国本選手、関口選手、ロッテラー選手、そしてこのレース1で3位となった石浦選手の4人のドライバーに絞られた。

いよいよ今シーズン最後の決勝レース、そしてチャンピオン決定戦となったレース2は、気温22℃、路面温度28℃となった14時45分にフォーメーションが始まったが、周回数35、ピットでの4輪タイヤ交換が義務付けられたことで、スプリントのレース1とは異なり、各陣営ごとの戦略にも注目が集まった。

レッドシグナルが消えると、ポールポジションの石浦選手を上回る加速を見せた予選2番手のバンドーン選手がトップを奪い、石浦選手に次ぐ3番手にもロッテラー選手が浮上。国本選手はポジションを下げ、5番手に後退してしまう。義務づけのタイヤ交換を1周目に中嶋一貴選手ら6台が、2周目に関口選手ら3台が終える一方、上位陣はそのまま周回を続けることとなったが、レース1同様トップ2台がやや後続を引き離す展開となっていく。3番手のロッテラー選手が12周終了時、代わって3番手に浮上した野尻智紀選手14周終了時にピットに入る中、給油の有無など各チームの戦略に多少の違いは見られるものの、上位陣を中心に多くのマシンが安定したラップを刻んでいき、レースは拮抗したものとなる。

そして16周終了時にバンドーン選手、石浦選手のトップ2台が同時にピットインも、ここでの順位変動はなく、代わって国本選手がラップリーダーとなるが、24周目のスプーンコーナー立ち上がりで伊沢拓也選手がクラッシュ。このアクシデントのため、セーフティーカーが導入されたタイミングでトップの国本選手、2番手につけていたジェームス・ロシター選手の2台がピットへ飛び込み、再びバンドーン選手、石浦選手、ロッテラー選手が1-2-3に返り咲き、国本選手は7番手で復帰することに。

レースは26周終了時にリ・スタートとなったが、ここでバンドーン選手がトップを守り、再び拮抗した上位争いが展開され始めた29周目、最終コーナー立ち上がりのホームストレート上で山本尚貴選手がスピン~クラッシュしたため、なんと2度目のセーフティーカーが導入されてしまう。レースは31周終了時に再開となったが、残り4周のスプリント勝負でもトップを死守したバンドーン選手が今季最終戦を見事逃げ切り優勝。2位にはリ・スタートでポジションを上げたロッテラー選手が入り、石浦選手は再び3位でチェッカーを受けた。

注目のタイトル争いは、このレース2で6位フィニッシュを果たした国本選手が、3ポイント差でロッテラー選手を抑えて自身初となるチャンピオンを獲得することに。また、チームタイトルでは、この国本選手と石浦選手を走らせたP.MU/CERUMO・INGINGが獲得することとなった。

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ENGINEER VOICE

渡辺 晋 [ヨコハマ・モータースポーツ・インターナショナル 開発本部 プランニング ジェネラルマネージャー]

開幕戦以来、今季2回目の開催となった鈴鹿サーキットが舞台の今季最終戦でしたが、今週末は比較的開幕戦のときよりも路面温度が低かった中、各チームとも安定したラップを刻んでくれましたし、レース距離の短い決勝だったということもあり、タイヤの摩耗もほとんどなく、予想通り我々のタイヤも安定したパフォーマンスを発揮してくれたと思います。また、技術面で言えば、金曜日のウェットセッションで、もてぎ大会から投入したソフトコンパウンドのレインタイヤをこのコースでテストすることができ、それなりの水がある状況で1分52秒台というラップで走れることが確認できたのが良かったですね。

SUGO大会の後で話していたように、今大会では各陣営が我々の推奨ではなく、もっと低い内圧などをトライしたりするかもしれないと思っていたのですが、結果的にはそれほどトリッキーなことを試すチームもあまりなく、タイム的にも僅差で多くのマシンがラップを刻んでいたことを踏まえると、最終戦という段階にいたって各チームがヨコハマタイヤをどう使うか、という部分の経験やデータが蓄積され、結果的に各車のセットアップなどの方向性が集約されてきたのかな、という印象を受けました。

結果的に国本選手が初のチャンピオン獲得ということになりましたが、石浦選手も速かったですし、P.MU/CERUMO・INGINGというチームがタイトルを獲ったことからもわかるように、やはり他のチームよりも多少ヨコハマタイヤを活かす方向性を見つけるのが早く、セットアップもドライバーも、そのあたりを踏まえて戦っていたのでしょうね。

ヨコハマタイヤとして全日本スーパーフォーミュラ選手権への復帰をし、1年間タイヤ供給をさせていただきましたが、まずは無事に最終戦を終えられてホッとしています。タイヤに起因するような大きなアクシデントもありませんでしたし、チームの皆さんのご協力もいただいて1年を通じて我々も多くの経験とデータを得ることができました。そのあたりを踏まえた新しいスペックのタイヤも試作し、11月のルーキーテストで試せればと思っていますが、来季、そして今後に向けてさらに良いタイヤを開発できるよう、引き続き努力していきたいと思います。