2016 SUPER FORMULA Round 6 Report

【SUPER FORMULA 第6戦/SUGO】

他を圧倒する速さを見せて決勝での窮地を挽回、
関口雄飛選手がポール・トゥ・ウィンで2勝目を飾る!!

SUPER FORMULA Round 6

開催日 2016年9月24日-25日
開催場所 スポーツランドSUGO
(宮城県)
天候 晴れ
路面 ドライ
決勝周回数 68周
(1周=3,704m)
参加台数 19台
SUPER FORMULA 第6戦

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9月24日~25日、秋空の下で開催された全日本スーパーフォーミュラ選手権・第6戦の舞台は、宮城県のスポーツランドSUGO。アップダウンに富んだ山岳コースであり、登り10%勾配に象徴されるように、チャレンジングなレイアウトとして知られるサーキットだ。変則的な2レース開催となった前大会の岡山国際から、再び通常のレースフォーマットに戻った今回、まずは金曜日の午後に60分間の専有走行が設けられたが、ドライコンディションながらもぐずついた天候の中、まずはもてぎ大会の覇者、関口雄飛選手が1分06秒430でトップタイムを奪う。

一夜明け、土曜日の9時にスタートしたフリー走行では、一部に前夜の雨の影響で黒く湿った路面が残る微妙なコンディションとなったものの、気温22度という爽やかな秋の気配が漂うSUGOで、各車予選に向けて精力的に周回。ここではジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ選手が1分05秒668でトップタイムをマークし、中嶋一貴選手、小林可夢偉選手が2~3番手に続く結果となった。

そして迎えた13時からのノックアウト予選。まず20分間のQ1では、関口選手が1分05秒586をマークしてトップ通過を果たすと、ストフェル・バンドーン選手、小暮卓史選手がトップ3に。しかし、一方で小林選手はファストレーンで中嶋一貴選手、さらには山本尚貴選手に接触されるという不運もあってまさかのQ1敗退。さらに前回岡山で初優勝を飾った国本雄資選手、アクシデントの影響で充分なアタックを行えなかった山本選手も涙を呑んだ。

続く7分間のQ2では、中嶋一貴選手が1分05秒546を叩き出してトップ。これに関口選手、オリベイラ選手が2~3で続くが、アンドレ・ロッテラー選手やディフェンディングチャンピオンの石浦宏明選手がQ3進出を逃す。

Q2の上位8台が挑んだ最終のQ3では、チェッカー目前に1分05秒398を刻んだ関口選手が堂々のポールポジションを奪取。これに中嶋一貴選手、野尻智紀選手が続いたが、Q1でのファストレーンでの接触に関し、予選後に中嶋一貴選手には1グリッドダウンのペナルティーの裁定が下り、野尻選手が繰り上がってフロントロウを得た。

決勝が行われる日曜日のSUGOは、早朝こそ前夜の雨が残り、ハーフウェット路面であったが、全日本F3選手権・第16戦の決勝後に行われた、9時30分からの30分間のフリー走行では、ほぼドライコンディションでの走行。ここではオリベイラ選手が1分06秒690と、唯一の06秒台をマークしトップに。07秒台で伊沢拓也選手、関口選手らが続いた。

そしてついに迎えた15時15分、やや気温が上昇する中、ドライコンディションで68周の第6戦決勝レースがスタート。レッドシグナルが消えると、ポールポジションの関口選手が好スタートで1コーナーをトップでクリア。これに中嶋一貴選手、野尻選手、中嶋大祐選手、オリベイラ選手、バンドーン選手が続くこととなったが、5周目に中嶋一貴選手が6番手まで後退。これで野尻選手、中嶋大祐選手が2~3番手に浮上する。

関口選手は序盤からハイペースで飛ばし、約15秒の大差を築いたが、17周目にオリベイラ選手がSPコーナーでスピンアウトし、グラベルにスタック。このマシンを排除するためセーフティーカーが導入されたが、関口選手がセーフティーカーに捕まる間に、野尻選手以下上位陣がピットインして給油を済ませることとなり、結果的に関口選手だけがピット作業をしないまま、コースに残ることに。

せっかくのマージンを失った上、さらにピットインが必要な関口選手は、これで勝負権を失ったかに見えたが、23周目のレース再開から関口選手は猛プッシュを続けると1分07秒台を刻み続けるなど、1周1秒ずつ2番手の中嶋大祐選手とのギャップを拡大。約35秒という大量マージンを再び稼いだ関口選手は、55周目にピットに入って給油作業を終えると、トップを譲らぬまま悠々と中嶋大祐選手の前に復帰してみせる。

結局、そのまま後続を引き離した関口選手が今季2勝目をマーク。2位に今季初表彰台となる中嶋大祐選手、3位に野尻選手が入った。これにより、関口選手は再びランキング首位に立ち、10月末の鈴鹿最終戦に臨むこととなった。

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ENGINEER VOICE

渡辺 晋 [ヨコハマ・モータースポーツ・インターナショナル 開発本部 プランニング ジェネラルマネージャー]

今回もドライタイヤはミディアムコンパウンドのみの供給ということでしたが、比較的週末を通じてコンディションは安定していたものの、時として少し湿った路面が残る状況もあったり、決勝では3℃ほど路面温度が上昇する中での週末となりました。結果的に、過去2回のSUGOテストと今シーズンの状況から予想したように、タイヤ的には非常に安定してパフォーマンスを発揮していたように思います。

タイヤの消耗という部分でも、各チーム大きな問題もありませんでしたし、ラップタイムも安定していました。いわゆる“何も起こらない”という状況で、エンジニアとしてはある意味“つまらない”レースだったかもしれません(笑)。しかし、決勝を終えたタイヤを見た限りでは充分な余裕があるマシンが多かったように思いますが、優勝した関口選手のタイヤの消耗は、他よりは進んでいたように思いました。

関口選手がなぜあれだけ突出した速さを見せられたのか、今は我々にも分かりません。関口選手が特殊なセットアップをしていたかどうかは分かりませんが、そういうレース後のタイヤ状況からは、恐らく関口選手が他よりもタイヤをしっかりと使い切っていたのでは、という想像は出来ますね。

残るは最終戦の鈴鹿大会となります。タイヤ的には非常に負荷の高いコースですし、時期的にもタイムが出やすい時期で、よりタイヤへも厳しい部分があるのでは、と考えています。最近、各チームがヨコハマ推奨の内圧とは少し異なる内圧を試し始めていることも把握していますが、そういった新しいトライを最終戦でも各陣営がしてくるかもしれません。最終戦も今回同様、ドライはミディアムコンパウンドのみの供給ですが、そのあたりで違いが生み出されるのではないかと興味を持っています。