2016 SUPER FORMULA Round 5 Report

【SUPER FORMULA 第5戦/岡山国際】

2レース制で開催された今シーズン2回目の岡山大会、
S・バンドーン選手と国本雄資選手がそれぞれ初優勝!!

SUPER FORMULA Round 5

開催日 2016年9月10日-11日
開催場所 岡山国際サーキット
(岡山県)
天候 晴れ
路面 ドライ
決勝周回数 Race 1 : 30周
Race2 : 51周
(1周=3,703m)
参加台数 19台
SUPER FORMULA 第5戦

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第4戦で関口雄飛選手が堂々の初優勝を飾り、シリーズランキング首位に立って迎える第5戦は、5月に激しい雨でレースが終了となった岡山国際サーキットが舞台。オートポリス戦の代替大会として今大会のホストとなった上、岡山国際サーキットとしては今季2回目の開催ということもあり、土日にそれぞれ予選&決勝が行われる変則的な2レース制での開催となった。

今大会、再びドライタイヤは実績あるミディアムコンパウンドのみの供給。しかし、変則的な2レース制ということで、ドライコンディションの中で各チームともに走り始めとなった土曜朝のフリー走行では、1時間のセッションを有意義に使い、じっくりと周回を重ねるドライバーが多く、最終的には国本雄資選手がトップタイムをマークする。

全日本F3選手権の予選を挟んで、僅か1時間のインターバルで迎えた公式予選は20分間。この一発勝負の予選の序盤、開始7分ほどのところで小林可夢偉選手が、パイパーコーナー立ち上がりでスピンを喫しストップ。このためセッションは赤旗となったが、午前11時15分に残り13分で再開することに。再開後、セッション終盤に1分14秒038でポールポジションを奪ったのは中嶋一貴選手で、これに国本選手、先日来季マクラーレンからのF1参戦がアナウンスされたストフェル・バンドーン選手が続くこととなった。

ところが、午後3時30分にフォーメーションラップが始まったレース1ではいきなりの波乱が発生する。ポールシッターである中嶋一貴選手が、自身のグリッドを誤り行き過ぎてしまったのだ。これにより、スタートは仕切り直しとなり中嶋一貴選手は最後尾スタートに降格。レース1は30周から28周に減算されて仕切り直しとなったが、このスタートでトップを奪ったのはバンドーン選手。これに国本選手が続き、3番手にナレイン・カーティケヤン選手が浮上するも、バンドーン選手がじりじりと2番手以下を引き離す展開に。

28周という、SUPER FORMULAにとってはスプリント的な周回数となったレース1だったが、拮抗した攻防となる中、結局大きな順位変動はないままチェッカー。バンドーン選手がそのまま逃げ切って見事初優勝を飾り、2位に国本選手、3位にカーティケヤン選手が入った。

一夜明けて日曜の岡山国際サーキットも前日同様の晴天となり、路面はドライコンディション。この日はQ1&Q2からなるノックアウト方式の公式予選と51周でピットイン&タイヤ交換義務づけの決勝と、前日とはまた趣のことなる構成となった。

午前9時50分にスタートしたQ1は20分間。ここでは終了間際のアタックで関口選手がトップでQ2に進出を決めた他、野尻選手、バンドーン選手のDOCOMO TEAM DANDELION RACING勢が2~3番手に。しかしその一方で前日速さをみせた中嶋一貴選手、アンドレ・ロッテラー選手のVANTELIN TEAM TOM’Sの2台はまさかの敗退となった。

続くQ2は10分間。しかし、開始早々に小林選手がアトウッドでコースアウトを喫し、セッションは赤旗に。このため残り4分ほどで再開となり、さらにタイトな攻防となったQ2では、最後に計測ラップを刻んだ野尻選手が初のポールポジションをゲット。石浦宏明選手、バンドーン選手が2~3番手につけたものの、バンドーン選手はチームがピットで使用している冷却用の機器を外さずコースインさせてしまったため、安全確認違反のペナルティで3グリッド降格され、ジェームス・ロシター、ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラの両選手が決勝2列目を得ることとなった。

レース2は午後3時にスタート。好スタートの野尻選手が石浦選手を従えて1コーナーを制したものの、オープニングラップの終わりに早くも国本選手、中嶋一貴選手、関口選手、山本尚貴選手ら複数のマシンがピットに飛び込み、タイヤ交換を済ませる戦略を採ることに。結果的に野尻選手と石浦選手の2台だけがピットインを引っぱり、スタートで出遅れたベルトラン・バゲット選手を除き、20周までにほとんどの車両がピット作業を終える格好となった。

しかし、トップを死守していた野尻選手も21周目にピットイン。これで2番手に浮上してきた国本選手に対し、27秒ほどのマージンを持ってトップに立った石浦選手だけがピットインを引っ張る作戦となったが、30周目に2コーナー立ち上がりでカーティケヤン選手がスピンし立ち往生。このためセーフティーカーが導入されることとなり、急遽石浦選手もピットイン。素早い作業でコースに復帰するが、この時点で3番手の野尻選手に抜かれ、4番手でコースに復帰することに。

35周目にリ・スタートされたところで、トップの国本選手は猛然とダッシュ。中嶋一貴選手、野尻選手、石浦選手が接戦を演じるものの、野尻選手はセーフティーカー中にピットアウトしてきた石浦選手をオーバーテイクしてしまっていたため、ドライブスルーペナルティーが科せられ万事休す。石浦選手はファステストラップを連発しながら中嶋一貴選手に迫ったものの、オーバーテイクは叶わず。

結局トップを快走した国本選手がシリーズ戦では自身初となる優勝をマークし、2位に中嶋一貴選手、3位には石浦選手が入ったが、今回の岡山大会レース1で2位、レース2で優勝を飾った国本選手がシリーズランキング首位に立って2週間後の菅生大会に臨むこととなった。

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ENGINEER VOICE

渡辺 晋 [ヨコハマ・モータースポーツ・インターナショナル 開発本部 プランニング ジェネラルマネージャー]

前回大会とは異なり、今回の岡山大会では再びミディアムコンパウンドのみの供給という形となりましたが、土日を通じて気温は多少暑くなりましたが安定したドライコンディションが続く中で、実績のあるタイヤということもあり、タイヤ的には終始問題はなく、安定したパフォーマンスを発揮してくれたと思います。レース1が30周とスプリント的な短距離レース、レース2は51周ながらタイヤ交換がある、ということで結果的にタイヤ1セットが担う周回数が同様に少なくなる、という形でしたから。また、タイヤの表面をみてももてぎ大会に比べてきれいにゴムが溶けていたと思います。

結果的にレース1は単調な展開となりましたが、ピットインもなくタイヤも終始安定していた状況では、大きなポジションチェンジがなかったのもうなずけます。逆にレース2では、1周目に予想以上に多くのマシンがピットインしたことに驚きました。多少ガソリンを少なめに積んで、ある程度の周回数ずつの2スティントにしつつ、少しレベルの高いラップタイムを狙うという戦略を採るチームもあるのでは、と考えていましたが結果的に給油をしたチームはなかったので、コース上でのラップを上げることよりピットイン時のタイム短縮を選択する、という判断だったのでしょう。

また、石浦選手がピットインを引っ張っていたので、多くの陣営が早めのピットインを終える中、逆にラスト数周まで引っ張ったりしたら、と興味深く見ていたのですが、セーフティーカーが入るなどしたことで(31周目にピットインすることになり)彼らの戦略が機能しなくなったのでしょうね。

次戦は2週間後のSUGOです。コース的にタイヤの摩耗には厳しいところで、比較的フロントタイヤが辛くなりやすいのですが、現状のミディアムコンパウンドで問題はないと考えています。荷重耐久性の部分でも、パフォーマンスの面でも全く不安はないと考えています。