2016 SUPER FORMULA Round 4 Report

【SUPER FORMULA 第4戦/もてぎ】

真夏のツインリンクもてぎでルーキードライバーが大暴れ、
関口雄飛選手がアジア最高峰のフォーミュラレースで初優勝!!

SUPER FORMULA Round 4

開催日 2016年8月20日-21日
開催場所 ツインリンクもてぎ
(栃木県)
天候 晴れ
路面 ドライ
決勝周回数 52周
(1周=4,801m)
参加台数 19台
SUPER FORMULA 第4戦

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富士スピードウェイでの第3戦でジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ選手(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)が凱歌をあげてから、約1カ月。8月20~21日に迎えた第4戦は、栃木県のツインリンクもてぎでの開催となった。

今大会を前に、ヨコハマタイヤは新たにソフトコンパウンドのドライタイヤの供給を決定。ドライタイヤについては、1台に従来のミディアムタイヤ2セットに加え、ソフトタイヤ2セットを供給することになった。

こうした供給タイヤのバリエーション増によって、今大会は各チームのタイヤ戦略に焦点が当てられることとなったが、そのレースウィークの最初の走行となったドライコンディションの金曜専有走行でトップタイムを奪ったのは、前回の覇者であるオリベイラ選手。ところが、日本近海で台風が発生する中、土曜朝のフリー走行では雨が断続的に降り続けたため路面は完全なウェットとなり、各車はここで各レインタイヤのフィーリングをチェックすることとなり、ここではジェームス・ロシター選手(KONDO RACING)がトップタイムをマークする。

しかし、午後2時10分から始まった公式予選までには天候が完全に回復。各車両はドライタイヤでアタックを行うこととなったが、多くの陣営がミディアムタイヤだけでなく、ソフトタイヤを投入しQ1突破を狙ったのに対し、オリベイラ選手と関口雄飛選手のITOCHU ENEX TEAM IMPUL勢はミディアムタイヤのみでQ1を1-2突破。続くQ2ではオリベイラ選手、ストフェル・バンドーン選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)らが脱落する中、関口選手がトップタイムをマーク。

すると、新品のミディアムタイヤ、あるいは中古のソフトタイヤを履くドライバーが多い中、最後のQ3で関口選手は温存した新品のソフトタイヤをQ3投入すると、1分33秒002をたたきだして最高峰参戦4戦目にして初のポールポジションを獲得する。最終的には予選2番手以下には、石浦宏明選手(P.MU/CERUMO・INGING)、野尻智紀選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、アンドレ・ロッテラー選手(VANTELIN TEAM TOM’S)らが続く結果となった。

決勝日となる翌日の日曜は、朝から快晴。午前のフリー走行を終え、徐々に暑さが厳しさを増す中、中団グリッドの6台はミディアムタイヤを選択、残る大多数はソフトタイヤをチョイスしてグリッドにつき、いよいよ午後3時に52周の決勝レースがスタートとなった。

ここで初のポールシッターとなった関口選手は、抜群の飛び出しでホールショットを奪うと、石浦選手が4番手に後退し、代わって2番手に浮上したロッテラー選手以下をじりじりと引き離して行く展開に持ち込む。その一方で野尻選手が5周目にスローダウン、続いてオリベイラ選手がその3周後にスローダウン、ともにピットでリタイアとなってしまう。

12周目以降、徐々にルーティンピットを行う陣営が出るものの、ソフトタイヤを履く上位陣はそのまま周回を重ねることに。レース中盤となったころには、関口選手のマージンは10秒以上に拡大する一方、ロッテラー選手と石浦選手による2番手争いが徐々に拮抗の度合いを高めて行く。

そしてついにトップの関口選手は、34周目にピットイン。ソフトからミディアムへとタイヤを交換、給油作業を終えると再びピットアウト。全車がピット作業を終えた38周目に再びトップに立った関口選手は、ルーキーとは思えない盤石のレース運びでそのまま52周を走り切ってトップチェッカー。見事参戦4年目でのトップフォーミュラ初優勝となった。

2~3位にはロッテラー選手、石浦選手が入り、以下、4位には国本雄資選手(P.MU/CERUMO・INGING)、5位にロシター選手、6位にバンドーン選手が続き、トップ5をトヨタエンジンユーザーが占める結果となった。

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ENGINEER VOICE

渡辺 晋 [ヨコハマ・モータースポーツ・インターナショナル 開発本部 プランニング ジェネラルマネージャー]

今回のもてぎ大会には、新たにドライのソフトタイヤを追加供給することになりましたが、結果的にどちらの新しいスペックも機能してくれたので良かったと思います。狙い通りというか、予選などから各陣営のタイヤチョイスなどの戦略に違いが生まれましたので、ドライのソフトタイヤの投入は成功だったのではないかと。

決勝でのドライのソフトタイヤの摩耗やラップタイム推移も充分確認出来ました。多少摩耗は進行していましたが、ラップタイムの落ち込みも予選から比べれば約1秒程度と、想定範囲内でした。コンディション的にはウェットもドライもあり、新スペックのデータ収集と実走での確認という点で、こちらにとっては理想的な週末になったと言えます。

レースについては、関口雄飛選手が見事な初優勝を遂げられたわけですが、やはりQ1でソフトタイヤを投入せず、ミディアムタイヤで突破したということが大きかったと思います。その結果、Q3にただひとりソフトタイヤのニューを温存し、それを活かしてもてぎで重要なポールポジションを獲得しました。これはドライバーの頑張りはもちろんですが、チームとしてのセットアップなどが他より優れていたこともあったと思いますね。

次の岡山大会については、ドライタイヤは再びミディアムのみの供給となります。距離的に約110kmと約190kmの2レース制ですので、ドライタイヤ的には何も問題はないと考えています。