2016 JRC Round 4 Report

【全日本ラリー選手権 第4戦/福島県棚倉町】

今シーズンのグラベル初戦で強さを見せたヨコハマタイヤ勢、
JN6クラスのワン・ツーを筆頭に3つのクラスを制す!!

JRC Round 4

開催日 2016年6月10日-6月12日
開催場所 福島県棚倉町 近郊
天候/路面Day1) 晴れ/ドライ
Day2) 晴れ/ドライ
グラベル(非舗装路面)
総走行距離 463.86km
SS総距離 64.48km (15SS)
得点係数 1.2 (非舗装路50km~100km)
参加台数 39台 (イノベーションクラス含)
(ヨコハマタイヤ装着車 15台)
全日本ラリー選手権 第4戦

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今シーズンの全日本ラリー選手権ではグラベル(非舗装路)3戦をカレンダーに組み込んでいるが、その初戦となる「がんばろう! 福島 MSCCラリー2016」が福島県を舞台に開催された。県央に位置する棚倉町のルネサンス棚倉を拠点に、隣接する鮫川村、さらに浜通り地域のいわき市も走るフィールドの広さが特徴となる一戦。SS(スペシャルステージ)は2日間で15本・合計距離64.48km、リエゾンを含んだ総走行距離は463.86kmで競われた。

本大会でひとつのポイントとなったのは、木曜日の天気だった。この日、お昼前後に開催エリアでは強い雨が降り、ステージとなる林道を濡らしたのである。レッキが行われた金曜日から日曜日までは好天に恵まれ、夏日を記録する陽気となったものの、特に土曜日のDay1はステージの全てが完全なドライ路面とはならず、オープニングのステージ「Nishine (6.52km)」にはマッドな箇所も多く残っていた。

金曜日のレッキでステージの状況を選手は確認したが、JN6勢は結果として土曜日のスタートで装着するタイヤに戦略の違いが現れた。奴田原文雄選手/佐藤忠宜選手組(ランサー)は4輪全てに軟質路面用のADVAN A031を装着、SS3までを走ってフロントを新品のADVAN A031に交換。その後、SS4を終えてサービスで4輪をADVAN A053に交換した。一方、新井敏弘選手/田中直哉選手組(WRX STI)はフロントにADVAN A031、リアにADVAN A053を装着してスタート。SS1を走り終えるとフロントをADVAN A053に交換して、SS2以降は4輪全てADVAN A053で走るという選択になった。

注目のオープニングステージ、SS1「Nishine RⅠ」。ここを制したのは4輪にADVAN A031を装着する奴田原選手組、1.6秒差でフロントのみADVAN A031の新井選手組が続き、3番手のライバルと新井選手組の差は6.0秒という、ヨコハマタイヤ勢がキロ1秒近く引き離すワン・ツーで大会は幕を開けた。しかし、奴田原選手組は続くSS2「Tsuruishiyama Ⅰ(11.08km)」の中程にある舗装のジャンクションで痛恨のスピン。これでSS2を終えて新井選手組がトップ、奴田原選手組は2番手のライバルに10.6秒遅れる3番手へとポジションをドロップした。

その後、新井選手組はSS3から3連続ステージベストでリードを拡大。奴田原選手組もセカンドベストで続いて2番手との差を1.5秒にまで挽回すると、SS6でベストを刻んで逆転し4.9秒差をつける2番手とした。そのまま2日目も両選手組はワン・ツー体制を守り、新井選手組は今シーズン初優勝、奴田原選手組は3戦連続となる準優勝を飾った。

JN5クラスはプジョーvsシトロエンの、激しいデッドヒートが続く展開に。前戦で優勝している柳澤宏至選手/中原祥雅選手組(208 R2)は初日を2番手で終えたが、トップとの差は僅かに3.7秒。Day2のオープニングステージでベストを奪い0.7秒差に肉薄すると、続くSS10「Higashinobokuya Ⅰ(2.33km)」でベストを叩き出して逆転する。SS11も制して差は1.0秒となったが、SS9のリピートとなるSS11ではライバルがベストで柳澤選手組は0.3秒差の2番手にドロップ。手に汗握る展開が続いたが、SS10のリピートステージであるSS12「Higashinobokuya Ⅱ」でライバルを5.4秒引き離し、再びトップの座を奪還。最終ステージもベストであがり堂々の二連勝で強さを見せた。

JN1クラスでは、須藤浩志選手/新井正和選手(スイフト)が、圧倒的な速さを見せて終始主導権を握って戦いを進めた。オープニングステージで総合でも10番手に入るベストを刻むと、初日は5つのステージを制してトップで折り返す。Day2の序盤では後続が迫る場面もあったが、中盤以降で一気に引き離して最後は9.2秒の差をつけてウィナーとなりフィニッシュのシャンパンファイトで満面の笑みを見せてくれた。

このほか、JN4クラスでは山口清司選手/島津雅彦選手組(86)が、Day1の後半で先に発売されたADVAN A053の195サイズを装着してタイムアップ、Day1を首位で終えた。惜しくもDay2では逆転を許したものの、準優勝でフィニッシュしてシリーズトップの座を堅守。JN3クラスでも唐釜真一郎選手/松浦俊朗選手組(デミオ)が準優勝を飾り、タフなグラベルラリーでヨコハマタイヤ勢の強さが光る一戦となった。

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DRIVER VOICE

新井敏弘 選手 [富士スバル アライモータースポーツ WRX]

【今回の成績 : JN6クラス 優勝】
今回はDay1の後半オープニングとなるSS5でフルプッシュしたんです。それは後ろを離すとかよりも、路面がどうなっているのか分からないので全開で行ったんです。初日でマージンを構築してトップで折り返したので、Day2はリスクを背負うことなくフィニッシュまでマシンを運んでいきました。次の洞爺もグラベルが続きますが、グラベルタイヤのパフォーマンスも良いので連勝しますよ!!

柳澤宏至 選手 [YH クスコ ラリープラス 208 R2]

【今回の成績 :JN5クラス 優勝】
観ている皆さんには楽しんでいただけたと思いますが、僅差の接戦はやっている方も楽しかったですね(笑)。グラベルはテストする時間があまり無かったのですが、ターマックよりは違和感無く走れました。Day1の1ループ目は少し伸び悩んだところもあるのですが、2ループ目で取り返すことが出来ました。それがDay2の流れを掴む結果につながりましたね。ライバルとの接戦が続くのは、モチベーションも高まるので楽しいです。次は洞爺でグラベルが続きますが、データも採れましたし、自分としては久しぶりの洞爺ですがチームはデータを持っているので、しっかりフィードバックして臨んでいきます。

山口清司 選手 [jms ADVAN エナペタル 久與 86]

【今回の成績 :JN4クラス 2位】
ライバルが速かったですね……(苦笑)。Day1は1ループ目を215サイズ、2ループ目で新発売された195サイズのADVAN A053を使いましたが、195サイズは車の動きがとても良かったんです。車の方もサービスでセットを修正しましたが、タイヤも含めて全てが良い方向になりました。次の洞爺はしっかり勝って、シリーズ争いの優位をしっかり保っていけるよう頑張ります。

唐釜真一郎 選手 [エムスポーツ I.T.O デミオ]

【今回の成績 :JN3クラス 2位】
前を追うつもりが後ろから追われる状況になってしまいましたが、なんとか逃げきって準優勝でフィニッシュすることが出来ました。Day2はちょっと伸び悩んで課題も残ったのですが、まずは2位でホッとしています。この後は洞爺ですが、福島と比べてハイスピードなステージとなるので、セッティングも最適化して戦っていこうと思います。

須藤浩志 選手 [スマッシュ BRIG コマツ YH スイフト]

【今回の成績 :JN1クラス 優勝】
最後は一所懸命に逃げたのですが、ライバルもなかなかしぶとかったですね(笑)。初日をトップで終えて、二日目はセッティイングを変えたりと試しながら行ったので、その善し悪しも見えましたね。グラベルの全日本はカローラFXで参戦して以来ですから、1990年代が最後。それ以降も地区戦に出たりダートトライアルを走ったりしているので違和感はありませんでしたが、若い者にはまだまだ負けないということを実証できたので良かったです(笑)。次の洞爺にも出場しますが、今日のハイスピードステージがちょっとダメだったので、洞爺に向けて車もドライバーも頑張って行こうと思います。

TECHNICAL INFORMATION

カーブレイクラリーと呼ばれるタフさで知られる福島での一戦。JN6はワン・ツーを飾ったほか、惜しくもリタイアを喫したものの炭山裕矢選手/保井隆宏選手組も猛プッシュで、3番手に肉薄する速さを見せた。

また、大会に先立って発売された195/65R15サイズのADVAN A053を、JN4クラスの山口選手組がDay1のセクション2から装着。セクション1からのタイムアップを果たし、Day1をトップであがる結果を残してパフォーマンスの高さを見せていた。