2016 JRC Round 3 Report

【全日本ラリー選手権 第3戦/福井県おおい町】

開幕からのターマック三連戦を締めくくる若狭ラリー2016、
JN5クラスとJN2クラスをヨコハマタイヤ勢が制した!!

JRC Round 3

開催日 2016年5月20日-5月22日
開催場所 福井県おおい町 近郊
天候/路面Day1) 晴れ/ドライ
Day2) 晴れ/ドライ
ターマック(舗装路面)
総走行距離 419.12km
SS総距離 79.20km (14SS)
得点係数 1.0 (舗装路50km~100km)
参加台数 52台 (オープンクラス含)
(ヨコハマタイヤ装着車 19台)
全日本ラリー選手権 第3戦

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全9戦のうち6戦がターマック(舗装路)ラリーとなる、2016年の全日本ラリー選手権。開幕戦からのターマック三連戦を締めくくる「若狭ラリー 2016」が、昨年に引き続き福井県おおい町をホストタウンとして開催された。今年も大会の拠点はリゾートホテル「うみんぴあ大飯」に設けられ、隣接するラリーパークには多くの出展も並んだうえ、0.30kmと短いもののSSS(スーパースペシャルステージ)「Narumi」も設定。さらにお隣の小浜市では、日曜日のDay2に「道の駅 若狭おばま」でリグループが行われ、多くの地域住民がラリーと触れ合う機会が設けられた。

SS(スペシャルステージ)は2日間で14本を設定し、合計距離は79.20km。昨年使われた高速ステージの三方五湖レインボーラインは設定されなかったが、往年の全日本戦で名勝負の舞台となった五波峠が大会最長の新たなステージ「Gonami (10.22km)」として加わった。これに昨年同様の「Sekiya (4.02km)」と「Furusato」を林道ステージとして設定、後者はDay1で昨年と同方向の9.38kmで使われるのに加えてDay2は逆方向のリバースとして8.73kmを走行。それぞれが個性的な道で難易度が高いと、金曜日のレッキを終えた選手が口を揃えていた。

ラリーウィークを通じて好天に恵まれた若狭地方だが、林道の一部には水が流れ出ているところや砂利が路面に出ている箇所もあり、ペースノートの精度も高いものが求められた。そんな中、JN6クラスでは新井敏弘選手/田中直哉選手組(スバル・WRX STI)がSS2「Gonami 1」で、コースアウトを喫してデイ離脱というまさかの展開に。一方で奴田原文雄選手/佐藤忠宜選手組(三菱・ランサー)はSS4「Gonami 2」でステージベストをマークするなど、力走を重ねていく。2番手で折り返して迎えたDay2、SS10「Sekiya 2」を終えて惜しくも3番手にドロップしたが、最後は上位のライバルがペナルティを受けたことで前戦に続いての2位となった。

JN5クラスでは、オープニングから3連続ステージベストを叩き出して主導権を握った柳澤宏至選手/加勢直毅選手組(プジョー・208 R2)が快走。3つのステージを終えて後続に対して9.7秒のリードを構築、初日を終えて13.9秒にまでその差を広げた。前戦の久万高原では優勝まであと一歩というところまで行ったが、最終ステージでエンジントラブルから無念のリタイアを喫した柳澤選手組。今回はその借りを返すべく、Day2に入っても安定した走りで後続との差をしっかりキープしてフィニッシュまでマシンを運んだ。今シーズンから全日本ラリー選手権に登場して注目を集めているプジョー・208 R2を、参戦3大会目にして優勝に導いた柳澤選手組。前戦の悔しさを晴らす満面の笑みを、太陽がまぶしく照らす表彰式で見せてくれた。

JN4クラスは、前戦を制した山口清司選手/島津雅彦選手組(トヨタ・86)がSS2「Gonami 1」でステージベストをマーク、ここを終えた時点でトップと僅か0.2秒差の2番手の接戦に持ち込んだ。しかし続くSS3「Furusato 2」で痛恨のスピン、マシンのリアをガードレールにヒットしてポジションを4番手にドロップ。SS4までを走りきって45分のサービスイン、マフラーなど破損箇所をチームが総力をあげて修復し午後のセクションは3連続セカンドベストと最終のSSSで同秒ベストを刻んで食らいついていく。ポジションを3番手として臨んだDay2、林道最後のステージとなるSS13「Sekiya 3」でステージベストをマークするなど力走した結果、3位表彰台を獲得してシリーズを戦う上で重要なポイントをしっかり獲得した。

JN2で注目を集めたのは、昨年の若狭で準優勝を飾っている小濱勇希選手/馬場雄一選手組(スバル・BRZ)。開幕の唐津で全日本初優勝を飾って勢いに乗る小濱選手組だが、オープニングステージは3番手、SS2は5番手とタイムが伸び悩む。そこでSS2終了後に足回りを調整してセットを最適化、SS1のリピートとなるSS3「Furusato 2」で2番手を7.5秒上回る待望のステージベスト、続くSS4も制して本来の速さを取り戻した。そしてSS7「Furuato 3」もベストを刻み、クラストップでDay1を終了。2番手には明治慎太郎選手/北田稔選手組(トヨタ・86)が続き、初日を終えてヨコハマタイヤ勢のワン・ツー体制となった。

Day2に入り、2番手だった明治選手組は惜しくも駆動系のトラブルで戦列を離れてしまったが、一方で小濱選手組は安定したラリー運びでトップのポジションをガッチリとキープ。SS12「Furusato Reverse 2」では2番手のライバルが追い上げて1.3秒差にまで詰め寄ってきたが、林道最終ステージのSS13「Sekiya 3」で小濱選手組がステージベストを刻んで決着。第2戦の久万高原でJN2クラスは不成立となっているので、開幕の唐津に続いて小濱選手組が二連勝を飾り、今後の戦いぶりにも大いに期待が高まる結果となった。

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DRIVER VOICE

奴田原文雄 選手 [ADVAN-PIAA ランサー]

【今回の成績 : JN6クラス 2位】
今回は摩耗に対するタイヤマネージメントは上手くいきました。マシンについても現状でのベストなセットをチームが出してくれているのですが、いまひとつタイムが伸びずに結果としては2戦続けての2位となりました。ターマックでの三連戦は優勝に届かなかったので厳しいのは事実ですが、9戦のうち3戦が終わったということでまだ6戦残っていますから、グラベルとなる次戦以降でしっかり取り返して行こうと思います。

柳澤宏至 選手 [YH クスコ ラリープラス 208 R2]

【今回の成績 :JN5クラス 優勝】
前戦が悔しすぎる結果だったので、今回はさらなる気合いを入れて臨んだ一戦でした。オープニングステージが勝負だろうと思っていたので、そこからプッシュして行きました。SS1で2番手に6秒以上の差をつけられたのが大きくて、そこで流れを掴んだ感じですね。初日をトップで終えて、二日目は後続とのタイム差を見ながら、プッシュするところと抑えるところのメリハリをつけて戦いました。終始良い流れに乗ってフィニッシュまでマシンを運べましたね。タイヤは前回厳しかった部分もあったので、交換のタイミングなどを綿密にシミュレーションして来ました。想定よりは摩耗も進まなかったので、今回はきつくなかったですね。

山口清司 選手 [jms ADVAN エナペタル 久與 86]

【今回の成績 :JN4クラス 3位】
今回は初日のSS3で突然リアが流れだしてスピンして、ダメージは最小限に抑えられましたが大きくロスをしたり、色々あったラリーでした。3番手にポジションを戻して臨んだ二日目は、デイポイントを狙って行ったのですが一歩届かず2番手で。しかし、2番手のデイポイントを獲ることが出来て、最終的な順位も3位となったので、シリーズを考えれた最低限の結果を残せたと思います。次からはグラベルが続きますが、仕様を変えてテストもする予定です。インターバルがそれほど無いので本当に忙しくなるのですが(笑)、しっかり準備して臨みたいと思っています。

小濱勇希 選手 [YH フェイスクラフト BRZ]

【今回の成績 :JN2クラス 優勝】
若狭は昨年が準優勝だったのですが、経験した道で車も昨年と同じBRZですから差をつけて勝てるかと思っていたのですが、結果的に周りのライバル達も速くて接戦になりました。車については足回りのセットを少し変えて来たのですが、思ったように働いていなくて、SS2を終えてダンパーの設定を変えたんです。それでリピートステージでタイムアップ出来ました。Day2は「Furusato Reverse」で後続を離そうと思っていたのですが、逆に詰め寄られる形になってしまって。そこで頭を切り換えて、もっとスピードを上げられるようにと走って林道ステージの最後となる「Sekiya 3」で引き離せたので、そこで勝負を決めることが出来ましたね。

TECHNICAL INFORMATION

今シーズンは開幕戦から天候に恵まれている全日本ラリー選手権だが、若狭ラリーも競技日程を通じて青空が広がり、気温も初夏を思わせる陽気となった。林道のステージは3本がともに個性的で、五波峠は頂上の県境を境に路面性状が変化するなど、レッキでの細かな確認と見極めが選手には求められた。

気温と路面温度とも高めに推移した若狭ラリーであったが、ADVAN A08BとADVAN NEOVA AD08Rがともにユーザーの走りをしっかり支え、ADVAN A08Bを装着するJN5クラスとADVAN NEOVA AD08Rを装着するJN2クラスで優勝を飾る結果となった。