2016 JRC Round 2 Report

【全日本ラリー選手権 第2戦/愛媛県久万高原町】

SS合計150kmを超えるスケールの大きな久万高原ラリー、
JN4クラスでは最終SSで山口清司選手組が逆転優勝を飾った!!

JRC Round 2

開催日 2016年4月29日-5月1日
開催場所 愛媛県久万高原町 近郊
天候/路面Day1) 晴れ/ドライ
Day2) 晴れ/ドライ
ターマック(舗装路面)
総走行距離 309.98km
SS総距離 158.15km (13SS)
得点係数 1.5 (舗装路150km以上)
参加台数 37台 (オープンクラス含)
(ヨコハマタイヤ装着車 12台)
全日本ラリー選手権 第2戦

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九州で開幕した2016年の全日本ラリー選手権は、四国の愛媛県に舞台を移して第2戦が開催された。「久万高原ラリー」は2006年に駆動方式により分かれていたシリーズが現在のように統合されてから現在まで全日本選手権の一戦として開催されているのみならず、それ以前も二輪駆動部門として、さらに1980年代から1991年までも全日本戦として幾多の名勝負が繰り広げられてきた歴史のある大会だ。

標高1,040mに位置する旧・美川スキー場が大会のベースとなる本大会、今年も開けた稜線を駆け抜ける「大川嶺」のステージや、中低速コーナーが連続する「美川」といった特徴あるステージが設定された。「大川嶺」は両方向で使われて初日が13.89km、二日目は14.32kmとなり、「美川」は初日に23.39kmというロングな設定。二日間で13のSS(スペシャルステージ)、合計距離は国内ターマック(舗装路)ラリーとしては異例のスケールとなる151.83kmとなりポイント係数も1.5と大きい。

グラベル(非舗装路)開催時代を含めて、ヨコハマタイヤ勢が最高峰クラスを5年連続で制してきている「久万高原ラリー」。今回、ADVAN A08Bの255/40R18サイズが追加発売され、JN6クラスで奴田原文雄選手/佐藤忠宜選手組のランサー、新井敏弘選手/田中直哉選手組と竹内源樹選手/保井隆宏選手組のWRX STIが装着して戦いに臨む。

注目のオープニングステージ、「大谷Ⅰ(4.95km)」、そして標高1,500mまで駆け上がるSS2「大川嶺リバースⅠ(13.89km)」は、ともに奴田原選手組がステージベスト、新井選手組がセカンドベストで続いてヨコハマタイヤ勢がワン・ツーを奪って速さを見せる。しかしSS3「美川Ⅰ」でライバルがチャージ、両選手組はポジションをドロップしてしまう。一時は10秒近いビハインドを背負ってしまうが、Day1の後半に入ってSS5「大川嶺リバースⅡ」から新井選手組が3連続ステージベストを奪い、ポジションを2番手にあげてトップに2.3秒まで詰め寄って初日を折り返した。

過去、雨が勝負の分かれ目になることもあった久万高原ラリーだが、今年は2013年以来久しぶりに二日間とも好天に恵まれた。特にDay2はサービスパークでも気温が25℃近くになり、初夏のような陽気に。路面温度も高まる中、Day2オープニングとなるSS8「神岡Ⅰ(6.00km)」も新井選手組がベストを奪い、トップに1.0秒差と肉薄。逆転が期待された新井選手組だったが、SS12「西谷Ⅱ(14.32km)」の後半で駆動系のトラブルに襲われ、無念のリタイアとなってしまった。一方の奴田原選手組はしっかりフィニッシュまでマシンを運び、準優勝を獲得した。

JN5クラスは波乱の展開に。プジョー・208 R2を駆る柳澤宏至選手/中原祥雅選手組がSS9でトップに立ったが、最終ステージでまさかのマシントラブルにより優勝まであと一歩のところでリタイアを喫してしまう。一方、チームメイトで昨年も全日本を戦ってきたプジョー・208 GTiを駆る牟田周平選手/加勢直毅選手組が準優勝を飾る結果となった。

JN4クラスは激しいデッドヒートが演じられた。山口清司選手/島津雅彦選手組は初日を2番手で折り返し、Day2のオープニング「神岡Ⅰ」をトップのライバルより3.5秒上回るタイムであがり、追撃態勢を整えていく。すると続くSS9でライバルがリタイア、トップを奪った。しかし後続が猛追を見せて、追う立場から追われる立場へと戦況が変化する。

最終一つ前のステージ「西谷Ⅱ」で、やや苦戦した山口選手組は2番手にドロップ。その差5.1秒となって迎えた最終ステージ「大川嶺Ⅱ」、このステージは逆方向に走行したDay1の2本目、そしてDay2の1本目と山口選手組がベストを奪ってきている。そしてこの最終ステージでも山口選手組が好走、ステージベストを叩き出して逆転に成功。最後は4.7秒差をつけて、嬉しい今シーズン初優勝を飾った。

JN3クラスもリタイアで戦列を離れる選手が出る中、今年からマツダ・RX-8にスイッチした2014年のJN1クラスチャンピオンコンビである中西昌人選手/美野友紀選手組が粘りの走りを披露。デフのトラブルも乗り越えて準優勝を獲得、表彰台を飾ることに成功した。

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DRIVER VOICE

奴田原文雄 選手 [ADVAN-PIAA ランサー]

【今回の成績 : JN6クラス 2位】
リザルトは準優勝となりましたが、前とのタイム差が開いてしまったので課題も残る内容という感じですね。マシンはオフシーズンの間に細かいところを詰めて進化させているので、効果が出ています。今回はターマック戦では珍しい20kmを超えるステージもありましたが、走り応えがあってチャレンジングなラリーでしたね。ライバルに二連勝を許してしまったので、次の若狭ではストップをかけていかなければなりませんね。

牟田周平 選手 [ADVAN CUSCO プジョー]

【今回の成績 :JN5クラス 2位】
「ラリーは最後まで諦めてはいけない」ということを改めて実感した久万高原でした。プジョーでの2戦目ですが、車に対しては違和感などはありません。今回はセッティングを自分好みに合わせてきています。ただ、最初はちょっとマッチングが悪かったので、Day1の前半が終わったところで見直したりもしました。Day2はリアのダンパーを変えたら格段に良くなりました。

山口清司 選手 [jms ADVAN エナペタル 久與 86]

【今回の成績 :JN4クラス 優勝】
Day1でアンダーステアに苦しめられた部分があったので、夕方のサービスでフロントがより動くようにセッティングを見直しました。そのため、Day2ではコーナーリングスピードが上がり、車の動きが良くなりましたね。前にいた石川昌平選手組が戦列から消えてトップに立ちましたが、今度は後ろから横嶋良選手組が猛追してきて。追う立場から追われる立場になって守りの走りをする余裕は無かったですが、かえってそれが良い刺激になったのかもしれませんね。愛媛県出身なので、久しぶりに地元のラリーで優勝出来て嬉しいです!!

中西昌人 選手 [YH・WM・KYB・マクゼス・エイト1]

【今回の成績 :JN3クラス 2位】
今回はデフがロックするというトラブルがあって、完走も危ないのではないかという状態でした。しかしサービスでメカニックも頑張ってくれて、オイルの交換なども行いながらなんとか走りきることが出来ました。3位でフィニッシュかと思っていたら、最終ひとつまえのSSで2番手の選手が停まっているのが見えて「ええっ!?」と思いながらもペースを落としてしっかり最後まで走りきりました。今年からRX-8にしましたが、旧JN1時代にRX-8にさんざんいじめられたので、今度はいじめ返してやろうかと思って(笑)。潜在力はある車なので、もうちょっと煮詰まれば面白くなると思います。

TECHNICAL INFORMATION

変わりやすい山の天気に翻弄されることも多い「久万高原ラリー」だが、今年は競技が行われた二日間とも好天に恵まれた。特にDay2は気温/路面温度ともに予想以上に高くなり、各選手はロングステージを含めた150km以上という長いステージに対して、規則で使えるタイヤが14本ということからマネージメントにも気をつかって戦うこととなった。

そんな中、JN6勢は255/40R18サイズが追加されたADVAN A08Bを装着してスタートしたが、オープニングから2連続でベスト&セカンドベストのタイムを刻むなど、そのポテンシャルをしっかり見せた。