2015 WTCC Round 17&18 Report

【FIA世界ツーリングカー選手権 第17戦&第18戦/もてぎ (日本)】

もてぎで初開催のWTCCはスタートが勝負の鍵、
ロペス選手とモンテイロ選手が優勝を分け合う結果に!!

WTCC Round 17&18

開催日 2015年9月11日-13日
開催場所 ツインリンクもてぎ
(日本)
天候 第1レース:曇り
第2レース:曇り
路面 第1レース:ドライ
第2レース:ドライ
決勝周回数 第1レース:13周
第2レース:13周
(1周=4,801m)
2015 WTCC 第17&18戦

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2015年のWTCC(FIA世界ツーリングカー選手権)は、2ヶ月の夏休みを終えてラウンドを再開。アジア・中東へと戦いの場を移す終盤4大会、その皮切りとして日本で8回目となる「FIA WTCC Race of JAPAN」が開催された。岡山国際、鈴鹿と行われてきた日本ラウンドは、初めて関東に上陸。栃木県のツインリンクもてぎを舞台に、17台が出走して競われた。

初開催コースということで、限られた走行セッションでセットアップを詰めなければならない。また、欧州を拠点とするチームにとっては遠征が最終戦まで続くこととなるため、大きなクラッシュも禁物だ。そんな中、11日(金)には30分間のテスティング走行が行われたが、ここでトップタイムをマークしたのはガブリエレ・タルクィーニ選手。好調さは12日(土)も変わらず、2回のフリープラクティスでもともにトップタイムを刻んできた。

そして迎えた公式予選。12台に絞り込まれるQ1、ここではシトロエン勢が速さを見せて、ホセ・マリア・ロペス選手が1分55秒929でトップタイム、マー・チンホワ選手がセカンドタイムをマーク。タルクィーニ選手は3番手、ティアゴ・モンテイロ選手は6番手、ノルベルト・ミケリス選手も11番手でホンダ勢の3台もQ2へと進出する。Q1は上位8台が1秒以内にひしめきあう接戦で、ここから5台へとさらに絞られるQ2へ。

その Q2では、シトロエンのイヴァン・ミューラー選手が7番手に留まったほか、タルクィーニ選手が6番手、モンテイロ選手が8番手でQ3への進出ならず。一方、ミケリス選手は4台のシトロエン勢をおさえてトップタイム、Q3への勝ち残りを果たす。そしてQ3、1台ずつが1回のアタックに賭けるが、最終出走となったミケリス選手はそれまでのトップタイムだったロペス選手を0.080秒かわすベストを刻み、堂々の決勝レース1(第17戦)のポールポジションを獲得した。

13日(日)は朝から曇り空となったツインリンクもてぎ。第1レースは14時15分にフォーメーションラップが開始されたが、この少し前から霧雨が降り始める。ただ、コースはウェットに転じるまでではなく、各車はスリックタイヤを装着してスタートへと臨んだ。

ポールポジションのミケリス選手を筆頭に17台がグリッドオン、レッドシグナルがブラックアウトして一斉にエギゾーストノートが高まり第1レースがスタート。好スタートを見せたのはセカンドグリッドのロペス選手、イン側から一気にトップを奪うと、そのまま1コーナーを通過していく。ミケリス選手は2番手、その後方ではシトロエン勢が順位争いする間隙を突いてタルクィーニ選手がポジションアップ、5コーナーまでに3番手へと躍進する。

2周目に入って雨がやや勢いを増したが、コース上でのバトルはますますヒートアップ。雨はすぐにおさまったが、4周目にはトム・コロネル選手、5周目にはトム・チルトン選手とシボレーRMLのチームメイト2人が同じ5コーナーで単独コースオフ。これはブレーキのトラブルによるものであった。

トップはロペス選手が独走ペース、これをミケリス選手とタルクィーニ選手が追う展開。その後ろでは3台のシトロエンが4番手争いの接戦を演じていたが、9周目にはマー選手がダウンヒルストレートでミューラー選手のインへと果敢に飛び込んでポジションを奪う好バトルを演じてくれた。

スタート直後にトップを奪ったロペス選手は後続に脅かされることなく周回を重ね、今季7回目のウィニングチェッカー。ホンダの2台も続いて、地元・もてぎで表彰台を飾ることに成功した。2位でフィニッシュしたミケリス選手はYOKOHAMAトロフィーのトップとなり、ランキングリーダーとして2番手のチルトン選手に対して得点差を広げる結果となった。

約40分のインターバルをはさんで、スタートを迎えた第2レース(第18戦)。ポールポジションはヒューゴ・ヴァレンテ選手(シボレーRML)、セカンドグリッドにはニッキー・キャツバーグ選手(ラーダ)、3番手は第17戦でWTCC参戦200戦目となったモンテイロ選手というオーダーである。

気温25.6℃、路面温度27℃というコンディションで迎えたスタート、ここでロケットスタートを見せたのはモンテイロ選手で、2台をかわして1コーナーのトップを奪う。2番手はヴァレンテ選手、3番手にはミューラー選手がポジションを上げてきた。一方、第1レースを制したロペス選手も1コーナーまでに6番手に躍進したが、まさかのコースオフを喫して後退してしまう。

トップを快走するモンテイロ選手に対して、ミューラー選手以下はヴァレンテ選手のブロックによって、なかなかモンテイロ選手に迫ることが叶わない。一方、3周目にはマー選手が90度コーナーでタルクィーニ選手のインを鋭くさしてポジションを上げたが、4周目の1コーナーでタルクィーニ選手に押し出される形でコースオフ、この接触についてはタルクィーニ選手にペナルティが与えられた。

ヴァレンテ選手を激しくプッシュするミューラー選手だが、なかなか前に出られない展開となる中、5周目には軽い追突をしてしまった影響でミューラー選手のボンネットが半分めくり上がってしまい、これに対して修復を命じるオレンジディスク旗がレースコントロールから提示されてミューラー選手は万事休す。

終盤、激しさを増したのは3位争いで、ロブ・ハフ選手(ラーダ)、タルクィーニ選手、ローブ選手の三つ巴による接近戦は、多くの観客を魅了した。特にローブ選手のアグレッシブな走りは注目を集め、8周目のヘアピンではハフ選手に仕掛けたタルクィーニ選手が抜きあぐねていた隙を突いて、ローブ選手がタルクィーニ選手の前に出る。12周目には90度コーナーで逆にタルクィーニ選手にかわされたが、ファイナルラップの最終コーナーでローブ選手が最後の勝負に出て、サイド・バイ・サイドからタルクィーニ選手をかわずなど、見応えあるバトルが繰り広げられた。

そんなバトルを尻目にトップを快走したモンテイロ選手はそのままチェッカードフラッグまでマシンを運び、ホンダのホームコースで嬉しい自身今季2勝目を飾ることに成功。2位はYOKOHAMAトロフィーの最上位となったヒューゴ・ヴァレンテ選手で自身WTCC最上位という嬉しい結果を残した。そして3位は猛追から逃げきって、ハフ選手が表彰台を獲得した。なお、この日本ラウンドでの結果により、残り3大会となった今季のWTCCは、選手権タイトル争いはロペス選手、ミューラー選手、ローブ選手とシトロエンの3人に絞られることとなった。


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DRIVER VOICE

ホセ・マリア・ロペス 選手 [Citroen Total WTCC]

【今回の成績 : 第17戦 優勝 / 第18戦 17位(非完走)】
素晴らしいスタートを決めることが出来て、ミケリス選手をパスしてトップを奪いました。ホンダに対してシトロエンは60kgの補正ウェイトを積んでいるので難しいかと思ったのですが、マシンは本当に素晴らしい仕上がりでしたね。もてぎで勝利することはシトロエンにとって選手権争いでの重要なものだったので、とても嬉しいですね。第2レースでは第1コーナーの先で大きなミスをしてしまいましたが、選手権争いではリードを保った状態で次の上海に臨めます。日本は私にとって、本当に良い国ですね(笑)

ティアゴ・モンテイロ 選手 [Honda Racing Team JAS]

【今回の成績 : 第17戦 9位/ 第18戦 優勝】
ホンダにとってのホームであり、私にとっても第2のホームである日本でのレースに勝てて、本当に嬉しいです。エンジン交換を行ったために第1レースは最後尾グリッドからのスタートとなりましたが、規則を効果的に使わなければなりませんし、その結果として第2レースが重要になるということも理解していました。その結果、第2レースでは好スタートを決められて、タイヤもマネージメントしながら後続との差を広げていけました。今季は不運な場面もいくつかありましたが、この週末については私はとても自信がありました。補正ウェイト、もてぎのコース、車のアップデートと、私たちがレースに臨むための条件は揃っていたのです。ホンダには改めて感謝していますし、ホームレースでの優勝を飾れたことを改めて嬉しく思います。

ENGINEER VOICE

渡辺 晋 [ヨコハマ・モータースポーツ・インターナショナル プランニングマネージャー]

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ツインリンクもてぎでのWTCCは初開催ですが、強いブレーキングが続くレイアウトゆえに発熱が激しいという特徴があります。摩耗についてはアウト側のショルダーがほとんど使われていない感じで、真ん中よりの摩耗が進んでいた感じです。チームもキャンバーを立て気味にしていることも関係しているでしょうね。

レースもやはり、ブレーキ勝負なところが随所で見られましたね。第2レースではホンダがホームコースで勝利を獲得しましたし、2位に食い込んだCampos Racingもとても喜んでいましたね。全体的にワクワク感も高いレースウィークとなった感じで、足を運んでくださったお客様にも楽しんでいただけたのではないでしょうか。

金子武士 [ヨコハマ・モータースポーツ・インターナショナル]

ホンダが夏のテストでアップデートした効果が出た一戦だったという印象ですね。一方で第1レースはディフェンディングチャンピオンのホセ・マリア・ロペス選手が勝利を飾ったのも、さすがだなという印象です。タイヤの面では路面そのものは摩耗に厳しいというわけではないのですが、そんな中でロペス選手の摩耗状態は良くて、このあたりにタイヤの使い方の巧さが見られました。

決勝は最終的にドライコンディションとなりましたが、個人的にはウェットでのレースも見てみたかったですね(笑)。第2レースでは激しい接戦も演じられて、とてもWTCCらしさを感じられる面白い内容になったと思います。