2015 WTCC Round 15&16 Report

【FIA世界ツーリングカー選手権 第15戦&第16戦/ヴィラ・レアル (ポルトガル)】

初開催となったヴィラ・レアルでのストリートバトル、
第2レースではマー・チンホワ選手が自身2回目の勝利を手中におさめた!!

WTCC Round 15&16

開催日 2015年7月10日-12日
開催場所 ヴィラ・レアル
(ポルトガル)
天候 第1レース:晴れ
第2レース:晴れ
路面 第1レース:ドライ
第2レース:ドライ
決勝周回数 第1レース:13周
第2レース:11周(赤旗終了)
(1周=4,600m)
2015 WTCC 第15&16戦

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3月の上旬に開幕した2015年のWTCC(FIA世界ツーリングカー選手権)は、ヨーロッパラウンドの締めくくりとなる第8大会(第15&16戦)を迎えた。舞台となるのはポルトガルのヴィラ・レアル、第2大会のモロッコ以来となる市街地特設コースでのストリートバトルである。

ポルトガル北部にあるこの街は、1931年からストリートレースが開催されているという歴史を有する。事故によってブランクもあったが、コース全長を短くして2007年からレースが復活し、今回のWTCCは4,755mのコースで競われる。2年ぶりのポルトガル戦、そしてWTCCにとっては初開催となるヴィラ・レアルは勝者を予想するのも難しく、その戦いは大いに注目を集めた。

タイムテーブルは金曜日に30分のテスティング走行、土曜日に30分×2回のフリープラクティスという流れで、予選そして日曜日の決勝へと進む。まずは金曜日のテスティング走行、ここではランキングリーダーのホセ・マリア・ロペス選手(シトロエン)がトップタイムを刻むが、これに続いたのはイヴァン・ミューラー選手やセバスチャン・ローブ選手といったシトロエン勢に割ってはいるかたちでノルベルト・ミケリス選手(ホンダ)がセカンドタイムをマークした。

ミケリス選手は土曜日のフリープラクティス1回目でも、トップタイムにこそ届かなかったものの、ミューラー選手とロペス選手に続く3番手タイムをマーク。2回目では10番手に沈んだが、代わって同じくホンダ・シビックを駆るネストール・ジロラミ選手がロペス選手とローブ選手に続く3番手に食い込み、さらにティアゴ・モンテイロ選手も5番手とホンダ勢の躍進を期待させるリザルトとなった。

そして予選1回目、上位12台が2回目へと進出するが、ホンダ勢からはミケリス選手が3番手、モンテイロ選手が4番手、ガブリエレ・タルクィーニ選手が5番手、ジロラミ選手が8番手と全車が2回目の予選へ駒を進めた。トップタイムはロペス選手、以下シトロエンの5台とラーダの2台が勝ち残り、なんとシボレーRML勢からはヒューゴ・ヴァレンテ選手がただ一人、12番手で勝ち残るという展開に。

そして予選2回目ではロペス選手がトップタイム、ローブ選手が2番手で続いたが、ミューラー選手とマー・チンホワ選手、メルディ・ベナニ選手と3人のシトロエンドライバーが姿を消すことに。一方、3番手はタルクィーニ選手、4番手がミケリス選手でホンダ勢は2台が予選3回目に進出、シボレーRMLのヴァレンテ選手も孤軍奮闘ながら5番手で勝ち残りを果たした。

第1レースのスターティンググリッドを決する予選3回目。結果的にテスティングから速さを見せてきたロペス選手がトップタイムでポールポジションを獲得、ローブ選手が続いてフロントローをシトロエンが独占。3番手はヴァレンテ選手で、ここまではトップの1秒以内という僅差の争いになった。

日曜日、爽やかな青空の下で迎えた第1レース(第15戦)。スタートではポールポジションのロペス選手と2番手のローブ選手がポジションをキープしてターン1へと飛び込んだ一方、3番手のヴァレンテ選手は出遅れてしまい替わって6番手スタートのタルクィーニ選手がモンテイロ選手もかわして4番手へと浮上した。

ヴァレンテ選手はマシンのトラブルに襲われてしまい、その後もペースがあがらない。ゆえにシケインのような存在となってしまい後方から次々とやって来た各車は狭いコース上で混乱も見せたが、接触によるアクシデントは生じることなくオープニングラップは終了。レースはこのままシトロエンの2台が先行し、これをホンダ勢が追う展開で周回を重ねていくが、パッシングが難しいストリートコースゆえにポジションは変わることなく推移し、ロペス選手がヴィラ・レアルでの初ウィナーとなった。YOKOHAMAトロフィーは3位表彰台を獲得したミケリス選手が制した。

第2レース(第16戦)はチンホワ選手がポールポジション、2番手がミューラー選手で、再びシトロエン勢がフロントローを独占してスタートを迎えた。スタートは第1レース同様にトップの2台が先行したが、その後ろでは5番手スタートのモンテイロ選手がポジションをあげようとラーダの2台に割ってはいるかたちで仕掛ける。ところが接触からバランスを崩してコンクリートウォールに激突、マシンは右フロントを大破して部品がコース上に散乱してしまう。

このため早々にセーフティカーが導入され、巻き添えを食うかたちとなったラーダのヤープ・ヴァン・ラーゲン選手とともに2台はリタイアを喫してしまった。レースは6周目から再開、リ・スタートはアクシデントもなくチンホワ選手とミューラー選手がリードするかたちで仕切り直しとなる。

なかなか前の車を抜くのが難しいストリートコース、11周目にはローブ選手が果敢にミケリス選手とラーダのニッキー・キャツバーグ選手をかわしにいくも、狭いストレートでスリーワイドから頭ひとつ前に出しかけるところまではいったが、ターン1へのブレーキングが足りずに軽い接触から車は横を向いてランナバウトに衝突。さらに13周目、キャツバーグ選手も単独クラッシュを喫してマシンはコースの真ん中にストップ、このアクシデントにより赤旗が提示されてレースはここで終了となり、チンホワ選手が自身WTCC2回目の優勝、2位がミューラー選手、3位にタルクィーニ選手という順位となった。YOKOHAMAトロフィーは第1レースに続いてミケリス選手が制した。

DRIVER VOICE

ホセ・マリア・ロペス 選手 [Citroen Total WTCC]

【今回の成績 : 第15戦 優勝 / 第16戦 5位】
外からは簡単なレースだったように見えるかもしれませんが、スタートをはじめとして実にいろいろな要素がある難しいレースでした。コースの一部については、車の挙動がどのようになるか明確でない箇所もあったのです。そんな中、スタートを上手く決めることが出来て、そこからは逃げきりを図りました。

マー・チンホワ 選手 [Citroen Total WTCC]

【今回の成績 : 第15戦 6位/ 第16戦 優勝】
予選ではリバースグリッドにより、第2レースの前方グリッドを獲得するのが目標でした。スタートは上手くいきましたが、セーフティカーからのリ・スタートでは後ろにミューラー選手がいたので本当に集中しました。私はしっかりマージンを築き、落ち着いて良いペースを保つことを心がけました。再び表彰台の中央に立てたことは幸せですし、これは中国のモータースポーツにとっても良い知らせになるでしょう。

TECHNICAL INFORMATION

WTCC初開催となったヴィラ・レアル、ストリートコースということで常設型のサーキットコースとは路面の特性も異なるフィールドである。クラッシュの発生により、決勝レースではコース上にマシンの破損したパーツが散乱する場面もあったが、これが要因となるタイヤトラブルなどは皆無であった。

これで2015年のカレンダーはヨーロッパラウンドを終了したが、TC1規定車両のみで競われるようになった今シーズン、開幕からしっかり戦いを足元で支えてきているヨコハマタイヤ。次は9月の日本ラウンド、初開催となるツインリンクもてぎでの熱戦が演じられることとなる。