2015 WTCC Round 13&14 Report

【FIA世界ツーリングカー選手権 第13戦&第14戦/ポール・リカール (フランス)】

第1レースはフランス人の駆るシトロエンがワン・ツー・フイニッシュ、
第2レースはロペス選手が昨年に続いて鮮やかな逆転勝利!!

WTCC Round 13&14

開催日 2015年6月27日-28日
開催場所 ポール・リカール
(フランス)
天候 第1レース:晴れ
第2レース:晴れ
路面 第1レース:ドライ
第2レース:ドライ
決勝周回数 第1レース:16周
第2レース:16周
(1周=3,841m)
2015 WTCC 第13&14戦

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昨年初めてWTCC(FIA世界ツーリングカー選手権)の舞台となった、ポール・リカール・サーキット。フランスでのWTCCは2007年から3年続けてポーでの市街地レースが開催されていたが、2010年からは開催が途絶えてしまっていた。しかし2014年、シトロエンのWTCC参戦とタイミングを同じくしてカレンダーに再び組み込まれ、その舞台はF1も開催されたポール・リカールが設定されたのである。

シトロエンのお膝元での開催、さらにイヴァン・ミューラー選手とセバスチャン・ローブ選手にとっては母国での一戦ということで、いつにも増して気合いの入るところ。シトロエンの強さは母国ラウンドでも遺憾なく見せつけられ、フリープラクティスの1回目ではミューラー選手が、2回目ではマー・チンホワ選手がトップタイムをマークした。しかしその一方で2回目では2番手から4番手をシボレーRML・クルーズ勢が占め、シトロエンの独り舞台に待ったをかける。

だが、タイムテーブルが公式予選へと進むと、シトロエン勢の速さが際立つ展開に。Q1ではSébastien Loeb Racingから参戦のメルディ・ベナニ選手を含む5台が6番手以内に陣取る。12台が進出したQ2でもベナニ選手こそ10番手に留まったが、トップタイムのホセ・マリア・ロペス選手を筆頭に上位5台の中に4台のマニュファクチャラー登録選手が入った。そんな中で孤軍奮闘を見せたのはシボレーを駆るトム・チルトン選手で、Q1は4番手、Q2では3番手とシトロエン勢に割って入り意地を見せる。

そしてQ2の上位5台によるQ3。ここでもチルトン選手は健闘したが、ローブ選手、ミューラー選手、ロペス選手、チンホワ選手というオーダーで、シトロエン勢が第1レース(第15戦)のスターティンググリッドトップ4を独占する展開に。また、リバースグリッドとなる第2レース(第16戦)は、ベナニ選手がポールポジションを獲得した。

6月28日(日)、現地時間の12時48分にスタートを迎えた第1レース。気温28.3度、ドライコンディションの下で全車がグリッドオン、レッドシグナルが消灯して一斉にターン1を目指していく。ポールポジションのローブ選手はソツのないスタートで先頭でターン1へ、その後ろではアウト側の3番手グリッドからスタートしたロペス選手がイン側へとラインを移してポジションアップを狙うも、2番手グリッドのミューラー選手がそれを許さず。結局は予選オーダー通りのポジションでシトロエンの4台がレースをリードしていく。

その後方で激しくやり合ったのが、シボレーのヒューゴ・ヴァレンテ選手とホンダのティアゴ・モンテイロ選手。3周目には軽く接触を伴いながらのバトルでヴァレンテ選手が先行したが、最終ターンで再び接触しながらのポジション争い。モンテイロ選手にストレートで並ばれると先行を許したばかりか、再び追う立場に転じたヴァレンテ選手のマシンはインカット防止のタイヤバリアにヒットさせてしまい、ピットへ戻って戦列を離れる結果となった。

先頭のローブ選手は、後続にそのポジションを脅かされることなく快走。レースが折り返しとなる8周目を終えて、2番手のミューラー選手に対して3.382秒のマージンを築いていた。一方でミューラー選手は、ロペス選手から執拗なプッシュを受けていた。僅かでも隙があればインを奪っていくという姿勢に満ちたロペス選手、このチームメイト同士の2番手争いは少なからずトップのローブ選手を楽にした部分があったと言える。

こうして第1レースは、ローブ選手が一度もポジションを譲ることなくチェッカーを受けて、スロバキアの第2レースに続いて連勝。2番手争いはミューラー選手がロペス選手を抑えきって、フランス戦でシトロエンを駆る二人のフランス人ドライバーが、ワン・ツー・フイニッシュを飾った。YOKOHAMAトロフィーは予選から健闘を見せたチルトン選手が、総合5位に食い込んで制した。

第2レース(第14戦)は14時03分にスタート。しかしここで、ポールポジションのベナニ選手が誰の目にも明らかなジャンプスタートを犯してしまう。ポジション的にはトップでターン1へと飛び込んだが、いずれペナルティが科されるのは明らかな状況だ。こうなると2番手スタートのヤープ・ヴァン・ラーゲン選手(ラーダ)や3番手スタートのノルベルト・ミケリス選手(ホンダ)にとっては有利な状況となるが、後方からはホンダ勢やシトロエン勢が容赦なく追撃してくる。中でも圧巻だったのが8番手スタートのロペス選手で、セクター2までで5番手にポジションをアップ。1周目を終えて4番手で2周目へと突入した。

ベナニ選手がペナルティで後退、ヴァン・ラーゲン選手もスタート直後のターン1以降でポジションを下げたため、トップはミケリス選手で2番手はティアゴ・モンテイロ選手とホンダ勢がワン・ツー体制を構築。これをシトロエン勢が追うが、4周目にローブ選手がインカット防止のタイヤバリアに激突して左フロントフェンダーや足回りにダメージを受けて戦線を離脱した。

そして7周目に入ったストレート、モンテイロ選手の真後ろにつけたのはロペス選手、モンテイロ選手はターン1へのブレーキングと同時にラインをインに取る。一方でロペス選手はアウトから並んでターン1へと入ったが、その出口で両者は軽く接触してバランスを崩したモンテイロ選手がハーフスピン。これでロペス選手が前に出たが、この隙にチンホワ選手がロペス選手をかわして2番手に躍り出た。

ロペス選手が激しくチンホワ選手をプッシュ、攻防の末に2番手を奪ったのは12周目のターン1。約1.5秒あったミケリス選手のマージンは13周目の終盤にはほぼ無くなり、14周目にはトップがロペス選手に入れ替わる。そのままロペス選手はウィニングチェッカーを受け、昨年の最後尾スタートからに続いて、今年もポール・リカールで8番手スタートからの逆転劇を演じた。YOKOHAMAトロフィーは2位でフィニッシュしたミケリス選手が制した。

DRIVER VOICE

セバスチャンローブ 選手 [Citroen Total WTCC]

【今回の成績 : 第13戦 優勝 / 第14戦 リタイア】
WTCCで初めてポールポジションを獲得できて嬉しかったですね。ところがスタートで少し失敗してしまい、序盤ではトップのポジションを守ることに精一杯でした。そして一周目でなんとか若干のマージンを稼ぐことが出来たので、そのリードをしっかり守りきりつつも、行けるところではプッシュしていきました。第2レースはスタートも上手くいって、ロペス選手とチンホワ選手を追っていきました。私はチンホワ選手の真後ろにつけたのですが、彼がタイヤバリアの横をすり抜けると、そのバリアは私の目の前に現れました。何もできずに衝突してしまい、リタイアとなったのはとても残念です。

ホセ・マリア・ロペス 選手 [Citroen Total WTCC]

【今回の成績 : 第13戦 3位/ 第14戦 優勝】
ポール・リカールはパッシングがとても難しいコースなので、勝てるとは思っていませんでした。スタートは上手くいきましたが、そこから入り込んでいくスペースがありませんでした。そして、レースには成功につながる3つの瞬間がありました。ひとつは1周目、大きなロスや接触も無くチンホワ選手をかわせたこと。二つ目はモンテイロ選手のアウトにつけた時です。彼は私の方に寄ってきて結果としてスピンしましたが、私には何もすることが出来ませんでした。そして三つ目は、チンホワ選手とのバトルを経て、最後にミケリス選手をかわす瞬間です。彼はとてもフェアに戦ってくれたことを、表彰台で感謝しました。

TECHNICAL INFORMATION

プレビュー記事でもご紹介したように、昨年のポール・リカールでは第2レースで最後尾スタートから優勝を飾ったロペス選手。今年も8番手スタートからの見事な追い上げで表彰台の真ん中を勝ち取った。16周のレース、ロペス選手のタイヤマネージメント能力が高いこともあるが、走りをスタートからフィニッシュまでしっかり支え続けたヨコハマタイヤのポテンシャルも、この逆転劇を実現させた立役者であると言えるだろう。

そして今回のフランス戦では、WTCC同様にヨコハマタイヤがワンメイクサプライヤーをつとめているETCC(FIAヨーロッパ・ツーリングカー選手権)が併催された。こちらも熱いバトルが随所で繰り広げられたが、第1レースはアンドレアス・フィスター選手(セアト)、そして第2レースはWTCC参戦経験もあるドゥサン・ボルコヴィック選手(セアト)がそれぞれ優勝を飾っている。