2015 WTCC Round 7&8 Preview

【FIA世界ツーリングカー選手権 第7&8戦/ニュルブルクリンク (ドイツ)】

[Preview] 初開催のニュル、WTCCが名門コースに新たな伝説の1ページを刻む!!

WTCC Germany
(Nürburgring)

開催日 2015年5月14日-16日
開催場所 ニュルブルクリンク
(ドイツ)
コース距離 25km
決勝予定周回数 3周×2レース
2015 WTCC 第7&8戦 プレビュー

2015年のWTCC(FIA世界ツーリングカー選手権)、そのカレンダーにおいて昨年の発表から最も注目を集めている一戦がこの週末に初開催を迎える。舞台はドイツ、ニュルブルクリンク。“世界最大の草レース”とも称される24時間レースと併催される第7&8戦は、幾多の伝説を生んできたノルドシュライフェが舞台。そう、全長25kmに及ぶ、世界の名車たちやスポーツタイヤなどを鍛え上げてきたレーシングトラックであり、WTCCとしては前例の無いロングコース。ゆえに決勝レースはなんと3周という、これまた異例のフォーマットで競われる。

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去る4月には合同テストが行われているが、ここで速さを見せたのはやはりシトロエン勢だった。トップタイムはホセ・マリア・ロペス選手が叩き出し、セバスチャン・ローブ選手とマー・チンホワ選手が続いて上位を独占。イヴァン・ミューラー選手も好タイムをマークして、マシンのパフォーマンスも遺憾なく発揮している。

一方で、前戦のハンガリーからアップグレードされたホンダ・シビックのパフォーマンスにも期待が高まるところ。ハンガリーではノルベルト・ミケリス選手が地元優勝を飾っているが、マニュファクチャラー登録となるガブリエレ・タルクィーニ選手とティアゴ・モンテイロ選手も初めてのニュルブルクリンクにおけるWTCCに向けて手応えを掴んでいるようで、モンテイロ選手はWTCC公式サイトに「シビックのアップデートは本当に助けになった。マシンはうまく機能している。すごくスムーズで、反応が良いんだ」と力強いコメントを寄せている。

初開催コースであり、しかも大小170ものコーナーが待ち受けるニュルブルクリンク。そこに一体、どのようなドラマが待ち受けているのかは誰も予想できないのが正直なところだ。なお、今回は24時間レースとの併催となっているため、通常とは異なり決勝レースは現地時間の土曜日に行われる。第7戦は11時15分、第8戦は12時15分にスタートが予定されている。



雨と霧に包まれた、金曜日のニュルブルクリンク!!

現地では既に公式スケジュールが進行しており、木曜日にはテストセッションが行われた。このテストセッションはドライコンディションでの走行となったが、一夜明けた金曜日は空模様が崩れてしまい、朝8時15分から予定されていたフリープラクティスの1回目は、濃霧の影響によりスタートが大幅に遅れる展開となった。

霧が晴れてようやくスタートを切ったフリープラクティス1、走行枠は60分間が用意されているが、1周のラップタイムが10分を超えるロングコースであるだけに、各選手/チームはまず公式予選に向けたマシンのセットアップとドライバーの慣熟を効率的に進めていかなければならない。

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視界は回復したものの路面は濡れている中で、リザルトの上位に名を連ねたのはラーダ勢。ヤープ・ヴァン・ラーゲン選手が10分17秒981でトップ、ロブ・ハフ選手が10分19秒432で続いて、ワン・ツーとなった。3番手はシボレーRMLのトム・チルトン選手、4番手にホンダのティアゴ・モンテイロ選手、5番手はシボレーRMLのステファノ・ディアステ選手、6番手がホンダのノルベルト・ミケリス選手というトップ6で、シトロエン勢はこのセッションでは上位に名を連ねていない。

また“ニュルの女王”という異名も持つザビーネ・シュミッツ選手、WTCC初参戦となる今回はALL-INKL.COM Munnich MotorsportからシボレーRMLを駆っての参戦で注目を集めているが、フリープラクティス1をしっかり走りきって予選~決勝での好走にも期待が高まっている。

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なお、タイヤについては今回、FIA(国際自動車連盟)の承認を受けてニュルブルクリンク専用のウェットタイヤを開発・投入した。ニュルブルクリンクは雨が降ると路面温度が低く、長いストレートでタイヤが冷めるためにウェットタイヤが温まりにくいという背景があり、スタンダードなウェットタイヤよりもソフトなコンパウンドを設定している。このタイヤには外見で区別できるように赤いラインが入っているが、フリープラクティス1は完全なウェットとなったために大多数の車両が装着して走行した。



【選手権 ドライバー部門・ポイントランキング (第6戦終了時点)】

順位 No. ポイント ドライバー 車両 チーム
1 37 129 ホセ・マリア・ロペス シトロエン・C-エリーゼ WTCC Citroen Total WTCC
2 9 96 セバスチャン・ローブ シトロエン・C-エリーゼ WTCC Citroen Total WTCC
3 68 86 イヴァン・ミューラー シトロエン・C-エリーゼ WTCC Citroen Total WTCC
4 18 58 ティアゴ・モンテイロ ホンダ・シビック WTCC Honda Racing Team JAS
5 33 53 マー・チンホワ シトロエン・C-エリーゼ WTCC Citroen Total WTCC
6 5 47 ノルベルト・ミケリス ホンダ・シビック WTCC Zengo Motorsport
7 3 42 トム・チルトン シボレーRML・クルーズ TC1 ROAL Motorsport
8 2 38 ガブリエレ・タルクィーニ ホンダ・シビック WTCC Honda Racing Team JAS
9 7 27 ヒューゴ・ヴァレンテ シボレーRML・クルーズ TC1 Campos Racing
10 25 26 メルディ・ベナニ シトロエン・C-エリーゼ WTCC Sebastien Loeb Racing
11 4 19 トム・コロネル シボレーRML・クルーズ TC1 ROAL Motorsport
12 26 12 ステファノ・ディアステ シボレーRML・クルーズ TC1 ALL-INKL.COM Munnich Motorsport
13 15 6 ジェームス・トンプソン ラーダ・ヴェスタ WTCC LADA Sport Rosneft
14 27 4 ジョン・フィリッピ シボレーRML・クルーズ TC1 Campos Racing
15 19 3 リカルド・リデル ホンダ・シビック WTCC Nika International
16 12 3 ロブ・ハフ ラーダ・ヴェスタ WTCC LADA Sport Rosneft
17 11 2 グレゴアール・ドゥムースティエ シボレーRML・クルーズ TC1 Craft Bamboo
18 98 0 ドゥサン・ボルコビッチ ホンダ・シビック WTCC Proteam Racing
19 14 0 ミハイル・コズロフスキー ラーダ・ヴェスタ WTCC LADA Sport Rosneft

【YOKOHAMAドライバーズトロフィー・ポイントランキング (第6戦終了時点)】

順位 No. ポイント ドライバー 車両 チーム
1 5 47 ノルベルト・ミケリス ホンダ・シビック WTCC Zengo Motorsport
2 3 43 トム・チルトン シボレーRML・クルーズ TC1 ROAL Motorsport
3 25 35 メルディ・ベナニ シトロエン・C-エリーゼ WTCC Sebastien Loeb Racing
4 7 25 ヒューゴ・ヴァレンテ シボレーRML・クルーズ TC1 Campos Racing
5 26 23 ステファノ・ディアステ シボレーRML・クルーズ TC1 ALL-INKL.COM Munnich Motorsport
6 27 20 ジョン・フィリッピ シボレーRML・クルーズ TC1 Campos Racing
7 11 16 グレゴアール・ドゥムースティエ シボレーRML・クルーズ TC1 Craft Bamboo
8 4 15 トム・コロネル シボレーRML・クルーズ TC1 ROAL Motorsport
9 98 5 ドゥサン・ボルコビッチ ホンダ・シビック WTCC Proteam Racing

CIRCUIT

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1927年にオープンしたニュルブルクリンクは、それまでのレースが公道で行われてきたのに対して、専用サーキットへと戦いの舞台を移していく大きな転換点のひとつとなった。ドイツ北西部、アイフェルの森にあるニュルブルクリンク城の周囲に設けられたコースは、幾多の伝説を生んできた。

特にノルドシュライフェは大小170ものコーナーがある一方で、ハイスピードなストレートも存在し、世界の自動車メーカーやタイヤをはじめとしたサプライヤーが、開発の場として活用している。ヨコハマタイヤも当地にテストセンターを常設し、ハイパフォーマンスタイヤを中心としたテストを行っている。

ニュルブルクリンクはその広大な敷地ゆえに、コース上の場所によって天候や路面コンディションが異なってくる可能性も高い。ある場所はドライ路面だが、反対側のある場所では雨や霧でウェット路面、などというシチュエーションは、決して珍しいものではないのだ。こうなると3周で競われるWTCCではコース全体のコンディション推移も見極めるチーム力は欠かせない要素となってくる。