2015 JRC Round 8 Report

【全日本ラリー選手権 第8戦/岐阜県高山市】

王座を確定している新井敏弘選手組が今季5勝目、
JN5クラスでは山口清司選手組がトヨタ86での初優勝を飾る!!

JRC Round 8

開催日 2015年10月16日-18日
開催場所 岐阜県・高山市 近郊
天候/路面Day1) 晴れ/ドライ
Day2) 曇晴れ/ドライ
ターマック(舗装路面)
総走行距離 301.40km
SS総距離 87.84km (12SS)
得点係数 1.0 (舗装路50km~100km未満)
参加台数 52台 (オープンクラス含)
(ヨコハマタイヤ装着車 15台)
全日本ラリー選手権 第8戦

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終盤戦に入った2015年の全日本ラリー選手権は、第8戦の「第43回 M.C.S.C.ラリーハイランドマスターズ」が岐阜県高山市を舞台に開催された。長い歴史を誇る伝統の一戦、古くはグラベル(非舗装路)を舞台として幾多の名勝負が演じられてきたが、近年はターマック(舗装路)ラリーとして秋の飛騨高山を駆け抜けることでお馴染みだ。

ことしも高山市郊外の道の駅モンデウス飛騨位山をベースに、12本のSS(スペシャルステージ)、合計距離87.84kmが設けられた本大会。土曜日のDay1はお馴染みの駄吉林道を上り方向で使う「駄吉上り (6.25km)」、そして全面舗装化された名物ステージを下り方向で使う「青屋下り (8.75km)」、ギャラリーステージとなる「アルコピア-無数河 (6.11km)」を、昼のサービスをはさんで各2回ずつ走行する。日曜日のDay2は前日とは逆方向に走る「無数河-アルコピア (6.16km)」、そして「牛牧下り (6.99km)」と昨年から登場した「あたがす (9.66km)」を、やはりサービスをはさんで各2回ずつ走行する。

山の木々も色付き始めた高山は、ラリーウィークを通じて爽やかな秋晴れに恵まれた。朝晩は気温が一桁前半にまで下がる冷え込みだが、日中は20℃を超える暖かさで昨年よりも気温/路面温度ともに変化の幅は大きめとなったことしのハイランドマスターズ。二日間を通じてオールドライで戦われるターマックラリーは、ことし初めてとなった。

標高差の大きなテクニカルステージが特徴的な本大会、オープニングの「駄吉」は6.25kmでおよそ500mを一気に駆け上がる。ここでステージベストを刻んだのは前戦でシリーズチャンピオンを確定している新井敏弘選手/田中直哉選手組(WRX STI)、2番手のライバルを1.5秒引き離すベストで幸先よいスタートを切った。続く青屋も新井選手組がベストを奪うと、奴田原文雄選手/佐藤忠宜選手組(ランサー)がセカンドベストで続いて、ヨコハマタイヤ勢が早々にワン・ツー・フォーメーションを形成する。

新井選手組の快走はその後も続き、オープニングから5連続ステージベストでラリーをリード。一方の奴田原選手組はSS3の朝露で濡れた路面に若干足をすくわれて土手にマシンをヒット、ロワアームを破損してタイムロスを喫してしまうが、それでもポジションは3番手をキープしてDay1最終ステージではベストを奪い、初日は6本のSS全てでヨコハマタイヤ勢がステージベストを独占する結果となった。

日曜日は朝8時に1号車の新井選手組がサービスアウト、オープニングステージのスタート時刻は土曜日よりおよそ3時間早い。よって気温もまだ低めだが、SS7と8を新井選手組はセカンドベスト、前日に構築したマージンを背景にラリーリーダーとして主導権をしっかり握っていく。中間のサービスをはさんでラリーは最終セクションに入ったが、ここで新井選手組のマシンはセットアップが若干狂ってしまっていたためにタイムが伸び悩み、最終ステージを残してライバルに1.7秒差まで詰め寄られてしまう。

しかしSS12のスタート前に新井選手自らセットアップを修正、最後はライバルを2秒引き離すベストを叩き出してトップでフィニッシュ。今シーズン5勝目を飾って、シリーズチャンピオンの貫祿を見せつけた。奴田原選手組は逆転が期待されたが、惜しくも追い上げはならず。それでもしっかり最後までマシンを運んで3位を獲得、JN6クラスはヨコハマタイヤ勢が1-3フィニッシュで表彰台を飾った。

JN5クラスは上位を走っていた選手が初日の最終ステージで次々に姿を消す、波乱含みの展開となった。そんな中で安定した走りを見せたのが、トヨタ・86の山口清司選手/山本磨美選手組。昨年の最終戦から、それまでのAE111型カローラ・レビンに替えて86を投入している山口選手、今シーズンはアンラッキーなハプニングに襲われたこともあったが、厳しかったこれまでの流れを断ち切る快走を見せる。SS10ではステージベストも刻んでフィニッシュまでマシンをしっかりと運び、嬉しい86での初優勝を飾ることに成功して表彰台で笑顔を見せた。

このほかのクラスでは、JN4で小濱勇希選手/馬場雄一選手組(BRZ)が第3戦の若狭に続く準優勝を獲得。JN3クラスでも藤田幸弘選手/藤田彩子選手(デミオ)が3位表彰台を獲得。ヨコハマタイヤ勢は参戦したほとんどのクルーが完走を果たして、セレモニアルフィニッシュで大勢のギャラリーから歓声を受けていた。

DRIVER VOICE

新井敏弘 選手 [富士スバル アライモータースポーツ WRX]

【今回の成績 :JN6クラス 優勝】
今回は車の仕様を少し変えてきました。事前にテストする時間は無かったのですが、「当たるも八卦、当たらぬも八卦」ということで(笑)。冗談はさておき、モントレーの仕様からその延長線上でもう少し進化させた感じで、方向性としては正解でした。さらにタイトコーナーの走り方も変えたんです。ヘアピンや長いコーナーは立ち上がり加速を稼いだほうが速いので、ラインを大きく変えました。日本独特の感じで、WRC(FIA世界ラリー選手権)では、あのような走り方をしたことは無いんですけれどね。今季5勝目ですが、決して楽観視は出来ないと思っています。ライバルのセッティングが煮詰まってくればもっと速くなるでしょうから、私たちもVAB型WRX STIをさらに進化させていきたいと思います。

奴田原文雄 選手 [ADVAN-PIAA ランサー]

【今回の成績 : JN6クラス 3位】
Day1のSS2を終えて2番手に立ちましたが、SS3で土手にヒットしてポジションを下げてしまいました。ポジションを回復することが叶いませんでしたが、マシンの細かいセッティングを詰めていかなければこの先は厳しいかな、と思っています。しかし、VAB型が急速に進化していますが、ランサーもまだまだやれることはありますから、コンマ単位でタイムを詰めて行きます。次は最終戦の新城、ヨコハマタイヤのホームラリーでもありますから3年連続優勝で締めくくりたいですね。

山口清司 選手 [jms ADVAN エナペタル 久與 86]

【今回の成績 :JN5クラス 優勝】
86で初優勝、自分自身では去年の唐津以来となる優勝です。Day1はトップが少しリードを広げましたが、それ以外のライバルとは争えるポジションで走れました。車の仕上がりも良く、しっかり上位の一角をキープしていたことがこの結果につながりましたね。昨年の最終戦から86にしましたが、これまで本当に色々ありました。今回はしっかり3番以内に入ることをテーマにしましたが、下りはちょっとタイムが伸び悩んで反省点ですが、上りはタイムを出して行けました。下りはもうちょっと旋回スピードを高められるように、車を見直して行きます。ノートラブルで勝ててホッとしていますが、この調子で次の新城も頑張ります。

AREA GUIDE

外国人観光客からも人気の飛騨高山!!

“小京都”とも称される飛騨高山は。江戸時代以来の城下町であり、市内の各所には当時を偲ばせる町の姿が残されている。そんな日本の伝統文化は外国人観光客からも大人気で、街中を散策する西洋人の姿は多く見られる。街中の飲食店などでは英語のメニューも用意されており、外国人観光客を受け入れる体制も早くから整えられてきた町である。

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寺院が集まる東山寺町、色鮮やかな鯉が泳ぐ瀬戸川と白壁土蔵街、お馴染みの朝市、陣屋跡などをめぐるルートが人気のコース。これらは徒歩でも楽しめるが、人力車に乗っての周遊も人気が高い。また、商人の街として発展した側面も有する高山市、「さんまち通り」と呼ばれるエリアを中心に景観保存されている「古い町並み」は必訪のスポット。

世界的に有名な観光ガイドでも3つ星を与えられている町並みに足を踏み入れると、まるで江戸時代にタイムスリップしたかのような日本の原風景に出会える。これからの時期は紅葉もみごろを迎える飛騨高山、ぜひその魅力を現地で感じ取っていただきたい。

TECHNICAL INFORMATION

この時期の飛騨高山は、好天に恵まれると一日の寒暖差がとても大きくなる。今回も日中の最高気温は20℃を超えたものの、朝は一桁台の冷え込みとなった。そんな中で優勝した新井選手組や3位表彰台の奴田原選手組はADVAN A050の中でもラリー専用に開発されたT/Sコンパウンドを装着。Day1のステージベスト独占などで、改めて対応領域の広さを実証した。