2015 JGC Round 7 Report

【全日本ジムカーナ選手権 第7戦/恋の浦】

アップダウンが激しく難易度の高い恋の浦、
PN4・岡野博史選手が6度目の全日本タイトルを獲得!!

JGC Round 7

開催日 2015年9月19日-20日
開催場所 スピードパーク恋の浦
(福岡県)
天候 晴れ
路面 ドライ
参加台数 123台
(ヨコハマタイヤ装着車 25台)
2015 全日本ジムカーナ選手権 第7戦

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全日本ジムカーナ選手権の第7戦は、九州地区で唯一のJAF(日本自動車連盟)公認コースとなっているスピードパーク恋の浦を舞台に開催された。昨年から全日本選手権に組み込まれたこのコースは、今年で2回目の全日本戦開催となる。

コースは、スタートから一気にワインディングを駆け下り、下段のカートコース部分を周回し、最後に上段のパイロンセクションをこなしてフィニッシュというレイアアウトだ。カートコース部分はショートカットに大きな落差があり、オーバースピードで進入するとマシンの下回りが路面と干渉したり、縁石が高いために極端に乗り上げるとジャンプ気味になりトラクションが抜けてしまうこともある。パイロンセクションは中間部分まで上り勾配となっていて、奥のパイロンが視認できないという豪快かつ非常に難易度の高いコースだ。

ロケーションとして玄界灘をバックに走りを観戦できることと、秋の大型連休の初日と重なったこと、さらに公開練習日の土曜から決勝日の日曜まで好天に恵まれたことから、会場には多くのギャラリーが詰めかけた。

前戦の関越ラウンドでは4クラスでタイトルが決まったが、今回はさらに2クラスのタイトルが決定した。そのひとつがパイロンワークの名手・岡野博史選手が参戦しているPN4クラスだ。今回、岡野選手は優勝すればチャンピオンが決定する状況だ。ところが、第1ヒートは「完全にインを攻めすぎた」とスタート直後の第1コーナーイン側に前後輪を落とすまさかの脱輪ペナルティ。これで自力でのタイトル獲得に黄色信号が点滅する。注目の第2ヒートはコースの条件が悪化してしまい、岡野選手は残念ながら5位フィニッシュ。しかし、ライバル選手の順位により、岡野選手の2015年のPN4クラスチャンピオンが確定した。

今季は開幕2連勝の後、不運も重なって第3戦、第4戦と勝てない戦いが続いたものの、第5戦で再び優勝して巻き返しを図れたのがターニングポイントだったという。「もちろん、シリーズを通してどんな条件でもしっかりグリップを発揮してくれたADVAN NEOVA AD08Rのおかげ」と語り、ヨコハマタイヤの優秀性を大いに証明して見せた。これで岡野選手は通算6度目のタイトルを獲得することになった。

このところ若手ドライバーが台頭してきているSA1クラスでは、今回も23歳という若さの若林隼人選手が第1ヒートからベストタイムをマーク。前半のカートコースでは苦しんだものの、パイロン育ちの関東勢の強さを発揮して最後のパイロンセクションで一気に逆転。嬉しい全日本2勝目を挙げた。2位には斉藤邦夫選手が入賞。工藤典史選手は第2ヒートで追い上げを図るものの5位に終わった。その結果、斉藤選手は有効ポイント制によりタイトル争いから脱落。ヨコハマタイヤユーザーの工藤選手と若林選手が、最終戦で一騎打ちとなる。

SA1クラスと同様に接戦が繰り広げられているN2クラスは、シーズン前半戦では不調だった小林辰朗選手がここまで3連勝し、シリーズ2番手で恋の浦ラウンドを迎えた。逆転チャンピオンを獲得するためには、今回はぜひとも勝っておきたかった小林選手だが、惜しくも0.5秒差の2位。最終戦に向けて、「まだチャンピオンの可能性は大いに残っているので、最後まで諦めずに頑張ります」と頼もしいコメントを残してくれた。また、3位にもシリーズ4番手につけているヨコハマタイヤユーザーの上本昌彦選手が入賞した。

そして毎戦ハイレベルな戦いが繰り広げられるSA3クラスでは、シリーズランキング3位の天満清選手が3位入賞を果たした。

次戦はいよいよ2015年シーズン最終戦。まだタイトルが決定していない5つのクラスで、白熱したチャンピオン争いが予想される。

DRIVER VOICE

岡野博史 選手 [ADVAN リジット ランサー]

【今回の成績 : PN4クラス 5位 (シリーズチャンピオン確定)】
今シーズンは強豪選手が加わったので気が抜けない戦いが続きましたが、逆にいい刺激にもなりました。ただ、今回は第1ヒートが勝負だと考えスタート直後から攻めすぎてしまい、脱輪してしまったのが敗因です。装着タイヤのADVAN NEOVA AD08Rは両ヒートともしっかり高いグリップを発揮してくれましたが、やはり第1ヒートから確実にタイムを残しておかなければならないのがジムカーナだと、改めて痛感しました。でも、何とかタイトルを獲得できて嬉しく思っています。ヨコハマタイヤをはじめ、支援してくれた多くのスポンサーに感謝したいと思います。

若林隼人 選手 [ADVAN ボレロ 若自 CR-X 兄]

【今回の成績 :SA1クラス 優勝】
全日本2勝目を挙げることでき、非常に嬉しく思っています。タイヤはADVAN A050の高温向けであるG/Sコンパウンドをフロントに、低温向けのG/2Sコンパウンドをリアに装着しました。今回のように比較的路面温度の高い場合、FWD(前輪駆動)ではリアにもG/Sを装着する選手もいるようですが、自分はこの組み合わせの方が運転しやすいと感じています。事前の情報でこのコースは1本目勝負になりやすい、ということを聞いていたので、先輩方の過去の走りのビデオを繰り返し見て研究しましたし、しっかり1本目に集中できたのが良かったのだと思います。全日本1年生ですが、ぜひ最終戦でチャンピオンを目指したいと思います。

斉藤邦夫 選手 [ADVAN A050 シビック]

【今回の成績 :SA1クラス 2位】
若林選手のことは地元が同じ群馬ですし、彼のお父さんがジムカーナをやっていたので子供の頃から知っている間柄なのですが、まさか開幕戦に続いてまた負けるとは思いませんでした。今回はADVAN A050のG/Sコンパウンドを4輪に装着しましたが、タイヤはしっかりパフォーマンスを発揮してくれました。負けてしまったとはいえ、ヨコハマタイヤ勢のワン・ツー・フィニッシュが達成できたことで、その優秀性をあらためてアピールできたのではないかと思います。今回は初めてのコースにもかかわらず、あれだけの速さを発揮した若林選手が立派でしたし、拍手を送りたいですね。

小林辰朗 選手 [ADVAN ザクロス RX7]

【今回の成績 :N2クラス 2位】
今回は自分としては目一杯の走りをしたつもりです。タイヤはADVAN A050のG/Sコンパウンドを4輪に装着しました。土曜日の公開練習日まではユーズドタイヤを使用して、決勝は新品を投入したのですが、新品タイヤの高いグリップに慣れず、走りを合わせられませんでした。タイヤは第2ヒートのフィニッシュまでしっかりと高いグリップを発揮してくれたので、自分の作戦ミスが敗因です。今回優勝できれば最終戦は4位以上でチャンピオンが確定したのですが、最後はもう勝つしかないと思っています。可能性は大いにあるので、しっかり準備して挑みます。

上本昌彦 選手 [ADVAN ルブロス RX7]

【今回の成績 :N2クラス 3位】
決勝当日は気温が比較的高かったのですが、使用したADVAN A050のG/Sコンパウンドが路面温度にベストマッチしていました。自分の走らせ方も、そんなタイヤのパフォーマンスに走りをうまく合わせることができました。第2ヒートもしっかりとグリップしてくれましたし、第1ヒートでミスした箇所を修正できたので、今回の成績が残せたのだと思います。ただ、ショートカットのライン取りなどは、まだまだ小林選手には追いついていない部分が多いので、もっと頑張ります。

天満 清 選手 [ADVAN ジール クスコ ランサー]

【今回の成績 :SA3クラス 3位】
全体的な戦いぶりは悪くなかったと思っていますが、何と言っても第1ヒートにミスコースしてしまったのが優勝争いに食い込めなかった原因です。今年はスナガワラウンドでも何年かぶりにミスコースするなど、シーズン中2回もミスコースしたのは本当に久しぶりです。第2ヒートのタイムで何とか3位に入ることができましたが、使用したADVAN A050のG/Sコンパウンドのパフォーマンスも第1ヒートからしっかり発揮できていただけに残念です。最終戦はしっかりと戦って有終の美を飾りたいと思います。

FEATURED DRIVER

■PN1クラス : 福田大輔 選手

現在PN1クラスにGK5型のフィットで参戦しているのが福田大輔選手だ。今回は残念ながら両ヒートともにパイロンペナルティで入賞を逃してしまったが、2010年にはデミオを駆って当時のPNクラスの初代チャンピオンを獲得している実力者でもある。


「ジムカーナは大学の自動車部にいるときに初めて参加しました。通っていた大学が静岡にあったので静岡県シリーズに参戦したのですが、GA2型のシティでいきなりチャンピオンを獲れてしまったんです。大学も留年してしまい(笑)、時間もできたのでさらにジムカーナにのめり込んでしまいました」

そう語る福田選手だが、その後はヴィッツのステアリングを握って2004年に全日本戦にも挑戦した。全日本デビュー戦ではN1クラスでいきなり3位表彰台も獲得するなど、その才能の片鱗も見せつけている。

「デミオはPNクラスが新設されるということで買いました。当時はまだSタイヤを使用していましたが、やはりPNクラスは低コストで参加できるのが最大のメリットだと思います」その後は東日本大震災の影響などもあり全日本戦には参加していなかったが、今シーズンは晴れてフィットで全日本のPN1クラスを追いかけている。

「フィットは排気量1500ccなので、ライバルのスイフトに対して100ccのハンデがあるんです。今回の恋の浦のコースのように上り勾配があるコースは辛いですね。タイヤも規定で幅195mmまでしか装着できないのですが、今年は第2戦で3位表彰台も獲得しましたし、ほかにフィットで勝った選手もいるので、決して勝てないクルマではないと思います」

そんな福田選手のフィットの足元を支えているのがヨコハマタイヤのADVAN NEOVA AD08Rだ。福田選手は学生の頃から一貫してヨコハマタイヤを使用している。

「ヨコハマタイヤはフィーリングがいいんです。特にステアリングを切った際の剛性感が高く、滑り出す時の限界がつかみやすい。これはADVAN A050もADVAN NEOVA AD08Rも変わらない傾向だと思いますし、そこが自分が気に入っている性能でもあります」

16年というジムカーナ歴を持つ福田選手だが、ここまでジムカーナを続けて来られたのは、コストをかけずに誰とでも対等に勝負ができ、クルマが大好きだと言うことに尽きる。「できればフィットで1勝したい」と語る福田選手。その目標が実現するよう、最終戦での熱い走りに期待したい。

TECHNICAL INFORMATION

スピードパーク恋の浦の路面は、北海道のスナガワに似ており、表面が粗くタイヤへの攻撃性が強い。それだけにグリップ自体は悪くないが、路面がうねっていたりバンピーな部分もある。また、縁石も高いのでどの程度縁石に乗せていくかでも勝負に影響する。それだけセッティングも難しいコースと言える。

タイヤに関しては路面温度の高低に関わらず、比較的ゴム硬度が高いハード系コンパウンドがマッチしており、多くの選手がADVAN A050のG/Sコンパウンドを装着していた。SA1クラスの若林選手のようにリヤのみG/2Sコンパウンドを選択して優勝する選手もいるが、少なくとも駆動輪にはG/Sコンパウンドを選択するのが定石だ。各クラスのヨコハマタイヤユーザーの好成績がそれを物語っている。