2015 JGC Round 6 Report

【全日本ジムカーナ選手権 第6戦/関越】

関越スポーツランドで最後となる全日本戦、
ヨコハマタイヤ勢が4つのクラスを制覇!!

JGC Round 6

開催日 2015年8月1日-2日
開催場所 関越スポーツランド
(群馬県)
天候 晴れ
路面 ドライ
参加台数 120台
(ヨコハマタイヤ装着車 38台)
2015 全日本ジムカーナ選手権 第6戦

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全日本ジムカーナ選手権第6戦は、2006年以来の全日本戦開催となる関越スポーツランドが舞台となった。ジムカーナを代表するフルパイロンコースであり、久々の開催を待ちわびた関係者も多かったことだろう。JAF関東ジムカーナ選手権でも代表的コースとして親しまれ、多くのジムカーナ選手がここ関越スポーツランドでパイロンテクニックを磨き、トップランカーへと成長していった。しかし、開催を間近に控えた7月17日、関越スポーツランドが8月31日をもって営業終了となることが発表された。

今ラウンドは、シーズン当初からパドックスペースの関係などにより参加台数の上限が120台までと公言されていた。そのため、スポット参戦の選手はポイントを獲得していなければ、参戦すらままならないという厳しい条件だ。特に今回は最後の関越ラウンドということもありエントリーが多かったが、実力のある選手でもシリーズポイントが少ないと不受理となることがあったという。実力派のなかでもさらに首位争いを繰り広げている選手たちが全国から集い、関越スポーツランド最後の戦いを盛り上げた。

今回のコース設定は、540度ターン、オフセットされ行きと帰りで異なるテクニックが必要とされるスラローム、右左どちらからでも回れる360度ターン、狭い範囲での連続180度&360度ターンなどを盛り込んだ、まさにパイロンコースの真骨頂と呼べるものだった。しかも、ターンの立ち上がりには規制となるパイロンが配置されているため、ターンの速さだけではなくライン取りもコントロールしないとタイムは出ない。歴戦の全日本選手をしてもパイロンタッチやミスコースが生まれるほど、近年まれにみるテクニカルで難易度の高いコースだったと言えるだろう。

そんななかで注目を集めたのは、関越スポーツランドをホームコースとし、ともにADVAN A050を装着するSA1クラスの若林兄弟だ。出走順は、クラストップゼッケンに弟の拳人選手、最終ゼッケンに兄の隼人選手というオーダー。いざスタートすると、トップゼッケンの拳人選手が、それまでのN3クラスのベストタイム以外をすべて上回る1分12秒572というスーパータイムをたたき出す。他の選手がなかなかそのタイムを更新できないなか、最終ゼッケンの隼人選手が0.224秒差の2番手タイムを刻む。第2ヒートは、タイムを落とした拳人選手に対して、クラス最終走者の隼人選手はタイムアップを果たすも追いつけず、拳人選手が最後の関越ラウンドで全日本初優勝。若林兄弟がワン・ツー・フィニッシュで地元関越スポーツランドに錦を飾った。

圧巻だったのはPN4クラスだ。シリーズリーダーである岡野博史選手は関越スポーツランドで育ち、パイロンキングの異名を持つ。今回は気温が35度を超える酷暑日となったが、路面温度が低い時期から高い時期までコンスタントに好タイムを刻むADVAN NEOVA AD08Rを装着し、第1ヒートでただひとり1分14秒台に乗せるベストタイムをマーク。第2ヒートに入ってもそのタイムを上回る選手は現れず、今季4勝目を積み上げてシリーズを大きくリードした。

N1クラスでは、第1ヒートで箕輪雄介選手が痛恨のパイロンタッチ。後がない第2ヒート、それもクラス最終走者というプレッシャーをはねのけて、ADVAN A050のG/Sコンパウンドを武器にコンパクトなターンを決めた箕輪選手が、見事な逆転優勝を果たした。これでシリーズランキングも首位に浮上。残る2戦での逆転チャンピオンも視界に入ってきた。

N2クラスの小林辰朗選手もADVAN A050・G/Sコンパウンドのグリップを最大限に引き出し、第1ヒートのタイムで逃げ切り優勝。2年連続チャンピオンの可能性がさらに高まった。

SCクラスでは、マシントラブルによりこの関越ラウンドが今季初出場となった西田竜治選手がGA2型シティで挑み、2輪駆動マシンとしてはSC2クラス最上位となる2位を獲得した。

そのほかにも、PN1クラスの3位に勝野佑紀選手、PN2クラスの2位にはJAF関東ジムカーナ選手権で活躍中の片山誠司選手、SA2クラスの3位には今回クラス唯一となるFFのインテグラ・タイプRで挑んだ半谷信治選手、SA3クラスの3位には天満清選手がそれぞれ入賞を果たした。

DRIVER VOICE

岡野博史 選手 [ADVAN リジット ランサー]

【今回の成績 : PN4クラス 優勝】
今回は第1ヒートが勝負だと思っていたので、特に第1ヒートの走りに集中しました。スタート直後の540度ターンはややミスしてしまいましたが、後半セクションはほぼ完璧な走りができました。コースレイアウトは非常に難易度が高かったと思います。装着したADVAN NEOVA AD08Rはこの暑さのなかでも最後まで高いパフォーマンスを発揮してくれましたし、スタートからゴールまで自分の走りを十分に支えてくれました。これでシリーズ4勝目を挙げることができましたが、まだ2戦残っていますので、最後まで気を抜かずにチャンピオンを目指したいと思います。

箕輪雄介 選手 [ADVAN ペトロナス インテグラ]

【今回の成績 :N2クラス 優勝】
事前に気温が非常に高くなることが予想されましたので、第1ヒート勝負だと思っていましたが、タイム的にはトップだったのですが、残念ながらパイロンタッチしてしまいました。第2ヒートは苦しい戦いになると思っていましたが、タイヤのパフォーマンスを信じて何とかタイムを上げようとスタートしました。ADVAN A050のG/Sコンパウンドは暑さに強いタイヤですし、今回のコースの路面でも高いグリップを発揮してくれたのが勝因だと思っています。関越スポーツランドは今回で最後になりましたが、自分のホームコースで勝てたことも嬉しく思っています。

小林辰朗 選手 [ADVAN ザクロス RX7]

【今回の成績 :N2クラス 優勝】
今回の優勝でなんとか3連勝できました。自分は前半戦でほとんどポイントが稼げなかったので、この調子で残り2戦も連勝してタイトルも連覇したいと思っています。ただ、今回も楽勝というわけではありませんでした。第1ヒートはフリーパイロンターンで左旋回を選択したのですが、ライバル選手と比較したら右旋回の方が速いことが分かったからです。それでも第1ヒートの走りで勝てましたし、走りに関してもうまくまとめられたと思っています。タイヤは4輪にADVAN A050のG/Sコンパウンドを使用しましたが、スタートからゴールまで高い性能を発揮してくれたのも優勝できた大きな要因だと思っています。

若林拳人 選手 [ADVAN ボレロ 若自 CR-X 弟]

【今回の成績 :SA1クラス 優勝】
第1ヒートは何とかトップで折り返すことができましたが、ミスをしてしまったところもあったので、第2ヒートはタイムアップを狙ってスタートしました。ただ、ミスしたところは修正できたのですが、ほかのセクションでミスをしてしまいタイムダウンしてしまいました。まずいとは思いましたが、ラストゼッケンの兄(若林隼人選手)がスラロームでミスしたのを見て、これは逃げ切れると思いましたね(笑)。全日本では初優勝なのでものすごく嬉しいです。このコースは今回で最後になってしまいましたし、自分を育ててくれたコースだったので、ぜひ勝ちたいと思っていました。タイヤはADVAN A050で、フロントは15インチのG/Sコンパウンド、リヤには14インチのG/2Sコンパウンドを選択しましたが、これもコースにマッチしていたと思います。

片山誠司 選手 [ADVAN nutec シビック]

【今回の成績 :PN2クラス 2位】
いつもは関東ジムカーナ選手権に出ていますが、関越スポーツランドもこれが最後ということですし、パイロンの練習もさせてもらった思い出のコースということで出場しました。第1ヒートではゴール前のターンセクションでミスをしてしまい2秒近くロスして4番手。第2ヒートでも軽いミスはしましたが、何とか関東育ちの意地を見せることができたかなと思っています。タイヤはADVAN NEOVA AD08Rを使用しましたが、路面にしっかりと食いついてくれる感じがあり、この好成績もタイヤのおかげだと思っています。全日本戦では2度目の2位ですが、次こそはぜひ優勝を狙います。

若林隼人 選手 [ADVAN ボレロ 若自 CR-X 兄]

【今回の成績 :SA1クラス 2位】
弟(若林拳人選手)とともに、自分もこの関越スポーツランドで育ったので、ぜひ優勝したいと思いスタートしました。ですが、第1ヒートはターンでフロントが沈まずに0.3~0.4秒ほどロスしてしまい、弟に0.2秒差の2番手で折り返しました。第2ヒートもスラロームの進入でミスしてしまったのでもうダメかと思いましたが、何とか2位になれて良かったと思っています。タイヤはADVAN A050で、フロントは弟と同じ15インチのG/Sコンパウンドですが、リヤは15インチのG/2Sコンパウンドを使用しました。タイヤがしっかりとグリップしてくれたので、ロスを最小限に抑えてくれたのだと思います。今シーズンは開幕戦で1勝していますが、ぜひ次は2勝目を狙っていきたいと思っています。

西田竜治 選手 [ADVAN spm パーマL シティ]

【今回の成績 :SCクラス 2位】
昨年エンジンを壊してしまったのですが、なかなか修理が終わらずようやく今回が今年初の参戦になりました。自分のマシンはFFですが、タイヤにはスリックのADVAN A005を装着して挑みました。ウォームアップは禁止されているので、4輪駆動勢と戦うにはスタートがやや辛いのですが、すぐに温まってくれたので不安なく攻めることができました。第1ヒートはトップの4輪駆動車に次ぐ2位で折り返すことができたので、第2ヒートは逆転するつもりでした。タイムアップはしましたが、結果的に届かなかったのは残念です。でも、コースは攻め甲斐のある難しいレイアウトでしたし、タイヤのおかげで2位も獲得できたので嬉しく思います。

FEATURED DRIVER

■N3クラス : 山田 拓 選手

今季は中部ジムカーナ選手権に参戦している山田拓選手は、愛知県からN3クラスにエントリー。中部選手権では現在シリーズトップの実力を持つが、今回も第1ヒートでは5番手で折り返し、第2ヒートではパイロンタッチを犯したものの、クラス3位相当の速さを見せた。


「今年は全日本戦にも挑戦していて、岡山、鈴鹿、名阪、エビス、そして今回が5戦目の出場になります。中部地区のN3クラスは速い選手が多く、そこでもまれてきました。パイロンタッチはしましたが、いつもパイロンの練習をやっているのでこのタイムが出たのだと思います。昨年は中部N3クラスでシリーズ2位でしたが、今年はぜひチャンピオンを獲得したいと思っています」

ジムカーナを始めたきっかけは、キョウセイドライバーランドで開催された全日本戦で、トップドライバーの駆るGC8インプレッサを見て、その格好良さに憧れたという山田選手。

「始めたのが30歳過ぎだったのでみなさんより遅いですが、夢は全日本チャンピオンです。でも、その前にまずは全日本戦でメダルを獲得したいですね」

そう語る山田選手が使用しているのがADVAN A050だ。

「今はGDB型のインプレッサですが、ヨコハマタイヤは自分の走りとインプレッサというクルマにマッチしていると思って使っています。インプレッサはジムカーナでは少数派ですが、これからも乗り続けていきたいと思っています」

来年は全日本戦に集中したいと語る山田選手。インプレッサで表彰台に上がる姿を見られる日も近いだろう。

TECHNICAL INFORMATION

今季唯一のパイロンジムカーナコースとなる関越スポーツランドは、全体的にスムーズな路面でグリップも高く、路面に対しタイヤが面で吸い付いてグリップするような感覚だ。自由なレイアウトができるパイロンコースではあるが、そのなかにもよりグリップするセクション、あまりグリップしないセクションがあり、路面状況を知る地元関東勢には有利なコースと言われている。

土曜日の練習走行、日曜日の本戦ともに日差しの強いドライコンディションに恵まれ、気温は35~38度程度まで上昇し、路面温度は50度以上に達した。このようなコンディションでは、ADVAN A050のG/Sコンパウンドがスタートから高いグリップ力を発揮する。今回は平均1分20秒前後という長めのコース設定となったが、ゴールまでしっかりとグリップ力を発揮し、第2ヒートのフィニッシュまでしっかりとしたインフォメーションをドライバーに伝え、好タイムの獲得に貢献した。