2015 JGC Round 4 Report

【全日本ジムカーナ選手権 第4戦/名阪・C】

第4戦名阪ラウンドはADVAN A050が3クラスを制覇、
SA1クラスは第3戦に続きヨコハマタイヤ勢が上位を独占!!

JGC Round 4

開催日 2015年5月16日-17日
開催場所 名阪スポーツランド・Cコース
(奈良県)
天候 晴れ
路面 ドライ
参加台数 176台
(ヨコハマタイヤ装着車 47台)
2015 全日本ジムカーナ選手権 第4戦

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2015年の全日本ジムカーナ選手権は、折り返しとなる第4戦を迎えた。全8戦中6戦が有効ポイントとなるため、この名阪ラウンドの結果次第では次戦第5戦でタイトルが確定する可能性のあるクラスもある。それだけに、シリーズポイント上位の選手にとっても、残る4戦での巻き返しを図りたい選手にとっても重要な1戦であり、今季最多となる176台(併催クラス12台を含む)もの参加を集めた。

第4戦は、近畿地方の代表的なジムカーナコースである名阪スポーツランド・Cコースが舞台となる。本来はカートコースのためコース幅が狭く、点在する島を使用して様々なレイアウトを設定できる点が特徴だ。路面のグリップはカートやドリフトで使われてきた経緯もあり、全体的にやや滑りやすい傾向にある。また、島には高めの縁石が設定されていて、サスペンションを労ってその縁石を避けるか、コースレイアウトによっては最短距離を狙って踏むかの判断も必要とされた。さらにコース全域にわたってパッチ状の補修部分があり、グリップの高い新舗装、フラットだがグリップは低いコンクリート路面、経年劣化により磨かれた旧舗装など様々な路面が点在。全日本屈指の難コースと言えるだろう。

そんな名阪のコース設定はここ数年、前半セクションのフリーターンが名物となっていたが、今年は良い意味で選手の予想を裏切り、450度ターンと3本のパイロンをつないだZ型の複合ターンが設定された。さらにこのターンの位置はそれぞれミューの異なる路面となっているため、難易度が非常に高い。ターン後は、島周り区間とホームストレートをショートカットでつなぐ鋭角のターンからホームストレートに戻るヘアピンまでが前半のテクニカルセクションだ。後半は一転して、ホームストレートから外周を回りホームストレートに戻るハイスピードセクションとなっていた。

また、土曜日の練習走行日がウェット、日曜日の決勝は完全なドライという天候が、さらに攻略を難しくした。今季はここまでの4戦すべてで土曜日と日曜日の天候が異なるコンディションとなり、多くのクラスで優勝者が毎戦入れ替わる波乱の展開となっている。決勝日は早朝の路面温度は低めだったが、天候回復によりどこまで路面温度が上がるのかの判断も求められた。

このような状況で、今回は対応温度域の広いADVAN A050のG/Sコンパウンドが、3つのクラスで勝利を牽引した。

N1クラスは、ディフェンディングチャンピオンの箕輪雄介選手が第1ヒートからキレのある走りを見せて今季初優勝。今季は表彰台には絡むものの、第2戦鈴鹿でマシントラブルに見舞われるなど不運に泣かされてきたが、チャンピオン奪還に向けてライバルたちに1秒以上もの差をつける走りで完全復活の狼煙を上げた。これにより、N1クラスのポイントランキングで1位タイに浮上。残り4戦での2年連続のタイトルを狙う。

N2クラスでは、開幕戦岡山でエンジントラブルにより不出走となり、マシンを借りてのダブルエントリーで耐えてきた小林辰朗選手が、復調したRX-7で第1ヒートでただひとり1分15秒台に乗せる会心の走りを披露。結局このタイムは誰も抜くことができず、名阪の難コースを制した。

また、今季ここまでの優勝者がすべてヨコハマタイヤユーザーというSA1クラスでは、関東のパイロンコースで鍛えたテクニックをいかんなく発揮した深谷洋選手が、2012年の最終戦イオックスラウンド以来となる全日本選手権2勝目をマーク。深谷選手にとってカートコースでの初優勝を、ADVAN A050が支えた。2位には工藤典史選手が食い込み、ポイントリーダーの座を死守。3位は第3戦エビスのウィナーである近藤岳士選手が入賞。ポイントスタンディングスの上位もヨコハマタイヤユーザーが占め、熱い戦いが繰り広げられている。

僅差の激戦が続いているPN4クラスは、ADVAN NEOVA A08Rを使用する岡野博史選手が、ライバルにわずか1000分の3秒差で2位入賞を果たした。今季は優勝2回、2位2回で前半戦を折り返し、後半4戦で3年連続のタイトルを狙う。

DRIVER VOICE

箕輪雄介 選手 [ADVAN ペトロナス インテグラ ]

【今回の成績 : N1クラス 優勝】
ようやく勝てました。今回は第1ヒートに自分でも満足できる走りができたことが最大の勝因だと思います。コースレイアウトではターンセクションが勝負どころだと考えたので、特に集中して走りました。タイヤはADVAN A050のG/Sコンパウンドを4輪に装着しましたが、路面温度も最適に近い温度でしたし、最後までしっかりグリップしてくれました。このコースとの相性も良く、この大会は今回で3連覇になります。今季初の優勝ですが、シリーズ争いでは上位をキープしているので、ぜひ次の大会でも優勝を狙っていきたいと思っています。

小林達朗 選手 [ADVAN ザクロス RX7]

【今回の成績 :N2クラス 優勝】
今シーズンは開幕戦からマシンのトラブルが発生してしまい、その修復に時間がかかってしまいました。これまでトラブルとは無縁でしたので、この開幕3連戦はかなり辛かったのですが、今回はようやくマシンが完調し、思い切り走ることができました。装着タイヤはADVAN A050のG/Sコンパウンドでしたが、路面との相性も良くタイヤにも助けられたと思っています。走りに関しては計測トラブルでスタート時間がやや遅れてしまったので精神的にもプレッシャーが大きかったのですが、そのなかでベストを尽くそうと思い、そのとおりに走れたのも勝因だったと思います。あらためて、マシンを修復してくれたザクロスの雲越さんにも感謝したいですね。

深谷 洋 選手 [若林自動車ローリングCR-X]

【今回の成績 :SA1クラス 優勝】
今回は自分ではかなり好きなコースで、楽しく走ることができました。自分としてはイオックス・アローザで開催された2012年の最終戦以来、全日本では2度目の優勝なので非常に嬉しく思っています。第1ヒートはかなりミスをしてしまったのですが何とか2番手につけることができ、第2ヒートはミスしたところを修正できれば逆転できると信じて走りました。おそらく0.5秒ほどはタイムアップすると思っていましたが、そのとおりになったのでホッとしました。特に前戦のエビスラウンドではパイロンタッチで4位になってしまったので、今回はそのようなミスは絶対に避けようと思って挑んだのも良かったのだと思います。タイヤはADVAN A050のG/Sコンパウンドをフロントに、リヤにはG/2Sコンパウンドを使用しましたが、しっかりグリップしてくれたのも良かったですね。

岡野博史 選手 [ADVANリジットランサー]

【今回の成績 :PN4クラス 2位】
第2ヒートはややタイムダウンしてしまい、第1ヒートのタイムが決勝タイムになったのですが、1000分の3秒という僅差で2位になってしまったので非常に悔しい思いです。何とか逆転しようと思った第2ヒートではセッティングも変更して挑んだのですが、やや合わずにタイムアップできませんでした。ただ、使用したADVAN NEOVA AD08Rはスタートからゴールまで確実に高い性能を発揮してくれました。シリーズポイントではライバルの選手と完全に並んで同点トップになってしまいましたが、次戦はぜひ3勝目を挙げられるように頑張りたいと思います。

上本昌彦 選手 [ADVAN ルブロス RX7]

【今回の成績 :N2クラス 2位】
昨年のこの大会では第1ヒートが良かったのに第2ヒートで逆転されてしまいましたが、今年は第1ヒートの4番手から逆転で2位に入賞できました。タイヤは4輪にADVAN A050のG/Sコンパウンドを装着しましたが、特に第2ヒートではスタートから高いグリップ性能を発揮してくれたのが勝因のひとつだと思います。これまで、JAFカップでは優勝したことはあるのですが、全日本ではまだ優勝がありません。自分もクルマも調子は悪くないなかで細かいミスで負けることが多いので、次はぜひ優勝を目指したいと思います。

工藤典史 選手 [ADVAN spm ITO シビック]

【今回の成績 :PN4クラス 2位】
第1ヒートはターンセクションでややミスしてしまいましたが、落ち着いて走ることができたのでトップで折り返すことができました。ですが、第2ヒートはタイムアップしたものの深谷選手に逆転を許してしまいました。最終セクションの高速区間はいいタイムが出たのですが、ターンセクションで逆転されてしまいましたね。タイヤはADVAN A050のG/Sコンパウンドを4輪に装着したのですが、両ヒートとも最後までしっかりとグリップしてくれました。今回でポイントも延ばすことができ、とりあえずシリーズリーダーの座を守ることができたので、ぜひこのままの勢いで最後まで突き進みたいと思っています。

FEATURED DRIVER

■SA1クラス : 藤田哲也 選手

今季はSA1クラスに若手選手が多く集まり話題を集めているが、近畿地区から全日本ジムカーナ選手権に23歳という若さで挑んでいるのが藤田哲也選手だ。今大会は昨年の第3戦名阪ラウンド、今季第2戦鈴鹿ラウンドに次いで3戦目の挑戦となった。


「父がPN1クラスの喜多(治人)さんが所属していたクラブの事務局を務めていたこともあって、小さい頃からジムカーナを見てきました」 そう語る藤田選手は、現在PN1クラスに参戦し、高校で教員を務める中根康仁選手の教え子でもある。喜多選手や中根選手との縁、さらに小さい頃からクルマも好きだったことで、藤田選手がジムカーナを始めたのは自然の成り行きだったという。

「元々父はインプレッサに乗っていたのですが、自分がジムカーナをやると言ったらデミオに乗り換えて一緒に走るようになりました。ただ、デミオの戦闘力ではつらくなってきたこともあり、比較的安く売りに出ていた今のEK9シビックに乗り換えたんです」

「ジムカーナはすごく面白い」と、まさに夢中になっているという藤田選手。今季は近畿ジムカーナ選手権をメインに参戦し、現在S1クラスでシリーズトップを守っている。だが、さすがに全日本戦の壁は厚く、昨年の第3戦ではクラス最下位、今大会も13位とポイントを獲得するところまでは届いていない。 「大きすぎる夢かもしれませんが、いずれは全日本チャンピオンを争えるようになりたいです」

「ヨコハマタイヤはすごく乗りやすいタイヤだと思い」

そう目を輝かせる藤田選手が使用しているタイヤはADVAN A050。ヨコハマ・モータースポーツ・スカラシップにも登録している。
「ADVAN A050は、特にドライバーへのインフォメーションが分かりやすいタイヤという印象です。シビックとの相性もいいですし、とても乗りやすく感じます」

まだまだ技量的、経済的に全日本戦をフルに追うのは難しいとのことだが、多くの先輩、先生たちに続いて、近畿地区チャンピオン、そしていずれは全日本戦でのタイトル争いができるようなドライバーへの成長が期待される。

TECHNICAL INFORMATION

5月中旬の名阪スピードウェイ・Cコースは、風があり涼しさは感じられたものの、強い日差しがアスファルトに照りつけ、路面温度は上がっていく状況となった。気温は25度近くまで上昇し、路面温度は午後にかけて30度〜40度に達した。このような状況は、懐の深いADVAN A050のG/Sコンパウンドが得意とする領域となる。

特に、まだ気温が上がり切っていない第1ヒートのスタート時からしっかりとグリップを感じられるG/Sコンパウンドの特性が、今回のような第1ヒート勝負のコンディションのなかで、ヨコハマタイヤユーザーに安心感を与えるとともに大きな武器となった。