2015 J-F3 Round 14&15 Report

【全日本F3選手権 第14戦&第15戦/もてぎ】

福住仁嶺選手が第14戦で嬉しいF3初優勝を飾ると、
勢いをそのまま第15戦に持ち込んで連勝を決めた!!

Japanese F3 Round 14&15

開催日 2015年8月22日-23日
開催場所 ツインリンクもてぎ (栃木県)
天候 第14戦:曇り
第15戦:曇り
路面 第14戦:ドライ
第15戦:ドライ
決勝周回数 第14戦:14周
第15戦:20周
(1周=4,801m)
参加台数 16台
2015 全日本F3選手権 第14&15戦

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全8大会/17戦で争われる全日本F3選手権も、残すは今回のツインリンクもてぎ、スポーツランドSUGOでの4戦だけとなった。そんな佳境に差し掛かったシリーズの第14戦と第15戦が8月22〜23日に開催された。チャンピオン候補は3人に絞られ、ニック・キャシディ選手を、山下健太選手と高星明誠選手が追いかける。一方、F3-Nクラスでは、すでにチャンピオンを決めている小河諒選手が、さらに優勝回数を増やせるか注目された。

金曜日の専有走行1回目にトップだったルーキーの福住仁嶺選手が、予選でさらに気を吐くこととなった。第14戦は1分45秒308をマークして、2番手のキャシディ選手を0.2秒、第15戦でも山下選手を0.3秒引き離す、1分45秒557をマークして2戦連続のポールポジションを獲得する。また、第14戦では山下選手が3番手、高星選手が4番手とチャンピオンを争うライバル同士が固まったが、第15戦では高星選手は3番手ながら、キャシディ選手は石川京侍選手を間に挟んで、5番手とやや不利な位置に。

一方、F3-Nクラスでも小河選手が2戦ともトップ。2番手、3番手もまた2戦とも三浦愛選手、DRAGON選手が獲得していた。

予選終了から5時間足らず、土曜日に行われた第14戦決勝レースも、引き続きドライコンディションで争われた。好スタートを切って、トップで1コーナーに飛び込んだのは福住選手。すると、いきなり逃げ足の速さを見せて、オープニングラップのうちにキャシディ選手を1秒半も引き離す。

そのまま福住選手は逃げ続け、キャシディ選手も後続の接近を許したのは2周目まで。逆に山下選手と高星選手による、3番手争いが激しさを増していく。高星選手が勝負を賭けたのは11周目、5コーナーと130Rで山下選手に迫るが、固いガードに阻まれて貴重なチャンスを活かせず。そのままの順位を保ってフィニッシュした。

その間にも、ひとり危なげない走りを見せた福住選手は、ほぼ8秒の差をキャシディ選手につけて、悲願の初優勝を飾ることとなった。F3-Nクラスでも小河選手が優勝。スタートで出遅れ、三浦愛選手の先行を許したものの、2周目の3コーナーで喫したミスをチャンピオンは見逃さず。続く5コーナーで逆転を果たすと、最後まで遠慮なくアクセルを踏み込み続けて、最後は14秒差の圧勝に。三浦愛選手とDRAGON選手が続いてチェッカーを受けていた。

明けて日曜日に行われた、第15戦決勝レースは灰色の雲を浮かべた、怪しげなコンディションの中での戦いになった。ここでもスタートを決めた福住選手は、オープニングラップのうちに2番手につける山下選手を1秒離したものの第14戦と異なるのは、差をそのまま広げ続けられなかったこと。それでも中盤からは一定の間隔を保って走行し、山下選手を寄せつけることなく連勝を果たすこととなった。

山下選手も単独走行となる中、高星選手が終盤に石川選手に迫られたものの、辛くも振り切ることに成功。一方、キャシディ選手は高橋翼選手とストゥルアン・ムーア選手を背後に置いて、絶えず応戦一方だったが、何とか5位でフィニッシュ。その結果、キャシディ選手に山下選手がポイントランキングで追いつき、トップタイで最終大会に臨むこととなり、10ポイント差ではあるものの、高星選手にも逆転のチャンスが残されることとなった。

F3-Nクラスでは、小河選手が今度はスタートで出遅れることなく、トップのまま1コーナーへ。そのまま逃げ続けたばかりか、終盤に降り始めた雨が続く三浦愛選手のペースを鈍らせたこともあって33秒差の圧勝に。ついに12勝目をマークすることとなった。そしてDRAGON選手が、実に14回目となる3位フィニッシュを果たしている。

DRIVER VOICE

福住仁嶺 選手 [HFDP RACING F312]

【今回の成績 : 第14戦 優勝 / 第15戦 優勝】
第14戦で初優勝できたばかりか、連勝も飾れて、とっても嬉しく思います。このレースウィークは練習からずっと調子が良く、良い流れのままダブル・ポールを獲ることができました。第14戦ではスタートに集中して、トップに立てたからにはもう抜かれることはないだろうと。その後はずっと後ろのことを気にせず、予選のアタックのような感じで走り続けました。第15戦もスタートが決まったのですが、なかなか離れなかったし、後半の雨にはヒヤヒヤしながらの走行にもなってしまったので、クルマのポテンシャルを活かし切れなかったのは、ちょっと残念でした。このまま流れに乗って、残り2戦も必ず勝ちます!!

小河 諒 選手 [KeePer TOM’S F306]

【今回の成績 : 第14戦 11位(F3-Nクラス 優勝) / 第15戦 9位(F3-Nクラス 優勝)】
第14戦のスタートは、完全に僕のミスです。すぐにポジションを戻せたのは、良かったのですが……。しかも、途中まで上位陣に近いところでレースできたのに、最後の方は離されてしまったのが、少し悔しかったですね。第15戦はスタートで抜かれずに済んで、そのまま上位を追いかけていくつもりが、できたのは3周目ぐらいまで。最後はストレートでギリギリ見えるくらいまで離れてしまったので、また悔いの残るレースになってしまいました。ただ、最後のSUGOはいちばんチャンスのあるコースだと思っているので、今度こそ上位を1台でも抜けるよう、頑張ります。

FEATURED DRIVER

■ルーキー福住仁嶺選手が初優勝の勢いで、連勝も飾る!!

「やっと勝てました! でも、やっぱり『やっと……』ではありますね。当初の予定では、もっと早い段階で勝つつもりでしたが、途中からこれは手強いな、と感じてもいたので」と語るのは、第7大会で初優勝を飾ったばかりか、連勝まで果たしたルーキーの福住仁嶺選手。

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5歳から始めたカートレースでは、ほぼ毎年のようにチャンピオンを獲得し、2013年にはその最高峰である、全日本選手権のKF1クラスを制覇。1年ごと着実にステップアップを果たし、昨年もF4のFCクラスでチャンピオンを獲得し、ミドルフォーミュラを1年間で卒業してきたドライバーである。まさかF3の初優勝に、14戦も要するとは思いもしなかったのだろう。

実際、F3のレベルの高さにシリーズ序盤戦は苦労していた。しかし、そのまま沈み続けていれば、ただのドライバー。レースごと確実に進化を果たし、第5戦では初の表彰台に立ち、第8戦で初のポールポジションを獲得。そして、前大会の富士で2位、3位につけ、「2戦連続で表彰台に立てたことが、僕にとってすごい自信になったと思います」と。その言葉どおり、今大会は練習からの好調ぶりを最後まで維持し、予選からは一度もトップを明け渡さなかった。

以前には「1年で、ひとつのカテゴリーを卒業するのが僕の目標です」と語っていたが、チャンピオン獲得の可能性がなくなった今、それはさすがに難しいか……。だが、もし終盤戦に4連勝を飾れれば、それはシーズンを通じた著しい成長を物語るだけに、ひょっとしたら! いずれにせよ型にはまらない、規格外のドライバーに成長してくれることを期待したい。