2015 J-F3 Round 10&11 Report

【全日本F3選手権 第10戦&第11戦/岡山国際】

好調の波に乗る高星明誠選手が連勝、
F3-Nは三浦愛選手と小河諒選手が勝利を分け合った!!

Japanese F3 Round 10&11

開催日 2015年6月27日-28日
開催場所 岡山国際サーキット(岡山県)
天候 第10戦:曇り
第11戦:晴れ
路面 第10戦:ドライ
第11戦:ドライ
決勝周回数 第10戦:18周
第11戦:25周
(1周=3,703m)
参加台数 15台
2015 全日本F3選手権 第10&11戦

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全日本F3選手権の第5大会、シリーズ第10戦と第11戦が今季二度目となる、岡山国際サーキットで6月27〜28日に開催された。専有走行が行われた金曜日は、終日ウェットコンディション。それも午前のセッションはあまりの雨足に、走行を控えた車両もあったほど。午後からのセッションでは、幾分勢いを弱めたこともあり、全車が走行。トップタイムは福住仁嶺選手が記録していた。

ところが、その雨は未明のうちにやんで、土曜日は灰色の雲こそ浮かんでいたが、予選は完全にドライコンディションで競われた。まず行われた第10戦の予選をリードしたのは、ポイントリーダーでもあるニック・キャシディ選手だった。だが、徐々に向上していく路面状態に、今ひとつ合わせ込みができていないようで、後半の短縮をなかなか果たせずにいる中、最終ラップに逆転を果たしたのは、チームメイトの山下健太選手。1分23秒677を記録してポールポジションを獲得、さらに高星明誠選手も23秒710で、キャシディ選手を上回る。

続いて行われた第11戦の予選も、序盤のトップはキャシディ選手ながら、終盤にタイムを再び伸ばすことができず。引き続き、1分23秒403をマークした山下選手、23秒441をマークした高星選手の逆転を許してしまう。4番手はルーカス・オルドネス選手が獲得したこともあり、2戦ともにセカンドローまでの順位は一緒となった。

一方、F3-Nクラスでは2戦とも、小河諒選手がトップ。第10戦の1分26秒099から、第11戦には25秒485にまで縮め、上り調子であることを明らかにした。2番手は三浦愛選手で、3番手はDRAGON選手が獲得した。

18周で争われる決勝レース第10戦は、結論から言えば決着はすべてスタート直後についた。誰より鋭いダッシュを見せた高星選手が、1コーナーで山下選手のインを刺し、トップに浮上。キャシディ選手が5番手に後退したのとは対照的に、オルドネス選手がひとつ、福住選手が三つポジションを上げて、それぞれ3番手、4番手に躍り出る。中盤までは上位4人が等間隔で続いていたものの、13周目には高星選手が、そして14周目には山下選手がファステストラップを塗り替えると、トップ争いは一騎討ちに変化。しかし、高星選手は辛くも山下選手を振り切り、第1戦以来となる今季2勝目をマークした。

F3-Nクラスでも、違った形でスタート直後にすべてが決することに。誰よりも早く1コーナーに飛び込んだ小河選手ながら、レッドシグナルが消える前にクルマを動かしてしまい、ドライビングスルーペナルティを科せられたからだ。3周目から三浦愛選手がトップに立ち、小河選手は最後尾に落ちるも、激しい追い上げを見せる。DRAGON選手を抜いて2番手に立ったのは、最終ラップのWヘアピン。「定位置」の3位からの脱出を、あと一歩のところで逃したDRAGON選手はレース後にガックリ肩を落とす。そして、難なく逃げ切りを果たした三浦愛選手が、今季3勝目をマークした。

このレースウィークは日ごとに天気が向上、日曜日にはサーキット上空に青空が広がるまでに。ようやく日差しが路面を照らすようになったばかりか、決勝レース第11戦は25周で争われる。より過酷な条件となることを見越していたのか、F3-NクラスのDRAGON選手は、ここまでニュータイヤを1セット温存。状況打開の秘策を残していた。実際、今度こそ普通にスタートを切った小河選手は早々とリードを広げていくが、三浦愛選手にはぴたりと食らいついてDRAGON選手はミスを待つ。

総合トップにはまたしても高星選手が。第10戦同様、1コーナーで山下選手のインを刺したのだ。第10戦と異なっていたのは、続いていたドライバーがキャシディ選手、オルドネス選手、福住選手と、予選そのままの順位だったこと。この5人が等間隔で続く中、4周目から3周に渡ってセーフティカーランが行われる。コース脇に止まった車両を回収するためだ。

そして、リ・スタート後には動きが。最終コーナーでのキャシディ選手のわずかなミスを見逃さず、スリップストリームから抜け出したオルドネス選手が2コーナーで前に出る。その間にトップを争う高星選手と山下選手は差を広げ、再び一騎討ち状態に。中盤にファステストラップ争奪戦が繰り広げられたのも、第10戦同様。そして、その勝負も山下選手が制するが、順位を入れ替えることはまたしても許されず。

高星選手が連勝を飾り、山下選手は連続2位に甘んじるが、今回の結果でキャシディ選手を抜いて、4ポイント差でランキングのトップに立つことに。さらに高星選手も1ポイント差にまでキャシディ選手に詰め寄っていた。

F3-Nクラスでは、せっかく築いたリードを小河選手はセーフティカーランで失うが、リ・スタート後も再びリードを広げ続け、最後は27秒差の圧勝に。早ければ、次回の富士大会でチャンピオンを決める可能性も。一方、中盤までは2番手争いが激しく繰り広げられ、時にはDRAGON選手のペースが上回ったものの、逆転の機会は訪れなかったばかりか、終盤には三浦愛選手に振り切られてしまう。その結果、DRAGON選手には10回目の3位という記録が残された。

DRIVER VOICE

高星明誠 選手 [B-MAX NDDP F3]

【今回の成績 : 第10戦 優勝 / 第11戦 優勝】
予選は2回とも山下選手に僅差で敗れて2番手だったのですが、スタートを成功させれば、たとえペースが同じぐらいでも、このコースでは抜かれないだろうと。実際に2戦ともそのとおりの展開になったのは嬉しいですけど、終盤のペースは山下選手の方が上回っていて、ファステストラップを獲られてしまったことだけが悔しいですね。そのあたりは今後の課題として、また今回良かったクルマのセットアップを次回に反映させて、ポールもファステストラップも獲れるよう頑張ります。

三浦 愛 選手 [EXEDY RACING F307]

【今回の成績 : 第10戦 10位(F3-Nクラス 優勝) / 第11戦 11位(F3-Nクラス 2位)】
クルマの状態は今まででいちばん良かったので、2戦とも今できるベストを尽くせたと思います。第10戦は小河選手がドライビングスルーになって、ただただ運が良かったとは思いますが、優勝は素直に喜びたいです。第11戦はDRAGON選手にずっとつかれて、前も離れてしまったので、途中でよく分からなくなってしまって……。妥当な順位だとは思いますが、抜かれる可能性もあったので、やはりできる限りのことはしたつもりです。小河選手のチャンピオンが最後まで決まらないよう、次の富士では頑張りたいと思います。

小河 諒 選手 [KeePer TOM’S F306]

【今回の成績 : 第10戦 11位(F3-Nクラス 2位) / 第11戦 10位(F3-Nクラス 優勝)】
このレースウィークはドライコンディションを予選で初めて走ったにもかかわらず、2戦ともトップタイムを出せたのは、それだけクルマの調子が良かったからですが、たぶん今シーズン、F3に参加しているドライバーの中で、僕がいちばんスタートミスが多い。第10戦ではまたミスをして、ドライビングスルーペナルティを科せられては、2番手まで追い上げるのが精いっぱいでした。でも第11戦では、クルマのポテンシャルを100%引き出すことができたと思います。予選の間隔で常にプッシュしていましたし、オーバーオールクラスのクルマもずっと目の前にいましたし……。今まではあまりタイトルのことを気にしないようにしていたのですが。第10戦の黒星で1点の重みをすごく考えるようになり、これから自分のミスでポイントを落とすことだけは絶対にしないように、と思っています。

FEATURED DRIVER

■高星明誠 選手

今回、連勝を飾ったB-MAX Racing Team with NDDPの高星明誠選手は、この1週間前にタイ・チャンサーキットで行われたSUPER GTのGT300でも優勝を飾っているのは、ご存知のとおり。つまり、異なるカテゴリーではあるものの、3連勝を飾ったこととなる。これらの勝利には、すべて共通点が。それは予選がいずれも2番手だったということだ。

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もちろん、高星選手にとっては最大の反省点でもあり、「どの予選でも自分の中では、すごくプッシュしているのですが、すべて僅差の2番手だったのは、すごく悔しくて」と語っている。しかし、その悔しさをバネにして、決勝での走りの精度を高めているのは間違いなく、F3ではスタートを二度とも決めてトップに立って、そのまま逃げ切り、SUPER GTではパートナーの星野一樹選手から受け継いだリードを、しっかり守り抜いている。

ポールポジションを奪えなかったのは、「本当に気持ちの問題」とも語っているが、昨年までと明らかに異なるのは行き過ぎてはいないこと。行き過ぎて、決勝で逆転を許すことも過去にはあっただけに、しっかり改善されているあたりは、著しい成長の証とも言えるだろう。

ちなみに、優勝の喜びにSUPER GTとF3とでは、違いはあるのかと問いかけてみたところ、「どちらも嬉しいんですけど……。ただ、GTはひとりで走るのではなく、チームメイトと一緒に走るので、うまく言葉にはできませんが、違った喜びではありましたね」と高星選手。さまざまな喜びを積み重ねていくことで、より強く、より速いドライバーになっていくはずだ。