2015 JAF CUP Dirt-Trial Report

【2015年 JAF CUPダートトライアル/タカタ】

SA2クラス・大西康弘選手が初のJAFカップ制覇、
4つのクラスをヨコハマタイヤユーザーが制した!!

JAF CUP Dirt-Trial

開催日 2015年10月31日 – 11月1日
開催場所 テクニックステージタカタ
(広島県)
天候 曇り
路面 ウェット ~ ドライ
参加台数 125台
(ヨコハマタイヤ装着車 29台)
2015 JAF CUP Dirt-Trial

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毎年シーズンを締めくくる恒例行事として、全日本ドライバーと全国各地の地方選手権上位のドライバーが競い合うJAFカップ/JMRCオールスターダートトライアルが、広島県のテクニックステージタカタを舞台に開催された。

コースレイアウトは、同コースにおいて開催された今季の全日本第4戦に似たもので、タカタのコースをフルに使用した豪快な設定。立体交差の橋を渡る手前のセクションでは、これまで使用したことのない新コースも取り入れられた。クラスによって若干の差はあるが、およそ2分前後のゴールタイムとなる、比較的長めな走りごたえのあるレイアウトだ。

数日前までの天気予報では、決勝日の天候は午後から雨との予報だったが、当日の朝には曇りに変わり、エントラント、オフィシャルともホッとした中でのトライアルとなった。

ダートトライアルではホコリの飛散を防ぐ目的で散水が行われるが、散水直後のクラスではタイヤ選択が勝負の明暗を分けることも少なくない。今回の第1ヒートはPN1クラスとSA2クラスの走行前に散水が行われたが、第2ヒートは曇りで気温もそれほど上がらず路面の乾きが遅いということで、第2ヒートではPN1クラスのスタート前のみの散水となった。

第2ヒート中盤での散水を中止したことにより、タイヤ選択に大きな影響を受けたのが、SA2クラスだった。第1ヒートと同様にSA2クラスが走行する前に散水が行われた場合、軟質路面用タイヤと硬質路面用タイヤのどちらを選択するか迷うところだが、全日本SA2クラスでトップ争いを演じるベテランの大西康弘選手は、第1ヒート終了後の慣熟歩行中に第2ヒートの散水が中止になったとアナウンスされた時点で、迷わず超硬質路面用のADVAN A036を選択。そのタイヤ選択が見事に的中し、路面の砂利が掃けて超硬質路面となったコースを果敢にアタックし、第1ヒート3番手からの逆転優勝。大西選手にとって初のJAFカップ制覇を成し遂げた。

Dクラスでは全日本チャンピオンの谷田川敏幸選手が、第1ヒートでは路面の対応幅が広いADVAN A053、第2ヒートでは超硬質路面用のADVAN A036を選択。両ヒートでベストタイムをたたき出し、1990年のオールスターダートトライアル優勝から数えると7度目のJAFカップ制覇を果たすとともに、全日本選手権とともにダブルタイトルを獲得した。

PN2クラスでは、今季の全日本選手権でランキング4位を獲得した若手の実力者、竹本幸広選手が、第1ヒートの2番手から渾身の走りを披露し逆転優勝。こちらもJAFカップ初制覇を成し遂げた。

さらに、SA1クラスは全日本ランキング2位の中島孝恭選手が、第1ヒートの5番手から第2ヒートに逆転ベストタイムをマーク。昨年のタカタで開催された全日本戦、今季のタカタ戦、そしてJAFカップと、タカタでは負け知らずの3連勝を飾り、タカタスペシャリストの仲間入りを果たした。

常に散水直後に走ることとなったPN1クラスで、ウエットタイヤを選択する選手が多いなか、硬質路面用のADVAN A053を選択したのが永田誠選手だ。九州ではショップの代表を務めるベテランが見事2位入賞を果たした。

ちなみに、JAFカップ出場選手を出身地区ごとに分けてポイントにより競われる恒例の地区対抗戦では、JMRC関東チームが昨年に続き連覇を果たし、再び優勝旗を持ち帰ることに成功した。

DRIVER VOICE

竹本幸広 選手 [ADVAN KYBオクヤマ86]

【今回の成績 :PN2クラス 優勝】
今年はトヨタ86の乗り方を習得するための苦しいシーズンでした。徐々に乗り方が分かってきたので、JAFカップはぜひ勝ちたいと思っていました。特に第2ヒートはすべてのコーナーで自分の納得できる走りができて、実力を出し切れたと思います。これで負けるなら仕方ない、と思うほどでした。タイヤはADVAN A053を使用しました。PN2クラスではまだ散水の水が残っているコーナーもあったのですが、今回の選択は間違っていなかったと思います。JAFカップで勝ったのは初めてですし、1年間苦労した分、報われた気持ちで非常に嬉しいです。

中島孝恭 選手 [ADVAN ルブロス インテグラR]

【今回の成績 :SA1クラス 優勝】
タカタのコースは元々大好きでしたが、タイムは今ひとつでした。特にマツタケ山を回るコーナーへの入り方がネックだったのですが、昨年あたりから攻略法が分かった気がしました。今回の第2ヒートもその点を考えて、絶対にミスしないように心がけ、小さなミスもありましたが、クルマをねじ伏せるようなイメージで走ったのが勝因だと思います。タイヤは両ヒートともADVAN A053です。このタイヤはケース剛性が高く、重いDC5にはぴったりのタイヤだと思います。

大西康弘 選手 [TEIN・FORUM1ランサー]

【今回の成績 :SA2クラス 優勝】
第2ヒートに散水がないということで、タイヤにADVAN A036を使用したのが最大の勝因だったと思います。もし散水があればADVAN A053とどちらにするか迷ったかもしれませんが、今回は迷うことはありませんでした。第1ヒートはADVAN A053でしたので、第2ヒートでタイヤが変わったことと、勝ちたいというプレッシャーで多少運転が荒くなってしまいましたが、結果オーライということでホッとしています。昨年のJAFカップは出ていないのですが、一昨年の丸和の大会では3位でした。初制覇なので、その点でも嬉しいですね。

谷田川敏幸 選手 [ADVANトラストクスコWRX]

【今回の成績 :Dクラス 優勝】
今回は新たに使用したコースの部分が難しかったですね。本当は両トライともADVAN A036を装着するつもりだったのですが、第1ヒートは路面が乾き切っていないコーナーがあるようだったのでADVAN A053を使用しました。第2ヒートはADVAN A036を使用しましたが、どちらのトライもタイヤ選択は間違っていなかったと思っています。JAFカップは昔のオールスターダートトライアルも含めると90年から16回ほど出場して7回ほどは勝っているとは思うのですが、やはり何度勝っても嬉しいです。特に今年は全日本チャンピオンも獲れ、ダブルタイトルを獲得できて、シーズンを有終の美で飾れました。今回の走りも来年に活きてくると思うので、意義のある大会だったと思っています。

永田  誠 選手 [ADVAN BPF☆OTスイフト]

【今回の成績 :PN1クラス 2位】
今年は勝つもりで出場したので、2位という結果は正直悔しいですね。ただ、昨年大けがをしてしまい、今シーズンにかけて休養していたこともあり、あまりクルマにも乗れず仕方ない面もあったと思います。それに結果は2位でしたが中間タイムはベストタイムでしたので、その意味では有意義だったと思います。タイヤは第1ヒートにADVAN A036、第2ヒートにADVAN A053を使用しました。PN1クラスは常に先頭にスタートするので第2ヒートも散水した水で路面が濡れていることが多いのですが、私の場合、これまでの経験からタカタでは必ず第2ヒートはADVAN A053で走ると決めています。

FEATURED DRIVER

■SC2クラス :古屋慶己 選手

25歳でSC2クラスに参戦してきたのが古屋慶己選手だ。ダートラ歴は6年という若手ドライバーで、2012年より全日本戦にもスポット参戦しているが、今回はこれまでの最上位である4位入賞を果たした。

「18〜19歳の頃は車高を下げたストリート系のクルマに乗っていたのですが、ダートラを見たらすぐに自分でも走りたくなってしまいました。父も以前にダートラをやっていたので、私がダートラをやることに関しては応援してくれています」と語る古屋選手は、最初にHB21SのアルトワークスのN車両で参戦していたが、「どうせやるなら一番速いクルマでやりたい」と、あるトップドライバーの練習車を購入した。

「自分は山口県に住んでいるのですが、マシンのメンテナンスなどで九州のワンズターンさんにお世話になっています。社長の永田さん(今回のPN1クラス2位入賞)の勧めもあって、ダートラを始めた時からヨコハマタイヤを使っていて、今年はスカラシップにも登録しています。ヨコハマタイヤはサイドウォールが硬くて剛性感のあるタイヤだと思います。自分としては非常に乗りやすく感じていて、タイヤに助けられることが多いですね」

地元に近いタカタは、古屋選手にとっては走行頻度が最も高いホームコースだが、今季の全日本タカタラウンドでは14位に終わっていた。今回は惜しくもメダルゲットは逃してしまったが、自己最上位の4位も獲得でき、非常に意味のある大会だったに違いない。

「将来は日本一になるのが夢です。やるからにはトコトンやりたいです。そして大御所の大先輩たちに勝ちたいです」

これからもさらにテクニックを磨いて、ぜひ「大御所」を負かし日本一になる日を期待したい。

TECHNICAL INFORMATION

国内でも屈指の高速ダートラコースとして、また良好な路面でも知られているのがテクニックステージタカタだ。散水直後にスタートするPN1クラスでは、軟質路面用のADVAN A031を使用する選手が多く、2回目の散水が行われるSA2クラス以降はADVAN A035あるいはADVAN A053、そしてSC2クラス以降はADVAN A036を装着する選手が多いと予想された。しかし、日差しがなく予想外に路面が乾かなかったため、SC2クラス以降もADVAN A053を選ぶ選手が多かった。

続く第2ヒートは第1ヒートよりも路面の砂利が掃けたこともあり、散水直後のPN1クラスでもADVAN A035を選択する選手が増加。SA2クラス前の散水が行われなかったことも重なり、SA2クラス以降はADVAN A036を選択する選手が多くなった。ただ、コース内は路面が乾いてる箇所と濡れている箇所が混在しており、駆動方式や走り方、あるいはドライバーの好みによって、硬質路面向けのADVAN A053と超硬質路面向けのADVAN A036のどちらでも対応できる状況となっていた。いずれにしても、路面状況に応じたタイヤ選択をしっかりと見極め、さらに路面変化に幅広く対応するヨコハマタイヤの特性が、4クラスを制する原動力となった。