2015 JDC Round 7 Report

【全日本ダートトライアル選手権 第7戦/今庄】

雨により難しいコンディションとなった今庄ラウンド、
Dクラスの谷田川敏幸選手が3年連続でチャンピオン獲得!!

JDC Round 7

開催日 2015年9月6日
開催場所 オートパーク今庄
(福井県)
天候
路面 ウェット ~ ヘビーウェット
参加台数 146台
(ヨコハマタイヤ装着車 36台)
2015 全日本ダートトライアル選手権 第7戦

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全国8カ所のダートコースを転戦して戦われる全日本ダートトライアル選手権も、今大会を含めて残り2戦となった。今シーズンは、開幕戦以来各クラスで混戦が続き、前戦の第6戦を終えた時点でまだどのクラスもシリーズチャンピオンが確定していないが、この第7戦では5つのクラスでチャンピオンが確定する可能性がある。

なかでも、今シーズン4勝を挙げ、Dクラスのシリーズトップに立つ谷田川敏幸選手は、この大会でシリーズランキング2位の選手よりも上位に入賞した時点で、3年連続となるDクラスのチャンピオンが確定する。その谷田川選手が、ヘビーウェットとなった難コンディションのオートパーク今庄で、圧倒的な強さと速さをみせた。

決勝日の前日に行われた公開練習は、1ヒートの間に3回の散水が行われるほどの好天に恵まれたが、決勝当日は早朝から雨が降ったためにウェットコンディションのなかで戦われることとなった。その雨も、PN1クラスが走行する頃は小雨が降ったりやんだりといった状況だったが、N2クラスが走行する頃には本格的な雨となり、SA2クラス以降はコースのあちらこちらに大きな水たまりが点在する状況となった。そのため、ヨコハマタイヤ勢のほぼ全車がウェット路面など軟質路面から泥ねい路面に対応するADVAN A031を装着。それは、後半ゼッケンを走行するDクラスも例外ではなかった。

ここ数年、路面の硬質化が進み、ウェットコンディションでも超硬質路面に対応するADVAN A036が活躍するダートコースが増えているなか、今回の会場となったオートパーク今庄は、昨年コース内の簡易舗装区間をすべて取り除く大規模な路面改修を実施。さらに今年は、新たに赤土と砂利を混合した区間を造成したため、ウェットコンディションとなった場合にはかなり滑りやすい路面へと変貌していた。

過去のデータが使えない難しい路面コンディションでの戦いとなり、滑りやすい路面につかまりベストラインを外してしまう選手が続出するなか、ADVAN A031を装着して挑んだ谷田川選手は、ベストラインを外さない攻めの走りでベストタイムを更新。スタート前に「チャンピオンは優勝して決めたい」と語っていた言葉どおり、3年連続となるDクラスのチャンピオンを決めた。

また、3位には第6戦で2位に入賞した河内渉選手が入賞。4位には佐藤史彦選手、5位には栗本利也選手が入賞と、上位6台中4台をADVAN A031を装着する選手が占めるという活躍を見せた。

一方、この第7戦で優勝すれば自身初となるPN1クラスのチャンピオンが確定する宝田ケンシロー選手は、勝負所となった第1ヒートでアウト側に溜まった泥につかまりわずかにタイムロス。惜しくも4位フィニッシュとなり、チャンピオン争いは最終戦へ持ち越しとなった。

また、僅差の接戦が続くSA1クラスでは、中島孝恭選手が雨に視界を奪われ一瞬コースを見失うミスはあったものの、見事なリカバリーで2位に入賞し、ライバルのこの大会でのチャンピオン確定を阻止。最終戦の結果次第では、逆転チャンピオンの可能性を残した。 そのほか、SC1クラスでは今年から全日本を転戦する山崎迅人選手が4位に入賞、SC2クラスでは上村智也選手が昨年の第8戦以来となる2位に入賞するなど、いずれもADVAN A031を装着する選手が活躍を見せた。

DRIVER VOICE

谷田川敏幸 選手 [ADVAN トラスト クスコ WRX]

【今回の成績 :Dクラス 優勝 (シリーズチャンピオン確定)】
昨年、大規模な路面改修を実施したオートパーク今庄ですが、今年はさらに路面改修を行い、これまでのデータはほとんど使えない状況となりました。そのため、決勝前日の公開練習では第1ヒートにADVAN A031、第2ヒートにADVAN A036を試し、新しい路面の確認を行いました。決勝では、この時に掴んだデータをうまく生かすことができたと思います。ヘビーウェット路面に対しては、しっかりと抑えなければコースアウトしてしまいますが、抑えすぎてもタイムが伸びません。路面とのキャッチボールが重要で、そういった面でもADVAN A031は大きな武器になりました。今シーズンは、前半戦で3連勝することができたことがタイトルの原動力になったことは間違いありません。昨シーズンにやってきたことが間違いなかったと確信できたことが大きいですね。中盤戦でライバルに負けてしまい、悔しい気持ちもありましたが、逆に次の大会で頑張ろうと自分を奮い立たせることもできました。プレッシャーもありましたが、やはりダートラは楽しいと再認識した1年だったと思います。今シーズンはまだ残り1戦あるので、最終戦は“満点チャンピオン”を目指して頑張ります。

中島孝恭 選手 [ADVAN ルブロス インテグラR2]

【今回の成績 :SA1クラス 2位】
ライバルにチャンピオンを奪われることを阻止することはもちろん、最終戦で逆転チャンピオンを狙うためにもこの大会は絶対優勝したかったので、2位は少し悔しいですね。実はスタート直後の第1コーナーを見間違えてしまい、走行ラインが大きく膨らみすぎて大失敗してしまいました。なんとかリカバリーすることができ、その後も諦めずにADVAN A031が持つトラクション性能の良さを生かす走りに徹したことが、2位に繋がったと思います。最終戦は逆転チャンピオンを狙い、全力で戦います。

上村智也 選手 [ADVAN itzz 磊石 ランサー]

【今回の成績 :SC2クラス 2位】
路面コンディションがかなり滑りやすい状況だったので、ラインがあまり外に膨らまないように少しでも硬い路面を狙い、横方向よりも縦方向のトラクションを強く意識するドライビングに徹しました。SC2クラスの場合、ウェット路面の場合でも路面の砂利や泥が掃けていることも多いので、普段はADVAN A031を装着する機会が少ないのですが、コントロール性が良いので違和感なく走れたことも大きいと思います。

河内 渉 選手 [ADVAN KYB ATS ランサー]

【今回の成績 :Dクラス 3位】
今まであまり経験したことがないような路面コンディションということもあり、第1ヒートは第2ヒートも勝負できるという思いで走ってしまったことが敗因ですね。少しマージンを取った走りになってしまい、攻め切れませんでした。小さなミスも多かったですね。ADVAN A031は、マシンの姿勢変化を柔らかく作ってくれるので、非常にコントローラブルなタイヤだと思います。トラクションのかかりも良く、特にこういった特殊な天候の場合は、第1ヒートから勝負に行かなければダメですね。

宝田ケンシロー 選手 [ADVAN KYB オクヤマ スイフト]

【今回の成績 :PN1クラス 4位】
ADVAN A031は僕自身が一番好きなタイヤで、第2戦の恋の浦で優勝できたタイヤでもあるので、今回の4位は悔しいですが、気持ちをしっかり切り替えて最終戦に挑みたいと思います。慣熟歩行の時に自分が想定したコーナーの立ち上がりラインに、実際には砂利や泥が多く残っていた状態だったため、そこでのタイムロスが成績に響きました。走り方の組み立て自体には間違いはなかったと思うので、最終戦も自信を持って全力で挑みたいと思います。

山崎迅人 選手 [ADVAN ゲンシン ミラージュ]

【今回の成績 :SC1クラス 4位】
ADVAN A031はウェット路面での縦方向のトラクション性能はもちろん、コントロールしやすいところが良かったですね。硬い路面を狙っていくという走り方はしっかりできたと思いますが、2カ所だけ攻めすぎてしまったコーナーがあり、タイムを落としてしまいました。今回、2勝目を挙げることができれば最終戦までチャンピオン争いを展開することができただけに残念ではありますが、僕自身、全日本を転戦するのは今シーズンが初めてなので、まだ最終戦を残してはいますが、上出来なシーズンだったと思います。

佐藤史彦 選手 [ADVAN 栗原企画 インプレッサ]

【今回の成績 :Dクラス 4位】
Dクラスが走行する頃には、ウォータースプラッシュのような大きな水たまりができていて、まるで雪の上を走っているような感覚でした。とにかくラインの上にいることと、エンジン回転を落とさないように前に進むことに集中して走ることを心掛けました。ADVAN A031はこれまで装着した経験はほとんどなかったのですが、厳しい条件のなかで違和感なくマシンをコントロールすることができました。ウェット路面でのフィーリングが良かったので、これからも路面コンディション次第では積極的に使っていきたいと思います。

FEATURED DRIVER

■SC2クラス :太田雅文 選手

オートパーク今庄をホームコースとする太田雅文選手は、2009年と2010年の全日本ダートトライアルSC1クラスで2年連続チャンピオンを獲得している実力派のドライバーだ。2011年からは三菱ランサーエボリューションに乗り換え、現在のSC2クラスを転戦してきている。シリーズを通してヨコハマタイヤを装着するようになったのも、この頃からだ。

「ヨコハマタイヤのなかでも、特にADVAN A036が好きなんです。路面とマッチした時に、土の上を走っている感覚よりも、まるでアスファルトの上を走っているようなグリップ感を感じることができる。ステアリングにしっかりとした手応えがあり、それに合わせて踏んでいけます。最小限のステアリングワークで走ることができ、僕にとっては絶対的な信頼感があるタイヤですね。だから、今回の今庄も、本当はADVAN A036で勝負したかった……という気持ちはありますね」という太田選手。実は、2006年の第8戦タカタラウンドで、当時のSC1クラスで全日本初優勝を飾った時もADVAN A036を装着し、その時から「ぞっこん惚れ込みました(笑)」とのことだ。

路面改修と大雨が重なった今大会は、「地元の僕でもあまり経験したことがない路面だったので、さすがにADVAN A036は諦めました。ADVAN A031はあまり履いたことはなかったのですが、これまでの自分の経験値をもとに、今回のコースレイアウトのなかで他の選手よりも絶対速く走ることができるという要となるコーナーを何カ所か作り、抑えるよりも攻める気持ちを持って挑みました。もちろん、失敗したコーナーもありますが、全体的にはうまくまとめることができたと思います」と5位入賞を果たした。

「今後は、まずはシードゼッケンを取れるように安定した成績を残すことが目標です。超硬質路面は自分でも得意だと思うのですが、今回のような難しいコンディションに対しても、しっかりと対応していきたいと思います」という太田選手。過去にチャンピオンを経験しているドライバーだけに、激戦区のSC2クラスでもこれからも活躍してくれるに違いない。

TECHNICAL INFORMATION

オートパーク今庄は、一昨年までADVAN A036が対応する超硬質ダート路面が大きな特徴となるダートコースだったが、昨年の路面大改修、さらに今年の路面改修により、降雨や散水などの影響で路面コンディションが大きく変わる特性を持つダートコースへと変わった。

今回は雨の影響によりウェットからヘビーウェットへと変わるコンディションとなり、ADVAN A031が対応する路面となったが、高いトラクション性能が大きな武器となり、谷田川敏幸選手の3年連続チャンピオン獲得に大きく貢献することができた。同時に、ADVAN A031の経験値が少ないDクラスのなかで上位6台中4台がADVAN A031装着車で占め、扱いやすいマイルドなコントロール性能を実証することができた。