2015 JDC Round 1 Report

【全日本ダートトライアル選手権 第1戦/丸和】

2015年シーズンが丸和オートランド那須で開幕、
ADVAN A036が威力を見せて2クラスを制した!!

JDC Round 1

開催日 2015年3月21日-22日
開催場所 丸和オートランド那須
(栃木県)
天候 晴れ
路面 ハーフウェット(散水) ~ ドライ
参加台数 144台
(ヨコハマタイヤ装着車 46台)
2014 全日本ダートトライアル選手権 第1戦

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今年は全8戦で戦われる2015年の全日本ダートトライアル選手権が、栃木県の丸和オートランド那須を舞台に開催された。同会場でシーズンの開幕を迎えるのは、2012年以来今年で4年目となる。「東日本のダートトライアルの聖地」と呼ばれる丸和は、全国でも人気が高いコースのひとつ。今年も全国各地から150台近いエントリーを集め、この週末が2連休だったこともあり1500人を超えるギャラリーが会場を訪れ、熱い戦いの火蓋が切って落とされた。

クラスによっては2分を超えるというロングコースが設定された開幕戦。そのレイアウトは、前半区間に道幅が細く細かいターンが続くテクニカルセクションで構成され、中盤区間から後半区間にかけては幅が広く高速コーナーが連続するハイスピードセクションというメリハリが効いた構成となった。前半はリズミカルに、後半は大胆かつダイナミックな走りが要求される。

午後の気温が16度を超え、春の訪れを感じさせる陽気に包まれた決勝日、第1ヒートは散水の影響でPN1、2クラスはウェット~ハーフウェットコンディションのなかで戦われたが、N2クラスが走行する頃には路面状況がドライとなり、超硬質路面となる第2ヒートが勝負どころとなった。ただし、今年の丸和はコースの一部に砂利が多い区間もあり、タイヤ選択に頭を悩ませる選手も多かった。

第1ヒートは、コースの一部に水たまりができるほど多めの散水が行われ、ウェットコンディションのなかで戦われたPN1クラスは、今回が全日本4戦目となる松栄吉彦選手がベストタイムを刻む。ラリードライバー新井敏弘選手の門下生のひとりでもある松栄選手は、過去3戦のベストリザルトが13位という結果だったが、昨年の関東地区選手権で才能が開花。前日の公開練習でもクラストップタイムを刻み、好調をキープしている。また、宝田ケンシロー選手が0.4秒差で2番手に付け、新世代のドライバーたちが上位を占める。第2ヒートは、出走前に散水が行われたが水量は少なめ。そのなかで第1ヒート同様にADVAN A035のSコンパウンドで挑んだ松栄選手はベストタイムを更新するが、その松栄選手にベテランドライバーが立ちふさがった。2002年に、CC4Aミラージュで当時のC2クラス全日本チャンピオンを獲得した入澤勇選手がADVAN A036を装着して、クラス唯一となる2分02秒台のタイムをマークしてベストタイムを更新。このタイムはシードゼッケン組に入っても破られることはなく、13年ぶりに出場した全日本で優勝を手に入れた。

一方、Dクラスは昨年のチャンピオン谷田川敏幸選手が、その実力を存分に発揮した。Dクラスが走行する頃にはコースのほとんどの部分が超硬質路面となった第1ヒートは、迷わずADVAN A036を装着。「集中しすぎたせいか、ゴール後にマシンから降りようとした時に手足が痺れるような感覚に陥り、しばらく身体を動かすことができなかった」というほど高い集中力を維持してベストタイムを刻んだ。第2ヒートも、激しいコーナリングアクションを抑えた滑らかな走りでしっかりとベストタイムを更新し、開幕戦を制するとともにオーバーオールを奪った。「舗装のような硬い路面の上にパウダー状のダストが残っていたり、コーナーによってはレコードラインに砂利が残っていたりと、場所によってのコンディションが異なる難しい路面でしたが、最後まで集中力を途切らせないで走ることができたことが勝因」と語る谷田川選手。連覇に向け幸先の良いスタートを切った。

そのほか、N2クラスでは星盛政選手がゴール直前の最終コーナーで痛恨のシフトミスを犯しながらも3位に入賞。SA1クラスでは昨年の丸和を制した中島孝恭選手が3位に入賞、SA2クラスのチャンピオン荒井信介選手が2位、昨シーズン2勝を挙げた大西康弘選手が3位、SC1クラスの山崎迅人選手がシードゼッケン組の間に割って入る2位、サスペンションをアップデートしてきた田口勝彦選手が2位に入賞と、各クラスでヨコハマタイヤ装着車が表彰台を奪う活躍をみせた。

DRIVER VOICE

入澤 勇 選手 [オメガ. ガレージ入澤 スイフト]

【今回の成績 : PN1クラス 優勝】
2002年にC2クラスのチャンピオンを獲得したことを機会に競技から離れていましたが、昨年にまた走りたいなと思って地方選手権を走るようになりました。今回は、第2ヒートのタイヤ選択にかなり悩んだんですが、ヨコハマタイヤのエンジニアさんから『この路面であればADVAN A036で行けますよ』というアドバイスをいただいて。そのおかげでかなり自信を持って走ることができました。前半区間でシフトミスをしてしまったのですが、最後まであきらめないで走ったことが良かったのだと思います。久々の全日本でしたけれど、おかげさまで楽しく走ることができました。

谷田川敏幸 選手 [ADVAN トラスト クスコ WRX ]

【今回の成績 :Dクラス 優勝】
今年ももちろん連覇を狙っているけれど、この開幕戦は特に勝ちたかった。だから、スタートからゴールまで高い集中力を維持させながら走りました。それでも、第1ヒートはトルクバンドに乗せられないコーナーが2カ所あった。第2ヒートは、そこをしっかり修正できたことが良い結果につながったと思います。丸和の超硬質路面は、ADVAN A036が最もマッチするタイヤなのですが、今回の路面はいつもより荒れているコーナーがありましたね。そういうコーナーでは、大きな挙動変化をさせないで一筆書きのように滑らかな動きでトラクションをしっかりと路面に伝えてやる走り方が重要。そういった面でも、今回はかなりうまくタイヤを使えたと思いますね。

荒井信介 選手 [ADVAN クスコ itzz ランサー]

【今回の成績 :SA2クラス 2位】
今回は天気が安定していたので、第2ヒート勝負になることを最初から予想していました。だから、第1ヒートはタイミングが少し早いかなとは思ったけれど、第2ヒートと同じADVAN A036を装着して路面との相性を確認しました。実際には第2ヒートで、硬い路面にいつもよりパウダーが残っていたり、路面に砂利が残っているコーナーが多かったですね。そういったコーナーに対しては手前で少しだけ姿勢を変化させて進入しなければいけないのですが、それがうまくいかなかったコーナーの分だけ、タイムが伸びなかった結果、優勝に届かなかったのが残念ですね。

山崎迅人 選手 [ADVAN ゲンシン ミラージュ]

【今回の成績 :SC1クラス 2位】
「今年からスカラシップに登録してヨコハマタイヤを装着しています。第1ヒートはADVAN A053、第2ヒートはADVAN A036を装着しました。A036はいままで一度だけ練習で試してみたことがあるのですが、ADVAN A053は初めてです。どちらも感触は良かったですね。初めてのタイヤでも攻めて走ることができましたから。ただ、第2ヒートはA036が正解だったのか、それとも第1ヒートと同じA053が正解だったのかは、いまでも悩んでいます。今シーズンは、路面コンディションに合わせたタイヤ選択を勉強していこうと思っています」

田口勝彦 選手 [HKSFマッドクロックランサー]

【今回の成績 :SC2クラス 2位】
タイヤは第1ヒートからADVAN A036です。第1ヒートはトップだったのですが、実はヘアピンでインに付きすぎたり、超硬質路面ではアンダーステアを出してしまったりと、自分なりにはうまく走ることができませんでした。第2ヒートはそこを修正して走ったのですが、実はドライ路面のテストが不十分だったんです。今年は新しいサスペンション装置を装着していますが、大雨の時しかテストできていません。そのため、仕上がりは7割程度という状態ですね。第2戦までにはしっかりとセッティングを煮詰め、優勝を狙いたいですね。

FEATURED DRIVER

■PN1クラス : 松栄吉彦 選手

今回は惜しくもPN1クラス5位となった松栄吉彦選手は、第1ヒートはトップ、前日の公開練習でもトップタイムをマークするなど、全日本ではまだ無名ながらも存在感のある活躍をみせたダートトライアル歴7年目のドライバーだ。

「以前は初代のスイフトスポーツに乗っていたのですが、このZC31Sスイフトに乗り換えた時にすべての歯車が狂ってしまい、思うように走れなくなってしまったんです。そこで、どう走ればタイムが出るのか新井(敏弘)選手に相談したんですが、そのときに『積極的にクルマの向きを変えて走ってみるといい』とアドバイスをもらったんです。そういう走らせ方が少しずつできるようになって、それに合わせて成績も良くなってきたという感じですね。実は今年の関東ダートトライアル開幕戦で優勝することができたんです」という松栄選手。新井選手のアドバイスがあったからこそ、タイムが伸びてきたという。

その松栄選手は、ADVAN A035が最も好きなタイヤだという。今回も、両ヒートともADVAN A035で挑んだ。

「A035はコントロール性が高く、横になってからのトラクションが高いというのも自分の走りに合っていると思います。それと、A035は回転方向性がないタイヤなので、例えば練習の時は左右のタイヤを入れ替えて走ることもできる。プライベーターに優しいタイヤだと思いますね」と、ADVAN A035の良さを語る。 今回は第2ヒートで思うようにタイムが伸びず5位となったが、「自分ではミスなく走ったつもりなのですが、結果的にあまりタイムが伸びなかった。まだまだ練習しなければいけないと思っているので、今の実力からいえばこの成績は仕方がないと思っています。全日本は、まだ転戦できる状態ではないと思っているので、次に走ることができるチャンスが来るまでに、しっかり腕を磨いておきたいですね」と、今後の豊富を語ってくれた。

TECHNICAL INFORMATION

全日本イベント開催の歴史が長く、超硬質路面として全国に知られている丸和オートランド那須だが、今回の第1ヒートはコースの散水量が多かったため、PN1とPN2クラスはADVAN A031、もしくはADVAN A053の路面となった。天候が良く気温も高めだったために、その後急速に路面が乾き出し、N2クラス以降はADVAN A036が使える状況となった。
ただし今回の丸和は、コースの一部に砂利が多い状況だったため、路面のすべてがA036に合っているという状態ではなかったのも確かだ。そのため、タイヤ選択に悩む選手が多かったが、コースを全体的にみるとADVAN A036が適合する超硬質路面の比率が多い。そういった場合は、路面に合わせた走らせ方も必要となり、A036が持つ路面対応レンジをうまく引き出した選手が、勝利を掴むことができた。